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内村光良はなぜ人を成長させるのか…タッグを組んだフジ若手Dが実感した「受け入れ力」「安心感」「ストイックさ」

2022年11月20日06時00分 / 提供:マイナビニュース

●目指したのは“どの番組よりも楽しむ内村”
お笑いコンビ・ウッチャンナンチャンの内村光良が、フジテレビの若手ディレクター3人とタッグを組んで新企画に挑むバラエティ特番『内村と相棒』が、きょう20日(16:00~ ※関東ローカル)に放送される。多くの芸人たちに慕われ、ハマった若手が次々にブレイクしていく内村だが、番組制作者においてもその定説は当てはまるのか。

内村の“相棒”になった3人のディレクターに話を聞くと、テレビを通して伝わってくる「優しさ」に加え、「受け入れ力」「安心感」「ストイックさ」というキーワードが浮上。「理想の上司ランキング」6連覇を裏付ける、若手育成術の一端が見えてきた――。

○■“ミュージアム”切り口に既存番組と差別化

まず3人がそれぞれ、どんな企画を内村にぶつけたのか。ゲストのミュージアムを作り、1日限定のツアーを開催する『内村芸能人ミュージアム』を企画したのは、『ネプリーグ』の演出を務める入社8年目の大村昂平ディレクターだ。

ゲストの人生を振り返るトーク番組という定番のジャンルにあって、“ミュージアム”という側(ガワ)を作ることで、オリジナリティを生み出した。

「ミュージアムにはいろんな部屋があって、体験できるブースもあるので、“何でもできる箱”だなと考えたんです。また、話題が変わるたびにパネルが運ばれてくるのではなく、出演者のみなさんが移動していくことで、よくあるテレビバラエティーショーにならない形にしました」(大村D、以下同)

また、企画において意識したのは、“内村の見たことのない顔を出す”ということ。「内村さんって視聴者の方の象徴のような存在で、内村さんが笑ってると楽しい気持ちになると思うんです。それにプラスして、ゲストの人生の中に入ることで『なるほど』と感じてもらい、“どの番組よりも楽しむ内村さん”というのを目指しました」と狙いを明かす。

○■「夢芝居」で締めるこだわり…意識した『スマスマ』

今回、ミュージアムが作られたゲストは、“300年に1人の役者”梅沢富美男。「過去を振り返るのは嫌だ」という本人のほか、マネージャーへの取材をみっちり行い、梅沢の著書からも情報収集。そして、公演で使用する化粧道具や1000万円以上する着物など実物資料も豊富に取りそろえ、実際に「梅沢富美男ミュージアム」として入場料が取れるレベルの展示量になった。

ミュージアムらしく、ボタンを押すと解説音声が流れるという仕組みも導入。淡々とした語り口で、梅沢の弱みをイジり倒していくが、「怒った反応しながらも受け入れてくれる梅沢さんは、本当に懐が深いと思いました」と感謝する。

ラストには、代名詞でもあるヒット曲「夢芝居」を歌うが、最初は難色を示していたという梅沢。それでも、梅沢と交流のある北口富紀子氏(バラエティ制作センター企画担当)の力も借りて、大村Dの熱意で口説き落とした。

そこまで「夢芝居」の歌唱にこだわったのは、「戸渡(和孝バラエティ制作センター室長)さんに『スマスマではいろんなSMAPが見られるけど、最後にアイドルのSMAPを見せるから歌で締めていた』という話を聞いたことがあったんです。僕もSnow Manの番組(『7G~SEVENTH GENERATION~』)をやっていて、歌わせる歌わせない論争があったんですけど、今回はラストにガッチリ“梅沢富美男”で締めよう」という思いから。しかし、どうしても笑いで終わらせたいという気持ちが強く、最後の最後にもうひとくだり用意している。

「ミュージアム」というパッケージは、梅沢のようなベテランに限らず、より若いタレントでも適用できるシステムであるため、「新しいトーク番組のスタイルになれば」と、今後の展開にも意欲を示した。

●想像をはるかに超えるの名曲誕生、背景に内村の存在

“名曲の音楽理論”をヒントに、タレントたちが曲作りに挑戦する『名曲誕生!?誰でもソングライターズ』を企画したのは、『MUSIC FAIR』などの音楽番組を担当する入社8年目の川上惇ディレクター。

内村と音楽の接点を考えたときに、「小学生の頃に『ウリナリ』のポケットビスケッツとか、『内村プロデュース』のNO PLANとか、各局のバラエティの企画から曲が生まれて、それが一大ブームになっていくのを夢中になって見ていたことを改めて思い返して、番組から曲を生み出せることができたら」(川上D、以下同)と、この企画を発案。そこで、「普段音楽番組を担当していて、アーティストの皆さんの感性の豊かさを感じるんですけど、ミュージシャンではないタレントさんとお話ししても、感性がみずみずしいなと思うことが多かったので、プロの音楽理論という“補助輪”をはいてもらうことで、作詞も作曲も全部してもらうという仕組みにしてみました」と、番組の方向性が決まった。

今回は挑戦するのは、清水ミチコ、どぶろっく、きつねの3組。清水は、内村と『夢で逢えたら』で共演していた間柄という要素も大きいが、「僕は清水ミチコさんが大好きで、世の中にもっとその音楽性を知ってもらいたいと思って、プロデューサーの堀川(香奈)さんに『とにかく清水ミチコさんをキャスティングしてほしい!』と伝えました」と熱望がかなった。

どぶろっくは『あらびき団』時代から好きだった芸人だが、昨年の特番『FNSラフ&ミュージック』で、IMY(山崎育三郎・尾上松也・城田優)とコラボした「大きなイチモツをください」を見て、「本格的な音楽のアプローチで“どぶろっくをアーティストにする”というのが、めちゃくちゃ面白いと思って」とオファー。EDMを使った歌ネタのきつねは、作曲に関して未知数だったが、「一番ピュアでいい意味でのアマチュアイズムが、すごく熱のある曲になるのではないか」と賭けた。

その結果、「想像をはるかに超えて、本当に感動する曲が3曲上がってきました。企画書のときには想像し得なかった皆さんのパワーだと思って、本当にありがたいなと思いました」と、興奮を回想。そのパワーの原動力を聞くと、「やっぱり内村さんの存在が大きいと思います。自分自身も、今回は内村さんが座長としていらっしゃることで、すごく大きな傘に守られて仕事ができた感じがして、直接何かアドバイスを頂いたわけではないんですが、3組の皆さんも内村さんがどう受け止めてくれるかというのを考えてくれたからこそ、本気が引き出されて、それぞれの個性が輝く曲が生まれたんだと思います」と実感した。

○■フジに気楽に見てもらえる音楽番組を

普段あまり仕事をしない芸人たちと曲作りに挑んだ川上D。「音楽番組だと、アーティストご本人と会うのは本番の一瞬しかないのですが、今回はある意味共同作業のようにコミュニケーションしながら曲を作り上げていく過程があったんです。それは、タレントさんと制作者が一緒に作っていくというフジテレビのバラエティがすごく大事にしている部分だと思うので、その一端を少し経験できたことも良かったと思いました」と充実の表情で語る。

また、「今フジテレビの音楽番組は、『FNS歌謡祭』や『MUSIC FAIR』などプレミアムなものばかりになっていて、音楽がそこまで好きじゃない人にも気楽に見てもらえる音楽番組をやりたいという考えがずっとあったんです。そういう番組があることによって、プレミアムな音楽番組が引き立つし、いい連携ができると思うので。今回の企画は30分尺のトライアルで全てが表現できるわけではないですが、そういう気持ちで作った部分もあります」と、裾野を広げていきたい思いを明かした。

●内村の持つある種のクレイジーさを引き出す
MCをする内村の手に必ずある「棒」へのこだわりに密着する『内村と棒』を企画したのは、深夜番組『ここにタイトルを入力』でSNSをザワつかせた入社3年目の原田和実ディレクター。

「いち視聴者として、とにかくコントをやってる内村さんが見たいと思ったんです」(原田D、以下同)というきっかけから、「フジテレビで内村さんとコントをやるということに、どれだけの意味があるのかという重みも感じながら収録に臨みました」と、河田町からお台場にかけて数々の名コントを生み出してきた座長とのタッグに挑んだ。

実際に撮影すると、「面白かったし、うれしかったです。結構アドリブ多めのコントだったので、登場人物のあだ名など細かい設定をその場で作る感じや、台本にない部分の展開の持って行き方が面白くて、感動が多い現場でした。コントをやってる内村さんの持つある種のクレイジーさと、素で笑ってしまうリアルな部分が見え隠れするので、いろんな魅力の内村さんが見られると思います」と手応えをつかんだ。

○■コント×フェイクドキュメンタリーの塩梅

コントのようで「フェイクドキュメンタリー」のような要素も感じられるが、そこには、原田Dがこれまで『ただ今、コント中。』でコントを作り、自身が企画した『ハイパーハードボイルドひとリポート』『あえいうえおあお』でフェイクドキュメンタリーを制作してきた経験が生きている。

「長谷川(忍)さんが内村さんのボケを全部拾っていただいているというのがあったので、コントとフェイクドキュメンタリーのいい塩梅を出せたらなというのが、自分の中の裏テーマでありました。そこのバランスは、これまでの経験があったから、行き着いた答えだと思います」

登場する「棒」のネタ出しでは相当数の案があがったが、予算との兼ね合いも見て実際に製作する数を調整し、その中でも「1個1個本当に手作りで、1本10万円とか20万円かかってる棒もあります」とのこと。内村は打ち合わせで、「いや、俺そんなに棒を望んでないから(笑)」と主張し、収録後も「これでまた棒のイメージ付いちゃうな(笑)」と、こぼしていたそうだ。

『ここにタイトルを入力』では、バイきんぐ・小峠英二を縦分割して2番組に同時出演させたり、マジックミラー号からロケ中のフワちゃんを映り込ませたり、「恋の買い取り」という謎のシステムを平然と放送したりして、深夜の視聴者を騒然とさせた原田D。今回の番組は日曜夕方枠ということで、「広い世代の方が見てもらえる時間なので、勉強の場になりました」と糧になったようだ。

●若いディレクターたちを懐深く受け入れる

今回の番組タイトルは『内村と相棒』。3人ともがっつり一緒に仕事をするのは今回が初めてだったが、自分が“相棒”となって内村と接した印象は、どうだったのか。

『内村芸能人ミュージアム』の大村Dは「内村さんというよりは、テレビで見ていたままの“ウッチャン”だったなと思いました。怖さとか、変なオーラがなくて、全部受け入れてくれるのが“ウッチャン”だと思うので、その心で僕らにも接してくれたと思って本当にやりやすかったですし、憧れの人だったので夢のようでした」と振り返る。

『名曲誕生!?誰でもソングライターズ』の川上Dは「優しくて気さくな人なんだろうなというのは本当にイメージ通りだったのですが、何より感じたのは圧倒的な安心感でした。すごいなとか、オーラがあるなとかいろんなMCの方がいらっしゃいますが、内村さんがいることの温かさがあるから、若手芸人の人たちものびのびできるんだという感覚が分かって、それにはちょっとびっくりしました」と驚きを回想。

『内村と棒』の原田Dは「本当に打ち合わせからめちゃくちゃ優しくて、こっちの意図もすごく汲んでくださるんですけど、本番に入るとその優しいイメージを崩さないまま、ストイックになるスイッチが入るのをすごく感じたんです。やっぱりレジェンドと呼ばれる方は、たくさんの理由があってのことなんだなと、若輩者ながら感じました」と感服した。

堀川香奈チーフプロデューサーは「内村さんは、若いディレクターたちだからこそ、『1回やってみようよ』という感じで、懐深く全部受け入れてくれたという感じがすごくありました」とのこと。内村は収録後に「“フジテレビで収録してるな”って感じがあったね!」と話し、終始笑いの絶えないスタジオに手応えを感じていたようだ。
○■若手のチャンス増加「“やってやるぞ!”という感じ」

フジテレビは10月の改編で深夜にトライアル枠を倍増させるなど、若手スタッフへ積極的にチャンスの場を提供している。3人とも、それは強く実感しているようだ。

「本当にありがたくて、若手ディレクターがみんな“やってやるぞ!”という感じがあります。今回も内村さんと一緒に番組ができるなんて、他局でもなかなかないと思いますので、うれしかったです」(大村D)

「今回の他に、5月にも自分の企画で番組(『SOUL SONG SHOW』)をやらせてもらって、特に今年はチャンスを頂けていて、すごくうれしいです。音楽で心を動かすという番組をやりたいと思っていて、それが5月と今回で2本ともやれたので、いい経験になりました」(川上D)

「チャンスの機会はめちゃくちゃあります。しかも自分の企画で内村さんとやれるなんて、入社したときには想像もしなかったことなので、そういう機会を頂けるのもありがたいですし、勉強になることが多かったです」(原田D)

今回の番組は、日曜夕方の関東ローカルという時間帯ながら、スタジオを2つも使うという異例の規模で収録された。そこからも、若手制作者へチャンスを提供しようという気運がうかがえる。

●大村昂平
1993年生まれ、福岡県出身。明治大学卒業後、15年フジテレビジョンに入社し、バラエティ制作に配属。『全国ハモネプリーグ』『ただ今、コント中。』『新しい波24』『AI-TV』『7G~SEVENTH GENERATION~』などを担当し、現在は『ネプリーグ』で演出を務める。

●川上惇
1992年生まれ、東京都出身。明治大学卒業後、15年フジテレビジョンに入社し、バラエティ制作に配属、主に音楽番組のディレクターを務める。現在、『MUSIC FAIR』『FNS歌謡祭』『オダイバ!!超次元音楽祭』を担当している。

●原田和実
1996年生まれ、静岡県出身。横浜国立大学卒業後、20年フジテレビジョンに入社し、バラエティ制作に配属。『ネプリーグ』のADを担当しながら、特番『567↑8』『ただ今、コント中。』でディレクターを務め、『ここにタイトルを入力』『あえいうえおあお』で企画・演出を務める。

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