2022年11月16日19時38分 / 提供:マイナビニュース
ふるさと納税ポータルサイトの「さとふる」とPayPayは11月16日、さとふるを介したふるさと納税の返礼品として「PayPay商品券」を11月29日から提供すると発表した。約30の自治体で年内の導入が決まっており、順次拡大する。
クーポン・チケットの発送を待たず、すぐに旅先で使える電子商品券
PayPay商品券は、特定のPayPay加盟店で使える電子商品券。仕組み自体はふるさと納税の返礼品に限ったものではなくさまざまな施策への活用を期待できるが、まずはさとふるでの提供が決まった。今回の導入例では、寄付先の自治体にある飲食店や宿泊施設、地場産品を扱う店などで使える商品券となる。
ふるさと納税でPayPay商品券を受け取り、利用するまでの流れはこうだ。
まずは他の返礼品を希望する場合と同様に、さとふるで希望の自治体と寄付額を選び、オンライン決済でふるさと納税を済ませる。この際、もちろん支払方法としてもPayPayを利用できる。
続けて、さとふるのアカウントとPayPayアプリを連携させるとPayPay商品券を受け取れる。システム上はすべてのPayPay加盟店に対応可能だが、ふるさと納税制度の趣旨を踏まえ、対象店舗は各自治体が選定する。使い方は簡単で、対象店舗での支払時にPayPay残高ではなくPayPay商品券を選ぶだけだ。
この商品券はPayPayアプリを通じて使える電子商品券なので、以前から返礼品として存在する旅行クーポンなどのように自宅への配送を待つ必要はなく、すぐに使える。極端な話、旅先の対象店舗のPOPなどでこのサービスの存在を知ったとしても、その場でふるさと納税を行って商品券でお得に買い物できる。
発表時点で年内の導入が決定している自治体は下記の通り。各自治体で発行されるPayPay商品券は、その地域限定のものとなる。
北海道小樽市、千歳市、富良野市、登別市、森町、俱知安町、白老町、洞爺湖町、安平町、むかわ町、釧路町、弟子屈町
山形県米沢市
栃木県日光市
石川県七尾市
愛知県岡崎市、南知多町
三重県伊勢市
京都府亀岡市、京丹後市
兵庫県豊岡市
奈良県奈良市
山口県長門市
香川県高松市
愛媛県今治市
福岡県太宰府市、朝倉市
熊本県小国町
モノよりコト、現地に訪れるタイプのふるさと納税の促進効果に期待
ふるさと納税の利用は年々増える一方、さとふるによれば食品や飲料など、「モノ」の返礼品を伴うコースを選ぶ人が約9割を占めている。もちろん、現状でも住民以外からの税収を確保できたり、特産品の味を知ってもらうことで地域の魅力をアピールできたりといった効果はある。
しかし、仮に観光や各種アクティビティなど現地に足を運んでもらう「コト」消費の返礼品を選ぶ人が増えれば、滞在中の消費活動により寄付額以上の経済効果が生まれたり、地域そのものの魅力を知り継続的な関わりを持つ「関係人口」を増やすコミュニケーションのきっかけになったりと、自治体目線ではより大きな効果が期待できる。
モノではなくコトの返礼品自体は、紙の地域観光クーポンや寄付者限定の見学ツアーなどさまざまな形で以前から存在するが、タイムラグ無しに思い立ったらいつでもふるさと納税を活用して観光できる点がユーザー側のメリットとなる。
また、参加店舗にとっても、すでに広く普及しているPayPayの決済プラットフォームがベースとなり、あとは自治体の判断で対象店舗としてリストアップされればすぐにでも観光客を取り込めるため新たな商機を得やすい。売る側・買う側のどちらにとってもハードルが低く、手間から敬遠されがちだった「現地に足を運んでもらうタイプのふるさと納税」の利用促進に一役買いそうだ。