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NTT、オープンイヤー型でも音漏れを大きく抑制する新設計のイヤホンを開発

2022年11月10日15時57分 / 提供:マイナビニュース


NTTは11月9日、「聴きたい音」のみを届け、「聴かれたくない音、聴きたくない音」を届けないようにする究極のプライベート音響空間「パーソナライズドサウンドゾーン」(PSZ)の構築を目指した研究開発の一環として、ごく小さな空間に音を留める新たなスピーカーエンクロージャ設計技術を開発し、耳に差し込まないオープンイヤー型でありながら音漏れを低減することで、快適に自分だけの音響空間を楽しみながらも、周囲とのコミュニケーションを可能にしたイヤホンを開発したことを発表した。

現在、リモートワークやオンライン授業などが増え、イヤホンはもはや生活必需品になりつつある。しかし、長時間にわたる装着は耳への負担が大きく健康被害も懸念されている。それに加え、カナルタイプなどの密閉度の高いイヤホンやヘッドホンは、外部からの音を遮断してしまうため、周囲の音が聞こえず呼びかけや車両の接近に気づきづらいという短所も存在する。また、ネックスピーカーや骨伝導イヤホンのようなオープンイヤー型イヤホンは、周囲への音漏れ不安が使用時の短所として存在していた。

そこで同社では今回、密閉型とオープンイヤー型の長所を両立することで短所を補完し合う、音漏れが少ないオープンイヤー型イヤホンを実現できるスピーカーエンクロージャの設計技術を開発することにしたという。

イヤホンは小さなスピーカーであり、電気信号を受けた音の再生装置(ドライバーユニット)内のパーツを振動させて音を発する仕組みである。一般的なスピーカーの発する音は全方向に広がるため、オープンイヤー型イヤホンに顕著な「音漏れ」は、スピーカーから放射された音が周囲に拡散した状態となる。

音漏れのような、音を制御する関連技術として、同社は以前の研究で「能動サウンド制御技術」と呼ばれるものを開発した実績があるという。複数のスピーカーを配して位相の異なる音波を制御することで、スピーカーの発する音を一定範囲内に留めることで実現するという技術だという。

そこで今回は、新たにスピーカーを覆う筐体(スピーカーエンクロージャ)の側面位置に複数の穴を適切に開けることにより、単一のスピーカーのみで音を耳元近傍の局所的な空間に留める新たな設計技術を開発。このPSZ技術は、スピーカーの前面から放射した正相の音波が耳で反射することで発生する音漏れにつながる音波を、スピーカーエンクロージャの側面の穴から放射した逆相の音波で抑圧することで、耳元から離れると音漏れが非常に小さくできるという仕組みだとする。


そのPSZ技術を利用したエンクロージャと通常のエンクロージャを耳に装着した際の音漏れをシミュレーションすると、通常エンクロージャでは耳だけでなく広範囲にわたり高い音圧が観測でき音漏れが発生しているが、PSZ技術の場合は、耳元では高い音圧を観測しながらも、頭部周囲の音圧は低く音漏れを低減していることが確認できたとする。

また、PSZ技術が用いられたオープンイヤー型イヤホンの耳元の騒音レベルと15cm離れた位置に置いた音漏れ測定マイクの騒音レベルが比べられたところ、耳元では80dBが観測されながら、15cm離れた音漏れ測定マイクでは43dBとなり、大きく音漏れが低減できていることが明らかにされた。これを日常の周囲の音の騒音レベルと比較すると、耳元では通常イヤホンで音楽を再生する程度の大きさで聞こえていながら、15cm離れた位置では図書館の静けさと同等になっているといえるとする。

同社は今後も究極のプライベート音響空間の実現に向けた研究開発を推進し、航空機や自動車の座席、オフィスなど、さまざまな場所での応用を検討していくとしているほか、オープンイヤー型イヤホンを活用し直接耳に届くリアルの空間の音に合わせて、イヤホンから再生する音を加えることでさまざまな情報を付与する新たな価値提供を目指した研究開発も行っていくとしている。また今後は、NTTグループの各事業会社を通して、PSZ技術に基づくサービスやソリューションの提供も行っていく予定としている。

なお、PSZ技術を採用したオープンイヤー型イヤホンは、NTTグループのコンシューマー向け音響ブランド「nwm(ヌーム)」の第1弾として、NTTソノリティが販売をスタート。今回は有線モデルだが、来春にはワイヤレスモデルの発売も予定しているという。またこのイヤホンは、11月16日から18日までオンラインで開催される「NTT R&Dフォーラム Road to IOWN 2022」で展示される予定だともしている。

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