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経産省がEUV技術や先端プロセス技術獲得に向けimecと提携交渉、ITF Japan 2022

2022年11月09日15時47分 / 提供:マイナビニュース


ベルギーの独立系半導体デジタル技術研究所であるimecは11月7日、東京にてimec Technology Forum 2022(ITF Japan 2022)を開催した。

今回のテーマは、「Driving the semiconductor future(半導体の未来を切り開く)」で、日本の半導体戦略を立案し実行する経済産業省(経産省)商務情報政策局長の野原諭氏や、近く設立されると見られている最先端半導体技術開発組織のトップへの就任が噂される前ウエスタンデジタルジャパン代表取締役社長の小池淳義氏が、日本の先端半導体技術開発に関して基調講演を行ったことが注目を集めた。
imec/ASMLと提携しEUV露光技術を獲得へ

日本の半導体戦略の策定を陣頭指揮する経産省の野原局長は、「Deep Tech Transformation ~Computing Power and Semiconductors」と題した基調講演を行った。

野原氏は、「次世代コンピューテイングパワーとそのための次世代半導体チップは多くの国にとっての命運を握っている」と前置きし、日本の半導体サプライチェーンにとって「No EUV、No Future」と述べた。また、「(imecとASMLは次世代EUV露光技術に関する共同ラボを設立して高NA EUV技術の実用化を目指しているが)この2社と私たちが連携することは、将来の日本の半導体産業を構築するために必須(essential)だと強く確信している」とも述べ、日本とimecの両者の関係を両方向から深めることを意図していることを強調した。

このほか同氏は、すでに経産省の策定した公表済みの半導体戦略の3段階アプローチや4670億円の補助金支給を決定したTSMCの熊本工場(JASM)などについての説明を行った。岸田首相は、政府が半導体産業を強化するために1.3兆円を投資することを約束したが、この動きは、同盟国との関係を強化しながら、半導体業界を再建するという国のコミットメントを示しているとし、戦略的パートナーと具体的かつ協力的なプロジェクトを展開することは、日本にとって切実な希望であるとしている。

また、「日本は米国と次世代半導体で共同開発をすることを政府レベルで決めているが、何も米国だけに限ったことではなく、他の国や地域との連携も受け入れる余地はあり、(米国との関係とは)相補的な連携を構築していきたい」とimecとの連携なども模索していることを明らかにしたほか、半導体の人材育成に関して、「日本と米国は人材開発に関して協業することを合意しているが、この協業を欧州、とりわけimecにも広げるつもりでいる。冒頭でも指摘したように、EUV露光技術は、次世代半導体を開発し、製造するために必須技術である。そのため、imec/ASMLとのパートナーシップは必須である」と再度、欧州勢との連携に言及し、「今後ともimecとの連携に向けた議論を継続し、パートナーシップを実現させて、お互いウイン・ウインの関係を築いていきたい」と話を結んだ。


2nmプロセスの開発・製造には日欧米連携と人材教育強化が必要

小池淳義氏(前ウエスタンデジタルジャパン社長、前米国Western Digital SVP、当日投影されたスライドには肩書なしの個人名のみ記載)は、「将来の半導体製造: 微細化の課題に適応するインテリジェントなファブ システムとスマートな製造装置」と題する講演を行った。

同氏は、「私たちはすでに、毎日継続的にスマートなデバイスやセンサーから大量のデータが生成されるエキサイティングな時代に生きている。インテリジェンスがよりユビキタスになり、広く接続されるようになる一方で、私たちは究極のエネルギー効率でこの豊富なデータを利用することにも挑戦している。さらに、人類がCOVID-19のパンデミックを経験したことで、世界はネクストノーマルに向けた大きなパラダイムシフトに直面している」と世の中の動きを分析。半導体については、熊本のJASMが稼働しても日本のロジック半導体は世界から10年遅れてしまっていることを指摘したうえで、膨大な技術的課題があるがサブナノメートルクラスのスケーリングを追求し、粗利率と付加価値値の大きなデバイスを日本で開発し製造する重要性を強調。

その実現に向けては、日米に限らず欧州との連携を強める必要もあり、インテリジェントなファブやスマート製造装置を用いて従来の半導体製造を変革し、枚葉フローショップ方式で製造のスピードを速める提案を行ったほか、人材育成も強化することが必要であることも強調した。
東大もimecと半導体研究で戦略的提携へ

このほか、東京大学(東大)の黒田忠弘教授の講演では、東大のd.lab(システムデザイン研究センター)とRaaS(先端システム技術研究組合)は、imecと強固な戦略的提携を結び、共通の興味ある分野を見つけて協業することを目標にしていると宣言しており、日本のさまざまな角度からimecとの連携強化が進められている姿が見受けられた。

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