2022年11月10日07時24分 / 提供:マイナビニュース
●期間限定「TEDルーム」で謎解きの没入体験
皆さんは、4年ほど前まで放送されていたNHK教育テレビ番組「スーパープレゼンテーション」を覚えていらっしゃるだろうか。米国のプレゼンイベント「TEDカンファレンス」の、各界のトップランナーによるプレゼンを、番組ナビゲーターがその背景とともに解説する語学教養番組だ。先端技術や、その時代の問題を鋭い視線で問う斬新なトーク術に魅入った人も多いはず。
そのTED(※)が、世界65以上の国と地域で約600軒以上のホテル&リゾートを展開する「マリオット・ホテル」とパートナーを結んで、コラボルーム「没入体験型ゲストルーム(The Curiosity Room(キュリオシティ・ルーム) by TED)」を期間限定で作った。2022年は、サンフランシスコ、バンコク、ロンドンの3地域で体験できるが、今回、10月後半に「バンコク・マリオット・マーキス・クイーンズパーク」のTEDルームを体験してきたのでご報告したい。
今回の部屋を作った目的の1つは、マリオット・ホテルがTEDとのパートナーシップを次のレベルへと進化させること、そしてTEDの教育プログラム「TED-Ed」から学ぶ楽しみを引き出し、それをプラスして今までにない新しいホテルサ-ビスを提供することだ。
○ワクワクが止まらないTEDルームへ
ホテルに1室しかないTEDルームのドアを開けると、壁いっぱいに描かれたバンコクのランドマークのイラスト! イラストレーター兼アーティストのカレブ・モリス氏が描いたマリオットカラーのワイン色とグレー、白のクールなデザインに釘付けになる。客室全体がパズル箱のような造りになっていて、その仕掛けが実に斬新だった。
最後のチャレンジを終了して正解すると、お楽しみが待っている。
サンフランシスコ(すでに終了)、バンコク、ロンドンと3つのデスティネーションそれぞれ各所の名所、たとえば、バンコクは、王宮や寺院ワットルアン、バンコク・マリオット・マーキス・クイーンズパークが壁に描かれ、そのモチーフも謎を解くヒントとなっている。
○想像を超えるマリオット・ホテルズの社会貢献度
マリオット・ホテルは、長年にわたりTEDとのグローバルパートナーシップを結んでおり、スタートは2016年、テッド・トークス(TED Talks)やテッド・フェローズサロン(TED Fellows Salon)、ブログ、オリジナルの名言を世界各地のマリオット・ホテルでゲストに配信したことから始まったそうだ。毎年新たな要素を取り入れることで、知的好奇心を刺激するコラボ内容も進化してきた。来年以降の取り組みにぜひとも期待したい。
近年、次々と他ホテルグループを傘下に収め、巨大化するマリオット・ホテルに見えるが、取材してみると、実はとても丁寧なホテルづくりがなされていることに目を見張る。TEDルームのような、他のホテルがどこもやっていないようなコラボ企画もそうだが、実は元のホテルブランドの特徴を大切にしながら、スタッフにも気を配り、またエコノミー、中級、ラグジュアリーと各宿泊客の用途に合った魅力を感じられるホテルが多い。社会貢献やSDGsにも積極的で、南の島のリゾートホテルでは、海を守るためのサンゴの養子運動も盛んにおこなわれている。
●TEDルーム体験期間
バンコク・マリオット・マーキス・クイーンズパーク:2022年8月15日~11月15日
ロンドン・マリオット・ホテル・カウンティホール: 2022年9月15日~2023年1月2日
※TEDは、「広める価値のあるアイデア(Ideas Worth Spreading)」を共有するという精神に基づき活動している非営利団体。多くの場合、世界が注目する著名な講演者たちによる短時間の講演形式で提供している。こうした講演の多くは、TEDカンファレンス、より親密感のあるTED Salons、世界中で独自に企画されるTEDxのイベントを通じて開催されている。TEDトークは英語学習者にも人気があるプレゼンテーション動画の無料配信サービス。「TED-Ed」という学習教材があることは、あまり知られていないかもしれない。TEDトークは内容がアカデミックで難しすぎるという声もあるが、TED-Edは英語初心者にも勉強しやすい内容となっている。
●レストランのレベルに驚愕! マーキスが地元でも愛される理由
マーキスとはフランス語で「侯爵」の意味。マリオット・ホテルでも部屋数が1,000室以上あるラグジュアリー、プレミアム、セレクトのクラスにしか名付けられないという特別な名称だ。38階建てで南北2つのタワーをもち、全1,388室。夕方になると威風堂々としたツインタワーがバンコクの大都会を彩る。
古くからバンコクで愛されてきた「インペリアル・クイーンズ・ホテル」が、2013年から3年かけて丁寧に改装され、2016年に「バンコク・マリオット・マーキス・クイーンズパーク」として誕生した。大規模なコンファレンスルームや大小の会議室が30室用意され、結婚式場もあって、地元密着型のホテルという印象。ウエディングを挙げるならぜひここで、というローカルっ子たちの憧れのホテルでもあるという。
全館はタイ様式とモダンが融合した内装となっているが、素晴らしいのは、改装時、元のホテルの貴重なチーク材の建築物はできるだけ生かそう、ということで、たとえば、下記写真のロビーは、チーク材の大きな柱をきちんと残して傷つかないように囲いまで施されている。総大理石の床もそのまま使われている。
滞在中はこのロビー(グランドルーム)や館内で多くのビジネスマンのグループを見かけたし、ゴージャスで広々としたロビーは、待ち合わせや打ち合わせをするゲスト、ゆっくりとお茶を楽しむローカルの人々であふれていて、実に活気があった。地元でも愛されていることを実感させられた。
場所はバンコク中心部、在住日本人が多く住むスクンビット通りに位置し、高架鉄道BTSスカイトレインのプロンポーン駅から徒歩5分の距離。ショッピングモールのエンポリウムも近く、観光、ビジネスともに大変便利な立地にある。
客室の内装は、ベージュを基調とした上品なモダンタイ。
客室カテゴリーは下記の7つ。
デラックス(32m2)
デラックスパークビュー(32m2)
Mクラブ(32m2)
Mスイート(32m2)
2ベッドルームファミリースイート(126m2)
グランドマーキススイート(128m2)
ザ・スカイスイート(1,002m2)
思いがけない発見があった。ターンダウンサービス前に、安眠できるという枕にふりかけるアロマスプレーをハウスキーピングから渡された。これが、優れもので、海外の観光で疲れていることもあったが、床について3秒で寝落ちしてしまった。
○タイ料理に広東料理、アジアフュージョン、屋上バー! 食のレベルが高すぎる
行く前はまったく予備知識のなかったこのホテル。立地や客室の快適さはもちろんだが、とにかくレストランのレベルの高さには驚かされた。結婚式にもよく利用されている、ということもあるが、7つのレストランがあり、まず訪れてすぐにランチでいただいたタイ料理店「サイアム・ティールーム」の料理群にただただ感激。
料理のコンセプトは、伝統的タイ料理に地元ハーブや花をたくさん取り入れ、オリジナルなメニューにしているという。
右の真ん中の料理はパパイヤのソテー。通常、パパイヤサラダは生のパパイヤを使うが、炒めたパパイヤもなかなか。
広東料理の「パゴダ・チャイニーズ・レストラン」。こちらのお料理は、20年以上にわたり一流レストランで腕を磨いた香港出身のオスカー・プンさんが担当。上品な味付けや演出は、グルメ通を唸るらせるほどの味わい。
アジアンフュージョン料理の「アキラバック」。日本料理や韓国料理に、世界のレシピを加味して、アキラバック流オリジナルアジア料理が完成している。ソウル、シンガポール、ハノイ、ドバイ、ラスベガス、パリ、ロンドン、イスタンブール、マラケシュと世界各地にあるアキラバック。ドバイのお店はミシュランの星も獲得しているそうだ。
そして、ここは日本人にはうれしい「シェア」がコンセプトのレストランなので、何品頼んで皆でシェアしてもOKだ。
ロビーラウンジではアフタヌーンティも楽しめる。スクンビット周辺在住の日本人マダムにも人気とか。
Mクラブスイート以上のゲストだけが利用できる27階のMクラブラウンジでの朝食。静かな環境でゆっくりと朝の時間を楽しめる
スパも充実。タイの国王ラマ5世(在位1868-1910)が書いたマッサージの本「Farm from HUE」から着想を得たコンセプト「水」をテーマにしている。
宿泊料金は2万3,000円~(1室2名)。どこに行くにも便利で、バンコクっ子憧れのホテルに一度泊まってみてはいかがだろう。
取材協力: マリオット・ホテル
旅行ジャーナリスト&編集ディレクター : 鈴木幸子(らきカンパニー) すずきさちこ 出版社勤務や地球の歩き方編集を経て2001年に独立し、有限会社らきカンパニー設立。世界60か国以上を頻繁に取材し、一期一会の旅リポートを発信中。著書に『もち歩きイラスト会話集タイ』(池田書店)ほか。JTBるるぶ『アンコールワットとカンボジア』初版制作を担当。 この著者の記事一覧はこちら