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大阪公大、ヒトの歩行の振動による発電性能を約90倍に高めることに成功

2022年11月04日17時59分 / 提供:マイナビニュース


大阪公立大学(大阪公大)は11月2日、U字型の振動増幅パーツを取り付けた小型の振動発電素子を開発し、ヒトの歩行運動で発生する振動からの発電性能を約90倍に増大させることに成功したと発表した。

同成果は、大阪公大大学院 工学研究科のSengsavang Aphayvong大学院生、同・吉村武准教授、兵庫県立大学大学院 工学研究科の神田健介准教授、大阪産業技術研究所の村上修一室長らの共同研究チームによるもの。詳細は、米国物理学協会が刊行する応用物理学全般を扱う学術誌「Applied Physics Letters」に掲載された。

今後、装着型の電子機器であるウェアラブル端末が普及していくことが予想されている。ただし、そのためには「充電不要」という機能を実現できるか否かが鍵になると考えられている。そこで研究開発が進んでいるのが、歩行といったヒトの普段の活動を利用して発電する環境発電(エネルギーハーベスティング)の技術である。

研究チームは、圧電効果を利用した小型振動発電素子の研究に取り組んできており、これまでの研究では、周期が一定な人工的な振動を利用する場合で、40μW/cm2の発電性能を持つ素子を開発済みだという。しかし、自然界の非定常な振動に対しては発電性能が低下するという課題があったという。

そこで今回の研究では、非定常な振動の一例として衝撃に着目することにしたとする。その理由は、ヒトの歩行運動などでは衝撃的振動が多く発生することに加え、ゆっくりとした振動も周波数上方変換という技術を使えば衝撃的振動に変換できるからだという。


理論解析の結果、衝撃的振動を利用する場合では、発電素子に蓄積できる運動エネルギーの量が少ないことが発電できる電力が低下してしまう原因であることが明らかにされた。

そこで、衝撃的振動から受け取れる運動エネルギーの量を増大させるとともに、一定時間蓄積することも可能な仕組みを利用することで、この課題の解決を目指すことにしたという。

そして考案されたのが、単純な構造でありながら高いエネルギー蓄積性能を持つU字型の振動増幅パーツであり、複数のシミュレーション技術を組み合わせ、最適構造の設計が行われた。MEMS技術を用いて作製された小型圧電振動発電素子の下にU字型振動増幅パーツが取り付けられたところ、衝撃的な振動に対する発電性能を約90倍にまで向上させることができたとする。

なお、振動発電素子では、小型化と発電電力の増大という、相反する要求に応えることが大きな課題だという。今回開発された素子であれば、素子面積を増加させることなく発電性能を向上させることが可能なため、今後、非定常振動を衝撃的振動に変える機構などを開発することで、歩行運動などからウェアラブル端末などの小型電子機器を駆動できるレベルの発電が可能になっていくことが期待されるとしている。

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