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ビジネス書に訊け! 第223回 「部屋がめちゃくちゃで片づけられない」は解決できる?

2022年11月04日07時24分 / 提供:マイナビニュース

悩み多きビジネスパーソン。それぞれの悩みに効くビジネス書を、「書評執筆本数日本一」に認定された、作家・書評家の印南敦史さんに選書していただきます。今回は、部屋が片づけられないことにに悩む人へのビジネス書です。

■今回のお悩み
「部屋がめちゃくちゃで片づけられません」(36歳女性/IT関連技術職)

僕は書評家を生業としているので、つねに本に囲まれて暮らしています。もともと本好きなのでうれしいことではあるのですが、とはいえ新しい本がコンスタントに増えていくわけですから、定期的に片づけをしないと大変なことになってしまいます。

積み上がっていく本の山を見てニヤニヤするとか、そういう変態チックな時期も過去にはありました(なんだそれ?)。が、結局は片づいていないと落ち着かないような感じになってしまって……。

ですからなるべく片づけをするようにはしているのですけれど、とはいえ自分の片づけにまったく満足できていなのです。"片づけてもまたすぐ増える"という調子で、結局は中途半端なままだからです。

今回のご相談に共感できるのも、自分がそんな状態にあるから。お互いに、よりよい状態にしたいものですね。
○ぐちゃぐちゃの部屋を片づける6つのステップ

『家がぐちゃぐちゃでいつも余裕がないあなたでも片づく方法』(KC・デイビス 著、村井理子 訳、SBクリエイティブ)の著者によると、ぐちゃぐちゃになった部屋には特徴があるようです。

たくさんのものがあるように見えるけれども、実際のところ以下の5つのものしかないというのです。

ごみ

お皿

洗濯物

あるべき場所にない雑貨

あるべき場所がない雑貨
(39ページより)

これは、なにを探しているのか正確に理解することができるように、脳を助けるメソッドなのだそうです。そして、こうした"事実"に基づいて勧められているのが、次の6つのステップ。

ステップ1 最初のステップはごみ袋を持って、すべてのものを拾うことです。すべてを拾ってごみ袋に投げ入れます。箱といった大きなものは、一旦まとめて、そしてごみ袋と一緒に置いておきます。
ステップ2 すべてのお皿を集めてシンク、またはキッチンの作業台に置きます。お皿は洗わないこと。
ステップ3 ランドリーバスケットを持って、服、靴下を拾い上げていきます。ごみ袋の山の横にランドリーバスケットを置きます。洗濯はまだしないでください。
ステップ4 次に部屋の隅やデスクといった場所を選び、そこにあるすべてのアイテムで、置き場所のあるものは戻し、置き場所のないアイテムについてはそのままにしておきます。次のスペースに移動し、すべてのものが元の場所に戻るまで繰り返します。
ステップ5 行き場のないアイテムが残っているはずです。この行く先のないアイテムを片づけるのがさほど難しくないのは、すでに片づけられてスペースが空いているからです。置き場所がなく、部屋が片づかない原因となっているアイテムについては、破棄を検討してもいいでしょう。大切なものについては、永遠の居場所を見つけてあげましょう。
ステップ6 ごみはごみ箱へ、洗濯物は洗濯機、あるいはランドリールームに入れます。これで部屋が使えるようになったはずです。皿洗いは別の日にやることにしています。(40〜41ページより)

このステップに従うと、山ほどのごみを見て体が動かなくなるのではなく、ひとつひとつのアイテムを認識できるようになるということ。ひとつのカテゴリーに集中し、その他を無視すれば、気が散ることなく作業を進められるわけです。

なにを探しているのかを把握できていれば、当然のことながら動きも速くなるでしょう。ごみ、洗濯物、汚れた皿は、それぞれ専用のスペースに入れられることになるため、異なる場所にものをしまいながら、家中を歩き回って時間を無駄にするようなこともなくなるのです。

そればかりか、こうしてカテゴリー別の片づけを終了させるとドーパミンが増え、やる気や幸福感というおまけがついてくるのだとか。つまりカテゴリー別のクリーニングが、脳に"気分がよくなるような複数の簡単なゴール"をあたえてくれるということなのかもしれません。

なおカテゴリーは、一度にすべてを片づけてもいいでしょうし、数日かけてやってもOK。自分次第でどうにでもなるということです。
○「帰宅導線」に注目

『片づけの基本』(渡部亜矢 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者も「モノをスッキリさせる」ことの重要性を説いていますが、なかでもとくに注目したいのが、「帰宅動線に注目して『癒し効果の高い家』にする」という考え方。

玄関や廊下を優先すると癒し効果が高くなるため、片づけも効率的に進められるようになる可能性があるということ。

一日外で活動して帰宅したとき、玄関が散らかっていたとしたら疲れが倍増しても無理はありません。リラックスできるどころか、イライラが増してしまう可能性すらあるでしょう。

しかし逆にいえば、帰宅時にまず目に入る外回り、玄関、廊下がきれいに片づいているとしたらホッとできるはず。すると結果的に、帰宅した瞬間の癒し効果が高まるわけです。

帰宅動線に沿って、(1)外回り→(2)玄関→(3)廊下を片づけると、片づけのスキルも上がり、気持ちにも勢いがつきます。
続いて(4)洗面所→(5)お風呂→(6)トイレといった狭くて達成感を得やすいエリア、次に(7)寝室など各部屋→(8)リビング→(9)キッチンと進めます。(147ページより)

リビングはテーブルエリア、テレビエリアなど、一室をさらに細かく区切って進めるといいそう。キッチンなど手間のかかるスペースも、目につきやすい流しやコンロまわりなどに重点を置き、平面を広く見せる気持ちで取り組むことが大切だといいます。

そんなところからもわかるように、片づけの際の意識の持ち方のコツは「面」を多く出す意識を持つこと。テーブルや床は、面を多く出すのが基本なのです。

掃除でも、面を意識します。テーブルの上などの面を拭き掃除するのと同時に、テレビの画面や観葉植物の葉っぱも面。拭き掃除して清潔にしてください。面をきれいにすると、ほんの数秒の手間で、大きなスッキリ感が得られます。(148ページより)

そしてもちろん、家族に協力してもらうことも重要。たとえば「ダイニングテーブルの上にはモノを置かない」など、最低限のルールを伝え、守ってもらう必要があるのです。「それができたら次のルールへ」という感じで、長い目で考えるのがいいそうです。

一番散らかりがちなのはリビングかキッチンですが、家族が集まるのは良好な関係を結んでいるということでもあります。大らかな気持ちで見守りましょう。(148ページより)

とかく片づけは「自分のこと」として捉えがちですが、たしかに「家族と一緒にすべきこと」と考えれば、いろいろなことがうまく進むのかもしれません。
○「ADHDタイプ」が気をつけるポイント

「片づけられない」という悩みを抱えている方は、もしかしたら「ADHDタイプ」なのかもしれないと指摘するのは、『「片づけられない!」「間に合わない!」がなくなる本』(司馬理英子 著、大和出版)の著者。

ADHDタイプの人は、

1 集中力を持続させるのが難しい
2 いつも体や心が落ち着かない
3 待つことが苦手で衝動的に行動してしまう(「はじめに」より)

これらは性格というよりも「脳のクセ」であり、たとえば部屋が散らかってしまうのもそのためだと考えることもできるということ。つまり、「どうしてこうなってしまうんだろう?」と悩んだり自分を責めたりするのではなく、「これは脳のクセなんだ」と考え、よりよい方向に進むことを目指せばいいのです。

だからこそ著者は、「まずは"大ざっぱ"でOK」なのだと強調しています。そういわれるだけでも気が楽になるかもしれませんが、しかもポイントは次の2つだけなのだそう。

1 「カギはここ」「お皿はここ」などと「収納場所」をきめること。
2 決めた通り、元に戻すこと。(29ページより)

つまり片づけ上手とは、「収納システム」づくりのうまい人だというわけです。とはいえ必要以上に重苦しく考えるべきではなく、「完璧な収納システムをつくるぞ!」と壮大に考えてしまうと、結局は挫折してしまうことにもなってしまいがち。

ここで大切なのは、最初から壮大な計画を立てて、はりきりすぎたり、おじけづいたりしない、ということです。
いきなりハードルを高くしないで、簡単なところから始めてください。(30ページより)

そしてもうひとつ大事なポイントは、あわてないということ。というのも、ADHDタイプはとかく戦闘モードで突っ走りがちだから。カッと頭に血が上って焦り、勢いよくやってしまおうとするため、結局はわけがわからなくなってしまうということ。その結果、本当はできることさえできなくなってしまうのです。

けれど、焦ってもノンビリやっても、かかる時間にそれほど差はないもの。だからこそ、慌てず落ち着いて取り組むことが大切だということです。なお、ほんの数秒立ち止まってみるだけでもだいぶ違うようです。

印南敦史 作家、書評家。1962年東京生まれ。音楽ライター、音楽雑誌編集長を経て独立。現在は書評家として月間50本以上の書評を執筆。ベストセラー『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社、のちPHP研究所より文庫化)を筆頭に、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)、『読書する家族のつくりかた 親子で本好きになる25のゲームメソッド』(星海社新書)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)、『読書に学んだライフハック――「仕事」「生活」「心」人生の質を高める25の習慣』(サンガ)、『それはきっと必要ない: 年間500本書評を書く人の「捨てる」技術』(誠文堂新光社)、『音楽の記憶 僕をつくったポップ・ミュージックの話』(自由国民社)ほか著書多数。最新刊は『「書くのが苦手」な人のための文章術』(3月4日発売、PHP研究所)。 この著者の記事一覧はこちら

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