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『仮面ライダーBLACK SUN』西島秀俊、出演は石ノ森作品への恩返し「新しい世代に何かを感じ取ってほしい」

2022年11月03日08時00分 / 提供:マイナビニュース

●「50周年に50歳の僕が演じるのは運命的」
現在Prime Videoにて全10話が配信される連続ドラマ『仮面ライダーBLACK SUN』は、『仮面ライダー』生誕50周年記念企画のひとつとして、1987年にテレビ放送された『仮面ライダーBLACK』をベースに、新たなるキャラクターとストーリーでリブートした作品である。

第1作『仮面ライダー』(1971年)から始まった仮面ライダーシリーズの「原点」に立ち返り、当時の最新技術を盛り込んで作られた『仮面ライダーBLACK』の精神を尊重した本作では、『孤狼の血』(2018年)『孤狼の血 LEVEL2』(2021年)で容赦ないバイオレンスアクションや、人間の本質に迫る感情描写を打ち出した日本映画界の鬼才・白石和彌監督のもと、日本映画界、テレビドラマ界の最前線で活躍する大物俳優たちが結集。白石監督が追い求める「正義と悪の境目」というテーマを打ち出し、大人の視聴者層をメインターゲットとしたシリアスなストーリーが繰り広げられるという。

待望の『仮面ライダーBLACK SUN』配信開始を記念して、主人公・南光太郎/仮面ライダーBLACK SUNを演じる西島秀俊にインタビューを敢行。かねてから「仮面ライダー」シリーズのファンだったと話す西島が、30年にわたる俳優人生の中で初めてチャレンジする「変身ヒーロー」にかける強い思いと、原点『仮面ライダーBLACK』へのリスペクト精神、そして深刻な社会派テーマや熱い人間ドラマを盛り込み、視聴者の心をつかむメッセージ性を備えた「特撮」ジャンルの魅力を語ってくれた。

――キャステングが発表されたころ、西島さんが南光太郎/仮面ライダーBLACK SUN、そして光太郎の親友&ライバル的存在の秋月信彦/仮面ライダーSHADOWMOONを中村倫也さんが演じられると聞いて驚いた人はとても多かったと思います。本作の出演が決まった経緯を教えていただけますか。

たまたま『BLACK SUN』のプロデューサーと別の作品をやっている時に、僕が「仮面ライダー」を観ていて、とても面白いから出たいというお話をしていたんです。それがちょうどライダーの企画が生まれ始めている時だったらしくて。僕の気持ちはその時点で知っていただけていたのだと思います。出演オファーをいただいて、しかも仮面ライダーに変身する役だと知らされたので、二つ返事で「ぜひお願いします!」って感じで引き受けました。

――いわゆる「特撮ヒーロー」と呼ばれるジャンルへの出演について、どんな思いがありましたか。

平成の仮面ライダーシリーズは視聴者として観てきていますし、今年公開した『シン・ウルトラマン』では出演をして、「特撮」が持つ豊かさに直接触れることができました。特撮作品は昔から、現実世界を反映させた複雑かつ慎重なメッセージを、特撮の形を借りてストレートに表現してきました。そういった、特撮を今まで作ってきた方たちの「想い」が受け継がれていく様子や、特撮が持つ可能性に惹かれていたので、今回のお話もまったく抵抗なく、ぜひ参加したい!という思いが強かったです。現場では特撮、CG、アニメ、造形など、各ジャンルのトップクリエイターたちが集まって作品を作るということが、とても刺激的で、面白いなと感じています。

――第1作『仮面ライダー』が放送を開始した1971年に生まれた西島さんが、50年後の現在に仮面ライダーを演じられることについては、どう思われますか。

仮面ライダー50周年のときに、50歳の僕が仮面ライダーを演じるということにも、運命的なものを感じます。僕自身、子ども時代に仮面ライダーシリーズをはじめ、石ノ森章太郎先生が原作のテレビ作品をたくさん観て育ちましたから、どこかで「恩返し」をしたいという思いがありました。次世代の子どもたちに、僕が子どもの頃にもらったものを手渡したい、自分が出演することによって、新しい世代に何かを感じ取ってほしいと思いました。

――若手俳優時代、仮面ライダーをはじめとする特撮ヒーロー作品に関わる機会はなかったのでしょうか。

僕はデビューの頃『はぐれ刑事純情派』に出演させてもらっていて、毎日のように東映東京撮影所へ通っていました。そのとき撮影所内で「スーパー戦隊」シリーズのスタッフルームがあったことを覚えていますが、ヒーロー作品にはその頃出演するチャンスがありませんでした。しかし、この年齢になってチャンスが巡ってくるとは……。なんとも不思議なご縁を感じます。

――西島さんが子どものころ好きだった特撮ヒーローを教えてください。

『人造人間キカイダー』(1972年)、『ロボット刑事』(1973年)、『イナズマン』(1973年)なんてよく覚えています。『がんばれ!!ロボコン』(1974年)も好きでした。こうして挙げてみると、すべて石ノ森先生が原作を手がけた作品なんですね。

●「バトルホッパーをよろしくお願いします」
――『仮面ライダーBLACK SUN』の原点というべき『仮面ライダーBLACK』はご覧になっていましたか。

オンエアしていたころは観ていなかったので、今回のお話をいただいてから、初めて観てみました。

――『仮面ライダーBLACK』は今から35年前となる1987年の作品でした。映像をご覧になったとき、どんな感想を抱かれましたか。

画面から、なんとも言えない迫力が伝わってきました。当時はこんな場所で、こんな危険な撮影をしていたのか……という驚きと感動です。生身の人間による動きをできるだけ尊重している、今の視点で見ると実に「豊かさ」を感じました。白石監督をはじめとする全員が、オリジナル『仮面ライダーBLACK』のいいところをどんどん吸収し、ちゃんと踏襲をした上で、新しい『仮面ライダーBLACK SUN』を作ろう、という意識を持っていました。 

――『仮面ライダーBLACK SUN』では過去(70年代)と現代、2つの時代にまたがって人間と怪人との争いが描かれるとうかがっています。ストーリーを知ったときのお気持ちはいかがでしたか。

50年間、ずっと愛され続けている仮面ライダーの「時間」を、白石監督や制作チームがしっかりと意識したからこそ、過去と現在、50年もの時間の流れを描くストーリーにしようと決まったのかもしれません。50年もの時の「重さ」を描くため、仮面ライダーと同じ齢の僕が呼ばれたのかなと思っています。

――撮影現場に入られたとき、特に印象的だった出来事は何でしょう。

特撮チームの経験値の高さが、現場ですごく反映されていたことです。撮影の段取りを組み立てながら、ここはリアル(現物)の煙を使おう、このシーンはCGで表現しようとか、経験の積み重ねを経ていなければ作り上げられないものを作っている様子が、とても印象に残りました。

――光太郎が劇中で乗っているオートバイ「バトルホッパー」は本作のハードな世界観を表すかのように、外観だけでも「凄み」を感じさせるマシンとなっています。バトルホッパーへの思いを聞かせてください。

光太郎のバトルホッパーと、信彦のロードセクターを作られた黒須嘉一朗さんには、以前からお世話になっていました。少し前まで、黒須さんが3年かけてカスタムしてくださったバイクに乗っていたんです。バトルホッパーを作られたとき、黒須さんは誰が南光太郎を演じるがか知らなかったそうで、「誰が乗るんですか」と聞いたら僕だったという(笑)。その後、黒須さんから「バトルホッパーをよろしくお願いします」というメールをいただきました。一度バトルホッパーにまたがったら、ものすごい迫力で怖いくらいだったんです。黒須さんに「このバイク、怖いんですけど」と言ったら、「それはそうでしょう。魂を込めましたからね」って(笑)。黒須さん自身も、仮面ライダーのバイクを作るにあたり、いつも以上に強い思いがあったんです。

――仮面ライダーとゴルゴム怪人との戦いは、他の白石監督作品に観られるようにバイオレンス色の強いものになっているそうですね。アクションシーン撮影時はどんな感じだったのでしょう。

今回のアクションチームの方々も白石組で、しかも仮面ライダーだということで、気合いが入っていた印象です。通常のアクションシーンだとカットを割っていくものなんですが、この作品では「ワンカットで行きます」ということがけっこう多く、段取りを覚えるのが大変でした。アクションディレクターのこだわりもあって、きれいでスマートな戦いというよりは、泥くさく、生々しい戦いを意識して、生きるか死ぬか、本能や感情をむき出しにして争うアクションを求めていました。今回、どの役者さんもすばらしい演技をされていて、非常に重いテーマ、今日的な人間社会の問題を描いているだけに、それぞれのキャラクターが「覚悟」を持ってぶつかっている感じがすごくあります。どの芝居も、どのアクションも生々しい迫力に満ちています。

――仮面ライダーファン待望の『仮面ライダーBLACK SUN』、西島さんから本作の見どころを教えてください。

スタッフみんながオリジナル『仮面ライダーBLACK』を愛し、尊敬しながら作っていました。昔からの『BLACK』ファンのみなさんに喜んでいただけるところがたくさんあると思います。そして、これまで仮面ライダーに触れたことのない方々でも、白石監督によるリアリズムを重視した「人間ドラマ」に引き込まれ、胸に響く作品になるのではないかと確信しています。ぜひ配信で、第1話を軽い気持ちでふと(笑)観ていただけたら嬉しいですね。そうしてくだされば、第2話、第3話……と面白さが加速していき、すべてのエピソードを楽しんでもらえるんじゃないでしょうか。『仮面ライダーBLACK SUN』をぜひ楽しんでください。

(C)石森プロ・東映 (C)「仮面ライダーBLACK SUN」PROJECT

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