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どこでもサイエンス 第245回 2022年11月8日 絶好条件の皆既月食は、暗いか?

2022年11月02日07時25分 / 提供:マイナビニュース

2022年11月8日(火)夜8時前後、日本では1年半ぶりの皆既月食が見られます。次回の日本で見られる皆既月食は3年後ですので、ぜひ見たいですなー。月食はのんびりした天文現象で、焦らなくてもよいですし、肉眼だけで十分に楽しめます。しかも今回は絶好条件なのです。注目ポイントもあわせ、ご紹介いたしますね。天気が悪い時用にオンライン月食中継の情報も少しつけますよー。
皆既月食を見よう!

まず、今回の皆既月食の観察のポイントをば! 向こう3年見られない月食ですぞ。
○1:超短縮版ガイド - 空を見上げるだけです。時間と方向を軽く確認

時間・方向:11月8日火曜日、夕方〜夜10時前、東の空に月を探す

満月なのですが、満月でない不思議な月が見られます。

スマホで撮影にチャレンジするのもよき。前景を入れると上手く撮れる確率上がります。スマホやアクションカメラなどで、タイムラプス撮影するのもよいですな。

○2:よくある感じのちょっと詳しいガイド - 双眼鏡あるとよき、ポイント+天王星食

時間・方向:大まかな様子は1.の超短縮番ガイドをごらんくださいませ。

月食は、いつ見てもそれなりにおもしろいのですが、ポイントになるできごとがあります。

あと、できれば双眼鏡や低倍率の望遠鏡(20~50倍)もあると、さらに楽しめます。ここでは30倍くらいの望遠鏡でみた感じで紹介します。
1:欠けはじめ:18時9分

月食は、地球の影に、公転する月が突っ込んでいくことで起こります。

この地球の影は、光源(太陽)が点ではないためフチがボヤッとしているので、実際は、18時9分よりすこし前から欠けはじめるように見えます。

下は、18時9分の月のアップのシミュレーションですが、すでにかなり欠けて見えます。

ふたつある線のうち左下が、完全な影。右上の線がすこし太陽のひかりが陰るエリアです。それぞれ本影と半影といっています。

2:皆既のはじまり~終わり

19時17分~20時42分

皆既というのは、月が完全に地球の影(それも本影)に隠れる状況です。

この時間前後は、月全体が赤っぽく見えます。完全にかくれなくても赤っぽいのが楽しめます。

3:月食の終わり 21時49分

最初(18時9分)からここまで見ると、かなり長丁場ですね。はじまりと終わりで49分をすぎても、数分は半影に月がかかっているので、月食な感じはします。22時になるとほぼわからないでしょうけど、写真を撮影すると判別できるかもしれません。

半影から完全に月が抜けるのは、22時57分です。
4:「天王星食」のはじまりと終わり 最低でも観察に双眼鏡、できれば望遠鏡必要

「天王星食」は、月に天王星が隠される現象です。隠れちゃうと見えないので、隠れる直前と隠れ終わった時を観察すると、ジワジワ天王星が月に接近するのがわかります。

天王星は肉眼ではまず見えないので、観察には最低でも双眼鏡か望遠鏡が必要です。この隠される時間は、図のように地球のどこから月を見るかによって変わります。

地球の影に月が入る月食は、地球全体で同時進行ですので、同じ食といってもタイプがちがうんですなー。国立天文台のWEBサイトに各地の予報が掲載されています。

今回の月食に注目すべきことがら - かなり暗い月食になるかも

皆既月食は、月が赤く見えます。

地球の影にかくれて、太陽光線が当たらないのですから、本来は真っ黒なはずなんですが、地球のまわりにある大気が太陽光で光り、太陽の光の赤い成分を届けるので、赤く見えるのですな。

ただ、大気の透明度が低いと暗くなります。全地球的に透明度が低くなることとしては、火山の大噴火により上空の大気が影響されることがあります。かつては、1990年代にインドネシアのピナツボ火山の噴火で数年間月食が暗かったことがありました。

今回は、記憶に新しい、トンガの火山噴火(2022年1月)がありましたので、もしかしたら暗ーい月食になるかもしれません。
月食についてのウンチクなど、これだけしっとけ!

なぜ起きる? どんなできごと、については、この連載第220回をごらんくださいませ。そちらに詳しくはありますけれど。ポイントとしては。

(1) 月食は、満月の時にしか起こらない

(2) 月食は、月が見られれば、同時に起こる

今回の月食は、アメリカ~日本~インドにかけての太平洋・インド洋一帯で見られます。

マップはこちら。

条件がもっともよいの(夕方に見られる)は、日本~ニュージーランドのあたりです。ハワイは夜中に観察できます。アメリカ本土は明け方になりますね。アメリカの現地時間では7日(月)(ハワイは8日の明け方にかけて)になりますので気を付けてください。

さらにマニアックになると

(3) 月食は、毎年2回は起こるが、はっきりとした月食(皆既月食、部分月食)となるとは限らない

日本では次の皆既月食は2023年10月29日でほんのちょっとだけ欠けます。その次は2025年3月14日ですが皆既月食としては見られません。全国でバッチリな皆既月食は3年後。2025年9月8日です。

国立天文台が月食リストを作っています。

(4) 月食は地球の影の縁がボヤっとしているので、はじまりと終わりがやや曖昧

(5) 上に書いた、今回の月食は暗ーいかも。
ネット中継情報

家や職場から、ちょっと外に出れば見られる今回の月食ですが、天気が悪いといったこともあります。あと望遠鏡での観察の様子が見たいということなら、ネット中継がおすすめです。

日本公開天文台協会がまとめているのがよいですね。

海外のものでは、TIMEANDDATEが予定しています。解説だけなのか中継もあるのか、ちょっとわかりにくいですがチェックしてみてもよいでしょう。

東明六郎 しののめろくろう 科学系キュレーター。 あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。 この著者の記事一覧はこちら

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