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赤ビーツ飲料の摂取に冷えた手指を早く温める効果、北大が確認

2022年11月01日17時54分 / 提供:マイナビニュース


北海道大学(北大)は10月31日、同大 ロバスト農林水産工学国際連携研究教育拠点における共同研究により、甜菜(てんさい)の一種である「赤ビーツ(ビートルート)」の飲料を摂取することによって、冷えた手指が早く温まることを明らかにしたと発表した。

同成果は、北大大学院 工学研究院の若林斉准教授、同・大学院 農学研究院の崎浜靖子講師、同・橋本誠教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、生理学に関する全般を扱う学術誌「European Journal of Applied Physiology」に掲載された。

多人数が働くオフィスのような環境でも空調システムの場合、温度を下げると、例えば冷え性の人は手先や足先の温度低下を不快に感じやすく、個別の対策をする必要が生じる。

そうした中、近年になって、含有成分による血圧降下作用や抗酸化機能を持つことから北海道でも栽培が進められるようになってきた赤ビーツが注目されつつあるという。赤ビーツには硝酸塩などが含まれており、体内で一酸化炭素に変化し、その血管拡張作用によって血圧を下げることや血流を促進するといった効能があるとされている。

こうしたことを踏まえ、研究チームは今回、手指などの末梢部の冷えの改善に対し、赤ビーツによる血流促進作用を活用できるのではないかと考察し、ヒト対象実験により検証することにしたという。

実験には20名の健康な成人男性が参加し、水または赤ビーツ飲料を摂取する2条件の実験がランダムな順序で実施された。各対象者は、水または赤ビーツ飲料を140mL摂取してから120分間座位安静にし、その後8℃の水に手を30分間浸すことで手指の冷却が行われた。冷却終了後、室温27℃の環境で20分間の回復時間が取られ、実験中に指先の皮膚血流や皮膚温度が測定され、各指標の経時変化について両条件での比較がなされたことに加え、回復区間における皮膚温の回復速度(℃/分)が求められて条件間の比較が行われた。


手部冷却に伴う各対象者の指先皮膚温の経時変化における観察では、水を摂取した条件で回復の遅い人が赤ビーツを摂取したところ、回復が促進される様子が見られたという。ただし、赤ビーツによる皮膚温回復作用には個人差が見られ、水条件で皮膚温回復の遅い人(冷え性傾向の強い人)ほど、赤ビーツ飲料の摂取による皮膚温回復促進が顕著に示されたとする。回復1分から20分までの皮膚温回復速度は、水条件に比べて、赤ビーツ条件において回復が速まる結果が示された。また、赤ビーツ摂取により冷却後の回復区間における指先の皮膚血流の増加が促進されることも明らかとなった。

一方で、冷却中の皮膚血流や皮膚温には条件間の差が見られなかったという。そのことから、強い寒冷刺激を受けているときには、赤ビーツの摂取による末梢部の血管拡張作用は生じないことが考えられたとしており、今後、日常的に生じるような軽度の寒冷環境において、赤ビーツによる血流促進作用や末梢部の冷えの緩和が見られるか検証する必要があるとの見方を示している。

なお、今回の研究にて、赤ビーツによる血流促進作用が末梢部の冷えの改善に資することが確かめられたことから、研究チームではオフィス環境や生活環境で冷えを感じている人の温熱的快適性向上のほか、寒冷地での屋外作業、ウインタースポーツを行った際などに、赤ビーツの食品機能性を活用できる可能性があるとしており、今後の実践研究を通じた、実用化と普及に期待が持たれるとしている。

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