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鈴木朋子の【お父さんが知らないSNSの世界】 第83回 若い女性の疑問「SNS以前はどうやって気持ちを共有してたの?」

2022年10月29日17時14分 / 提供:マイナビニュース

先日、Twitterで若い女性が「mixiが流行る前、どのように気持ちを共有していたのか知りたい」と、40代以上の人にたずねるツイートが話題になりました。

私は普段、大人世代に対して若者の心理を紹介することが多いので、逆パターンであるこのツイートに衝撃を受けました。確かに、「ランチでこれを食べたよ」「道にこんなものが落ちてる」「友達とカラオケ中」など、常に誰かと気持ちを共有し、1対多数の発信ができる現代で育っていると、SNSが存在する前はどうしていたのか、不思議に思うのでしょう。

ツイートには、多数の回答が寄せられています。SNSが登場または普及する前に私たちはどうしていたのか、振り返ってみましょう。懐かしく思う人も多いと想います。
○■交換日記や手紙、電話

楽しかった思い出や自分の気持ちは、交換日記や手紙にしたためて友人に渡していました。交換日記は複数の人で回すこともあり、LINEグループのチャットに近いかもしれません。また、長電話をして料金がかさんで、親に怒られたり生活費が苦しくなったりした覚えがある人もいるのではないでしょうか。

○■パソコン通信

ニフティが1987年に開始したワープロ・パソコン通信「ニフティサーブ」には、「フォーラム」というコミュニティ機能がありました。ハンドルネーム(ニックネーム)でログインし、電子会議室でユーザー同士が交流していました。黒いパソコン画面に白い文字だけのやりとりです。

やがてインターネットへとユーザーが移り、フォーラムはサービスを終了しました。フォーラムは、今でいえばFacebookグループに近い交流でしょう。
○■インターネットネット掲示板

おおよそ2000年ごろは、「2ちゃんねる」のような誰でも書き込める掲示板を使って投稿していました。もちろん現在でもネット掲示板はあり、匿名で何かを書きたいときに使われています。

当時は個人で「ホームページ」を作ることも流行し、そこに「掲示板」を設置していたものです。知り合いの掲示板へ遊びに行き、投稿し合っていたころが懐かしいですね。CGIで「チャット」を設置していた人もいたのでは。不特定多数に向けた発信が始まった時代です。

○■ブログ

同じ時期にブログが注目され、やがてレンタルブログサービスが登場したことで、手軽に不特定多数の人に向けて思いを発信できるようになりました。他人のブログにリンクを張ることを知らせる「トラックバック」は、SNSのフォローに似た動きかもしれません。

こうしたツールで気持ちを共有していた人がいる反面、先のツイートには「そもそも共有という概念がなかった」という意見が多く寄せられていました。自分の気持ちはいったん自分の中に留め置き、友人や家族、恋人と会ったときに話すことが一般的でした。つまり、1対1で相手を特定したコミュニケーションです。今のように、不特定多数の人に自分の些細な気持ちを発信したいと考えていた人は少なかったのです。
○人がSNSにシェアをする心理

では、なぜ人はSNSにシェアをするのか、調べてみました。2011年7月にThe New York Times Customer Insight Groupが「The Psychology of Sharing. Why Do People Share Online? 」と題した調査を発表しています。これは2,500人以上を対象に行った調査です。

調査の冒頭には、私たちは過去から共有したいという欲求があり、それは人間の本質だと述べられています。その動機について、5つのパターンがあるそうです。

(1)価値のある楽しいコンテンツをほかの人に提供するため
「この写真を見せたら一緒に楽しめそう」「これはみんなに役立ちそう」という心理です。

(2)他人に対して自分自身を定義するため
自分が何者で、何に興味を持っているかを共有することで、自らのイメージアップを図りたい心理です。ブランディングとも言えます。

(3)自分たちの関係を成長させ、育てるため
オンラインでしか連絡が取れない人と交流するためや、同じ興味を持つ人と繋がりたい心理です。

(4)自己実現
自分が優れた情報をもたらすことでコメントを得られる喜びが欲しいときです。また、自分に価値があると周囲に感じさせたい気持ちを指します。承認欲求に近い心理です。

(5)話題や商品を広く知らせるため
みんなに知っておいてほしい記事や商品などを広めるために共有します。

自分が何かをシェアするときを振り返ると、投稿ごとに「これに当てはまる」と思う動機があったのではないでしょうか。こうした動機であれば、1対1で気持ちを共有しても物足りなく感じますね。

また、Facebookなら仕事を含めたコミュニケーションのため、Instagramならブランディングのためなど、SNSによってシェアの動機が異なる人もいるでしょう。使い分けるために発信先を複数持っている人も珍しくありません。

インターネットが普及した今、SNSやWebメディア、アプリから常に情報が入ってきています。従来のように、テレビやラジオ、本からも情報が得られるため、私たちは大量の情報の中で過ごしています。以前なら、あとでゆっくり大切な人にだけ伝えればこと足りていたのに、今は伝えるべきたくさんの情報があり、会ったことがない人も含めた人々に一瞬で伝えることができます。ネットによって、受信と発信の数が桁違いになっているのです。

そんな時代だからこそ、ネットでの発信は慎重を期する必要があります。思いの丈をストレートに発信し続けると、誰かを傷つけたり、自分を貶めたりする結果になりかねません。SNSにシェアするときは、文章や画像、動画の内容が本当に適切かどうか、第三者の視点に立ってチェックしてから投稿するようにしましょう。

著者 : 鈴木朋子 すずきともこ ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー。SNSやスマホなど、身近なITに関する記事を執筆。10代のスマホカルチャーに詳しく、女子高生とプリクラにも出かける。趣味はへんてこかわいいiPhoneケース集め。著書は「親子で学ぶスマホとネットを安心に使う本」(技術評論社)など20冊を超える。 この著者の記事一覧はこちら

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