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クレベル・コイケの野望─。柔術界の鬼神は、ベラトール王者に勝って世界に羽ばたけるのか? 12・31『RIZIN.40』

2022年10月28日08時30分 / 提供:マイナビニュース

今年の大晦日、「RIZIN」のリングは一段と華やいだものになりそうだ。海外勢が大挙襲来、「RIZINvs.Bellator(ベラトール)」5対5全面対抗戦が行われるのである。対戦カードも、すでに4試合が発表された。

そこに朝倉兄弟の名前はなかったが、RIZINライト級王者ホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術)、同フェザー級新王者のクレベル・コイケ(ボンサイ柔術)らトップファイターが参戦、ベラトールの強豪を迎え撃つことになる。
○■シビアなマッチメイク

「先に言っておきますが、大晦日は出ません」
朝倉未来(トライフォース赤坂)が、そう呟いた翌日の10月26日夕刻、東京・六本木ヒルズアリーナでRIZINの記者会見が開かれた。

ここ六本木ヒルズアリーナは、格闘技を長く観続けるファンにとっては忘れ難い場所。2007年3月、「PRIDE」の興行権が「UFC」を主催するズッファ社に譲渡されると発表されたことを思い出す。
会見の冒頭でそのことに触れた後、RIZIN榊原信行CEOが「RIZINvs.ベラトール」全面対抗戦の開催を正式発表。次いで出場選手が登壇し、対戦カードもリリースされた。組み合わせは次の通りだ。

▶フライ級
扇久保博正(パラエストラ松戸/RIZINバンタム級GP2022優勝)vs.堀口恭司(ATT/元ベラトール・バンタム級王者)
▶バンタム級
キム・スーチョル(韓国)vs.フアン・アーチュレッタ(米国/前ベラトール・バンタム級王者)
▶フェザー級
クレベル・コイケ(ブラジル・ボンサイ柔術/RIZINフェザー級王者)vs.パトリシオ・ピットブル(ブラジル/ベラトール・フェザー級王者、元・同ライト級王者)
▶ライト級
ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル・ボンサイ柔術/RIZINライト級王者)vs.AJ・マッキー(米国/前ベラトール・フェザー級王者)
<※RIZIN代表vs.ベラトール代表で表記>

もう1試合は近日中に発表される予定で、ライト級もしくはヘビー級の闘いとなる模様。RIZIN代表候補には、武田光司(BRAVE)、スダリオ剛(HI ROLLERS ENTERTAINMENT/PUREBRED)の名が挙がっている。

○■最強の敵を迎えるクレベル

4試合はいずれも好カード、ハイレベルな攻防が期待できそうだ。
扇久保は、3度目の戦いで堀口にリベンジできるのか、キムvs.アーチュレッタは、激しい削り合いの予感。そしてサトシは、キャリア最強の相手を迎え撃つ。オールラウンダーでフィジカルとスキルに長けたAJ・マッキーを相手にペースを掴み、決めることができるのかが焦点となる。

そして再注目は、やはり両団体の王者対決か。
クレベルvs.パトリシオ─。
日本のファンにとってはRIZINのリングで6戦全勝(すべて一本勝ち)、人気の高い朝倉未来も絞め落としているクレベルの方が有名だが、世界的にはパトリシオが格上位だ。

年齢はクレベルよりも2つ上、35歳のパトリシオは、十代の頃にブラジル・クリチーバにあるシュートボクセ・アカデミーで、ヴァンダレイ・シウバ、マウリシオ・ショーグンらとともにハードなトレーニングを積んだ。

16歳でMMA(総合格闘技)デビュー。そこから12連勝を飾ると、2010年4月からベラトールに参戦。それから約5年後にフェザー級王座を獲得している。さらに2019年5月には、現在UFCで活躍中のマイケル・チャンドラー(米国)を僅か61秒TKOで仕留めライト級のベルトも腰に巻き、ベラトールで2人目となる同時2階級制覇も達成している。
昨年7月には、AJ・マッキーに敗れフェザー級王座を失うも、今年4月の再戦でリベンジに成功しベルトを取り戻した。
通算戦績34勝5敗。34勝には、11のKOと12の一本勝ちが含まれている。

クレベルにとって、これ以上はない難敵だ。
それでも彼は、前戦から約2カ月という短いスパンであるにもかかわらず、強敵パトリシオと闘うことを決めた。
「日本のファンのために、RIZINの代表として闘って勝ちたい」
そう、クレベルは言う。本心だろう。
だが、この一戦にかける気持ちはそれだけではない。大きな野望も抱いている。それは、北米進出だ。レベル的にはUFCをトップに、ベラトールもRIZINよりも上位と見られている。また、ファイトマネーも高額であると。ならばクレベルが、そこを目指すのはファイターとして必然だろう。

大晦日のリングでパトリシオに勝利すれば、その道が拓ける。
総合力、キャリア、メンタルの強さを含めて考えれば優位なのはパトリシオだ。それでも、クレベルにチャンスがないわけではない。パトリシオも寝技は強いが、クレベルが自らのペースを序盤から作り、絶妙の形でグラウンドの攻防に持ち込めたならサブミッションでの勝利が見込める。
クレベルにとって、一世一代の大勝負だ。

私は当初、クレベルと朝倉未来の再戦が観たいと思っていた。だが、これは来年以降でいいだろう。
ここまでシビアな闘いが実現するのであれば、面白いではないか。
RIZIN新章─。
今年の大晦日は、ワールドワイドでハイレベルな闘いを堪能したい。

文/近藤隆夫

近藤隆夫 こんどうたかお 1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等でコメンテイターとしても活躍中。『プロレスが死んだ日。~ヒクソン・グレイシーvs.高田延彦20年目の真実~』(集英社インターナショナル)『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文藝春秋)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(ともに汐文社)ほか著書多数。
『伝説のオリンピックランナー〝いだてん〟金栗四三』(汐文社)
『プロレスが死んだ日 ヒクソン・グレイシーVS髙田延彦 20年目の真実』(集英社インターナショナル) この著者の記事一覧はこちら

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