2022年10月25日07時00分 / 提供:マイナビニュース
●初の海外作品でカンヌのレッドカーペットに
俳優の福士蒼汰が、世界のエンタテインメント業界人が集まる南仏・カンヌで足跡を残した。グローバル作品初出演となるHuluのドラマ『THE HEAD』シーズン2の出演者、制作陣と共にレッドカーペットを歩き、国際映像コンテンツ見本市「MIPCOMカンヌ2022」の特別トークセッションにも登壇した。現地で取材した福士の活躍と周囲から評価を受けた声を届ける。
○■製作総指揮が絶賛「彼は本当に働き者」
世界100カ国以上から約1万人のエンタテインメント界のキーパーソンが集まる南仏・カンヌで、レッドカーペットを颯爽と歩く福士蒼汰の姿があった。周囲からは「SOTA!」と呼びかける歓声の声も聞こえてくる。長身を生かしたスタイリッシュな黒いスーツを身にまとい、『THE HEAD』シーズン2の出演者、制作陣と並びながら、満面の笑顔で魅了させていた。ヨーロッパから集まったフォトグラファーたちの掛け声にも柔軟に対応し、堂々とポーズを取る。カンヌという特別な空間を全身で楽しんでいる様子が伝わってきた。
これはフランス現地時間10月17日、「MIPCOMカンヌ2022」開幕日の夜に行われたレッドカーペットイベントでの出来事だ。
日本ではHuluドラマとして扱われている『THE HEAD』だが、世界のエンタテインメント界ではスペインを拠点としたヨーロッパ最大手の独立系映画・テレビ製作会社メディア・プログループの「メディア・プロ・スタジオ」の主導で企画製作された作品として知られており、最注目される作品の1つにアジア人で唯一出演する福士に目が向けられた。レッドカーペット後も福士の周りに続々と人が集まり、「彼、とってもキュートですね。名前を教えてください!」と、各国のプロデューサーやエンタテインメント関係者にとって初めて福士を知る機会まで作っていた。
その姿かたちだけではない、役者としての仕事ぶりも評価されている。『THE HEAD』の製作総指揮を務め、『HOMELAND/ホームランド』を代表作に持つヒットメーカーのラン・テレムに福士について直接尋ねると、「蒼汰は素晴らしいパートナーです。彼は本当に働き者。この作品の出演に向けて、相当な努力を重ねながら準備してきたことと思います。蒼汰は撮影の終盤から参加し、国際色豊かな15人の出演者と歩調を合わせるのは決して簡単なことではないのですが、彼はやってくれました。素晴らしい仕事ぶりでした。彼と仕事できたことを本当にうれしく思っています」と、絶賛していた。
○■「日本人が海外に出る意味をいつも考えています
レッドカーペットを歩いた直後、福士と直接話をする機会を得た。福士がなぜ評価を受けているのか、福士自身も言葉からも分析できる。
「日本人が海外に出る意味をいつも考えています。だから、カンヌのこの場を楽しみ、しっかりと今できることをする。そんな気持ちで、レッドカーペットを歩きました。撮影中もそんな思いで臨みました。スタッフの方もキャスト陣も皆、優しくて。まだ英語(の文法)を間違えて話してしまうこともあるのですが、その間違った部分も自分自身だから、それも含めて見てもらって、堂々と話せば伝わるということも示していきたいです」
真剣なまなざしで応えてくれたのが印象に残る。翌18日昼に「MIPCOMカンヌ2022」の会場で行われた『THE HEAD』シーズン2製作発表お披露目トークセッションでも、福士は注目を浴び続けた。
●「世界の人たちと一緒に働きたいと思って活動してきた」
『THE HEAD』が注目されるのは、スペイン最大規模のグローバル作品としてシーズン1が成功したことが大きい。シーズン1ではアジア人で唯一、山下智久が出演し、日本でも話題を集め、世界では90カ国に広がるグローバルヒットになった。好評を得て、このシーズン2が作られ、カンヌの地で製作発表の場が設けられたというわけだ。
トークセッションでは、製作総指揮のラン・テレムをはじめ、福士と共演した俳優、女優陣が勢ぞろいし、企画の背景や撮影中の苦労話などが披露されるなか、司会を務めた米最大手エンタテインメント誌・Varietyの名物ジャーナリスト、ジョン・ホープウェルが、グローバル作品であることを象徴する重要な役割について聞くと、福士の言葉に会場が沸いた。
「この役を得たときは興奮しましたし、同時に緊張もしました。自分にとってこれはグローバル作品初出演の作品。まさに海外で仕事をするのは私の夢の1つでした。だから、夢がかなったようなものです」
「夢」という言葉を素直に切り出した福士の言葉は、会場にいた参加者の心をつかんだようで、思わず漏れた感嘆の声があちこちから聞こえてきたほどだ。福士は話を続けた。
「世界の人たちと一緒に働きたいと思って活動を続けてきました。でも、日本人にとって、海外で働くのは大変なことでもあります。普段から英語でコミュニケーションする機会がないことも大きいと思います。それでも、僕は新しいことにチャレンジすることを選び続けます!」
流暢(りゅうちょう)な英語で自身の思いを伝えた福士に、トークセッション後も新たなメディアからインタビューが殺到していた。あるフランスのメディアは福士に興味を持った理由について、「SNS上で(福士の)ファンの反応が高く、驚きました。注目作品なので、彼もフォーカスしようと思っています」と話していた。
○■海外俳優と演技談義する姿も
カンヌ滞在中、街なかで福士が共演者の海外俳優と食事をしている姿を偶然、見かけた。グローバル規模で活躍する海外の役者たちと演技談義を重ねていることが伝わってくる瞬間だった。世界で生き抜いていこうという意思まで感じられる。
「MIPCOMカンヌ」の会場では、すでに世界で活躍している山下智久出演の新作『神の雫』のプロモーションなども展開され、日本人俳優たちの活躍の場は日本だけに限らないことを示していた。
『THE HEAD』シーズン2は来年公開される見込みだ。作品が世界展開されていくと同時に、福士の活躍もますます広がっていく可能性は十分にありそうだ。
長谷川朋子 はせがわともこ テレビ業界ジャーナリスト。2003年からテレビ、ラジオの放送業界誌記者。仏カンヌのテレビ見本市・MIP現地取材歴約10年。番組コンテンツの海外流通ビジネス事情を得意分野に多数媒体で執筆中。著書に『Netflix戦略と流儀』(中公新書ラクレ)。 この著者の記事一覧はこちら