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Cookieフリー時代の分析に欠かせないデータクリーンルームとは?

2022年10月21日14時38分 / 提供:マイナビニュース

改正個人情報保護法を受け、サードパーティCookieの取り扱いが大きく変化した。データ分析に大きな制限がかかるなか、いま「データクリーンルーム」が注目されている。このデータクリーンルームをいち早く活用している電通デジタルに、その概要を伺ってみたい。

○■プライバシー保護が進んだ改正個人情報保護法

Cookieとは、Webサイトにアクセスした際に発行され、Webブラウザに一時的に保存される閲覧情報を指す。これまではCookie情報を使って柔軟な広告の配信や分析が行われていたわけだが、一方でユーザーの意図しないところでCookie情報が利用されるという問題もあった。

2022年4月に施行された改正個人情報保護法は、この状況を大きく変えた。とくに焦点となったのが、アクセスしたWebサイトとは異なるドメインが発行したサードパーティCookieだ。

具体的な規制内容は、技術と法律のふたつに分かれる。技術による規制は、たとえばAppleであればSafari上でサードパーティCookieを制限しており、GoogleもChrome上で同様の制限を計画している。法律による規制は、Cookieなどの識別子を利用する際に、適切な事前同意や許諾が必要となるケースが増えている。

ユーザー側で、自身のデータをどのように扱うか意識が高まっている。一方で、これまでユーザーが意識せずともCookieから得られてきたさまざまな興味関心に関わる情報は、ある程度意識して情報提供の選択を行わねばならなくなった。

マーケター側から見ると、明確なルールを適用し許諾を得なければ、Cookieを利用した広告配信が行えなくなっている。すでにその影響は、広告配信量の減少などに表れている。また、分析という観点で見るとコンバージョンの計測などが難しくなっている現状がある。

「サードパーティCookieには、ある意味でユーザーのエクスペリエンスに貢献する部分もありました。今後、企業はユーザーの許諾を最大限に尊重しつつデータを活用していくことになるでしょう」(井崎氏)。

○■データクリーンルームがもたらす価値とは?

日本にも、Cookieに依存しないCookieフリー時代が到来しようとしている。企業には、プライバシー保護とマーケティングのROI(費用対効果)を両立させる基盤が求められるだろう。そのような状況において、個人単位を維持したまま、許諾の取れている情報を活用する基盤として今注目を集めているのが「データクリーンルーム」だ。

「たとえばGoogleやMetaのようなデジタルプラットフォーム事業者は、すでに許諾の取れているIDを大量に保有しています。それらをマーケティングに活用できるセキュアなデータの統合分析環境が、データクリーンルームです」(五十嵐氏)。

一般的にクリーンルームという言葉は無菌室のような環境を指している。これをデータに当てはめ、特定の人間が、許諾を得たデータを使ったマーケティングのための分析を主たる目的にアクセスできるセキュアな環境、これをデータクリーンルームと呼んでいるという。

では、ユーザー側はどのようなメリットを得られるのか。たとえば個人データを自動で暗号化して個人を特定できない形で分析したり、サンプル数が20以下の個人を特定できるような分析は結果が吐き出されないようにしたり、モバイル広告IDを見せずに統計加工データのみを見れるようにしたりといった形でプライバシーの保護が実現される。

一方でマーケター側は、引き続き個人単位を維持したまま、さまざまなデータと掛け合わせた分析を行うことが可能になる。たとえば電通デジタルでは、同社が保有するテレビの視聴データ、デジタルとテレビの統合分析、オンライン/オフラインをかけ合わせた分析購買データなどで、すでにデータクリーンルームの活用を進めているという。
○■データクリーンルームを一元管理する「TOBIRAS」

Cookieフリー時代を迎え、現在、多種多様なデータクリーンルームが生まれている。だがこの大きな潮流の中で、新たな課題も生まれている。

「データクリーンルームはあくまで分析方法の基盤ですので、それをどのように使っていくかは企業、もしくは提供されているソリューションに委ねられます。今後はデータクリーンルームの使い分けが重要になっていくでしょう。ですが、プラットフォーム事業者ごとに分析に必要な環境やシステムの仕様が異なるため、運用を一元化したり、データクリーンルーム同士のデータを比較検討したりできないという課題があります」(五十嵐氏)。

このような課題を踏まえ、電通デジタルは電通とともに複数のデータクリーンルームを一元管理するシステム基盤「TOBIRAS」を開発した。これは、Cookieフリー時代においても、顧客企業のマーケティングROIの向上と持続的成長に貢献するという電通デジタルの姿勢の表れだろう。荒川氏は今後の展開について、こう語った。

「電通デジタルは、まだデータクリーンルームという名前もなかった2016年ごろから取り組みを進めてきました。我々はクライアントさまに対し、変化に適応するにはどうしたらいいか、何にフォーカスすべきかをいち早く提示しています。最適な情報提供こそ、我々の一番の価値であると考えているからです。そのためにも、いろいろな仕組みをどんどん開発し、展開してきたいと思っています」(荒川氏)。

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