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3年ぶりの会場開催、Oracle CEOがクラウド移行への勇気を語る- Oracle CloudWorld 2022

2022年10月20日10時41分 / 提供:マイナビニュース


米Oracleは10月17日から20日にかけて、年次イベント「Oracle CloudWorld 2022」を米国ラスベガスで開催している。3年ぶりのオフラインでの開催とあって、会場には1万3000人が訪れ、新型コロナウイルスの流行で中断していた大型テックイベントの復活を印象付けた。本稿では、CEOを務めるSafra Catz氏による基調講演の模様をお届けしよう。

リスクをとるという企業の勇敢な決断を技術面で支援

Oracleはこれまで「Oracle Open World」として年次イベントを開催してきたが、今回より「CloudWorld」と名称を変更し、IaaS、PaaS、SaaSの全クラウド製品をカバーするイベントにした。3日間で約1200のセッションが開かれる。JavaOne、Marketing Summitなど複数のイベントも併設した。

18日、午前中の基調講演に登場したのはOracle CEOのSafra Catz氏。各業界から顧客を招いて、激動の時代を乗り越えるための「勇気」をテーマに話をした。

2019年より単独CEOを務めるCatz氏は、まず「パンデミックで、従業員、顧客、パートナーとのデジタルコネクションが大切ということを学んだ」と切り出した。そして、「勇敢であることが勝利につながる、怯えていると完敗する」と続けたCatz氏。

リスクをとるという勇敢な決断を技術面で支えるべく、「Oracleは最も安全で、最もパワフルで、最も高性能、そして最もコスト効率の良いプラットフォームを構築した。その上に、ホリゾンタルなアプリケーションを構築した。その上に、業界別のアプリケーションを構築した」とCatz氏は述べた。

「Oracleの祖父」(Catz氏)であるデータベースは、「多くの顧客が長い年月、自社の重要なオペレーションを動かしてきた。現在は、Autonomous Databaseになり、AIを搭載し、安全性、性能、コスト効率の高い方法でデータベースを使うことができる」という。

ここ数年のフォーカスとして、「顧客の声をもっと近くで聞くようにしている」とCatz氏は話した。その結果、「製品とサービスをさまざまな方法で実装できるようにすることで、顧客の成功を支援している」とし、Oracle Cloud@Customerなど、クラウド一つとってもさまざまな形態で利用できるようにしていることを強調した。
NVIDIAと企業向けAIで提携 - NVIDIA AIをOCIに搭載

こうしたイベントの基調講演ではさまざまなゲストが登壇するが、Catz氏が最初に招いたのは、NVIDIAの創業者兼CEOを務めるJensen Huang氏だ。両社は同日、既存の提携を拡大し、企業向けAIで複数年にわたる提携を締結したことを発表した。

この提携の下で、NVIDIAはアクセラレーテッド・コンピューティング・スタック全体を「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」で利用できるようにする。OCIはA100、次期H100などのNVIDIAのGPUを数万個単位で追加、OCIのAIクラウド基盤と組み合わせることでAIトレーニング、ディープラーニングの推論を大規模に行えるようになるという。

Huang氏は、現在のコンピューティングのトレンドとして「伝統的なコンピュートのスケールが物理学の制限を受けて減速」「コストの低下」「エネルギー消費の効率化」などを挙げた。一方で、新しいアプリケーション、ワークロード、AIや機械学習が出てきており、伝統的なコンピューティングで対応するのでは「消費電力が上がる、これはネットゼロ到達を阻みかねない」と、現在のコンピューティングの課題を指摘した。

そこでNVIDIAが得意とするGPUの出番となる。「今後10年で、全てのワークロードが加速する。同時に、ワークロードのコストは下がり、エネルギー効率も改善する。キャパシティが得られるのでもっと多くのことができるし、AIを適用できる」とHuang氏。「毎日の業務から生まれたデータを使ってパターンや相関関係を見出すことができるし、働き方にも良い影響がある。製品/サービスの予測や自動化もできる」と、同氏はGPUのメリットを説明した。

NVIDIAとOracleの提携について、Huang氏は「まず、大量のエネルギーを消費することなく、より多くのことができるようになる」と述べた。提携により、「Oracleの専門領域であるデータ」「NVIDIAが得意とするAIの処理、生成、モデルトレーニング、シミュレーション、実装」「大規模なインフラであるOCI」「両社のパートナー」が実現するという。

さまざまな業界が両社の提携のメリットを享受できるが、中でもヘルスケアについては、「サイエンス主導から、サイエンスとエンジニアリングの業界になっている」とのことだ。


40PB超のデータをOracle Exadata Cloud@Customerに移行するDeutsche Bank

Catz氏の基調講演では、同社の顧客である金融のDeutsche Bank、食品のBimbo、製造のJohnson Controls、玩具のMelissa & Dougの幹部がステージに上がった。

Deutsche Bankは、40PB以上のデータをOracle Databaseに保有している。システムモダン化の一環として、その大部分をOracle Exadata Cloud@Customerに移行することが発表されている。

CTOのGordon Mackechenie氏は、目下の課題として、「技術への需要増」「既存のシステムのモダン化」「規制」の3つを挙げた。「技術への需要が増えており、これを満たしつつ、モダン化しなければならない。もちろん、安定性は損なわれてはならない」と同氏。

同行では、新しい取り組みとして、コンテキストに基づいたバンキングソリューションの構築も進めている。ここではデータの活用が鍵を握っており、IoTを含めてさまざまなデータを収集し、「バンキングとファイナンスのテクニックの組み合わせ」による付加価値サービスを構築しているという。Mackechenie氏は、「リッチなインタラクションを適切に実現するには、データが重要」と続けた。

Oracleの技術により「コストとメンテナンス性が改善され、柔軟性も得られる」と話すMackechenie氏。クラウドについては、「OracleシステムはOracleの方がわれわれよりも上手に運用できる」という。Oracleとはイノベーションも共同で進めており、セキュリティでも協業しているとのこと。「すでに取り組みの成果を感じている。多面的に前進できている」と、同氏は語っていた。

Catz氏が「クイックに動くことはリスキーだが、動きが遅いと危険。リスクとイノベーションという対立しかねない概念をどう考えるか?」と問うと、Mackechenie氏は「リスクとイノベーションは必ずしも対立関係ではない」と答えた。

Mackechenie氏は「すべての銀行がイノベーションを求められている。既存の競合に加え、フィンテック、テクノロジー企業とも競争しつつある。そうした中、イノベーションは不可避だ。正しい方法でイノベーションができれば(リスクではなく)安全になる」とし、Oracleとのパートナーシップが役立っていると述べた。

Oracleのクラウド技術をフル活用しているOracle Red Bull Racing

Catz氏が最後にステージに招いたのは、Oracle Red Bull Racingのチームプリンシパル兼CEO、Christian Horner OBE氏だ。数日前、同チームのMax Emilian Verstappen選手は、「2022 FIA F1世界選手権シリーズHonda日本グランプリ」でワールドチャンピオンに輝いたばかりだ。

Oracleは2021年にRed Bull Racingのスポンサーとなり、2022年にはタイトルスポンサーとして関係を拡大した。Horner氏は、「ロゴをつけた途端に、勝ち始めた。(タイトルスポンサーとなった)今年もっと大きなロゴをつけたら、もっと勝つようになった」と笑った。

Red Bull RacingではOracleのテクノロジーをあらゆるパーツで使用しているとHorner氏。具体的には、ファンエンゲージ、レース戦略と判断、そして独自エンジンの設計・構築などで、「Oracleのクラウド技術をフル活用している」そうだ。

特にエンジンについては、提携関係にあったホンダのF1撤退を受け、「選択を迫られた」とHorner氏。「われわれがちょうど強くなり始めた頃だったので、ホンダの撤退は悪いタイミングだった」と振り返る。

結局、他のメーカーからエンジンの供給を受けるのではなく、自分たちで開発をすることを選択したが、これについては「シャーシも自分たちでやってみたらうまくいった。リスクのある選択肢だったが、正しいメンバー、正しい技術、正しい設備があればできると思った」とのことだ。元レーサーでもあるHorner氏は、「コンフォートゾーンからでなければならない」と付け加えた。

その結果、エンジンの設計・製造を12カ月で進め、2026年には実際のレースで使われる予定だという。「われわれは自らの限界を押し広げている。Oracleとの素晴らしいパートナー関係が支えている」(Horner氏)

Catz氏は、「Oracleという会社は、1番でなければ満足しない。”銀メダルでも負け”と言っている」と話し、「勝ち続けることを祈っている」とエールを送った。

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