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九大など、電子線ホログラフィでナノ粒子の電荷量を電子1個の精度で計測することに成功

2022年10月17日12時55分 / 提供:マイナビニュース


九州大学(九大)、科学技術振興機構(JST)、日立製作所(日立)、明石工業高等専門学校(明石高専)の4者は10月14日、最先端の電子顕微鏡技術と情報科学的手法(微弱信号の抽出技術)を融合させた独自の研究戦略により、透過電子顕微鏡法の一種である「電子線ホログラフィ」の位相計測精度を従来よりも1桁向上させ、ナノ粒子の電荷量を電子1個の精度で計測することに成功したと発表した。

同成果は、九大大学院 工学研究院の麻生亮太郎准教授、同・村上恭和教授、日立の谷垣俊明主任研究員、同・品田博之技術顧問、明石高専 専攻科の中西寛教授、大阪大学大学院 情報科学研究科の御堂義博特任准教授、九大大学院 総合理工学研究院の永長久寛教授、同・北條元准教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、米科学雑誌「Science」に掲載された。

触媒材料の研究開発において、触媒の電位分布や帯電の様子を明らかにすることが重要とされ、試料を透過した電子波の位相変化(電子の進み具合の変化)を計測することで、局所領域の電場や磁場の分布を明らかにすることが可能な電子線ホログラフィの活用が期待されている。

しかし、触媒ナノ粒子が示す微弱な電位分布・帯電を計測するためには、電子線ホログラフィの位相計測精度を従来よりも1桁高めるという、技術上な飛躍が必要であり、触媒の解析は長年にわたる難題だったとする。そこで研究チームは今回、電子線ホログラフィの位相計測精度が、画像データのホログラムの像質に強く依存することに注目し、その像質改善と微弱情報の抽出を追求することにしたという。

ホログラムの像質改善により位相計測精度を1桁高めるためのアプローチは、いくつかの手法がある。測定時間をより長くすることもその1つだが、この場合、従来よりも100倍も長くする必要があることが課題となっていた。測定時間を長くするということは、それだけ電子照射量を増やすということであり、その結果として、試料の変質・損傷を招いてしまうという課題が生じるためで、測定時間の延長という手法では限界があり、目標とする精度を達成することが難しかったとされる。

そこで今回は、ホログラムの像質に深く関係する「電子波の干渉性・平行性」について、高性能ハードウェアと新たな情報科学的手法を組み合わせることで、位相計測精度の1桁向上を目指すことにしたという。


ハードウェアに関しては、電子線ホログラフィとして世界トップクラスの性能を有する日立製「1.2MV原子分解能・ホログラフィ電子顕微鏡」を選択。そこに、新たに開発されたノイズ除去技術「ウェーブレット隠れマルコフモデル」が組み合わされ、ノイズと微弱信号の正確な分離が実現され、位相計測精度を従来よりも1桁高めるという技術目標が達成されたとする。これにより、電子顕微鏡で観察される1つ1つのナノ粒子に対してその電荷量を「電子1個の精度」で数えるという、これまで不可能だったレベルでの研究を進められるようになったという。

今回の手法を用いて、環境浄化などに広く利用される白金-酸化チタン(Pt/TiO2)系触媒の電位分布が詳細に解析された。試料外部(真空領域)の位相計測によって、電位の空間分布を明らかにするという独自の方法により、TiO2に担持されたPtナノ粒子の電荷量が、電子2個相当や6個相当など、注目するナノ粒子1つ1つに対して決めることが可能となったとする。

さらにこの解析を通して、TiO2との接合界面の素性によって、Ptナノ粒子は正にも負にも帯電し得ること、また電荷量はPtナノ粒子の結晶の歪み具合にも影響を受けることなど、触媒の研究開発にとって重要な知見を獲得することができたという。

なお、今回の研究において電子線ホログラフィを高感度化することで、地球環境問題の解決に対して重要な触媒開発を加速する強力な計測技術が実現されたことから、研究チームでは今後、今回の技術の適用による触媒開発の加速が期待されるとするのと同時に、同技術をガス環境下や高温域など、触媒が実際に利用される環境でのデータ取得につなげることで、触媒の研究開発が一段と進み、革新的な材料の創成を促すことが期待されるとしている。

また今回の技術は、今回の研究で大きな成果が獲得された電位・電場の解析にとどまらず、磁場計測にも応用展開が可能だともしており、新規な磁気メモリや永久磁石の開発などの領域へも、高感度化された電子線ホログラフィの貢献が期待されるともしている。

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