旬のトピック、最新ニュースのマピオンニュース。地図の確認も。

『鎌倉殿の13人』実朝役・柿澤勇人、和歌集も読み込み役作り 小栗旬への感謝も語る

2022年10月16日06時00分 / 提供:マイナビニュース

●三谷幸喜から託された「新しい実朝像」の重責
小栗旬主演の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で、心優しき鎌倉殿こと鎌倉幕府3代将軍・源実朝役を好演している柿澤勇人。大河ドラマは『平清盛』(12)、『軍師官兵衛』(14)に続いて3度目の出演となった柿澤に、役作りや撮影裏話、小栗の座長ぶりについて語ってもらった。

鎌倉幕府において、御家人同士の主導権争いから、北条一族による骨肉の争いへともつれこんだ第38回(10月2日放送)。謀反人となった北条時政(坂東彌十郎)の失脚により、ついに北条義時(小栗旬)が2代執権となった。実朝は、亡き兄・源頼家の次男である公暁(寛一郎)を猶子とするが、やがて歴史を揺るがす悲劇が巻き起こる。

本作の脚本を手掛ける三谷幸喜氏は、史実に大胆な解釈を入れ込みつつ、その行間を非常にエモーショナルに描き出している。舞台俳優としても名を馳せる柿澤は、三谷氏の舞台『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』で主演を務めていることもあり、ただならぬ情熱を持って実朝役にアプローチしたようだ。

柿澤はオファーされた当初を振り返り、「僕は、実朝という人物をそんなに深くは知らなかったんです」と言いつつ、「三谷さんが実朝に対してかなり思い入れがあり、『新しい実朝像、本当の実朝みたいなものを描きたい』とおっしゃっていたので、すごくプレッシャーを感じました。それで、時代考証をされている坂井孝一先生の本や、実朝に関して最新の研究がされている本のほか、和歌集なども読み込みました」と前準備を万端にして現場に挑んだ。

実朝といえば『金槐和歌集』や『新勅撰和歌集』などで歌人としても知られていて、劇中でも和歌を詠むシーンが登場する。

「僕は、和歌に関して本当に無知だったので、関連本を読んだり、芸能指導の先生に何が正しいのかを教わりました。実朝は、庭先の梅を見て『僕がいなくなっても忘れないでね』と詠むなど、何気ない日常の風景やもの、人から発想を得て、自分の感情や世相をくくりつけるのが非常にうまかったそうです」

実朝自身の人となりについても「実朝は派手じゃないんです。地味で素朴というか、ピュアな人」と捉えた。

「頼朝や頼家と同じ血を引いているなんて思えないぐらい純朴な人だったのかなと。もちろん僕は実朝の和歌を全部網羅したわけではないのですが、そういう性格的なところと和歌は、すごくリンクしていると思いました」

さらに柿澤は「当時、鎌倉で力を持った人たちは、自分たちの家や土地を守ろうとしたり、大きくしようとしたりと、自分のところさえ良ければいいという考え方をしていたから、互いにいがみあっていたと思います。それは、人間として当然のことかもしれないけど、実朝はそこも踏まえつつ、後鳥羽上皇がいる京側と手を組むことにより、もっと世の中が豊かになると考えたのかなと思います」と、実朝の視野の広さについて語る。

「源氏のことや自分のこともあるけど、そこを差し引いて、もっと先のことを考えていた。史実で言えば、宋行きの船を作ろうとしますが、それは決して気まぐれではなかったと思います。最新の研究では、日宋貿易など、当時は誰も考えていなかったことをやろうとしていたとされています。鎌倉のこと、日本のことをちゃんと俯瞰し、自分の立ち位置や力の無さも謙虚に受け止めたからこそ、周りの力をちゃんと借りていこうと考えていた気がします」

また、鎌倉幕府の実権を握った義時との関係性については「立場的には鎌倉殿のほうが上ですが、義時のほうが遥かに年上ですし、自分が鎌倉殿になった時点ではまだ無力で政を回していくことなんてできないことも分かっています。だから時政が鎌倉を離れたあとは、母の政子や義時が実権を握るのも仕方がなかったんです」と冷静に受け止めている。

「でも、やがてパワーバランスというか、義時のやっていることと、自分が思い描いていた政とが乖離していき、乱が起きたり、人が死んだりすることは史実にあるとおりです。だから最初は信用していた義時のことを、かなり危ない存在だと意識していくことになると思います」とも言い、「ただし、実朝はそこを力でねじふせたり、復讐を考えたりする人間ではないし、むしろ鎌倉から日本という国を豊かにしていこうと思う賢い人間になっていきます。彼自身も憎しみや悔しさなど、ネガティブな要素は抱えつつも、これ以上争いはしたくないし、犠牲にもなりたくないと考えていたのではないか」と述懐する。

●小栗旬の心遣いに感謝「非常に頼もしい座長」

3本目の出演となった大河ドラマについては「歴史がありますし、僕が小さい頃に祖父も毎週観ていた身近なドラマです。時代設定や細かい所作も含めてクオリティの高い環境で撮影されているイメージがあります」と印象を述べる。

「役者の方々も錚々たる顔ぶれなので、これまではNGは極力出さないほうがいいといった変な緊張感を勝手に持っていました。でも、今回は失敗してもいいからトライすることを受け入れてくださるような環境でした。きっとこれまでの現場もそうだったのかもしれないけど、僕自身が心の余裕を持てなかったことも大きいのかなと。今回は小栗さんをはじめ、ほかのキャスト陣も無理のない範囲で現場を盛り上げてくれている印象を受けます。温かい現場なのに、決して馴れ合いになってないところもすごいです」

そして、義時役の小栗について「主役、座長として長い期間、やっていかなければいけないし、義時もかなり難しい役なので、普通の役者なら自分のことでいっぱいいっぱいになるはずですが、まったくそうではない。小栗さんは常に周りのことを考え、広い心を持ってキャストやスタッフの方に話しかけてくれるのですごくありがたいです」と心から感謝する。

また、「現場に変な緊張感は一切ありません。今はコロナ禍で、マスクをしながらリハーサルをしていますが、僕がインした時、小栗さんがマスクに『実朝ようこそ』と書いてくれていてすごくうれしかったです。小栗さんは常にみんながハッピーになれるようなやり方をされます。非常に頼もしい座長なので、僕自身も勉強にもなりますし、刺激をもらえるような存在でした」

共演シーンにおいても、小栗が言葉に出さなくても柿澤の想いをくんでくれたやりとりが心に残っているという。

「小栗さんとの共演シーンで『ここでこうしてこう動く』といった演出の指示が入りまして。基本的に僕は言われたとおりにやってみるタイプですが、僕の表情から小栗さんが何かを察してくれたらしく『カッキー、自分のやりたいようにやってみなよ』と言ってくださったんです。小栗さんも自ら考えたプランを持って動くことで豊かな芝居になることをわかってくれているので、それを自分だけではなく、後輩や監督に対しても提案してくれたことがすごくありがたかったです」

今後、幕府のトップとして少しずつ成長していく実朝と、執権となった義時が、どう鎌倉を動かして行くのか? 2人の間で生まれるのは、固い絆かもしくは亀裂か? 今後の展開に注目したい。

■柿澤勇人
1987年10月12日生まれ、神奈川県出身。2007年に劇団四季の舞台『ジーザス・クライスト=スーパースター』で俳優デビュー。主な出演舞台は『スリル・ミー』『スウィーニー・トッド』『デスノート THE MUSICAL』『サンセット大通り』『フランケンシュタイン』など。2011年に『ピースボート -Piece Vote-』でテレビドラマ初出演、同年『カイジ2』で映画初出演。映画の近作は『すくってごらん』(21)、『鳩の撃退法』(21)など。大河ドラマは『平清盛』(12)、『軍師官兵衛』(14)に続いて『鎌倉殿の13人』で3度目の出演。

(C)NHK スタイリスト:杉浦優 ヘアメイク:松田蓉子

続きを読む ]

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ネタ・コラムカテゴリのその他の記事

地図を探す

今すぐ地図を見る

地図サービス

コンテンツ

電話帳

マピオンニュース ページ上部へ戻る