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ソニー・ホンダモビリティのEVは2025年に受注開始、日本市場投入は2026年後半を予定

2022年10月13日19時16分 / 提供:マイナビニュース

●2025年に第1弾のEVを発売へ
ソニー・ホンダモビリティがEV販売計画を公表

ソニーグループと本田技研工業(ホンダ)が設立したソニー・ホンダモビリティ(SHM)の設立発表会が10月13日行われた。第1弾となる電気自動車(EV)を、2025年前半から先行受注を開始し、2025年中に発売。2026年春に北米市場向けに出荷を開始し、日本市場向けには2026年後半から出荷する。欧州での販売も今後検討をしていく。販売はオンラインを中心にする考えだ。まずは、ホンダの北米工場で委託生産することになる。

両社は、2022年3月4日に、モビリティ分野における戦略的提携に向けて基本合意し、6月16日には、ソニー・ホンダモビリティの設立に関する合弁契約を締結。9月28日には、合弁会社設立の手続を完了していた。

資本金は100億円。ソニーグループが50%、本田技研工業が50%を出資する。

ホンダ出身で、ソニー・ホンダモビリティ 代表取締役会長兼CEOに就任した水野泰秀氏は、「モビリティ業界は、デジタル技術とソフトウェアを震源地として、大きな変革期を迎えている。ソニーはモビリティ空間を感動空間にするビジョンを掲げ、モビリティへの進化への貢献を志している。ホンダは、ハードとソフトを融合させた商品への転換を掲げ、変革を推進している。モビリティの変革、進化をリードするには、既存の自動車OEMの手法とはまったく異なるアプローチを取る必要がある。そこで、異なる考え方やスピード感を持つソニーと組みたいと考えた」とし、「その結果、誕生したのがSHMである。まったく新しい姿の企業にしたいと考えており、ソフトウェアを中心とした新たな技術の投入、他社とのパートナーシップ、新たなアイデアの採用により、既成概念を覆す高付加価値型の商品やサービスの提供、顧客との新たな関係性の構築にチャレンジしたい。目指す姿は、Mobility Tech Companyであり、日本発の企業としてグローバルで躍進を遂げ、日本の産業界の活性化に少しでも貢献したい」と抱負を述べた。

また、ソニー出身で、ソニー・ホンダモビリティ 代表取締役社長兼COOに就任した川西泉氏は、「両社で議論を行ってきた結果、ワクワクするクルマを作りたい、ライフスタイルを彩るブランドにしたいという方向性が見えてきた」とし、「ソニーのVISION-Sでは、Safety、Entertainment、Adaptabilityをテーマに掲げ、モビリティの進化に対して、ソニーがどんな貢献ができるのか、といったことに取り組んできた。一方、ホンダは、Safety、Environmentの上に、操る楽しさを示すDriving Inspirationによって価値を提供する方向性を打ち出し、モビリティの進化に取り組んできた。2社は同じような方向性を持っている。これらのコンセプトをさらに推し進めるべく、新会社では、Autonomy、Augmentation、Affinityの3Aに取り組んでいく」と語った。

3Aのコンセプトを実現することで、高付加価値EVの開発、製造を実現する考えであり、「SHMが市場投入するEVには、かなりの価値を付けたい。それなりの価格帯になるだろう。量を狙った商品ではない。価格に見合った価値を出せるだけの装備をしたい。ぜひ期待して欲しい」(水野会長兼CEO)と述べた。

●SHMが目指すモビリティの方向性
3Aをコンセプトにモビリティの確認に挑戦

SHMでは、パーパス(存在意義)に、「多様な知で革新を追求し、人を動かす」を掲げ、「知を繋げ、最先端のテクノロジーへの挑戦を行い、人の感性や行動へ働きかけ、人を動かすモビリティの革新を実現していく」としている。

SHMの方向性を示すのが、川西社長兼COOが示した「Autonomy」、「Augmentation」、「Affinity」による3Aのコンセプトだ。

川西社長兼COOは、「どんなクルマを作りたいのか。どんなブランドにしたいのか。何度も、そこに立ち返って議論をした。最先端のテクノロジーを詰め込みたい、顧客に新たなモビリティの体験価値やサービスを提供したい、上質なモビリティを実現したい、スタートアップのマインドで挑戦したいなどの意見が出た。これらの意見を集約した結果が3Aのコンセプトになっている」と語る。

Autonomyは、「進化する自律性」とし、ホンダが提唱する「事故に遭わない社会」の実現に向けた取り組みと、ソニーが持つ車載センサー技術を組み合わせて、さらなる安全性能の向上に努めることを目指す。また、快適な移動空間を提供するためにさまざまなインテリジェント技術を活用し、特定条件下での自動運転機能であるレベル3の搭載を目指すと同時に、市街地などのより広い運転条件下での運転支援機能であるレベル2+の開発にも取り組む。これを実現するためのハードウェアとして、合計800TOPS以上の演算性能を持つ高性能SoCを採用する予定であり、クルマのなかで、ハイパフォーマンスコンピューティングを実現し、走行性能の強化やインテリジェンス化を進める。

2つめのAugmentationは、「身体・時空間の拡張」としており、安心安全の上に成り立つ移動空間においては、ユーザーには運転以外の楽しみを提供できる環境が整うことに着目。ソニーが持つエンターテイメント技術やコンテンツのほか、これまで培ってきたUXやUIを活用した新たなHMIを提案していく。クラウドで提供するサービスと連携することで、ユーザーごとにパーソナライズした車内環境を実現する。

「SHMが提供するモビリティは、クルマやサービスを届けて終わりではない。一人ひとりに寄り添い、快適で、楽しいモビリティに進化し、成長を続けることになる。移動する空間価値に着目し、物理的に移動するための手段だけでなく、リアルとバーチャルの世界を融合することで、移動空間をエンターテイメント空間や感動空間へと拡張する。メタバースなどのデジタルをフルに活用した新しいエンターテイメント空間の可能性も追求する。さらに、移動空間における新たなコミュニティも創造したい。これを実現するために、HMIおよびIVIには、ユーザーをおもてなしするために十分な最新のSoCを2個搭載し、リッチな顧客体験と、将来的なアップデートに対応する。ADやADAS、ECUと組み合わせて、従来のECUをハイパフォーマンスな統合ECUに集約し、トータルでのECUの削減も狙う。ネットワークには5Gを採用し、クラウドとのサービス連携を進める」(川西社長兼COO)などと述べた。

車体のプラットフォームは新規に開発するが、ここにはホンダが持っている技術を生かすことになる。また、サービスプラットフォームは、ソニーグループのソニーモビリティが構築をしていくことになる。

3つめのAffinityには、「人との協調、社会との共生」という思いを込めたという。

モビリティを、社会インフラの一部と捉え、カスタマーだけでなく、自動車産業におけるパートナーや、それ以外の様々な産業を支えるパートナー、モビリティにおける新たなエンターテイメントの創出に挑戦するクリエイターとともに、オープンで自由な環境を作っていくという。

●2025年がターイニングポイントに
オープンな機会や場の醸成に挑む

水野会長兼CEOは、「SHMは、顧客との関係性を変えていきたいと考えている。クルマの販売や、アフターサービスでつながっていた関係から、バリューチェーン全体で顧客との関係を、長く、深くするために、リアルとデジタルを融合させた新しいサービスを提供したい。サービスを介することで、ハードウェア(クルマ)を持たない顧客とも、多くのつながりをつくり、ブランドに共感してもらえる仲間が集うコミュニティづくりを目指す」とした。

サービス開発においては、新たな体験価値の創出のために、先行技術を積極的に投入するだけでなく、専門性を持つ数多くのパートナーとの協業を想定。「そのためには、顧客とダイレクトにつながるネットワーク構築が大切であり、商品開発プロセスにもカスタマーやクリエイターに参加してもらい、商品の販売後も、行動特性や嗜好を理解し、パーソナライズした顧客体験を提供する」と述べた。

また、川西社長兼COOは、「自動車業界は、自動車OEMを頂点として、数多くのパートナーに支えられて産業構造が成り立っている。しかし、水平分業が浸透しているIT業界では特定の領域において優位性を持つレイヤーマスターの存在が大きくなっている。EV化が進むことにより、ITの比率が高まり、自動車を支えるステークホルダーとの関係を見直す必要が出てくるだろう。パートナーやサプライヤーに対しては、SHMが目指すビジョンを共有し、オープンで対等な新しいパートナーシップを築きたい」と語り、「モビリティにおいても、クリエイターとの関係を深めたい。モビリティがクラウドとリアルタイムに同期することで、これまでにない双方向性のあるモビリティ社会と、新しいエンターテイメントが創出できる」とした。

ここでは、「情報を発信するモビリティが、テーマの1つになる」と語り、「これを支えるソフトウェアには、車載ソフトウェアだけでなく、クラウド上のソフトウェアまでを含めて、一貫した統合的なソフトウェアフレームワークが必要になる。モビリティを単一の組み込みハードウェアとして考えるのではなく、リカーリングビジネスを想定した移動体験サービスという概念で、全体のアーキテクチャーを設計していくことになる」と述べた。

今回の新会社に対して、業界内外から関心が集まっている理由の1つが、ソニーとホンダという異業種でありながらも、近い文化を持った2社の協業によって新たな事業を推進するという点だ。

会見でもその点に関する言及があった。

水野会長兼CEOは、「この関係は、ソニーだから組めたともいえる。人の感性や行動に働きかける商品やサービスを提供するという、ソニーとホンダが最も大切にしている思想を大事にしたい」と述べ、「2社の知見と技術を結集するだけでは革新は生まれない。共感、共鳴してもらえるカスタマー、パートナー、クリエイターの知を結集し、革新を生みたい。オープンに参加してもらえる機会や場の醸成に積極的に取り組む」と述べる。

また、川西社長兼COOは、「2022年3月の共同発表を前後するタイミングで、両社のメンバーが集まって、いくつかの分野における共同開発のためのワークショップを立ち上げた。考え方や視点の相違、理解不足、用語の違いなどがあったが、お互いの価値観をぶつけて、真摯に議論し、それらを共有してきた。議論を通じて、他の会社にはない運命的なシンパシーを強く感じた。共通点や相違点を認識しあえる価値のある時間だった」と述べ、「両社の共通点は、新たなことへのチャレンジ精神だけでなく、人を中心とした経営の考え方、商品へのあくなきこだわりなどである。一方で、相違点は自動車OEMとIT企業という異業種としてのアプローチの違いにある。ホンダには将来を見通す緻密さがあり、ソニーには将来の変化に適応する柔軟さがある。これは、開発手法におけるウォーターホールとアジャイルの違いに起因するものである。企業文化を尊重し、認め合い、新たなモビリティの価値を創出すべく、Mobility Tech Companyを目指し、モビリティとITの融合を強く進めていく」とした。

さらに、川西社長兼COOは、「スタートしたばかりの会社だが、スピード感を持って、グローバルで戦えるチームを目指す。メカとエレクトロニクスがソフトウェアの進化によって融合し、新しいモビリティの時代を切り開いていくことができる」と意気込みをみせる。

水野会長兼CEOは、「2025年が、電動化のシフトのターイニングポイントになる。このタイミングは外せない」とし、急ピッチで製品化を進める考えを示す。

本格的にスタートしたソニー・ホンダモビリティがどんなクルマを作り上げるのか。業界内外から大きな関心が集まっている。

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