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カメラを大幅に強化&新撮影機能を搭載、誰にでも勧められる「Pixel 7」

2022年10月13日02時04分 / 提供:マイナビニュース

●Tensorプロセッサの2世代目でパフォーマンスは微増か
Google純正のスマートフォン「Pixel」シリーズの最新モデル「Pixel 7」「Pixel 7 Pro」が登場しました。短時間ではありましたが実機をテストすることができましたので、カメラ機能を中心にPixel 7シリーズをご紹介します。

○Tensorプロセッサの2世代目でパフォーマンスは微増か

Googleのテクノロジーショーケースという側面のあるPixelスマートフォン。特にカスタムチップであるGoogle Tensorを採用した「Pixel 6」以降では、Pixelの専用機能も多く、「素のAndroidスマートフォン」という感じでもなくなくなり、独自路線を進んでいます。

「Pixel 7」では、SoCが第2世代のTensor G2となりました。Tensorプロセッサについてはもともとあまりパフォーマンス面でのアピールはありませんでしたが、Tensor G2でも普通の利用に関して速度的な不満を感じることはありません。

普段スマートフォンの性能を測定するのに使っているベンチマークソフトは、記事執筆時点では非対応としてGoogle Playからダウンロードできなかったため未検証ですが、パフォーマンス面で「Pixel 6」シリーズよりも高速化したという説明はされていないので、特に大きく向上したわけではなさそうです。

ただ、「Pixel 6」でも、当時のハイエンドであるSnapdragon 888並みのパフォーマンスは出ていたので、「Pixel 7」もそれなりのパフォーマンスは出せそうです。スペック表を見る限り、CPUのCortex X1の動作周波数が2.80GHzから2.85GHzに、Cortex A76(2.25GHz)がCortex A78(2.35GHz)に強化。GPUがMali G78 MP20がMali G710 MP07になっている点が強化点でしょうか。

大きな違いは、Tensorの主目的であるAI処理の高速化です。スペック表には「次世代GoogleカスタムTPU」という表現しかありませんが、AI処理の高速化がアピールされています。その代表例がカメラにおける処理速度で、夜景モードでは最大2倍に性能が向上したそうです。こういったときにはローカルで機械学習によるAI処理を行うわけですが、それを快適に処理できることを重視したのがTensorとされています。

Google Tensorのおかげで、レコーダーアプリにおける日本語のリアルタイム文字起こし、日本語IMEのGboardにおける音声入力やリアルタイム翻訳機能など、様々なローカル処理の機能を備えています。これらの機能については、「Pixel 6」発売時のレビュー記事で詳しく紹介しています。

今回、このあたりの機能は基本的に「Pixel 6」の時と同様で、大きな違いはありません。一部「Pixel 7」のみに追加された機能もありますが、まあ、おおむね従来通りといったところでしょう。

大きな違いといえば、従来通りの画面内指紋センサーに加え、顔認証機能が追加されています。特殊なカメラは搭載していませんが、機械学習モデルによってより正確に顔認証できるようになったということです。どの程度のセキュリティ強度があるのかは不明です。

ただ、顔認証は端末のロック解除のみに使用され、アプリのログインや決済時の認証では使用できないので、過信はできないようです。マスクやサングラスにも対応できないということなので、自宅で使うときに便利……ぐらいの印象でしょうか。

●超広角と望遠のカメラを変更
○超広角と望遠のカメラを変更

そして、肝心のカメラ機能です。「Pixel 7」はメインカメラと超広角カメラ、「Pixel 7 Pro」はメインカメラと超広角カメラに望遠カメラという構成は、「Pixel 6」シリーズと変わりません。

メインカメラはいずれも有効画素数5,000万画素1/1.31型センサーを搭載。Octa PD Quad Bayerセンサーで、ピクセルビニングによってピクセルピッチは1.2μm。レンズの画角は82度で、実焦点距離は6.81mm、35mm判換算で24mm。F値はF1.9で、スペックを見る限りは、「Pixel 6」と変わらないようです。

「Pixel 7」の超広角カメラは1,200万画素のセンサーで、ピクセルピッチは1.25μm。レンズの画角は114度、実焦点距離は2.35mm、35mm判換算で16mm。レンズのF値はF2.2なので、こちらもスペックの違いはなさそうです。

大きく変わったのが「Pixel 7 Pro」。超広角カメラには新たにAFを搭載。有効画素数は1,250万画素で変わらず、ピクセルピッチも1.25μm、レンズのF値F2.2という数字も同じです。ただ、画角が125.8度と広くなり、実焦点距離は1.95mm、35mm判換算13mmというレンズに変わりました。

さらに望遠カメラも変更。画素数は4,800万画素で、ピクセルビニングという点は変わりませんが、ピクセルピッチが0.8μmから0.7μmにわずかに小型化。代わりに光学倍率が4倍から5倍へと変わりました。画角は23.5度から20.6度へと狭くなっています。

実焦点距離は19mmで変わらず、35mm判換算だと104mmだったのが117mmになりました。Exif表記の倍率を見ると「Pixel 6 Pro」が約4.3倍、「Pixel 7 Pro」は約4.9倍という数字です。

ちなみに「Pixel 6 Pro」は1/2型センサーを搭載していました。「Pixel 7 Pro」のセンサーは非公表ですが、1/2.55型のSamsung製ISOCELL GM5センサーあたりでしょうか。

●画質は従来通り、2倍ズームが使いやすく
○画質は従来通り、2倍ズームが使いやすく

メインカメラのスペックは変わらないように見えますが、カメラの使い方が変わりました。これまで、デジタルズームをする場合にはそのままデジタル処理で拡大していたのですが、デジタルズーム時にピクセルビニングを解除して50メガピクセルの中央を切り出す方式になりました。

中央切り出し方式は珍しい使い方ではないですが、高画素を生かしたピクセルビニングを解除するというのがポイント。スマートフォンだとシャープの「AQUOS R7」や「iPhone 14 Pro Max」の例があります。

「Pixel 6 Pro」では、デジタルズームは中央切り出しからデジタル処理で1,250万画素まで拡大していましたが、ピクセルビニングの解除はしていませんでした。ピクセルビニングを解除した場合、5,000万画素から中央を切り出すため、デジタル処理での拡大が最小限で済みます。

撮影したRAW画像を確認してみると、「Pixel 6 Pro」の場合、2倍ズームにすると画像は中央2,024×1,520ピクセル(約308万画素)の部分が切り取られ、1,250万画素に拡大されています。画質を見てみると、2倍ぐらいだとピクセルビニングでデジタルズームでもいいような気もします。デジタルズーム4倍からピクセルビニングを解除する「AQUOS R7」のアプローチは、正しいように感じます。

「Pixel 7 Pro」だと2倍時4,064×3,056ピクセル(約1,242万画素)で、これを4,080×3,072(約1,253万画素)にデジタルでの拡大処理が行われていています。

正確には、「Pixel 7」では1倍でも常に4,064×3,056ピクセルから4,080×3,072ピクセルへと拡大していますので、2倍ズーム時も同様の処理をしていることになります。中央切り出しで拡大しないのはこの2倍までのようで、それ以降は拡大処理をしています。

デジタル処理は4.9倍まで継続して、5倍になると望遠カメラに切り替わります。4.9倍の時点では1,684×1,266ピクセル(約213万画素)だったので、拡大するとそれなりに画質は劣化しています。下手に4.9倍で撮るよりは、1~2歩下がって5倍の望遠カメラに切り替えるか、2~3歩進んで2倍ズームで撮影した方が良さそうです。

望遠カメラも同様で、5倍時点でJPEG画像は4,080×3,072ピクセル(約1,253万画素)ですが、RAW画像からわずかに拡大処理しています。10倍時点では、3,794×2,854ピクセル(約1,082万画素)なので、拡大は最小限で済んでいます。20倍では1,966×1,478ピクセル(約290万画素)、30倍では1,270×952ピクセル(約120万画素)。「Pixel 6 Pro」だと最大倍率の20倍で832×624ピクセル(約52万画素)でした。

仕組みはだいぶ複雑ですが、撮影する分には特に気にする必要はありません。AFは速く手ブレも強力。気兼ねなく撮影できるようになっています。ただ、シャッター音は相変わらず強め。AppleやSamsung、そしてGoogleという主要メーカーのシャッター音は、ちょっと大きすぎのように思います。最近ではソニーがオープンマーケット版のXperiaでシャッター音を消す設定を追加しているので、追従してほしいものです。

カメラのテストではほぼ「Pixel 7 Pro」を使っていますが、比較してみても、「Pixel 7」との画質の差は特になさそうです。違いは主に望遠カメラの有無で、AIを活かした撮影機能には特に違いはありません。

画質は「Pixel 6 Pro」と「Pixel 7 Pro」で比較しても大きな差はなく、同様にレベルの高い描写をします。色味は派手でもなく、シャープネスも自然。HDRは自動で掛かりますが、不自然な様子はあまりありません。シーンによって多少の違いがあるようにも思えますが、メインカメラは「Pixel 6 Pro」と同等と言えるでしょう。

画角が広くなった超広角カメラも、画質という面では大きな差は感じられません。描写できる範囲が広くなったので、余計なものが入り込む構図の難しさは増しましたが、同時に利便性も高まっています。

望遠カメラも、特別な差を感じません。画角以外は、あまり差を気にする必要はなさそうで、「Pixel 6」と「Pixel 7」のカメラの違いは使い勝手の違いでしょう。特にデジタルズームの30倍は強力なので、シーンを選べば十分に活用できそうです。

●動画・写真をドラマティックにする新機能
○動画・写真をドラマティックにする新機能

「Pixel 7 Pro」のメインカメラの特徴の1つが「マクロフォーカス」機能です。これは被写体に近づくとメインカメラから超広角カメラに自動で切り替わり、マクロ撮影ができるというもの。最短でレンズ前3cmまで近づけます。

機能としては珍しいものではありませんが、被写体に近づきすぎてピンボケになってしまうことを防ぎます。レンズ前10~11cmほどでマクロフォーカスに切り替わり、画面上にマクロアイコンが表示されます。画面上のアイコンをタッチすることでオフにもできます。

実際に撮影してみると、インパクトのある距離まで近づくことができます。3cmというと、油断すると被写体とレンズがぶつかってしまう距離なので、撮影にはちょっと注意が必要です。

また前述の通り、ズームの扱いが変わったのも違い。ピクセルビニングを解除することで画質の劣化を最小限にしようという試みです。とはいえ、ピクセルビニングを解除しているので、1倍の時と必ずしも同等の画質ではありません。

望遠カメラは5倍相当になったので、「Pixel 6 Pro」の4倍よりも使い勝手が良くなりました。望遠カメラでもピクセルビニングを解除することでデジタルズームの画質が向上しているはずなのですが、もう一息頑張れるような気がします。アップデートで画質向上を期待したいところです。

AIを活用した処理としては、動画の「シネマティックぼかし」があります。指定した被写体以外をぼかしてプロっぽい映像にしつつ、フレームレートを映画と同じ24fpsにして、「滑らかすぎない」という映画のような撮影ができます。

被写体は人以外でもある程度認識してくれるようですし、特に指定しなくても、なんとなく映画っぽい映像が撮影できて、思ったよりもいい感じです。

AI活用では、夜景モードの処理が高速化しました。これまで6~7秒ほど必要だった夜景でも、3秒で同等の画質で撮影できるようになりました。この秒数は明るさによって変化し、撮影秒数は手動で「最大(6秒)」も選択できます。

「ボケ補正」(アプリ側の表記は「ボケ補整」)機能も新機能ですが、これはどちらかというとGoogleフォトの機能で、撮影後にGoogleフォトの編集機能の「ツール」から実行します。

英語の名称は「Photo Unblur」で、手ブレ・被写体ブレ、ピンボケをシャープな画像に補正してくれます。日本語では「ボケ」ですが、英語の「blur」は一般的にブレとボケの双方で使われるので、双方を補正します。

ちなみに、日本では伝統的にブレとボケを区別しますが、レンズの物理現象としてピントが合わない部分としか考えてこなかった英語圏に対して、表現技法としてボケを重視した日本、という違いがあるからということのようです。

「ボケ」が英語化した「bokeh」が生まれたのは1990年代後半とされています。英語圏の話を聞いていると、ボケのことを「bokeh」と言ったり、「blur」と言ったり、人によって使う言葉が異なっていたりしますが、今や「ポートレート」などで「ボケ」が海外のスマホカメラにも搭載されるほど一般化しました。

話がそれましたが、というわけで、「Unblur」は「ブレ」と「ボケ」を補正するのですが、ボケの補正に関しては、正確にはピンボケ(英語ではout of fucus)の補正で、被写体前後のいわゆるボケを補正するわけではありません。

Googleフォトアプリで編集ボタンを押すと、アプリがボケ・ブレを認識した写真では「候補」に、それ以外では「ツール」に、「ボケ補整」が現れます。ここで0~100までの補正強度を選べば、AIが補正してくれるというわけです。

ブレ・ピンボケの状態にもよりますが思ったよりもちゃんと補正してくれます。ちょっとビックリしますし、「Pixel 7」で撮影した写真だけでなく、過去の別のカメラで撮った写真でもちゃんと直してくれるのはうれしいところ。

もちろん、あまりにもピンボケやブレがひどい写真は補正できず、かなり無理な補正をする場合もあります。AIが描いた失敗イラストみたいな写真になることもあって、それを見るとAI処理の一端が見えるところですが、いずれにしてもすべてを救えるわけではありません。

それでも、失敗写真として破棄せずに保存しておけば、ひょっとするとGoogleフォトが救ってくれるかもしれません。気軽に使えるのが強みで、「Pixel 7」以外の機種でどの程度使えるようになるかは不明ですが、期待度の高い機能ではあります。

●誰にでもお勧めできる純正スマホ
○誰にでもお勧めできる純正スマホ

「Pixel 7」「Pixel 7 Pro」は、Google純正スマートフォンとして、Pixel 6 / 6 Proの機能を踏襲しつつ、Tensorの第2世代によっていくつかの機能向上が図られています。

相変わらず、NTTドコモの使う5Gバンドであるn79に対応しないため、取り扱いキャリアとしてドコモがない点は残念なところですが、「Pixel 7」はSub6、「Pixel 7 Pro」はさらにミリ波に対応して幅広いバンドをカバー。

nanoSIMとeSIMのデュアルSIMのデュアルSIM、FeliCa対応、ワイヤレス充電、IP68対応の防塵防水性能など、機能的には十分。アップデート期間も5年間で最新アップデートが最も速く提供されるというメリットもあり、優れたカメラ機能を含めて幅広くお勧めしたい機種です。

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