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ソニーが「ニオイ」の新技術、最初の製品は認知症の早期発見にも有効な「におい提示装置」

2022年10月06日21時57分 / 提供:マイナビニュース

ソニーは10月5日、ニオイに関連した新技術「Tensor Valve(テンソルバルブ)」を発表。同時に、この技術を採用した製品の第1弾として「におい提示装置 NOS-DX1000」も発表しました。NOS‐DX1000はクリニックなどでの嗅覚検査や研究用途を想定して開発。2023年春の発売予定で価格はオープン、推定市場価格は230万円前後になります。

NOS-DX1000は業務用の機器ですが、ソニーは今後エンターテインメントデバイスなどにも同技術を応用したいとのこと。メディア向けの製品発表会にて、Tensor Valveがどのような技術か体験してきました。

○Tensor Valveとは?

嗅覚テクノロジーのTensor Valveとは、複数の香りを切り替えられる技術のこと。通常、同じ場所で複数の香りを放出させると、前に放出した香りが次の香りと混じってしまいます。

Tensor Valveは香り成分を専用カートリッジに封入することで、放出時以外のニオイの漏れを遮断。香りを放出するときはアクチュエーターを使ってバルブに空気を取り入れ、取り入れた空気に香りを移して放出します。さらに、香り放出後は気流を制御して残ったニオイを脱臭。これにより、複数の香りを切り替えても、前の香りが新しい香りをジャマしません。

Tensor Valveを搭載したにおい提示装置は、最大40種類の嗅素をセット可能。装置に連携させたタブレットでニオイを選択するだけで、つぎつぎと異なる香りを放出させられます。
○嗅覚検査でアルツハイマーやパーキンソン病を早期発見

ところで「異なる香りを次々と入れ替えて嗅ぐ」必要があるシチュエーションとはなんでしょうか?

ソニーはNOS-DX1000の開発目的のひとつに「病院などで行われる嗅覚測定」をあげています。嗅覚測定は現在でも耳鼻科などで行われていますが、たくさんあるニオイのビンから目的の香りと濃度を選び、フタをあけ、試験紙を液に浸してニオイをチェックし(嗅いで)、ニオイビンのフタを締めて元の場所に戻す……と、ひとつのニオイをチェックするだけでも複数の手間が必要です。また、検査中はニオイ漏れがあるため、嗅覚測定をするには専用設備や場所が必要だといいます。

対してNOS-DX1000なら、これらの問題をすべて解決できます。NOS-DX1000は、アプリからニオイの種類と濃度を選ぶだけで、放出するニオイを簡単に切り替え可能。ニオイ放出後は香りが通った経路に空気を通して脱臭するので、前に放出したニオイが混在することもありません。

嗅覚測定というと耳鼻科の印象がありますが、ソニーによると、嗅覚測定は認知症の早期発見にも利用できるとのことです。

「いわゆる認知症と呼ばれるアルツハイマーやレビー小体型認知症、そして徐々に手脚が動かなくなるパーキンソン病といった神経変性疾患は、初期症状として嗅覚が低下することがあります。神経変性疾患の検査には脳脊髄液検査などがありますが、手軽な検査とはいえません。痛みなく手軽に検査ができるにおい提示装置(NOS-DX1000)は、医療従事者と患者双方にとってメリットの多いスクリーニング方法だと感じます」(名古屋大学 神経内科教授 勝野雅央氏)

○NOS-DX1000を体験してみた

発表会の会場には実機(試作機)も展示されていたので、実際にNOS-DX1000を体験してみました。次々と切り替わる異なる香りや、異なる濃度の香りを確認できました。

2016年にソニーは、スティック型のアロマディフューザー「AROMASTIC(アロマスティック)」を発売しました。これは密閉空間でも香りを拡散させすぎず、パーソナルに香りを楽しめる製品。しかも、気分にあわせて複数の香りを切り替えて楽しめる仕様でした。

ソニーによると、新しいテクノロジーのTensor Valveは、AROMASTICの技術を一部進化させて利用しているそうです。Tensor Valve製品の第1弾であるNOS-DX1000は、医療機関や研究用途向けの業務用製品ですが、今後はAROMASTICのような家庭で気軽に楽しめる製品がTensor Valveでも開発されるかもしれません。また、冒頭で述べたように、エンターテインメント製品への応用も楽しみです。

倉本春 くらもとはる 生活家電や美容家電、IoTガジェットなど、生活を便利にする製品が大好きな家電ライター。家電などを活用して、いかに生活の質をあげつつ、家事の手間をなくすかを研究するのが現在最大のテーマ。 この著者の記事一覧はこちら

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