貴重な存在です

近隣市には精神科のクリニックが複数あるのに、東大和市で精神科と銘打っているのはここだけです。 市内の総合病院にも、精神科やそれに近い科はありません。 東大和市は郊外の住宅地で住んでいる人も数多く、精神科の潜在的な需要は決して少なくないと思うので、現状は残念だと言わざるを得ません。 そんななかで孤軍奮闘しているのが、この多摩湖クリニックです。 数年前までは「多摩湖病院」という名称で、入院施設があったのですが、その後施設を廃止して外来専門のクリニックに生まれ変わったようです。 家族の付き添いで行ってみたのですが、建物は相当年数が経っている感じです。 昭和三十年代にタイムスリップしたかのようで、「台風が来たら大丈夫なのかな…」などと要らぬ心配をしてしまうほどです。 でも、待合室では水がサービスで飲めるし、割とリラックスできます。それにトイレは新しくて綺麗なので、ご安心を。 診察をしている院長先生は人当たりが良く、率直にものをおっしゃる方です。 あくまで患者の現在の状態に焦点を絞り、変に過剰な期待を持たせずに少しずつ治療を進めていく。そんな印象を抱きました。 「（薬の服用量の）０mgと２mgの間には大きな違いがある」。 これは、自分の家族が院長先生から言われた言葉です。 心の病気や不調は、階段をゆっくりと一段ずつ上がっていくように回復に向かっていくものです。 時には一段か二段降りてしまうこともありますが、「一段ずつ」でも上がっていくことが大切であると、院長先生は言いたかったのだと思います。 家族は、この言葉にずいぶんと励まされたようです。 東大和市やその近辺にお住まいで、何か悩みや精神的な不調を抱えている方は、「精神科」という科名の持つネガティブなイメージに囚われずに、ぜひ一度ここで診てもらうと良いと思います。 それが最初の一段になるのですから。 2007年12月07日