2025年03月19日14時05分 / 提供:Digital PR Platform
北里大学獣医学部 動物飼育管理学研究室(青森県十和田市)、エンペックス気象計株式会社(東京都品川区)、同大学発ベンチャーのライブストックジャパン株式会社(青森県十和田市)が、乳用牛の生産性に影響する牛舎の熱環境を一目で把握できる指標計“ヒートストレスメーター(HEAT STRESS METER Dairy)”を開発しました。この指標計の導入により、酪農家では適切な暑熱対策や牛舎環境改善が見込まれ、夏期の繁殖性向上や乳生産の増加による所得向上が期待されます。さらに、気候関連の危険や自然災害に対応できるレジリエンス構築の実現を目指している持続可能な開発目標:SDGsの達成と、家畜の快適性に配慮した飼養管理を目指すアニマルウェルフェアの実践にも寄与するものです。
熱環境の変化(暑熱・寒冷)は、家畜の生産性に大きな影響を与えます。近年では猛暑による家畜の斃死(へいし)や生産性の低下が深刻な問題となっており、酪農経営および酪農業界に深刻な打撃を与えています。一方で、酪農家における熱環境の制御は基本的事項のひとつですが、これまで暑熱対策は、多くの場合、経営者の勘や体感によって管理されており、結果的に生産性の低下を招く一因となっています。さらに、温暖化の進行と異常気象のリスクは今後も高まることが予測されているにもかかわらず、酪農家が気候変動適応策を実践するための技術情報は不足しています。
北里大学獣医学部 動物飼育管理学研究室では、家畜に対する熱環境の影響評価と対策技術に関する研究を進めており、これまでの研究において、温度と湿度から算出される温湿度指数(THI)が、温度や湿度単独よりも、家畜に対する暑熱・寒冷ストレスをより正確に評価できることを明らかにしてきました。また、家畜に対する熱環境の影響は、畜種や発育ステージ、生産物(乳・肉)で異なることから、生産現場において家畜を管理するための熱環境に関する情報が望まれていました。
[ 続きを読む ]