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シベリア鉄道9,300km、モスクワへの旅 第2回 シベリア鉄道で約1週間の旅行、どう楽しむ?

2019年01月03日07時58分 / 提供:マイナビニュース/旅行

突然ではあるが、読者の皆さんは「シベリア鉄道旅行」と聞いてどんなイメージを思い浮かべるだろうか。約1週間にもわたる長期間の鉄道旅行だけに、なかなかイメージしづらいかもしれない。今回は鉄道ファンから見たシベリア鉄道旅行の楽しみ方と、シベリア鉄道のリアルな姿について紹介する。

○■河川や住宅の移り変わりも車窓のポイント

海外であっても、鉄道旅行の最大の楽しみは車窓風景を眺めることだろう。誤解を恐れずに書くならば、シベリア鉄道の車窓はそれほど変わらない。来る日も来る日もシベリアの平原を見ることになる。

淡々と続く景色の中で、良いアクセントとなるのが河川だ。極東ロシアの主要駅であるハバロフスク駅を過ぎたら、ぜひ車窓に注目してほしい。ロシアから中国へと流れる国際河川アムール川(黒竜江)が見られる。筆者が車窓からアムール川を見たのは11月末であったが、すでに凍っていた。

アムール川に限らず、ロシアの河川はスケールが大きく、見る者を圧倒する。シベリア最大の都市、ノボシビルスク駅の近くでは、オビ川の美しい朝焼けを見ることができた。

ちなみに、乗客が言うには、シベリア鉄道においておすすめの車窓風景は世界で最も深いバイカル湖だという。筆者が乗車した列車はバイカル湖付近の区間を深夜に通過したため、今回は残念ながら見られなかった。

車窓風景といえば、住宅の移り変わりにも注目したい。極東ロシアからシベリアにかけての区間では、木造のシンプルな住宅が目立った。一方、ウラル山脈を超え、ヨーロッパ・ロシアに入ると防風林が立ち並び、その向こうに近代的な住宅が並んでいた。こうしたところにも、アジア・ロシアとヨーロッパ・ロシアの違いを感じずにはいられない。
○■長時間停車する駅では蒸気機関車に注目

シベリア鉄道の長距離列車は、主要駅で20~50分ほど止まる。外に出られる貴重な機会だけあって、気温がマイナス20度であっても多くの乗客がホームへ降りる。筆者も主要駅に長時間停車するたびにホームへ降り立った。

このような長時間停車する駅では、駅周辺の蒸気機関車を探してみてほしい。シベリア鉄道の主要駅では、かつて同鉄道で活躍した蒸気機関車が静態保存されることが多い。

たとえば、エロフェイ・パーヴロヴィチ駅の場合、蒸気機関車Эм726-88号機が静態保存されていた。ロシアの鉄道サイトによると、同機関車は1933年にゴーリキー(現ニジニ・ノヴゴロド)で製造されたとのこと。主要駅にある蒸気機関車を順々に撮影していくと、スタンプラリーのようでじつに面白い。

シベリア鉄道では電気機関車の交代も行われる。筆者は直流3,000Vから交流25,000Vに変わるバレズィノ駅での機関車交代を観察した。新鋭のЭП2К型電気機関車から旧チェコスロバキア製のЧС4型電気機関車に交代する様子は迫力満点。軌間が1,520mmだけに、日本にはない迫力を感じる。

シベリア鉄道の主力は旅客輸送ではなく、あくまで貨物輸送。日本では見られないような長編成の貨物列車が主要駅に止まっていることも多い。

なお、日本郵政では2018年8月1日の引受け分から、シベリア鉄道を活用した欧州13カ国宛の船便郵便物の輸送を開始しているそうだ。アジアとヨーロッパを結ぶシベリア鉄道が、貨物輸送で果たす役割は今後さらに大きくなるかもしれない。
○■シベリア鉄道沿線の路面電車も楽しい

シベリア鉄道をただ乗り通すのも面白いが、時間があれば沿線で活躍する路面電車などにも乗ってみたい。ロシアでは減少傾向にあるものの、多くの街で路面電車が走っている。筆者はシベリア鉄道の東の起点、ウラジオストクを走る路面電車に乗った。

かつて、ウラジオストクには10系統もの路面電車が走っており、ウラジオストク駅にも乗り入れていたという。しかし、2009年から廃止が進み、現在ではミンヌイ・ゴロドク~サハリンスカヤ間を結ぶ6系統しか残っていない。

実際に乗ると、軌道の状態が良好ではないため、よく揺れる。並行して走るバスにも追い抜かれ、西欧の路面電車とはまったく雰囲気が異なる。バスよりも料金は安いが、中心部には乗り入れていないため、6系統の存続も厳しいように感じられた。

それでも、昔ながらの路面電車に乗車でき、女性車掌からかわいらしいスタンプが押された切符を購入するなど、日本にはない楽しみも隠されている。ウラジオストクではその他にも、レトロなケーブルカーもおすすめしたい。
○■シベリア鉄道を乗り通す乗客は意外に少ない

最後に、シベリア鉄道の利用実態について簡単にレポートする。ロシア人の利用者の中で、ウラジオストクからモスクワまで乗り通す客は皆無に近い。ブリヤート共和国のウラン・ウデからモスクワまで乗り通す客も、親子連れ以外は見当たらなかった。実際、ロシア人の乗客にモスクワまで行くことを伝えると、驚きの表情で見られた。

シベリア鉄道において、最も車内がにぎわったのはチタ~エカテリンブルク間だった。エカテリンブルクからモスクワに近づくにつれ、乗車は減っていった。乗客に聞いても、「シベリア鉄道はシベリア中央部での利用が最も多い」とのことだった。

チタから乗車したブリヤート人にも話を聞いたところ、空港がある大都市から空港がない中都市、小都市へ行く場合にシベリア鉄道を利用するという。「飛行機が使えるところでは、シベリア鉄道は利用しない」という答えが、シベリア鉄道の利用実態を象徴しているように思えた。

今後、ロシアでもLCC(格安航空会社)による運航が広がるだろう。飛行機とシベリア鉄道はどのように役割分担が進むのだろうか。やはり旅客輸送は飛行機、貨物輸送は鉄道という流れか。シベリア鉄道を全線走破した筆者としても、ますますシベリア鉄道の動向から目が離せなくなった。

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