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なぜ『シン・ゴジラ』は女子たちをヒートアップさせたのか? 「内閣の周辺、顔面偏差値が高すぎ!」胸キュンポイントを赤裸々トーク

2018年12月16日13時30分 / 提供:ニコニコニュース

 2016年に公開され、日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞し、興行収入82億円を記録した映画『シン・ゴジラ』。
ニコニコニュースでは12月16日(日)21時からの地上波放送にあわせて、過去の『シン・ゴジラ』にまつわる人気記事をピックアップ。

 本記事では2016年9月に放送されたニコニコ生放送『シン・オタク女子文化研究所』にて行われた、編集者の両角織江氏、社会学者の金田淳子氏、ライターの西森路代氏、編集者のひらりさ氏による『シン・ゴジラ』トークをお送りします。

 映画公開当時、女性限定鑑賞会議が開催されるなど多くの女性ファンをも虜にした『シン・ゴジラ』。「公務員萌え」「ゴジラの可愛さ」「ツボを押さえた出演者」の3つをテーマに『シン・ゴジラ』の魅力をオタ女視点で熱く語りました。
『シン・ゴジラ』
(画像はシン・ゴジラ DVD2枚組Amazonより)

※本記事は2016年9月9日に公開した記事を編集し、再掲載したものになります。また、本記事には『シン・ゴジラ』のネタバレが含まれます。ご了承の上でご覧ください。

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まず『シン・ゴジラ』を観た感想は?
金田:
 私は2回観てるんですけど、たぶんこの中で私が一番辛口でしょうね。今日は攻めの姿勢、総攻めでいきます。ツイッター見ている方はご存知だと思うんだけど、なぜ私がキレているかもお話します。

ひらりさ:
 私は4回観ました(女性限定鑑賞会議も参加)。ゴジラどころか怪獣映画全般に今まで興味がなかったんですが、単純に映像として観ていて気持ちいいなと思いましたね。なんかマタタビみたいな感じで、またすぐ観たくなるって感じで……(笑)。

両角:
 私も1回目を見終わった後に疾走感があって、あまりに気持ちよすぎて、レイトショーで見た後にそのまま27時の回を予約して、新宿ピカデリーから東宝シネマズに移動してもう1回観に行きました。でも、それくらい観終わった後の気持ち良さがありますね。

西森:
 3回観たんですが、1回観てからは「これは誰かと語らねば」と2回目以降は人を誘って観に行きました。
『シン・ゴジラ』には“公務員もの”“官僚もの”としての面白さがある。
西森:
 そう、まず会議だらけですよね。

両角:
 『シン・ゴジラ』って“公のために働く人たちのお話”ですよね。こういうのは描き方のジャンルとしてあって、同列に挙げられるとすれば『踊る大捜査線』とか『機動警察パトレイバー』のような公務員が中心となる作品があるかと思うんですが、『シン・ゴジラ』もその流れにはいると思います。庵野監督が『日本の一番長い日』という映画を意識したという話もありますが、みなさんはどの辺りが印象に残りました?
(C)2016 TOHO CO.,LTD.
西森:
 矢口蘭堂が最後のほうで「上が誰であれ国民のためにやれることをやるだけだ」みたいな感じのことを言っていたところですね。この人はずっとそういうふうに受け止めて働いていたんだなぁって、あとになってしみじみと。

金田:
 おそらく『踊る大捜査線』でも会議シーンはあったけど、本来はやっぱり現場のほうが盛り上がりますよね。警察もそうだけど、海上保安庁が出てくる『海猿』もそう。あと、自衛隊ってテーマとして一番作りやすいと思う。でも『シン・ゴジラ』はメインが政治家で、あとは事務方っていうのが確かに面白いと思うし、その彼らの会議シーンが面白いっていう人が続出してるっていうのが、新しいと思いました。あ、でもゴジラの映画として新しいのかどうかは知らないんだけど。
シビリアンコントロールみ=「シビコン」が感じられるよね!
両角:
 ゴジラから逃げる人々や、彼らが助かるという筋を描いている作品もあったけど、ゴジラに対抗してる人々の会議が前半のメインになってるのが面白いですね。しかも、その会議に縛られてうまく動けない人達の可笑しさ、みたいなのも良かったです。

金田:
 うーん、でも私はあれは風刺ではなく、法治主義の理想的な形として描かれていると思っていて、あのシーンは手続き上すごくしっかりしたものだな、と思って観ていました。

西森:
 そう、だって「撃ちますか? 撃ちますか? 撃ちますか?」って3回聞いて、4回目くらいにやっと総理が決断するのってすごく慎重。

金田:
 そう、あれは法律で決められてるから。たとえば自衛隊が「うわぁ~も~撃ちてぇ~!」ってやらないのが文民統制の正しいあり方だと思うんですよ。そう、これ“文民統制み”よ、“シビリアンコントロールみ”……シビコン! それを私はすごく感じたし、会議会議の繰り返しで1つの法案も動かないって言いながら、ファイルを落としそうになってる人々がいるんだけど、それは風刺ではなくて、私に言わせれば「仕方ねえじゃん」の一言です。そりゃ、私もその場にいたら「会議会議じゃねえか」って言うだろうけれど、
あのシーン、実際の官僚たちの姿とほぼ同じらしい
ひらりさ:
 私は法学部出身なので、周囲に官僚もけっこう多くて、現役で働いている友人に感想を聞いたところ、「ゴジラきたらがんばろって思った」と返ってきました。

両角:
 じゃああの辺の描写って現実に則った感じなんですかね?

ひらりさ:
 そうなんですって。「官僚あるある」が多すぎて笑っちゃうので本筋に集中できなくて困ったと言ってました。キングジムのファイルにしても、リコーのコピー機にしても、ガーッとしゃべる感じにしても…。

金田:
 じゃあ、あの有事の際にコピー機をガーって動かすシーンも?

ひらりさ:
 そう、ああいう感じらしいです。あと、あの情報量の多いまくしたてるようなしゃべり方も、そのまんま一緒だって言ってましたね。

両角:
 「総理ご決断を!」っていうのも?

金田:
 あれは公務員じゃなくてオタクしゃべりだと思うんだよね(笑)

ひらりさ:
 官僚の方たちって、ゴジラだったり震災だったりといった、目に見える大きな脅威がなくても、毎日せわしなく働いているわけなんですよね。有事と平時ではレベル感は違うでしょうけれど。

西森:
 え、じゃあふだんからああいう感じの会話なんですね……。

金田:
 あの会議シーンでは、うろたえたり興奮している人がほぼいないんですよね。それって通常の時と同じような会議だからだろうなっていう感じはする。

ひらりさ:
 そう、秘書官が背後からメモを渡すシーンなんか、本当に似てるって言ってましたね。
 わたしは、あの“メモを渡されてしゃべってる風のしゃべり方”を演技で見せるのってすごく大変だろうなって思いました(笑)。

金田:
 あっ本当だ!  メモ渡されたからしゃべるっていう演技って難しいよね。
日本人はシビリアンコントロールが観たいのかも
ひらりさ:
 あと、わたしがいいなあと思ったのは、「みんなで決めてる」話だってところですね。総理総理って連呼して決断を迫るシーンが前半では何度もあるんですけど、あれは結局総理が決めているわけじゃないんですよね。最初に総理が何か大きな命令を出す時には総理の顔は写らないでいて、撃つ時になって総理が「うん」って言ってるのが見えてくるようにはなるんですけど。

金田:
 あれは合議ですよね。みんなで言いつのって「やれ」って言わせているように見えるんだけど、あそこ2,3人しかいないわけじゃないし、銃をつきつけられてるわけでもないから。あ、そういえば「承認お願いします」ってシーンで、私毎回、アニメの『ガオガイガー』の「ファイナルフュージョン承認!」のシーンみたいだなって思ってて(笑)。

一同:
 …わからない。

金田:
 あ、分かりませんか(笑)。97~98年に放映された『勇者王ガオガイガー』というアニメがあって、あれも公務員の話なんですけど、主人公が、敵と戦うために変身するかどうかの承認を下さいって毎回言うんですよ。で、長官が「ファイナルフュージョン承認!」って言ったら、事務方のオペレーターが「ファイナルフュージョン承認!」って、起動スイッチの入ってる、目の前のガラスを割るの、バーンっつって。これ「シビコン」ですよ。変身するのに承認がいるのも面白いんだけど、ガラス割るのも観たくて見てた(笑)。

ひらりさ:
 “シビコン”が観たいのって、やっぱり日本人っぽさなのかもしれませんね。

金田:
 あ、でもアメリカだってシビコンなはず。ま、確かにアメリカって大統領自身が戦いに出てったりする面白映画も多いけど。

ひらりさ:
 それを考えると、矢口も最後は現場に行ってるんですよね。でもあれって、自分がヒーローになるためとかじゃなくて、「いくらでも替えがきくから」っていう理由で現場に出ていってるんですよね。

金田:
 そうそうそう。いくらでも替えはきくし、あそこで実際に「放射線量がものすごいことになってるんだけどどうしますか」って聞かれた時に「どうしますかどうしますか」って悠長にやってる場合じゃないから、それで行くってことになったんだろうね。替えなら泉ちゃんもいるし、赤坂さんもいるしってことで。

西森:
 私は、彼がヒロイズムに酔わない感じがいいなって思いましたね。
公務員と政治家がごっちゃになってる人が多い!
金田:
 ほんと、シビコンについて楽しく語ってるところで申し訳ないんですけど、公務員と政治家がごっちゃになってて、ちゃんと説明できない人多いと思うんですよ。私は「その2つは明らかにちがうだろ」って思ってるので、この公務員と政治家の違いについて今から説明します。

西森:
 他のドラマではあまりこんがらがることないけど、『シン・ゴジラ』に関しては、最初は情報量が多くて、セリフだけで判別できなくて、途中、ああ矢口は政治家だったのかと気づきました。ツイッターで、政治家と官僚を簡単に判別するにはバッジを見たらいいよというのを見て、二度目からは大丈夫でしたが。

両角:
 私はおおざっぱに「国側の人」って認識で最後まで観てました。

西森:
 私は矢口のあり方が何となく政治家っぽくなくて、途中のセリフで「あ、この人政治家だったんだ」って気づいたんです。

金田:
 ただの公務員かって思ってる人もいるだろうけど、あの人、内閣官房副長官だから。
「5分で分かる公務員と国会議員の違い」金田氏が作成した資料
金田:
 まずは三権分立。これによって、公務員と国会議員を区別できるっていうのを説明します。三権分立で一番強いのは国会。ここは法律を作るところ。ここに集っているのが国会議員。で、この人たちは何で選ばれるのかというと、皆さんご存知の選挙。私たちが選んでおります。

 この国会議員は公務員なのかっていう議論はあるんですけれども、この人たちには何ができて何ができないのかっていう根拠法が公務員と違うので、やっぱり国会議員は公務員ではない説が有力です。

 そして、この国会議員の面白いところは、というか着目しなきゃならないところは、ほとんどの国会議員が日本の場合政党に所属していて、国民というよりも政党に束縛されてるってことです。作品中でいえば、泉修一が国会議員であり、かつ与党の政調副会長です。
あの登場人物はのちに国政選挙に出る可能性大!
金田:
 それとは違い、公務員と呼ばれる人たちも出てきます。これは三権分立の「行政」。ここには国家公務員と地方公務員がいます。この人たちは試験で選ばれます。おそらくこの作品に出てくる公務員は、昔はⅠ種試験と言われた、一番難しい総合職試験を通過したエリートたちです。

 たとえば尾頭ヒロミさんは、環境庁課長補佐。はぐれモノとかいわれてましたが、たぶんみんな総合職試験に通ってると思います。キャリアということですね。そして安田龍彦、統合幕僚長の財前正夫。そして内閣官房副長官秘書官、志村祐介。この人は防衛省から出向しています。矢口にくっついていますけど、この人は矢口とは立場が違うんです。
 ただ、ひとつこれポイントなんですが、国会議員の秘書になってる人って、のちのち国政選挙に出ることが非常に多いです。だから彼も「もっと矢口先生を補佐したい」とか言って、公設秘書だったのをやめて選挙に出る可能性はとても高い。

 で、最後に、今回映画には出てこないんですが、三権分立の「司法、裁判所」。試験によって選ばれた裁判官等で構成されています。
彼らは超エリートだった
金田:
 しかし、この世には国会議員でありながらも「特別職の公務員」になってしまう人もいます。これがこの映画にたくさん出てくる人たちなんですよ。特別職の公務員っていうのは、国家公務員法第2条第3項各号に示されている超トップの人たちだけです。だから行政職に関しては全体で20人とか30人とかしかいません。

 たとえば総理大臣、国務大臣、内閣官房長官、副長官。あと司法職の裁判官、これはそこそこ多いですけど。作品中でいうと、最初の総理である大河内さん、赤坂秀樹、そしてオレ達の矢口蘭堂!

 彼らは特別職の公務員でありながらかつ国会議員です。そして超エリート。ちなみに日本は議院内閣制というのをとっていて、総理大臣が国会第一党党首であることが定められていて、かつ国務大臣の半分以上が国会議員でなければなりません。

 で、この人たちは任命をされるんですけど、「公務員でありかつ国会議員でもある」っていう特別な職業になるわけですよ。たぶん、このあたりでごっちゃになってきちゃうんだと思うんですよね。

矢口蘭堂がいる「内閣官房」ってこういうところ
金田:
 そして、私たちが気になっている内閣官房。これ、内閣法に基づいて内閣に設置されています。矢口蘭堂がいる内閣官房、これは総理大臣を直接サポートするための組織。そして、すべての省庁よりも上に位置しております。ここに数百名いる人たちはほとんどが各省庁から出向してきた人たちです。だから各省庁とのレクができるわけですよね。

両角:
 皆さん専門知識を持っているんですよね?

金田:
 そう、専門知識を持っているし、その人たちが省庁のことを教えてくれるし、省庁に戻って連絡をとってくれる、っていうわけ。そして作品中にもありましたけど、内閣官房の一部は総理官邸におかれています。

 はい、そしてこれ、「内閣官房長官は、総理の女房役と呼ばれ、総理がどの国務大臣よりも先に任命」します。まぁ、懐刀っていうのかな。

 で、内閣官房副長官は3名。これはどこの3名かということは決まっていて、衆議院参議院から各1名、これが政務担当、もう一人は事務方、キャリア官僚、これは事務次官経験者。

 さらに、総理大臣、国務大臣や内閣官房トップあたりは「認証職」が多くて、これは特別な職です。どう特別なのかっていうと、天皇の任命が必要なんですね。だから、矢口を副長官にするって決めた後、天皇が書面でそれを「ファイナルフュージョン承認!」っていうのをする名誉な職なんですよ(笑)。

 内閣官房副長官の待遇は副大臣と同等。若手政治家の登竜門ポストで、この後要職を歴任することが多いんですね。だから「矢口、全然はぐれ者じゃねえじゃん!」って思うわけですよ。

 で、内閣総理大臣補佐官。これも内閣官房内におかれてて定員は5名以内。この人達の中で、国家安全保障に関する重要政策の担当者が指定されています。これが赤坂さんですね。エリートです、はい。
内閣官房と内閣府は違う
金田:
 ちなみに、内閣府って言葉も今回作品中にもよく出てくるんだけど、「内閣府」と「内閣官房」ってかなり違ったもので、「内閣府」は内閣設置法に基づいて内閣に設置されるんだけど、やや小さい案件を担当するんですね。各省庁の連絡調整とかいろいろやるんですけど、他の省庁が担当してないニッチな部分をやるところなんですよ。で、さらに特命担当大臣っていうのが毎回、組閣の目玉として出てきたりするんですね、少子化担当とか、そういう元々は設置されてない大臣が内閣府の中に置かれるんですね。だから、内閣官房と内閣府っていうのは別ものなんです。

両角:
 なんでもやる課みたいな。

金田:
 そうそう。で、今回はみんなの好きな重要人物を分けてみました。
作品中に出てくる政党ってどの党?
金田:
 今回はみんな一緒に働いてるんで、同じ立場の人たちに見えるんですが、国会議員のほうが制約が多いはず。この作品内では、上の人が5人くらい死んじゃった程度のことで、わりと若手が生き生きといろんなことができるようになってますよね。でも私は「なんか人材少なっ!」みたいな感じがしています。保守第一党という記述で「あ、あの党だな」ていうのが分かるんだけども、「あの党にしては人材薄くない?」みたいな気持ちにしかならないんですよね。私はちょっとそこが不満点なんです。

 たとえば日本のとある大政党だと、総理経験者の人ってずーっと権力持ち続けているわけですよ。たとえば「オリンピックのことだったらMさんに聞かないとなんともできないよ~」みたいな状況があるはずなんです。そういう人たちが超いっぱいいるはずなんですよね。なのにその影がまったく見えないなって。だから、もしかしてあの党ではないんじゃないかっていう気もしてますね。ま、それによって公務員っぽさが出るっていう面もあるんだけれどもね。

両角:
 ま、そのあたりは他を描くために抜いたのかもしれませんね。

金田:
 そうそうそう、めんどくさいしっていうことなんでしょうけれどもね。なんか、党内調整とかしないんだよな。まぁ、描きはじめたら2時間じゃ足りないし、それを描きたかったわけじゃないだろうしね。ただ私はこれ、もしも、書きたくてもかけなかったからではなく、物語内整合的に世界観を考えた場合には、ここでモデルとなっているのは、今の例の党ではないなって思うわけです。

両角:
 3.11の時の与党ではないかって声もありますね。

金田:
 あ、それだったらまだ分かりますね。

西森:
 キャラクターからしても、今のあの党にいる人たちとは性格的に違う感じですよね。

金田:
 合議で議決するみたいなイメージ、今のあの党って感じではないかなぁ。

両角:
 あの描き方だといろいろ想像しやすい感じには作られてる感じではありますよね。

ひらりさ:
 矢口蘭堂に関しては、苗字が「小泉」のあの二世議員ではないかっていう声もけっこうあります。

金田:
 矢口さんは、はぐれ者とか言ってますけど、超エリートコースを歩んでいるため、赤坂さんが「出世するためには何でも使っていく、そんなところが俺は好きなんだ」みたいなことが言ってましたね。そういうところは確かにあるかもしれないですね。

西森:
 本人の演技だとそういう人には感じられないんだけど、他の人が矢口について語る場面で「あ、矢口ってそんなところがある人なんだ」って思いました。

両角:
 成りあがってきた人かと思ったら二世だったっていう、そういう人物造形も面白いですよね。
彼女がフィクションっぽいのはなぜ?
ひらりさ:
 この映画って「人間が描けていない」みたいな批判もよく聞きますけど、そういえば、自分の事情がからんで何かを犠牲にしている人って、カヨコ・アン・パタースンしかいないんですよね。だから、わたしはむしろ、彼女だけフィクションぽく見えてしまうのかなって思いました。
(C)2016 TOHO CO.,LTD.
金田:
 カヨコって造形がフィクションぽいっていうのもあるんでしょうけど。でも私の場合は、他のところでもわりとフィクション度高いと思ったので、そこまでは浮いて見えなかったな。というか、たぶんリンゴをかじらなかったとかそういうのもあって、ポイントが逆に高いっていうのかな(笑)

両角:
 今回はリンゴかじってなかったですよね(笑)

西森:
 何、それ分かんない(笑)

両角:
 長谷川博己さんと石原さとみさんが出ている他の作品でそういうシーンがあったんですよ。まぁ、カヨコさんがちょっと異質なのは、単にアメリカからきた人っていうのも大きいかなぁとも。
今回の映画には◯◯な人がまったく描かれていない
両角:
 ところで、彼らは憲法に縛られていて、政党にはそんなに縛られているわけじゃないけど、どうにかして状況を変えたいみたいなところってありましたよね。たとえば『踊る大捜査線』で、青島さんが室井さんに「現場を変えるにはあなたが偉くなってくれないと」って、警察内部と闘うみたいなことを言うシーンがあったように。そういう内側との格闘も公務員ものの面白いところだと思うんですよ。

西森:
 自分の出世欲で上に上がろうっていうのではなく、この状況をどうにかしたいという想いだけで上を目指すっていう点では、矢口も室井さんと同じ気持ちなのかなと思いましたね。

ひらりさ:
 なんか一貫して現場にいる感じでしたよね。会議室も現場だし、第一線も現場だし、全部が地続きみたいな感じ。

両角:
 なんか、ゴジラと戦うというひとつの目的のために現場が一束になっていくっていう感じでした。

金田:
 政治家が決めたことを、実際に戦う自衛隊の人たちが「机上の空論だ」「俺達はそうは思わない」とか不満を言ったりしていると、なんとなくそれっぽくなるっていうのもあるんでしょうけど、今回の映画には不満を言う人たちがまったくいないっていう、なんか理想的な状況っていうのが描かれてましたね。
平泉成さん演じる里見農林水産大臣(後の総理)の例のシーンについて
両角:
 今回、いろんなキャラクターが描かれていましたが、「公人とはこういう人だ」というイメージが作られがちなところを外して見せてもらった感じがするんですよね。里見さんも含めけっこう食えない人物だったり。それぞれのキャラクターに意外性があった。

金田:
 のちに総理大臣になるあの人、やりたくないし死んでないのに五階級特進みたいな里見さんね。かつ、責任とってやめたのも「総理の描いた絵さ」みたいなあの人ね(笑)。

ひらりさ:
 そういえば、最初の方の会議で「里見農林水産大臣は外遊中のため欠席」っていうあのテロップがめちゃくちゃ伏線になってるんですよね。

西森:
 そう、なんかフワッとしてる人でしたよね。ラーメンがのびちゃうなんてぼやいてたり(笑)。

ひらりさ:
 大河内総理は「総理」って呼ばれてるけど、なんとなく里見さんは個人って感じでしたね。

両角:
 ゴジラを力技で倒すなんてことをしている裏で、里見さんが動いてたっていうのもなかなかですよね。

金田:
 ああ、フランスの人にずっと頭下げててね……。

西森:
 「あの人ああ見えて外交みたいなことができる人だ」とかって言われてましたよね。

金田:
 私、カヨコと外国人の人が「日本にもこんな狡猾で政治的なことができるのか」って言ってたけど、24時間待って下さい的なことくらい普通言うじゃんって思った。

西森:
 あ、でもあれって、データを出して海外に分析してもらったり、そういうことも意味してたんじゃないですかね。

金田:
 あ、まぁ確かにね。でも、ロシアにも中国にもアメリカにも頼れないから、じゃあ原発いっぱいもってるフランスだ! ってフランスに行ったわけだけど、「え、これってそんな狡猾?」って思ったなぁ。だってとんでもない事態なわけだし、そのくらいはするでしょって思った。

両角:
 里見さんは、来たものを受け入れるだけという感じの印象の人が、実は裏で国のために動いてて頑張っているっていうところに、私はグッときましたね。

西森:
 今までずっと、現実にも、この国は外交として狡猾なことってできないんじゃないかっていうイメージがあったので、それをくつがえして外交ができたんだって思うとぐっときましたね。でも、映像にするとなんかずっとこう頭下げてるシーンになるんだなって(笑)。

金田:
 私はね、「え、そこ会話じゃないんだ!?」って思った。

ひらりさ:
 でも、あの頭を下げるシーンって、あの一瞬だけで、何が起きているのかが一瞬で伝わるからすごいですよ(笑)。

金田:
 うーん……ただ、あそこはやっぱり、国連も「核兵器落としたくて落としたくてたまんねー」みたいな感ではなかったから可能だったっていうのもあるんだろうけれども、「赤坂さんが粘り腰だから」とか「フランスだったらやってくれる」とか、言葉での説明が多くて、そこに畳みかけるように「日本もなかなかやるじゃないか~」みたいになっていって、私はあそこで「あ? あ!?」みたいな気持ちになりましたね。

西森:
 私はあそこが一番盛り上がったかも(笑)。

ひらりさ:
 私は、あの無人在来線爆弾のせいで、そのあたりへのツッコミができない頭になっちゃってましたよ(笑)。

金田:
 あ、私も無人在来線爆弾は大好きですよ。あんなもの出されたらもうね(笑)。
「巨大不明生物特設災害対策本部(巨災対)」って普通の人がいないよね
ひらりさ:
 私は、高橋一生さんのインパクトが強すぎて、3回観るまで安田という役名が全然入ってこなかったです(笑)。

両角:
 普通のドラマだと、名前を呼びかけたりすることでこの人の役名は何かっていうのを分からせる場面を作ったりするのだけど、今回は時間の関係かそういう前段階を省いて全部字幕にしたというのもありますよね。

ひらりさ:
 今回、一番リアルじゃないのは、鈴木とか田中が出てこないってことですよ。

一同:
 あ、そうかも!
(C)2016 TOHO CO.,LTD.
西森:
 そもそも巨災対の人たちって、家にも帰らないし、家族の存在もあまり出てこないしで、日常生活が見えないって言われてましたけど、別に普段から、みんなの考えるような暮らしとかしてないと思うんですよ。それって、自分のような人からしたら、すごく安心することで。特に安田の目の動きとか…。

金田:
 え~、私は作品中でそう言われてたからそう思ったけど、そんなに変わった感じでもありませんでしたよ?

西森:
 あ、それは金田さんだからですよ、だって金田さんは巨災対にいてもおかしくないと思うもん(笑)。

金田:
 私、あそこにいておかしくないのか……。でも、挙動不審な感じのああいう人ってけっこう大勢いるよ?

西森:
 だからそれは、金田さんがそういう人がいっぱいいる場所で生きてるからで(笑)。私もどっちかというと、挙動不審なほうですけど。

両角:
 金田さん、東大法学部ですよね。あの映画に出てきそうな人たちが、きっと学生の頃から身の周りにいたと思うんですけど……。

西森:
 ああいう感じのしゃべり方の人とかね。だからこそ、そのキャラにまどわされないで厳しい目線で観ることができるっていうのもあるのかな、とも思います。

金田:
 確かにエリートに対する厳しい目線っていうのは私の出自からきてるんですけれども、逆にオタクっぽい、はぐれモノに対する優しい目線っていうのもその出自からきてるんですよ。

ゴジラ可愛い!ゴジラの萌えポイントと、気になるあのシーンやあのセリフ
両角:
 さて、今度は「ゴジラの可愛さ」について、ちょっとお聞きしたいなと思ったんですが、
金田さんは私物の蒲田くんを持ってきてますね。

金田:
 これは私物で3000円くらいですかね。なんか今、ツイッターで自分で作ったゴジラのぬいぐるみがけっこう流れてきてて、もう早く売ってよ!っていう感じですよ。

ひらりさ:
 ゴジラが壊した街をゴジラのゆるキャラで復興していくスピンオフが観たいです!

両角:
 どの形態のゴジラが可愛かったか、アンケートをとりまして、その結果がこちらですね。

金田:
 あ、やっぱ第二形態だ、蒲田君だ。第四形態はやっぱかっこいいからね。第一形態選んだ人すごいよね、海洋生物マニアだよ。

両角:
 でも第二形態って、最初に観たときびっくりしませんでした?私、最初は、この子がゴジラと戦うんだって勘違いしちゃって。

金田:
 私もゴジラじゃないって思った。観る前からさすがに第四形態の姿を知ってたんですが、それとは色も違うし。

ひらりさ:
 赤いグジャグジャがビシャーッて出てるあの蒲田くんがダメで、ちょっと見られないっていう人がいますよね。グロそうだからイヤだみたいな声もけっこうありましたよね。

金田:
 キモイって思われがちかな、目が死んでるのとかね。私も最初はキモイって30%くらいは思ったはずなんだけどなぁ。

両角:
 でも、最初は引くけど、二回目は可愛いってなっちゃう(笑)。

西森:
 ツイッターでかわいい蒲田君を見たおかげで、二回目以降は可愛く見えてくるっていうのがあったかも。

金田:
 そうそう、2回目からは「ほんと可愛いなぁ、この動き」って思った。

両角:
 みんな「キモ可愛い」にシフトしていく感じですよね。

ひらりさ:
 そういえば、矢口が初めてゴジラを見たときに、完全に魅入られた顔をしてましたよね。

金田:
 そう! あれはもう人が恋に落ちた瞬間を見てしまった感じ。

西森:
 他の人に「もう行きますよ」って促されてるのに、一人だけずっと見ていたいみたいな感じでしたよね。そういえば原子力規制庁職員の黒田さんも、パソコンでゴジラのDNAを見ながら「ふふふ」って半笑いしましたよね。

金田:
 あ、確かに黒田さんは笑ってたし喜んでた。まぁ、ゴジラと黒田と矢口との三角関係だな。

西森:
 でも、黒田さんはゴジラの形態ではなくて中身が好きなんですよね。

両角:
 矢口さんは一番最初から携帯で動画観てました。

ひらりさ:
 矢口さんはゴジラと会った時も「もっと違う形で出会いたかったよ俺たち」みたいな顔してましたよ。

金田:
 もう完全に『君の名は。』みたいな感じで恋してる感じだね。

両角:
 このゴジラってキャラクターとして見ていくと「慣れていく」っていう感じですよね。放射熱線を吐き出すところなんかは、やっぱ怖いって思いますけど。

金田:
 私はあそこのBGMが庵野さん的ですごいよかった。

両角:
 絶望的な感じが出てました。

金田:
 絶望っていうか、私はあそこはなんか神々しくて、自分がそこにいなくて安全だから言えるっていうのもあるんだろうけど、なんかまさに神だなって思った。思いがけずいろんなところから光が出てたりしてて、美しいなって。シン・ゴジラのいいところを3つ選べっていわれたら、あの神々しいシーンと無人在来線爆弾と蒲田君だな。
ラストの尻尾の謎、どう思いました?(C)2016 TOHO CO.,LTD.
西森:
 私ね、鈍いから全然気づかなかったです。

金田:
 何人もの人間が苦しそうにしている?みたいな映像で終わるんだよね。

両角:
 そこをさまざまな解釈をしてる人がいるんだけど、たぶんそこは明確な答えを持たせずに作ってるんでしょうね。

金田:
 私、尻尾の先に人間が一人だけ見える映像も見たんだけど、それが牧教授なのかなって思った。牧教授がゴジラを呼び覚ますだとか、ゴジラと一体化してるだとかいろんな説があるのでね。私はてっきり、尻尾がヘビになっているニワトリで、実はヘビの部分が本体である「コッカトリス」みたいな生物なのかなって思ってましたね。

両角:
 私は、最終的に進化していく過程で、人型になっていき、ぎりぎりのところで凍結したのかなって。その名残が尻尾の先に現れたのかと。

金田:
 すごいたくさんのゴジラになって群体化して飛散してくみたいなのもありますよね。まぁ、あまりはっきりと分かる感じではなかったし、牧教授の謎も解かれないままだし、まぁ好きに解釈してっていうエヴァンゲリオンの時と同じような感じなんですかね。

西森:
 あの教授のメモの「好きにしろ」みたいなのも、最初は何の事か全然分からなくて、3回も見てると、ほんとそれが気になっちゃって、じゃあ4回目も観るかって気になってるんですけどね。

両角:
 すごく凝縮されていてスピーディに作られてるので、観れば観るほどにいろいろ想像出来てしまうという面もありますね。
凝固剤はゴジラの◯◯から入れたほうがいいかもしれない
ひらりさ:
 もしかしたら巨災対で、金田さんのBLの知識が必要になるっていうこともあるかもしれないですよね?

金田:
 それだ!! BL担当官として呼ばれたらふつうに行く(笑)。

ひらりさ:
 もしかしたら肛門の知識も必要になってくるかもしれませんし。

金田:
 肛門の知識は大事だよ! あ、でも肛門の知識がいるなら医学のほうじゃないのかなぁ。

西森:
 まぁ、だから巨災対にいても全然おかしくないってことですよ。

金田:
 じゃあそれホメ言葉として受け取っておきます。

ひらりさ:
 最後ヤシオリ作戦で凍結させる時だって、凝固材をお尻から注入したほうがよかったかもしれませんしね。

金田:
 あ! それ一つ言わせてもらえば「ゴジラに肛門があるのか問題」っていうのが、けっこう自分の中で大きいんですよ。排泄器官要らないんじゃないかっていうね。

両角:
 そうですよね、食べてないですもんね。

金田:
 肛門があるなら肛門からのほうが入れやすいもんね。吸収度もいいし。あんな細いもので口からいれるとなると、奥までいれなきゃ子どもみたいに口からザバーって出ちゃうだろうしさ。やっぱ座薬だよ。

両角:
 ゴジラの可愛さの話をしていたんですけれどもね(笑)。

金田:
 あ、いや、だからそういうところも含めて、バックスタイルももっと見たかったなっていうね。

両角:
 とにかくあのゴジラってキャラクターとしていじりやすいんですよね。
ゴジラの手の平が上向きである意図
運営:
 ユーザーから質問です。「ゴジラの手の平が上向きであることがこれまでのゴジラと違う点ですが、あの意図をどう感じますか?」

金田:
 確かにそうだよね。
(C)2016 TOHO CO.,LTD.
ひらりさ:
 あれは神仏が宝玉を持っている時の手の向きと同じって何かに出ていましたよね。

金田:
 だから神なんだよ、やっぱ。上向いてると怖いけど神々しいしね。下むいてるとオバケっぽいしね。それ以外の蒲田君って実は猫っぽいって思う。

両角:
 今回のゴジラには神々しさがあるというお話がありましたが、そもそも野村萬斎さんは「人ならざるものをやっていたから頼まれた」っていう話があって、やっぱりちょっと人間味が薄いという感じはしますよね。特にミニラみたいな人間味のある怪獣たちと比べると(笑)。

金田:
 でも、ミニラが出てくる頃のゴジラは、もうすでにキャラクターがかなり崩れていて、本当にコメディーリリーフ的になってるし、アンギラスほどの不遇ではないにしても、ちょっとおかしな感じになっていたらしい。けど、その流れは払拭されたって感じですね。

両角:
 最後のゴジラから今回まで12年空いてるんですが、それまでの積み重ねで出来た定石を崩すのってすごく大変だったりするんでしょうね。

金田:
 そう。平成ゴジラで切り替えたけど、それがだんだんエヴァっぽい話になっていってね。

両角:
 時代とちょっとそぐわなくなってきた部分を調整していくと今度はゴジラ性が失われていってしまうということもあると思うんですが、そこを今回は3.11を想像させるような、リアルな災害のシーンを併せ持たせて人間が感知し得ない事象に対してのどうしようもなさを合わせ持たせた感じがします。

金田:
 今回は、そこが目玉でしょうね。そこで活躍するのが自衛隊や軍ではなく、政治家とか官僚だったし、さらに恐ろしくて神々しいのに時にキュートな、でも人間味のないゴジラっていうのを描いたわけですね。

両角:
 で、これを最終的に日本人は凍結した後で、ゆるキャラとして観光地化していくっていうね(笑)。火山口みたいな怖い場所も観光地になってるわけで、やはり怖いもの見たさがあるのかなって思うんですよね。

金田:
 そう、いつ死ぬかわかんないし。エベレストとか登る人ってなんで登るの? とか思うけど、あれはそこに山があるだというわけで、だからゴジラもそこにゴジラがあるから、ということで観光地になるんだろうなぁ。

両角:
 危険だけどどうにもならないものを見たいという欲は、矢口のゴジラへの恋心にも通じる。

金田:
 そうだよね、最後に屋上で俺とゴジラ2人きり、みたいな感じだったもんな。こいつを落とすまでは、みたいな感じだったもんな。
1つだけゴジラに関して許せないことがある!
金田:
 あのですね、私、ゴジラに関して1つだけ言いたいことがあるんですけれどもね。これ細かいこと気にするなよとかNGですよ?
 この映画、「進化」というものに関する議論が非常におかしいんですよ。

 一般論的なロマン的な捉え方で「進化」が“段階”だと思っているんですよね。矢口がそう思ってるならいいよ。でも、科学者である尾頭ヒロミのセリフなんですよ。「ゴジラは遺伝子情報量が人間の8倍である。だからゴジラは、もっとも進化している生物であることが証明されました」って。でもね、進化論でいう進化ってそういう概念じゃないから!

 そこでこれを指摘する人いない巨災対って大丈夫か? って思いましたよ。人間よりも遺伝子情報が多い生き物なんていっぱいいます。ゴキブリだって人間より多いんです。進化っていうのはどんどん複雑化していくということではないんですよ。

両角:
 一個体ではならないってことなんですか?

金田:
 一個体でならないということを問題にしてるわけではないんです。問題なのは、進化論の理解がかなり昔で止まってるっていうところ。まぁ、でも「それはあえてそうしたんだよ」って言われたら、もうそれはしょうがない。エヴァの時からそうだったんだから。
 でも、進化っていうのは複雑化して、結果、有能なものが残っていく、ということではないんです。99パーセントがランダム。

 だから、「話を面白くする」ということと「どんどん人間が成長していって神に近くなる」ということと「今の進化で最も優れているのは人間です」ということを言いたいがために、進化という言葉をロマン的に使うわけなんだけど、それってそもそもダーウィンの言っていたことと反対の、ほぼ宗教的な感覚なんですよ。「今、最高に進化している生物はこれだ」なんて断定はできないんです。だって、今この世界に生きてる生物はみんな同じ進化段階にいるんですから。

両角:
 どの生物が優れているかっていうのは、その状況下次第で変わってくるっていうところもあるんですかね。

金田:
 いや、優れているかどうかなんて判定不可能ですよ。たとえば、もし「生き残ること」によって優れているということが判定できるとしたら、それは生き残ることによってでしか判定できない、つまり事後的にしか判定できないんです。
 そして、生き残ってこれたという生物を古生物学で調べてみると、99パーセントが、それまでまったく起きたことのない火山の爆発なんかで死んでるんです。生き残れたのは有能だったからではないんです、偶然なんです。

西森:
 ゴジラの遺伝子を見て、今まで誰も見たことのないものだからこれは進化したものだよ、みたいなことは言えないんですか?

金田:
 言えないですね。それは、今までただ誰も発見しなかっただけのこと。でもこれ、一般人が言ってる分にはいいんだよ。問題は、科学者が堂々と言っているっていうところなんですよね。それに、生物学系の教授もその場にいたでしょ? そこで24時間いっしょに暮して、性格もある程度知ったうえで、ツッコミいれてもしょうがないなって思うかもしれないけど「いや、その進化概念ちがうよ」ってあそこにいる人なら言うと思うの。私があそこにいたら、仮にBL担当だったとしても言うね。

西森:
 黒田さんに言ってほしかったっていうのありますね。

金田:
 あの辺りのついていけない話のせいで、結局、折り紙のくだりで「わ、気が利いてる!」って感じが全然しなかった。
みなさん、あれってトランス状態になりませんでした?
西森:
 私は、折り紙が出てきた時には、もう何がなんだか分からなくってついていくしかないみたいな感じでした。

両角:
 私たちは専門的な言葉って分からないじゃないですか。わからない専門的な言葉を延々と連呼され続けると、トランス状態になるんですよね。

金田:
 「董卓討つべし」(おもしろ三国志による楽曲)みたいな?

両角:
 そう(笑)。で、フワーッとなった状態のところで折り紙なんて出されると、「わ、折り紙だったんだ」ってなっちゃうっていう(笑)。

ひらりさ:
 サブリミナル効果みたいなところありますよね(笑)。

両角:
 そうなんですよ。念仏みたいなものをずっと聞かされてて、トランス状態になったところで「ゴジラ凍結!」みたいなシーンを見せられるとすごい爽快感を感じる、みたいな。

金田:
 良く分からない言葉を聞かされて、ストレス感じてるところにいきなり無人在来線爆弾!みたいなのがきて、「わっ! 仕組みは分からないけどなんか分かる!」みたいなことにはなるよね。カタルシスが…。

ひらりさ:
 ジェットコースターで上がりきった地点から落ちる時のような感じ。

金田:
 ああ、あの早口で、かつよく分からない言葉をずっと聞かされた結果ね。

両角:
 みんな思考放棄しますよね。でも、分かる人にとっては引っかかりを感じるんでしょうね。

金田:
 いや、みんな進化論は興味ないから、私がおかしなこと言い出したなって思ってるかもしれないけど、あれがもっと身近なことだったりしたら、みんな私みたいになると思うよ。
難しい言葉の連呼は念仏?
運営:
 ユーザーからの質問です。「押井守さんが哲学や虚学的な言葉遣いをしてめくらましをしているようなことを、庵野さんは実学的な言葉でやっているのではないかと感じました。みなさんはどう思われますか?(京都府30代男性)」

両角:
 手法はかなり似てると思いますね。劇場版「パトレイバー2」でも会議の最中にブツブツ難しい言葉をつぶやいて印象に残すシーンが描かれてました。自衛隊の用語とか役職の名称とか全然分からないから、それが続くだけで完全に念仏状態になるんですよね。だから手法は似てる気がしましたね。

金田:
 まぁ好きな人にとっては超楽しいってことになるんだろうなぁ。でも、すごく頭良さそうな人たちが頭良さそうな言葉を連呼するのって、普通にありがちな手法のような気もするんですよ。小説や漫画なんかでもありますしね。ただその中でやはり整合性はとれていてほしいっていうのはあるわけですよ。

 ただ、でもね、エヴァの時代に間違った「進化」の使い方をしていたっていう事を、批評家の方がツイッターで教えてくれたんです。それに真剣に20年つきあった人たちにとっては、今回の「最も進化した生物と言えます」っていう例のセリフが出た時に「出~たぁ~!」ってすごい面白かったらしいのね(笑)。

両角:
 「よっ進化っ!」みたいな(笑)。庵野さんの作品を見続けてきた人にとってはお約束みたいな気持ち良さもあるんでしょうね。

金田:
 そうそう。それで、エヴァの時にさんざんみんなが言ってたけど「やっぱ意味なかったぁ~」ってなって、もうこれはこれでいいと思った人が多い感じ。私はそういう歴史を経てこなかったがために急に怒り始めたんだけど、「俺たちはそんなの何十周もしてるから平気だよ」っていうのがじんわりと伝わってきたな。

両角:
 では「進化」以外では何かありましたか?

金田:
 そういう爆破解体を可能にする技術は存在するのかもしれませんが、ビルがまるで意思を持ったかのようにゴジラの方に倒れてくるところとか(笑)。あと、ゴジラの口に、まるで嫌がる子どもに歯磨きをさせるような装置がどんどん入ってく、みたいなところとか(笑)。

西森:
 あれを見た時に、今でこそ普通になってきたけど、震災の時には「こんな感じでおさまっていくのか」っていう、けっこうアナログな感覚を覚えたのを思い出しました。

両角:
 確かに、こんな原始的な方法でやるんだっていう感じがしました。

金田:
 私は、ゴジラが冷温停止したのは安全装置が働いたことになっているけど、安全装置が働かなかったらどうするつもりだったんだろうっていうのは思ったけどね。あれは、見切り発車でやったわけでしょ? まぁね、それはそれで矢口にしてみれば死なばもろとも、みたいなところあったのかもしれないけどね(笑)。

ひらりさ:
 矢口はやっぱり最後まで「俺がゴジラをどうにかしたい」っていう、わがままな感じがあったように思うんですよね。

金田:
 やっぱ矢口は一番ゴジラ好きでしょう。だって一線超えたことあるなっていうぐらいの赤坂さんの言葉も耳に入ってなかったっていう感じあったもん。

ひらりさ:
 私は、長谷川博己さんの顔みてると、だんだんゴジラに似ているような気になってくるっていうのがありましてね。

金田:
 あ、そうなの? じゃあ今度もっとよく見てみる。

ツボを押さえた出演者たち!「誰が好き?」から始まる女子トーク
西森:
 私はホントにもう黒田大輔さん。

金田:
 もともと好きだったんですか?

西森:
 いえ、今回、映画を観て演技がいいなぁって思って。なんか映画俳優オタクだと、この作品てすごく俳優の集め方がツボで、特に会見をする場で、新人記者さんとベテラン記者さんが二人で話をしている場面があるんですよね。

金田:
 それって「どうして東京ばっかり守るんでしょうね」って話していたあの二人?

西森:
 そうそうそうそう! 三浦貴大さんと川瀬陽太さんなんだけど、彼らは他の映画『ローリング』でも一緒に出ているコンビだったりとかするんですよ。

両角:
 分かる人同士なら「あの二人だよね~」で盛り上がれる感じですね。

西森:
 そうなんですよ。あと監督いっぱい出てたりするところとかね。

ひらりさ:
 そういえば、塚本晋也監督が舞台挨拶で黄色い声援もらって、こんなの人生で初めてだって、本当に怯えてたって話があって(笑)。

金田:
 え、誰?

両角:
 えっと…金田さんは三次元の人の顔を覚えるのが超苦手なんですよね(笑)。たしかにあの塚本監督が女子から黄色い声をもらうという図は面白いです。

金田:
 ……そうなんですよ、(パンフを凝視)

西森:
 あと30代くらいのイケメンの俳優さんって、今回自衛隊員役に多いですよね。

金田:
 小出さん…とか?

両角:
 斉藤工さんとか、あと俳優ではないですがKREVAさんもいましたね。あのヘリから発射をしないでUターンして帰ってくる人。

金田:
 うーん、まったく知らないっていうか、もともと知らない人ばっかりだなぁ。でも私みたいに俳優さんをまったく知らない人でも楽しめる映画ではあるんですよ。あ、もちろん主役格の人のことは知ってたんですけど、それ以外は言われて気づいたか、今初めて知ったみたいな感じですね。

ひらりさ:
 知り合いで、「総理大臣が役者の大杉蓮にしか見えない」って苦情を言っている人間がいました(笑)。

金田:
 それは、本人っぽさが出てる感じの演技だったってことなのかな(笑)。

西森:
 あと、柄本明さんとか國村隼さんとかも良かったですよね。あの「官僚ですから」とか「仕事ですから」みたいなセリフとか。

ひらりさ:
 あ、そう、セリフといえば私すごい好きなセリフがあるんですよ。矢口が「仕事ですから礼はいりません」って言われたんだけど、最後のヤシオリ作戦が終わった後に、つい「ありがとうございます」って言っちゃうんです。で、その後「おつかれさまです」って言うんですよね。仕事なんだけど、でもついお礼を言っちゃうってところに、矢口の気持ちが出ていて良かったですね。
昔、東京を滅ぼした嶋田久作さんの話題からシン・ゴジラ2の妄想
両角:
 嶋田久作さんも出てましたね。『帝都物語』では東京を滅ぼしていましたけれども(笑)。

金田:
 そう、私『帝都物語』すごく好きで小説も読んでました。「陰陽道」で平将門を復活させて東京を滅ぼす加藤保憲という怪人が出てくるんですけど、映画化された時にこの加藤を演じたのが嶋田久作さん。そんな嶋田久作さんがね、今回は臨時外務大臣となって、核熱攻撃が東京に行われるらしいぞってなった時に、「そんなこと! 許されるわけないじゃないですか!」みたいなセリフで嘆くっていうね。もう、おまえは陰陽道で守れよって思った(笑)。

ひらりさ:
 あ、そういえば神社仏閣の人たちって何してたんだろう。

両角:
 住民が逃げ込んだり作戦会議の場所が神社だったりしてましたけど……。でもその感じはなんだか分かる感じがしました。

西森:
 矢口が手を合わせるシーンがあるんだけど、「でも祈りに任せなかったところが良かった」っていう意見をツイッターで見かけましたね。

金田:
 いや、でもさ、今のは嶋田久作だからそういう話になっただけで、もし本当にみんなで手を合わせてそっから光とか出てたりしたらさ……。

両角:
 あ、いえ、金田さん『モスラ』ってそういう映画でしたから。モスラは「祈りの歌」というのがあるくらいですよ(笑)。

金田:
 え、そうなんだ!? 祈りで鎮めるのか。
(C)2016 TOHO CO.,LTD.
ひらりさ:
 あ、今回よく考えたらゴジラの中身が陰陽師じゃないですか!

一同:
 あ、確かに!!

金田:
 あ、それなら加藤保憲も出てくるべきだったじゃん!

西森:
 でもゴジラという神がもういるから祈ってもしょうがないんだった。

金田:
 いやいや、日本には八百万の神がいるじゃないですか。そういえばツイッターで古代ギリシャ勢の人たちと話してたら、やっぱりゴジラを倒すにはアポロンだって話になって盛り上がってましたよ(笑)。

両角:
 それなら『シン・ゴジラ2』で「ゴジラVS◯◯」っていうことになったら、敵はアポロンですね。

ひらりさ:
 太陽で焼き尽くすみたいな攻撃(笑)。

金田:
 その関連で、私の知人である死霊呪術師の人が、東京の地形を調べ始めたんだけど、実は渋谷東急の地下が、ものすごい死霊呪術に合っているらしいんだよね。死霊呪術っていうのは、死んだ人あるいは冥界のハデスにお願いの儀式をするんだけど、あまりにも渋谷東急の地下の構造がそれに向き過ぎだっていうんですよ。その人「普段は渋谷のあそこは、死霊呪術以外に一体何に使われてるの?」とかおっしゃってて(笑)。
 だから、よく分からないけど、そのハデスとアポロンの挟み撃ちでいいんじゃないかな。

ひらりさ:
 その場合、アポロンはゴジラを倒したいわけなんですか?

金田:
 あ、大丈夫、アポロンは神を倒す神ってことで有名だから。やってみる価値はあるじゃないですか。で、帝都物語の加藤は加藤で出てもらう、みたいな。

西森:
 金田さん、リアリティのある作りのなかでの矛盾はだめなのに、壮大になるとぜんぶオッケーなんですね(笑)。

金田:
 そうなの。そこまでいけば大丈夫なの。
「進化」の件にはご立腹の金田さん、こうなれば許すそうです。
金田:
 それでね、「進化」のあの概念のところで怒ったけど、じゃあ何がどうなれば大丈夫かっていうのを何通りか考えてるの。ひとつは「セリフが全部サイレント」もうそれだけで許す。

両角:
 え、サイレントにしたら分からなくなりそう。

金田:
 いや、あのセリフは言わないほうがマシ。それと二つ目、タイトルを変える。私の心の中では、あれはもう『シン・彼岸ジラ』。あ、これ『彼岸島』なんだよなって思えてすべてが許せる。ただ、丸太が出てこないからみんなが発狂するんだけど、おにぎりが出てくるから大丈夫。

西森:
 おにぎりは何なの?

金田:
 それは『彼岸島』における超重要アイテム。あ、豚汁も欲しい。ほら、ニコ生の皆さんも彼岸島ならしょうがないって言ってる。

両角:
 しょうがないって思えるってことですね。

金田:
 そういうこと、そういうこと。で、最後に、これならもう50億点になるなぁと思ってることがあるんだけど、すべてが終わったあと長谷川博己の目が覚めるの。「あ、夢か」って感じで。で、その後ドーンドーンって低い音が迫ってくるの。

両角:
 夢落ち(笑)。でも、夢じゃなかったみたいな最後。

金田:
 だってね、「科学について無知な矢口」が、夢の中で進化について変なこと言うなら、それはしょうがないわけじゃん?これ、あの最高の映像を見せてくれた上で矛盾点はなかったことになるから、これすごくいいなって思ってるんですよ。

両角:
 あ、でも矢口さんの頭の中で無人在来線爆弾が繰り広げられていたら確かにほっこりする。

西森:
 たしかに可愛いね。
カヨコのピアス、カヨコの名言
両角:
 そういえばひらりささんが、カヨコのピアスの話をされていましたけどあれは?

ひらりさ:
 私は例の進化に関する大矛盾には全然気づかなくって、細かいところに目がいっちゃってたんですよね。カヨコが最初にパーティーから出てきた時のピアスは、ちょっと大きめのゴールドで、その後はずっとパールのピアスをしてたんですよ。でも、最後にすべてが終わった時には、また最初の大振りのピアスをしてるんです。なんかすごくTPOを考えてるんだな、と感じましたね。

 あとそれ以上に萌えたのが、安田さんだけ「MacBook Air」を使っているところ。逃げる時も一人だけそれを抱えていて、しかも、どうやら携帯も iPhoneなんですけど、iPhoneカバーをつけてないんですよ。「あ、これはアップル信者なんだな」っていうね(笑)。

両角:
 そうか、アップルのマークが出る状態で使いたいっていうやつですね。

ひらりさ:
 そうそう。他の人は富士通とか支給されているものを使ってるんですけど、安田さんだけ違うのが気になっちゃって。なので「進化」には全然気づけなかった(笑)。

金田:
 私は逆に、そういう部分に気づけなかったから、次観る時には、そういうところに着目してみます。

両角:
 カヨコの「ZARAはどこ?」が本当に好きで!観終わった後にとりあえず「ZARAはどこ?」って言い合って帰りましたもん(笑)。

金田:
 私、彼女は嫌いじゃないけど、あの場面でどこにあるか聞いてもしょうがなくない? みたいな感じでしたけど。

西森:
 あそこで空気も読まずに聞いちゃうところが、カヨコのキャラクターを表現してるって感じなんですよね。

両角:
 しかも、ZARAっていうのが絶妙なんですよね。けっこう体のラインも出る服だし。

ひらりさ:
 あのZARAってことばが、あの映画の中ではけっこう印象的な固有名詞で、フォーエバー21とかH&Mとかではみんなピンとこないっていう、ね。

西森:
 カヨコって普段どんな服着てるのかなって考えると、ZARAなんか着てなさそうだし、着替えも出来なそうな状況だし「その場しのぎでいいからとにかく着替えを買いたい」っていうことだったのかな、とも思う。ZARAなら分かりやすいっていうことで。

金田:
 私はジョーク説に一票かなぁ。おもしろくはないけど。
男性出演者のファッションについて
両角:
 服というなら、私はあれだけスーツを着ている人が出ているのに、みんなそれぞれにシルエットが違うし、ネクタイなどのポイントもみんなそれぞれ違っててそこを観てましたね。

金田:
 あ、あれは体型の違いではなくスーツの違いだったんだぁ。

西森:
 私が「この映画ってあんまりホモソーシャルな感じしないな」と思ったのも、映画のホモソーシャルってピシっと本当にかっこいいスーツを着るんですよね。だけどこの映画の人たちは、そういうのにあまりこだわりがなさそうなキャラクターが多いですよね。

両角:
 映画の『キングスマン』では、ものすごいピシーッとしたスーツ着てました。イギリス映画って本当にピシっと着てますよね。

西森:
 映画の中にも「スーツをきちんと着ないと」みたいなセリフが出てきますもんね。

金田:
 私、全然気づかなかった。長谷川博己さんが着てるスーツは体に合ってないの?

ひらりさ:
 合ってないわけではないんだけど、モデル的な着方はしていないという感じですね。

両角:
 赤坂先生はその自分の体に合ったスーツを着ているから、やっぱり洗練されて見えましたね。
(C)2016 TOHO CO.,LTD.
金田:
 あ~、議論のレベルが高すぎる!

両角:
 説明をする暇がない分、キャラクターは見た目で表現するというところに特化しているんだなという感じがありましたよね。服装や髪型からその人となりが視覚的にわかる。赤坂さんがすごくシュッとしてるのって、矢口さんよりも食えない奴っていうのを表現してるのもあるのかなって思いました。
気になる矢口蘭堂の匂い
ひらりさ:
 私は、長谷川さんが「ちょっと匂いますよ」って言われてから、一体何日お風呂に入っていないんだろうかっていうところが気になっちゃいましたね。

金田:
 そう、でもその割りにはけっこう襟きれいだなとは思った。

金田:
 あ、でも、あの匂いは実はいい香りなんだよ。少し匂いますって言ったのは、あれはフレグランスよ、うん。

西森:
 あ、でも確かにクサイ感じはしなかったって言う人多かった!

金田:
 だって実際そんな汚れてなかったし、きっと花のような熟した匂いだったんじゃない? フェロモンのような。まぁ、そんな匂いさせてると志村や赤坂がちょっと色気づくから、っていう気配り。

西森:
 「ちょっと匂いますよ」っていうの、矢口じゃなくて別の人に言ってたら、また違うシーンになってたんじゃないかなと。

金田:
 まぁ、長谷川君であれば、臭いはずがないってことになるんでしょうね。
この人たちってどういう人? 泉ちゃんと志村さん
両角:
 泉ちゃんのキャラクターがすごく良かったです。ヒーローとしては描かれないけど、でもいい奴的なポジションにグッときました。彼は矢口に対して力を貸しまくってますよね。

金田:
 実際、どうしてなのかは分からないけれど、この泉という人の武器は「コネがある」ということなんですよね。ああ見えて超媚び力が高いんだろうね。誰とでも分け隔てなく、料亭とかで仲良くしていくんだろうね。

両角:
 でもあの人がトップを目指してるわけじゃなくて、自分は二番手でいいって思ってるんですよね。赤坂さんは自分がトップになるんだっていう感覚があるけど、泉さんはないっていう感じ。

金田:
 三国志では、ある人を王にするために働くっていう人たちがいるんですよ。それが楽しい人っているし、それにそういうタイプの人って好かれやすい。俺が俺がって前に出る人だとちょっとだめだよね。

西森:
 それに、彼はみんなから「ちゃん付け」で呼ばれてるんですよね。業界人とかでもないのにすごいコミュ力だなって。

ひらりさ:
 そういえば、志村は泉ちゃんが出てくると矢口に対して空回りするんですよね。

両角:
 救急箱を持ってきてるのに、泉ちゃんの「まずは君が落ち着け」にとられちゃうんですよね。あそこはかわいかった(笑)。

ひらりさ:
 泉ちゃんの株が上がって志村がやきもきする、みたいな。

金田:
 でも志村のコネもなかなかすごいよね。

両角:
 あ、そうか、尾頭さんを連れてきましたよね。

金田:
 あれはたぶん学閥だと思うんだけどさ。それで、あの特にたいした情報もってこないフリージャーナリスト、あれは松尾スズキであること以外に何か意味はあるの?

ひらりさ:
 あれは志村が矢口に対して頑張ってるアピールをするためだけのシーンでしかないような気がしますね。なんか女子マネージャーみたいなふるまいをされてイライラするみたいな感じですよ。あとマジ感動っすよ、みたいなわざわざ言わなくてもいいことを口にしたりするところがね。

西森:
 志村、もうちょっとなんかありそうって感じがしたんだけどな。

金田:
 あ、でもあの人超エリートなんで。

両角:
 あれって防衛省から出向してるんですよね。最初は防衛省にいたっていうことでいいんですよね。

金田:
 そうでしょうね。同期の中ではトップなんじゃないですか、たぶん。で、内閣官房長官の東竜太さんが、側近を選んでる感あり。

一同:
 あああああ(笑)。

金田:
 この内閣の周辺、顔面偏差値が高すぎる!

西森:
 現実だったら、イケメン内閣とか言われちゃうんでしょうね。

金田:
 もう裏では、女房役はもちろん、お稚児さん集めてんなぁくらいのことは言われてる。会議のシーンとか見てて最初から思ってたけど、この若手たちの顔面偏差値が高すぎる!

ひらりさ:
 顔面の良し悪しだけじゃなくて、顔が映っているだけで、何か力が強いオーラがびしびしと伝わってくる方ばかりでしたよね。映画をそんなに観ているわけじゃないからこそ思いました。

両角:
 それありました。一回見ただけで「あ、この顔の人はこの役なんだな」って、すぐに判別できるくらい個性のある人達でしたよね。
はぐれ者がはぐれ者然として群れを成す面白さ
西森:
 さっきも言ったけど、私は本当に巨災対にちょっと世間からずれた感じの人が多かったのが嬉しかったです。

両角:
 巨災対の人達ってキャラが立ってましたよね。

西森:
 1つの映画に、キャラが立ってる人があんなに出てくるなんてこと、あんまりないから。

金田:
 でもはぐれ者達が集まって「やってやるぞ!」っていうのって、わりとよくある話なんじゃないの?

西森:
 いや、ただ「挙動不審っぷり」があそこまでリアルな感じで実現している映画は、あんまりないってことですよ。そこがすごく良かったんです。

金田:
 あ、なるほど、ああいうはぐれ者達が集まる映画はよくあるけれども、実際はみんなカッコ良く描かれていて、だけど巨災対はまるで本物のそういう人たちを集めてしまったかのようなところが良かった、と。

西森:
 そう。まぁ、それを良さとしてなかなか理解してもらえない場合もあるっていうね(笑)。

金田:
 いや、だって私の周りって尾頭さんみたいな人って普通にいたからねぇ。

ひらりさ:
 ああいう人って一人いれば、オタクだってことは表現できちゃうんですよね。なのに、一般向けに公開された映画で、ああいう人々をたくさん集めてきちゃうっていう。あとあれって在野の変人ではなく、組織の中にいた変人たちなんですよね。

金田:
 全然はぐれてないって気がするんだけど、組織の中で何とかいける程度のはぐれ者でありながら、あそこまでの挙動不審さ加減っていうところが面白いんだろうな。

西森:
 優秀な人って目標が人と違うからさ、私たちにとってはめっちゃ優秀に見えても、本人からしたらはぐれちゃったって思うような感じの人に見えましたよ。変なたとえ話だけど、
学年で1位とった人が10位になったら「もうだめだ、はぐれちゃったわ」って思う感じ。

ひらりさ:
 自分でもそんなには、はぐれ者だとは思ってないだろうけど、飲み会には来ないだろうなぁ、とは思いますね(笑)。

西森:
 飲み会に来なさそうなところがいいなとは思いましたね。

金田:
 うん、あの巨災対は飲み会、ないね。たぶん志村あたりが幹事になってやろうとするんだけど、泉ちゃんとかに「やめとけ」とか言われちゃう。

西森:
 森課長はけっこう他の飲み会にはいってると思う。ネクタイとか頭に巻いたりして。でも巨災対ではその部分で実はちょっと浮いてる、みたいな(笑)。

両角:
 さて、最初は「公務員萌え」「ゴジラ可愛い」「ツボを押さえた出演者」の3つのトピックでお話するはずだったんですけれども、話題がものすごい広がりをみせてしまいまして(笑)。この混沌とした感じが、また『シン・ゴジラ』っぽいなとも思いました。今回の話を聞いて、もし気になった方はまた観に行ってほしいなと思います。

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シン・オタク女子文化研究所「語ろう! シン・ゴジラ」

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