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『となりのトトロ』と『もののけ姫』は同じ世界観で繋がった物語だった トトロと乙事主に隠された“共通点”をアニメ評論家が解説

2018年09月11日11時30分 / 提供:ニコニコニュース

💡ここがポイント

●映画プロデューサー鈴木敏夫氏が明かした“トトロ族”の存在
●トトロの正体は『もののけ姫』に登場する“乙事主”(おっことぬし)によって語られていた
●トトロと乙事主の共通点について岡田斗司夫氏が解説した

 毎週日曜日、夜8時から生放送中の『岡田斗司夫ゼミ』。9月2日の放送では、「子供には教えてはいけないトトロ」と題して、宮崎駿監督の劇場アニメ作品『となりのトトロ』の特集が行われました。

 パーソナリティの岡田斗司夫氏は、同じく宮崎監督作品である『もののけ姫』と、「実は同じ世界線でつながった物語だった」と指摘。さらに「トトロの正体は“滅びゆく古代日本の神々”である」と、トトロと乙事主にある共通点を交えながら解説を行いました。
岡田斗司夫氏。
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かわいいだけじゃない『となりのトトロ』
岡田:
 ジブリが公式として出している、文芸春秋の『ジブリの教科書』というシリーズがあります。その『風立ちぬ』の巻の中で、鈴木敏夫さんはこんなふうに言っているんですよ。

 もともと宮崎駿さんは、トトロについてこんな妄想を膨らませていました。
 かつてこの世には、たくさんのトトロ族がいた。彼らは人類と戦って滅ぼされたが、その生き残りがいろんな時代に登場する。
 中世なら「もののけ」、江戸時代には幽霊、そして、今は『となりのトトロ』……。
 トトロはそういう歴史を背負っている存在なんです。ただかわいいだけの生き物じゃない。恐ろしさも含んでる。
『風立ちぬ』
画像はAmazon『ジブリの教科書18 風立ちぬ』より
 なかなかショッキングな発言です。『となりのトトロ』を見ている人というのは、普通は「現代の日本は、この話の舞台である昭和30年代の綺麗だった日本から自然が失われてしまった。だから、トトロもいなくなってしまったんだ」と思いがちなんですけど、これは違うんですね。

 「トトロたちは、かつて人間と戦って滅ぼされた」というのが、宮崎駿がもともと考えていた『となりのトトロ』のプロットなんですよ。
トトロの正体は“滅びゆく古代日本の神々”である
 トトロとは何なのかというと、“古代日本の神々”なんです。太古の日本の森から生まれた神であって、人類より先に日本に住んでいた先住民族です。では、なぜトトロ族は滅んでしまったのか。

 これは、2万年前の日本の地図です。この時代の日本は日本列島ではなく“日本半島”だったんです。大陸から弓状に突き出した部分、これが縄文以前の日本です。

 当時は日本海というのがなく、巨大な湖があるだけで、北海道、本州、九州、四国は全てひとかたまりになっていました。朝鮮半島との境界も、海峡によって別れていたのではなく、大きめの河が1本流れていただけ。そして、北海道とシベリアの辺りは完全に繋がっています。これが2万年前の日本です。瀬戸内海もありません。

 当時の日本半島は、今の日本列島と比べると、かなり面積が広かったんですよ。そして、そんな広大な日本半島だったからこそ、巨大な“照葉樹林”や“落葉広葉樹林”というのを維持することができたんです。「古代日本は大きな森だった」というのは、2万年前の巨大な日本半島だった時代を指しているんです。今の日本列島では、このような巨大な森を維持することはできません。

 この2万年前の日本と現代の日本とでは、土地のサイズがとにかく違いすぎるんです。この巨大な森を擁する広い大地があったからこそ、『もののけ姫』に出てくる“犬神”とか“猪神”のような神々が存在できたわけです。
トトロの秘密は『もののけ姫』の中に隠されている
 『もののけ姫』の中に、九州を本拠地としていた猪神の主の“乙事主”というのがいたじゃないですか。元々、彼らは西の方、つまり九州を本拠地としていたんですね。乙事主は劇中で「見よ。今の我らの眷族を。身体は小さく、すでに言葉も話せない」と嘆いていました。

 つまり、『もののけ姫』に出てくる神様たちというのは、劇中で繰り広げられているような「森を切られて、火を燃やされたから滅ぼされた」というわけではないんです。それ以前に、もっと大きな事件があったんです。
『もののけ姫』
(画像はAmazon『もののけ姫 [DVD]』より
 元々、2万年前から1万年前の日本には、広大な森があった。それは、当時の日本が半島だったからです。

 ところが、それから平均気温が7度も上がってしまったことにより、海位が100mくらい上昇し、森の大部分が失なわれてしまった。それと同時に“鬼界カルデラ”の大噴火が起こり、おそらく、九州から中国地方の辺りまで、誰も住めない状態になってしまった。

 その結果、古き神々は東へ東へ移動することになるんですけど、この時に“弥生民族”が中国の方から朝鮮半島を経由して日本に上陸してきて、稲作を始め、森を伐るようになりました。

 なので、乙事主たち猪神というのは、鉄と火が大嫌いなんですね。彼らが鉄を嫌うのは、「鉄を作る民族=稲を作る弥生民族だから」です。火を嫌うのは、鬼界カルデラの噴火を見ていたからです。

 まあ、これが『もののけ姫』の基本設定なんですけど。これは、トトロたちの祖先の話でもあるんですよね。
さりげなく縄文土器が置いてあるトトロの住処
 『もののけ姫』に登場する日本の古代神というのは、もともと2万年前の日本半島で栄えていた“クトゥルフ”みたいな存在なんですよ。彼らこそが先住民族であり、人類は他所から来た新参者なわけです。

 ただ、最初に移り住んできた縄文人たちというのは、トトロたちとは仲良くやっていました。彼らも農業はやってたんですけども、あくまでも小規模な農業だったからです。しかし、その後に渡ってきた弥生人たちの農業というのは、大規模なもので、太古の森をみるみる伐採して、燃料を作ったり、畑や田んぼに改造したりしたんです。

 その結果、日本に元々あった太古の森は、人間にとって便利な“里山”や“雑木林”になってしまったんです。古代のクヌギとかブナとかの樹木がどんどん失くなって、人間にとって利用しやすい自然に作り変えられたんですね。

森を奪われひっそり生きることを選んだトトロ
岡田:
 現代の僕らが目にするような自然というのは、本当の意味での自然ではないんです。

 キャンプなんかに行って、山を見たりすると「ああ、自然だな」なんて思うじゃないですか。だけど、あれは本当の意味での自然ではなく、弥生民族たちの大規模農業によって、一度、改造された後の自然なんです。現在残っている森の内99%は、もう原生林ではなく、農業が作った雑木林に取って代わられています。

 トトロたちの先祖である古代の神々は、そんな雑木林では生きられないんですよ。彼らは原始の森から生まれたような存在ですから。だから、乙事主が言うように「身体が小さく、言葉も喋れなくなった」んです。

 そして、乙事主にそう言わせるような存在こそが、『となりのトトロ』に出てくるトトロなんですね。体長がわずか2mしかなく、もはや人間の言葉も喋れない、かつての神様です。

 『もののけ姫』の中で、散々「我々はもう終わりだ」とか「これからは身体がどんどん小さくなって、言葉を話す知性もなくなっていくだろう」なんて言われた、その成れの果ての子孫がトトロなんですよ。

 だけど、その代わり、トトロは人間と共存することを覚えるようになったんです。ドングリを食べるようになって、里山の近くの鎮守の森でひっそり生きて、縄文人たちから土器を作ることを習い、江戸時代の子供からコマを作ることを習う。そんなふうに“ひっそりと生きる”方法を覚えたんですね。

 おそらく、600年くらい前に起きた“もののけ姫大戦”とでも呼ぶような戦いに破れた神々の子孫たちが、今も、日本中のいろんなところでひっそり暮らしているんでしょう。つまり、トトロというのは、西洋人に絶滅させられかけた“アメリカン・インディアン”みたいなものなんですよ。今やそういった存在なので、稲作をする弥生人……つまり僕らに見つからないように、ひっそり生きているというわけですね。
『トトロ』と『もののけ姫』は同じ世界観で繋がっている
 宮崎さんは、『となりのトトロ』を作る時のベースの設定として、ここまで考えていたんですよ。でも、“子供向け”ということで、これらの設定は、あくまでも隠して作っていたんです。

 ところが、それでは我慢できなくなって、ついにその10年後、この設定を正面から描いた『もののけ姫』を作ることになるんですよね。つまり、『スター・ウォーズ』と同じように、先にオチの部分を描いて、その後に「なぜ、そうなったのか?」という部分を遡って描くことになりました。

 そういう意味では、『もののけ姫』と『となりのトトロ』というのは、続きものの関係になっているんです。宮崎さんとしては、本当は、この世界観は『となりのトトロ』で終わるつもりだったんですけど、それでは我慢できなかったんです。

 なぜかというと、その後の宮崎さんは、縄文時代の農業とか、照葉樹林文化とかにどんどんハマっていってしまったからです。その結果、もう書かずにはいれなくなり、『もののけ姫』を作っちゃったんですよ。

 そして、実はこの世界設定は、もうひとつ別の宮崎作品にも繋がっています。それが、「巨大な神様に隠れて、人間が細々と生きている時代」を描いた『風の谷のナウシカ』なんです。

 宮崎さんは、この次の時代である「巨大な神を人間が滅ぼしてしまう話」というのを『もののけ姫』で描き、「完全に人類の時代になってしまった後、細々と生きている、今は見る影もなくなってしまった神々の末裔と子供達との物語」というのを『となりのトトロ』で描いています。

 つまり、これらの宮崎作品というのは、すごく大きい循環の中で繋がっているんです。

▼記事化の箇所は下記バナーをクリックして
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