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『ぽかぽか』総合演出が意識する“感情移入”と“空気感” 2時間化で「もっと“虚を突く”場面を」

2023年04月09日12時00分 / 提供:マイナビニュース

●大人の事情も包み隠さず出す理由は
お笑いコンビのハライチと、フリーアナウンサーの神田愛花がMCを務めるフジテレビ系お昼の生バラエティ番組『ぽかぽか』(毎週月~金曜11:50~)が、スタートして3カ月が経過した。生放送ならではの何が起こるか分からないワクワク感に加え、MCとレギュラー陣に観覧客も含めたチーム感が醸成され、Twitterでトレンド入りするなど話題になる放送回も増えてきた。

4月から放送時間が1時間短縮され、より凝縮して展開する同番組の総合演出を手がけるのは、お昼の代名詞だった『笑っていいとも!』を担当し、『アウト×デラックス』で個性的すぎる人たちを次々に発掘してきたフジテレビの鈴木善貴氏。これまでの手応えや今後の展望などを聞いた――。

○■“ハライチ岩井が涙を流して笑う”が1つの指標

――スタートから1クール(3カ月)が経過して、手応えはいかがでしょうか?

今のところ僕の周りだけは「面白い」と言ってくれるので良かったと思いつつも(笑)、やっぱり数字的にはまだまだなので、及第点には行ってないと思います。今の時代は「見たら面白い」じゃ勝てないんで、ディレクターたちには「見る前から面白い企画を」ってムチャなこと言ってるんですけど、現場もSNSも荒れるようなコーナーを作っていけたらと思います(笑)

でも、月曜に加藤(智章)、火曜に石川(隼)、水曜に高橋(正尚)、木曜に但木(洋光)、金曜に錫木(亮)という演出がいて、それぞれ特色があって、本当にめちゃくちゃ頑張ってくれてます。番組スタート直前の12月中とかギリギリまで企画1000本ノックじゃないですけど、みんながめげずにいっぱい企画を出してくれて、いいコーナーが生まれてるんで、ディレクターには全員に褒美をあげたいです。

――金曜の「麻雀牌手積みチャレンジ」(※1)は、神がかり的な盛り上がりでした。

あれは皆さんに「面白い」とよく言っていただけるんですけど、岩井(勇気)くんが涙流しながら笑ってるっていうのが1個指標としてありますね。演者がカメラを忘れて笑ってくれたときに「やった!」と思います。松崎しげるさんが歌うコーナー(※2)も、「お母さん大好き党」(※3)も好きなんですが、ディレクターのみんなには1つ「感情移入できるようにしてください」とだけお願いしてます。ハイハイレースで赤ちゃんに頑張ってほしい、麻雀牌で勝ちたい、(レスリングの)登坂(絵莉)さんをひっくり返したいとか、視聴者と演者がどちらも感情移入して見られるコーナーは、やっぱりいいコーナーになってると思うので。

――やはりVTRを流すより、会場での生放送を多めにしようという意識はあるのですか?

ぶっちゃけると予算の問題もあるのですが、横を見ると『ヒルナンデス!』(日本テレビ)がとてもかなわないVTRを作ってますし、そしたら生の現場でハプニングがいっぱい起きて、一瞬も見逃せないくらい面白いと思ってくれたらと思っています。3時間のときは、当初のプランとして1時間ごとに区切って、最初は昼ごはんを食べて集中して見るから生の企画多め。真ん中は主婦が一段落している時間かもだから、気持ち情報もあって、それをフリにして笑いをやる。最後はみんな少しずつ忙しくなるだろうからFNSのご当地番組を流すっていうので考えてたんですよ。

でも難しいですね。視聴率をとりたいのか、TVerを回したいのか、客層も違いますけど、やっぱり生で見てる人に面白いと思ってもらうというのが一番なんで、それに向けて頑張ってます。
○■CM中やボソッと出たひと言を大事に

――観覧の応募や、外観覧の人も増えてきています。

最初の1カ月は、中のお客さんに「何回目ですか?」って聞いたら「4回目です」とか「5回目です」って感じで、全然応募ないんだなと思ってましたけど(笑)、だんだんはじめましての方が増えてきてるんで、ありがたいですね。「名古屋から来ました」とか「福岡から来ました」って言われるとグッとテンションが上って、もっと頑張らなきゃと思います。

外観覧の人たちも、今はテレビに映りたいっていう人が減ってるのかなと思ってたんですけど、来ていただく人を見ると本当にパワーを感じます。すごい強風でOWVのファンたちが大変なことになってゲストのマツコ(・デラックス)さんが心配してくれたときもありましたけど、ああいう人たちが生放送を助けてくれるんですよね。雨の日は本当に申し訳ないと思いますけど、演者の皆さんもありがたがってくれてます。

――CM中はお客さんといろいろコミュニケーションをとっているんですよね。

いつも最初のCM中に、澤部(佑)くんが「この番組は本当に皆さんの力にかかってますよ」と言うと、岩井くんが「そうですよ。盛り上がってなくても、皆さんが笑ってれば盛り上がってるように見えるんですから」と言って、神田さんが長州力さんのものまねをして「頑張りましょう!」と言うのがお決まりであるんです。ヤマケン(山本賢太アナ)の日は、彼がCM中に雄叫びを上げて鼓舞してます。

――ヤマケンさんは、オープニングで気合いを入れるのに、「ラーメン屋の朝礼」をし始めましたよね(笑)

あれもCM中とか裏で生まれたものなんですけど、そういうノリは大事にしようと思ってます。CM中とかYouTube撮影がきっかけで生まれたものは結構ありますね。「お母さん大好き党」も、YouTubeの撮影で岩井くんの「俺はマザコンだから」っていうひと言があって、これで何かできないかっていうので始まりましたから。最近、岩井くんがかわいい男の子が好きだとか言ってるので、木曜班が「箱の中身はなんだろな」で中にイケメンを入れる企画をやりましたけど、本当にハライチと神田さんのCM中だったり、ボソッと言ったひと言は結構大事にしてます。まあ、そっちのせいにもできますから(笑)

――以前、善貴さんの直系の先輩の三宅恵介さんに『ぽかぽか』について聞いたときに、「空気感を大事にしてやってもらいたい」とおっしゃっていたのですが、まさにそれを実践されている印象です。

それは三宅イズム、渡辺琢イズムだと思うんですけど、その場で起こったことはとにかく大事にするというのがありますね。特に生放送はそうあるべきだと思いますし、僕はずっとフロアにいて空気感が分かるので、すごい盛り上がってるところでディレクターが台本通りに進めて早くCMを入れたりすると、「行けるとこまで行っちゃえ」って思いますし。

――善貴さんは本番中ずっと下手の舞台端にいらっしゃいますよね。

親のようなつもりで、僕もハライチと神田さんと一緒に盛り上げるぞという気持ちであそこにいます。カンペ出すのも面倒なので、マイクに入らないと思って「こうしましょう」って直接言っちゃいますし、CM中もお客さんとしゃべったりしてますから。

――レギュラー出演者の休演を「今日は去年から入ってる別のお仕事です」って正直に言ったり、初回放送から「4月から1時間短くなります」と発表したり、人気アイドルの出演時間が終わって「外の観覧が誰もいなくなりました」と伝えたり、一般参加コーナーについて「応募が少ないです」と報告したりと、大人の事情も包み隠さず、全部出していく感じがいいなと思います。

『アウト×デラックス』で、本音で生きることが素晴らしいというポリシーでやってたんで、僕がそういうのが好きだっていうのもありますけど、やっぱり今の時代はそれが当たり前ですからね。

●“大草原×太陽×蛾”の魅力生かして生で勝負
――4月から放送時間が2時間に凝縮されましたが、今後の展望はいかがでしょうか?

いい意味で昼っぽくなくいきたいですね。ADさんが言ってたんですけど、澤部くんは全部包み込んでくれる大草原で、神田さんは明るく照らしてくれる太陽で、岩井くんはきれいな紫の蛾(が)なんだと。大草原と太陽だけだと普通ですけど、蛾がいることできれいだから絵になりますし、毒があることで負けないように草が育ちますから、この3人の良さを消さないようにしたいです。それと、生で勝負していきたいなと思います。VTRを流すにしても、その後に生でトークするためのフリになってるような感じですね。

――VTRコーナーの「新家電プロレス」(※4)は引き続きあるのでしょうか…?

あります(笑)。野呂佳代・菊地亜美の「飲みながランチ 主婦の会」も。各曜日、本当にディレクターたちが汗をかいてシミュレーションしまくって面白い企画を出してくれるので、4月以降も新しいコーナーをどんどんやっていきたいと思います。それは、前のコーナーがダメなんじゃなくて、それ以上にこっちが面白いかもという企画がいっぱいあるので。「ぽいぽいトーク」で朝倉未来さんに「ファミリープレッシャーやってくれますか?」って聞きましたけど、もしかしたら参戦するかもしれませんし、とにかく生放送を見てると次に続く種がいっぱい蒔かれています。生だったら、言ったもん勝ちなので(笑)

――坂上忍さんも月8万円の「サブスクレギュラー」を提案したら、早速来てくれましたし(笑)

本当にありがたいです(笑)。そういうので、ちょっとドキュメントとして見ていただいても、面白い部分がいっぱいあるようにしたいですね。それから、もう少し“虚を突く”という場面を増やしたいのと、いやらしい言い方ですが、Twitterのトレンドに入るような仕掛けも考えていきたいです。

あとは、番組発のスターを生むというのが、4月からの命題です。桂二葉さんとか、まだ魅力を生かしきれてないなと思う部分があるんですよ。去年の10月に春風亭一之輔さんとの公演があって、そこで初めて二葉さんを見たんですけど、あんなに一般の人をイジれて、一人しゃべりができて、声もチャーミングで、めちゃくちゃ面白いと思って、もうレギュラーに即決めでしたから。ほかにも、白河れいちゃんかもしれませんし、ヤマケンかもしれませんし、一般の出場者の方かもしれませんし、とにかくスターを生みたいですね。

――今の方向性で、さらに磨きをかけていくという感じでしょうか。

まだ3カ月ですから、何かを変えるフェーズには入ってないんで。もうちょっとこのままやってみて、夏休みになって(マスコットキャラクターの)まんぷく昼太郎が外歩いて「あ、昼太郎だ!」って言われなかったら、ちょっと変えます(笑)

(※1)「麻雀牌手積みチャレンジ」…麻雀牌を使った家族対抗のゲームコーナー「心臓バクバク!ファミリープレッシャー」の企画。第1回で、双方のパパが緊張のあまり手が震えまくって一向に成功しないという事態となり、爆笑となった。

(※2) 「甦れ!マイメモリー記憶の数だけ歌謡ショー」…ベテラン芸能人が自身にまつわる記憶クイズに挑戦し、正解数に応じて松崎しげるが「愛のメモリー」を生歌唱する長さが変わるコーナー。フジテレビ本社屋上庭園の長いストロークを松崎が歌いながら近づいてくる画が見どころ。

(※3)「あつまれ!お母さん大好き党」…お母さんが大好きな芸能人が、その愛を熱弁。お母さんのための政策「ママフェスト」を街頭演説で発表し、党首・ハライチ岩井が入党を受け入れるかを決めるコーナー。

(※4)「最新商品使い方バトル 新家電プロレス」…最新家電をプロレスラーが説明書なしで使いこなすことに挑戦するコーナー。これまで本間朋晃、長州力が挑むも予想外すぎる操作で撃沈する試合が続出している。

●鈴木善貴1980年生まれ、岐阜県出身。同志社大学卒業後、03年にフジテレビジョン入社。『トリビアの泉』『笑う犬の太陽』『アイドリング!!!』『キャンパスナイトフジ』『笑っていいとも!」『アウト×デラックス』『ホンマでっか!?TV』『さんまのお笑い向上委員会』などを担当する。今年1月にスタートした『ぽかぽか』の総合演出を務める。

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