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小堺一機、先輩たちから学んだ“芝居論”「人の台詞をよく聞きなさい」

2021年04月16日08時00分 / 提供:マイナビニュース

●先輩方から受け継いだ、芝居への考え方
きょう16日に放送されるテレビ朝日系『明治ドラマスペシャル ずんずん!』(23:15~ ※一部地域除く)で、16年ぶりにドラマ主演する小堺一機。『ごきげんよう』(フジテレビ)での“お昼の顔”やモノマネのイメージが強いが、NHK大河ドラマ『八重の桜』(13年)への出演など、ドラマ・舞台・ミュージカルでも幅広く活躍している。

今作でささやかな“奇跡”を起こした牛乳配達員・タツさんこと田代龍平を演じる小堺に、芝居のルーツになった人や、今の時代に感じることを聞いた。

■ルーツとなった伝説のコメディアンや名優たち

まず小堺は「僕『芝居だからこう』って、ジャンル分けはしてないんです。よく取材でも『トークショー、バラエティ、ミュージカル……それぞれどう取り組んでますか』って聞かれるんですけど、何も変わらない。言葉にするとキザになっちゃうけど、“人前で何かやる”っていう意味で、すべて同じことですから、区別はないんです」と心構えを明かす。

そのうえで「ルーツになったのは出会った方全員ではあるんですけど。記事読んだときに『何で俺の名前出さないんだ』って思われるとね(笑)」と前置きし、出て来たのは「順番で言うと、いわゆるビッグな方というのは、せんだみつおさん、堺正章さん、勝新太郎さん、萩本欽一さん……おひょいさん(藤村俊二さん)とか」と、錚々たるメンバーの名前。

伝説のコメディアンや名優が並ぶが、皆口を揃えて「人の台詞をよく聞きなさい。台詞っていうのは、お前から出るんじゃない。相手に言われたことで出てくるんだから」と小堺に告げたという。「言い方が違うだけで本当に皆同じことを言っていたんですよ。せんださんはこんな感じで……大将(萩本)は……」と、丁寧なモノマネを交えて伝えてくれた。

■芝居はあくまで「周囲と作っていくもの」

人を変え、言葉を変え、何度も受けたその教えは、今もしっかりと根付いている。「相手の台詞を聞いていると、台本で見ていた文字が生きた言葉になる瞬間があるんですよね。だから、自分勝手な事はしない」。小堺にとって芝居は、あくまで周囲と作っていくもの。勝は“一番タチが悪いのは、完璧に役作りをして現場に来る役者”だと提言していたという。

その意図を「たとえば、相手に何かあって『どうしたんだよ』っていう台詞があるとしますよね。『どうしたんだよ!(大声)』って言い方まで自分の中で作り込んで来ちゃうと、相手が『大変なんですよ!(大声)』って来たときはそれでいいんですけど、『大変なんですよ…っ(周囲を注意深く見ながら小声)』って来たときに『どうしたんだよ!(大声)』って言ったらおかしいじゃないですか。これはたとえであって、こんな極端なことは起こらないんだけど(笑)」と、説明し、“余白”を持っておくことの大切さを語った。「そうすると、相手の方の芝居で、自分も想像を超えた芝居ができたりするんです」

今回の現場でも、正にそんな場面が。「『シュークリームはお好きですか?』って台詞があるんですけど、撮影で相手の表情を見たときに、判で押したような質問の仕方じゃなくて、魔法がかかってとてもいい『シュークリームはお好きですか?』が言えたんです。10パターン用意しておいたとしても、本番で違うことができちゃったりすると、とてもうれしい。今回は皆僕より若いけど、共演の方の刺激でそういうことがいっぱいあって、自然に演じることができました」

●若い役者たちへのリスペクトと今の時代に思うこと
■鈴鹿央士・阿部純子との映画トーク

田代が教育係を務める新人配達員・栗本翔吾を演じる鈴鹿央士は、現在21歳。小堺とは44歳差だ。「心を開かない若者の役なんですけど、すごくキラキラしていて、不器用な若者を自然にやってくれた。彼とのシーン、とても好きなんです」とニッコリ。鈴鹿、そして牛乳配達店の看板娘・纏あかねを演じる阿部純子とは、撮影の合間に趣味の話も。「お2人とも映画がお好きだったので、最近見た映画の話をしました。撮休の前の日に『あの映画見た?』って言ったら、次に会ったときに『見て来ました』って言ってくれて。非常に反応が早い共演者の皆さんで!」と笑顔を見せた。

一方、鈴鹿の年齢だった頃の小堺はというと、慣れないドラマで10何回NGを出したこともあったという。「『おい、今日終わんねーのかよぉ! なんなんだこいつよぉ!』っていろんな人に言われて、余計にあわわわわってなっちゃって。最後には棒読みになって、放送見たらカットになってた(笑)」と、新人時代を振り返る小堺。「あのときの僕みたいになっちゃう人、1人もいないんですよね。それに、昔はドラマだとリハーサルが2日ぐらいあったけど、今はほとんどが現場でテストして、すぐ本番。大変なことなのに、皆さん非常に軽々とおやりになる」と感嘆し、「僕は、マネージャーさんに台本持っててもらって、見えないところでもう1回見せてもらって……ってしてるんですけど、他の人を見たら誰も見てない。頭いいなと思ってます(笑)」と若いキャストにも深く敬意を払う。

■親から教えられた、転校生としての振る舞い

そして何より、場の空気作りはお手の物。「病院でのシーンで『目覚めたみたいだな』っていう台詞があったんですけど、監督が『タツさんはこんな文語体みたいなことは言わない』ってことで『湯川さん大丈夫?』に変えたんですね。僕はつい余計なことをしたくなるので(笑)、田村正和さんなら『目覚めたみたいだな』って言っても似合いますよね、平泉成さんなら……ってモノマネをして見せて。みんな笑ってくれたから、和んでくれたかなと」小堺ならではの“座長”ぶりが垣間見えるエピソードだ。

その背景には、転校を繰り返していた頃の親の言葉がある。「『お前は勉強ができるわけじゃないし、かっこいい!って言われるタイプでもないけど、唯一面白いことが言える。転校生だけど、そうやって馴染んで行け』って言われたことがあって、本当にその通りで。今回も、笑ってもらって雰囲気を作れたことがうれしかったです」

■忘れられない母親のエピソード「優しい世界であったら」

また、物語の時代に合った“リアルさ”も評価している。「『そういう人情ごっこやめてください』ってタツさんが言われたりしていて、バランスが取れている。タツさんは、こういうご時世、決して全員が賛成する人ではないかもしれないけど、どこかで『こういう人、いいな』って思ってもらえたら」

一方、小堺自身は、今この時代をどう感じているのか。

「今伝えたいのは『SNSがすべてだと思わないでほしい』ということですかね。日本で一番大きなムーブメントに見えるけど実はそうじゃない、サイレントマジョリティだっているわけで。なぜそう言いたいかというと、“字”で見ることで、インパクトが大きくなってしまうことがあると思うんです」

そう感じているのは、アメリカの劇作家であるニール・サイモンのエピソードが記憶にあるからだ。「兵隊の頃、日記を書いていて、現実だけだとつまんないからちょっとずつ脚色して書いていたらしいんですけど、盗み読みした友達が、脚色されたほうを正しいことだと思っちゃったって。『字って怖い』って台詞があったんだよね。この頃、それを強く感じます。たとえば『●●ってダメだよね』って、大声で怒鳴ってるのか、小声でヒソヒソと話してるのか、声だと伝わるものはあるけど、字だと分からないから」

最後に、小堺は心温まるエピソードを明かしてくれた。「母親が若い頃の話なんですけど、吊り革を持って電車に立っていたら、大きな揺れで体が倒れて、座ってたおじさんの膝の上に座っちゃったらしいんですよ。今だったら『なんだよ、失礼だな』っていう反応がほとんどかもしれないけど、そのおじさんは『ごゆっくり』って言ったんだって。車両中がとてもいい感じになったと。僕その話が大好きで、素敵な大人だなって思ったんですね。『ごゆっくり』って自然と言えて、そんな言葉が受け入れられる優しい世界であったらいいですよね」

■小堺一機

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