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佐野正弘のケータイ業界情報局 第45回 楽天モバイルの「Rakuten Hand」、“実質1円”で販売できるワケ

2021年02月18日07時00分 / 提供:マイナビニュース

楽天モバイルの新しいスマートフォン「Rakuten Hand」が品薄になり、単体販売を一時停止したことが話題となりました。そこには、同社が実施しているキャンペーン施策で、Rakuten Handが“実質1円”で購入できることが影響しています。しかし、端末の大幅値引きが禁止されたにもかかわらず、なぜRakuten Handは実質1円で販売できるのでしょうか。
キャンペーンの影響でRakuten Handが品薄に

楽天モバイルが2020年12月8日に発売した「Rakuten Hand」は、ディスプレイが5.1インチというコンパクトなサイズ感が特徴のオリジナルスマートフォン。性能はミドルクラスよりやや上でFeliCaも搭載しており、それでいて価格が2万円と非常に安価であり、なおかつ同社が積極的にテレビCMでアピールしていたことから注目を集めました。

とはいえ、5Gには対応していませんし、画面サイズも小さいことから最近のスマートフォンのニーズからはやや外れているのも事実で、爆発的な人気を獲得するというよりも、ニッチなニーズを埋める端末とみられていました。ですが、2021年3月8日にRakuten Handの単体販売が一時停止されたことが明らかになり、販売再開は3月以降の予定となったのです。

なぜ、それだけRakuten Handが品薄になったのかといいますと、楽天モバイルが実施していたキャンペーン施策が大きく影響したといえるでしょう。というのも、楽天モバイルは2021年1月7日より、同社の料金プラン「Rakuten UN-LIMIT V」を申し込み、同日中にRakuten Handを購入した人に、最大で24,999円相当もの楽天ポイントをプレゼントし、実質0円でRakuten Handを購入できるというキャンペーンを実施したのです。

しかも、楽天モバイルは2021年1月29日、1GB以下であれば月額0円で利用できる新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」を発表。その場で、同社の料金プラン契約者300万人が1年間無料で利用できるキャンペーンの適用人数が、残り80万人であることが明らかにされたこともあり、楽天モバイルへの契約が一時殺到。楽天モバイルのWebサイトがつながりにくい状態が一時的に続きました。

殺到した多くの新規契約者が、先のRakuten Handのキャンペーンを適用して楽天モバイルを契約し、結果Rakuten Handが品薄になったといえるでしょう。実は、楽天モバイルでは同様の出来事が以前にも起きており、2020年5月には同社の料金プランを契約するとオリジナル端末「Rakuten Mini」が1円で購入できるキャンペーンを実施した結果、Rakuten Miniが一時的に品薄になるという事象が発生していました。

“実質1円”競争が加速すればスマホメーカーは再び淘汰へ

ただ、スマートフォンを0円、1円など大幅に値引く販売手法はすでに禁止されたのでは…?と思われる人も多いかと思います。確かに、2019年10月の電気通信事業法改正により、通信サービスとスマートフォンの分割払いをセットで契約させる代わりに、毎月の割賦料金に割引を適用することで、スマートフォンを実質0円など大幅に値引いて販売する手法は禁止されています。

ですが、通信契約時にスマートフォンを購入する際の値引きは完全に禁止されたわけではなく、税別2万円以下であれば値引きは認められているのです。さらに、Rakuten Handのような税別2万円以下の「廉価端末」は、0円以下にならない範囲の額、つまり「実質1円以上」であれば値引き可能なのです。

それゆえ、先のRakuten Handのキャンペーンも、Rakuten UN-LIMIT Vを初めて申し込んだ時に5,000ポイント、それと同時にRakuten Handを購入すると19,999ポイントが付与される仕組みとなっています。回線と端末にかかるポイント付与を合計して24,999円相当のポイントを付与することで、電気通信事業法の規制を巧みに回避しているわけです。

こうした施策を見るに、楽天モバイルは当初から端末を実質1円で販売し、自社の料金プラン契約者を増やすことを目的として、2万円のRakuten Handを開発したと見ることもできそうです。そして、一連の出来事を見るに、スマートフォンの大幅値引き規制がなされてもなお、スマートフォンを非常に安い値段で購入したいというニーズが少なからずあり、端末値引きが携帯電話会社の強力な武器になり得ることが証明されたといえるでしょう。

そうしたこともあってか、2万円以下の端末を調達して実質1円で販売するという動きは拡大を見せつつあります。実際、ソフトバンクは2021年2月2日、シャオミの5G対応スマートフォン「Redmi Note 9T」を税別19,637円で販売すると発表、番号ポータビリティ(MNP)でソフトバンクに乗り換え、メリハリプランに加入した人には、Redmi Note 9Tを1円で販売するとしています。

こうした端末の販売で好成績を収めるようであれば、2社以外が追随する可能性も高く、そうすれば再び「MNP1円」による激しい顧客争奪戦が繰り広げられることになるかもしれません。ただ一方で、それだけ安くて日本の消費者に受け入れられる性能を持つスマートフォンを開発できるメーカーは非常に限られることから、1円端末競争が激しくなれば再びスマートフォンメーカーの淘汰が進むことにもなりそうです。

佐野正弘 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。 この著者の記事一覧はこちら

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