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【特集】産業医に聞く在宅勤務のメンタルヘルスケア 第1回 在宅勤務でメンタル不調になりやすい3つの理由と処方箋

2021年02月16日07時00分 / 提供:マイナビニュース

こんにちは、産業医の武神と申します。私は主に外資系企業で毎年年間1,000人を超える働く人と、心と身体の健康相談をしています。2020年は1,250件の産業医面談を行いましたが、その8割は従来のようなリアルな対面ではなく、在宅勤務のため電話やZoom、Teamsなどを用いた遠隔面談でした。

私たちはこの1年間、新型コロナ感染症の影響を受けてきましたが、コロナ禍のこの状況はまだまだ続きそうです。そこで今回は、どうして在宅勤務はメンタル不調が起きやすいのか? 3つの代表的理由を挙げさせていただきたいと思います。
1. ずっと同じ空間にいるストレス

まず、在宅勤務におけるメンタル不調の要因として、在宅勤務そのもののストレスがあります。空間的なストレスと時間的なストレスに分けて説明します。

在宅勤務には、ずっと同じ空間にいることによるストレスが生じます。息が詰まると表現する人もいるでしょう。出勤や出社という環境の変化がない中で、1日ずっと同じ空間にいるため、オンとオフの区別、メリハリや気分転換がいつものようにできず、ストレスが溜まってしまうのです。

一方、気分転換のための適度な外出、散歩をしたり、家庭内でも仕事スペースを設け、リラックスする日常的スペースとは区別したりすることなどで対処できている人は、上手に対応できている印象です。

また、コロナ禍、そして在宅勤務という非日常的状態がいつまで続くのかという先が見えないことによる時間的ストレスも夏以降散見するようになりました。

特に今回初めて在宅勤務を推奨し始めた会社では、在宅では業務がうまく回らない、出社した方が効率がいい等感じる社員は多く、在宅勤務というストレス状態がいつまで続くのか、先が見えず余計に大きなストレスになってしまう傾向がありました。

一方、全員がずっと在宅勤務をするのではなく、2〜3チームに分けて、1〜2週間ごとに出社する人たちを決めて在宅勤務者と出社勤務者の混合(split work style)でやっている会社では、同じコロナ禍でも多少の時間的なメリハリがあるため、このようなストレスは比較的少ない印象です。
2. 人との会話や関わり合いが減るストレス

在宅勤務におけるメンタル不調の2つめの要因は、人との会話や関わり合いが減ることによる、メンタルヘルスリスクです。

長引く在宅勤務により、会社や同僚たちとの精神的なつながり合いが減ってしまい、ちょっとしたストレスや不安がつもりに積もってしまい、メンタルヘルス不調の原因になってしまう人も少なくありません。

誰にでも、日常生活の中でちょっとしたストレスや不安があります。それが会社で同僚の一言で救われたり、お昼や休み時間でのちょっとした会話で解決や発散できたりすることがあります。日々のストレスや不安を家に持ち帰らないのは、私たちが日頃意識せずして行っている周囲とのコミュニケーション(関わり合い)の結果でもあるのです。

在宅勤務をしている一人暮らしの人では、場合によって1日誰とも喋らなかったという事態も起こり得ます。SNSやLINE等のテキストベースの繋がりでも、音声による繋がりでも、ZOOM等の顔の見える繋がりでも、ぜひ意識して人と繋がることを心がけたいですね。必ず、同じ思いの人はいます。
3. 不規則な生活習慣によるストレス

そして、在宅勤務におけるメンタル不調の3つめの要因は、不規則になってしまった生活習慣から"調子"を崩し、上手にコロナ禍の変化に適応できないというものです。

不規則な生活習慣とは、家から出なくなる巣ごもり状態が引き起こす運動不足や睡眠習慣の変化、崩れた食生活の3つに代表される生活様式の変化です。

在宅勤務下では、通勤やオフィス内での移動などで動いていた日常の歩くという行為が減ります。その結果、肉体疲労が少なく寝付けない、そこからくる夜更かし、そして朝は通勤がない分いつもの時間に起きなくなる人もいます。在宅勤務の結果、外食が減り健康的な食生活になった人がいる一方、レトルト食品に偏ったり、カロリーオーバーな食事が続いたりしている人たちもいました。そして、このような日が続くと基本的な生活リズムが崩れます。

心身ともに万全ではない状態にある人は、在宅勤務や出社、自粛やGo To等のたびたびなる変化に上手に対処適応できないことが多く、その結果として間接的にメンタル不調になってしまう。私個人の産業医面談経験では、昨年夏以降はこのパターンが多かったと感じます。新型コロナ感染症による不安がメンタル不調の直接の原因になった人の倍はいたと感じます。
在宅勤務にしなやかに適応するために

約1,000人の在宅勤務者との産業医面談を通じて分かったことは、新しい働き方である在宅勤務に対する好き嫌いは、いろいろだということでした。

通勤がなくなり喜ぶ人もいました。家での居場所(在宅勤務場所)がなく肩身が狭い気分になる人もいました。ある人は子供と過ごす時間が増えたことを喜びますが、ある人はそのためにストレスが増えたと嘆き、在宅勤務におけるストレスも十人十色と感じました。

そして、在宅勤務を前向きに受け入れている人はコロナ禍でもメンタル不調になりにくく、在宅勤務への不平不満を言い続ける人はメンタル不調になってしまうリスクが強いというのが、産業医としての見解です。

在宅勤務は、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方で、ワークライフバランスの実現へ寄与することが期待されている働き方でもあります。しかし、慣れない在宅勤務が続くと、ついつい戸惑ってしまう人がいることも事実です。ストレスが溜まってしまうのは、ある意味仕方がないことです。

在宅勤務で通勤がないからといって、通勤時間も机に向かい、いつも以上に働かなければならないことはありません。家にいるからといって、いつも以上に家事をしたり、いつも以上に食事にこったりしなければいけないわけではありません。

通勤で減った時間は、自分が在宅勤務にしなやかに適応するために使う。例えば朝や夕方に散歩に出かけることを習慣化する、室内でできる趣味を増やす、このような方向に考えることができる人は、在宅勤務が続いてもメンタル不調にならずに、コロナ禍にしなやかに対処できていると感じます。

武神健之 たけがみ・けんじ 医師、医学博士、日本医師会認定産業医。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。金融業・コンサルティング業・IT業・輸送用機器業・教育業など20以上の外資系企業で年間1,000件、通算10,000件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を実施。メンタルヘルス対策なのに、楽しく学べる研修で、不安とストレスに悩まない、落ち込まない技術を広めている。著書に『外資系エリート1万人をみてきた産業医が教える メンタルが強い人の習慣』(PHP研究所)、『職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書―上司のための「みる・きく・はなす」技術』、『不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣 現役外資系産業医が教える! 』がある。 この著者の記事一覧はこちら

タイトルイラスト: ネッシーあやこ

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