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私が(いまどき)燃費8km/Lの「ディフェンダー」を買った理由

2021年02月03日07時30分 / 提供:マイナビニュース

ランドローバーの大型SUV「ディフェンダー」を購入した。クルマの電動化が急速に進展し、1リッターのガソリンで軽々20キロは走るハイブリッド車(HV)も増えつつある今、なぜ私はリッター8キロでも厳しいディフェンダーを買ったのか。一応、理由はある。

○注文から半年以上! 大人気の新型「ディフェンダー」

新型「ディフェンダー」は、1948年に本格オフローダーとして登場して以来、民生用、軍用として約70年間、世界中で販売されてきたクルマの最新モデルだ。この間、ほとんど姿を変えることなく売られ続けたことでも有名で、今回の新型は「ディフェンダー」という車名になってから2世代目となるモデルである。

新型は初代同様の悪路走破性を備えた上で、通常走行時の快適性も獲得した意欲作。おまけにデザインもよいので、発売と同時に人気が殺到した。人気に加え、コロナによる生産、物流、販売の制限もあって、世界中で品薄になっている。私自身、注文してから納車されるまで半年以上も待った。今から注文すると、それ以上かかるという。

大変気に入って使っているが、とにかく燃費が悪い。車両重量が2,240キロと非常に重いことに加え、巨体であるため空気抵抗が大きいからだ。カタログ燃費は8.3km/L(WLTCモード)。その前に乗っていたディーゼルエンジン車は4年間で約4万キロを走行し、平均燃費は15.5km/L、月平均の燃料代は9,130円だった。これに対し、走行距離3,000キロ時点での平均燃費が8km/Lのディフェンダーでは、燃費の違いに加えハイオクと軽油の価格差もあって、月平均の燃料代は2万2,526円。ざっくり2.5倍だ。わかっていたこととはいえ、これは辛い。

ところで、現代の水準として、8km/Lという燃費がよくないということは自動車ユーザーならだれでも感覚的にわかると思うのだが、実際のところ、どの程度悪いのか。

現在、我が国が定める「2020年度燃費基準」(この年度までに達成すべき燃費値)は20.3km/L(JC08モード)とされている。さらに、2020年3月に定まった「2030年度燃費基準」では、数値が25.4km/Lに上がった。しかも、JC08モードより厳しいWLTCモードの数値でだ。

すべての乗用車が、この数値を達成すべきというわけではない。実際は車両重量ごとに達成すべき数値が定められていて、「それら全体の平均として、この数値を達成しなさい」という基準ではある。では、車両重量ごとの基準に対してディフェンダーはどうか。

仮に今すぐ2030年度燃費基準を適用すると、2,240キロのディフェンダーが達成すべき燃費は16.5km/L程度となる。つまり、達成度は基準の50%程度だ(下のグラフ参照)。つまり、ディフェンダーは10年後には認められない燃費のクルマということになってしまう。

2030年度燃費基準をクリアできていないクルマは、ほかにもたくさんある。ただ、燃費基準というのは個々の車両に課された目標というよりも、メーカーが販売するすべての車両を加重調和平均した値で達成できていればOKという基準だ。つまり、基準を達成できていない車両があっても、その分、それを補ってあまりあるほど燃費がよい車両を十分なだけ販売していれば、メーカー全体としては達成できていると考える。これを「CAFE」(企業別平均燃費基準)方式という。

長々といろいろな数値を並べてしまったが、要するに、この非常に厳しい2030年度燃費基準を達成すべく、多くの自動車メーカーが今、こぞってクルマの電動化を図っているわけだ。経産省は昨年末、「2030年代半ばまでにすべての新車(乗用車)を電動車とする」という目標を掲げた。CAFEを取り入れているEUも同じ傾向にある。

では、今からクルマを買うなら電動車じゃないと反社会的なのだろうか? あるいは反エコなのだろうか? 意見は人それぞれだろうが、私はそんなことはないと思う。

現時点では、電動車のみで乗用車に求められるすべての用途を満たすことはできない。一度の充電で走行可能な距離が限られる電気自動車(EV)は、荷物をたくさん積んだり、一度に長い距離を走行したり、とっさに使用するといったケースに弱い。そもそもEVやプラグインハイブリッド車(PHV)の場合、自宅(か勤務先などの保管場所)にクルマを充電できる環境がないと真価を発揮させられないため、集合住宅に住む人は購入を検討しにくい。HVは(外部)充電が不要であり、だからこそ自宅で充電できない人も使える電動車として普及したわけだが、電動システムが備わる分、これまでのクルマよりも高価だ。

そうした電動車の機能的、経済的な弱点は、いずれバッテリー技術が進化して解消されるだろう。けれども、電動車がどんなに進化しても、純粋な内燃機関車の音、振動、フィーリングが好きという人の好みまではカバーできない。

ところで、好みでクルマを選ぶことはわがままなのだろうか。確かに、純内燃機関車の購入、使用が違法になっても使いたいというのであれば、それはわがままどころか違法行為となってしまう。しかし、純内燃機関車が違法な存在となるその時までは、電動車を買いたいor買える人は買えばいいし、買いたくない人or買えない人は純内燃機関車を使えばよいだけのことだ。

電動車の比率を増やしたい政府は、今後も電動車に有利な税制を適用したり、補助金を出したりするだろう。購入時のエコカー減税、補助金の有無に加え、EVだとガソリンや軽油を全く使わないため、EVユーザーは揮発油税も負担しないで済む。

それらに納得したうえで、純内燃機関車に乗るのは自由だ。私自身はディフェンダーに乗っている間、電動車ユーザーの代わりに自動車関連諸税を多めに負担し、補助金ももらわないというかたちで、全体の電動化推進に貢献していると考えることにしている。負担すべきを負担し、人様に迷惑をかけない限り、すなわち違法でない限り、堂々と好きなクルマに乗ればよいではないか。

塩見智 しおみさとし 1972年岡山県生まれ。1995年に山陽新聞社入社後、2000年には『ベストカー』編集部へ。2004年に二玄社『NAVI』編集部員となり、2009年には同誌編集長に就任。2011年からはフリーの編集者/ライターとしてWebや自動車専門誌などに執筆している。 この著者の記事一覧はこちら

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