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激動の『PUBG』シーンで日本を背負って戦う「DGW」Machao選手にインタビュー

2021年02月04日20時00分 / 提供:マイナビニュース


日本国内におけるPC版『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)の競技シーンは、激動の時代を迎えました。

2020年12月、2年10カ月にわたって開催された国内リーグ「PUBG JAPAN SERIES」(以下、PJS)が終了。2021年からは、「世界で勝てる日本チームの輩出を目指す」という方針のもと、PUBG JAPANの主催する国内大会「PUBG JAPAN CHALLENGE」(以下、PJC)が、新たにスタートします。

今回は、国内シーンが大きな転換期を迎えるなか、数多くの国際大会に挑む日本のトップチームの1つ「DetonatioN Gaming White」(以下、DGW)で、チーム最年少の20歳という若さでありながら、オーダー(指揮官)を務めるMachao選手にインタビュー。日本代表チームとして、シーンを背負って戦うMachao選手の、これまでと今、そして、今後について語っていただきました。

出場可能な18歳になって間もなくPJSへ

――まず最初に、Machaoさんのゲームとの出会いやゲーム歴について教えてください。

Machao選手(以下、Machao):小学生のころは、PSPの『モンスターハンター』シリーズを、兄と一緒によく遊んでいました。中学生になると、進学校に行くための塾に通っていて、あまりゲームは触っていなかったんです。ただ、高校受験が早い時期に終わったので、そのときにWii Uのアクションシューティングゲーム『Splatoon(スプラトゥーン)』を始めました。

『Splatoon』で勝つために上手い人の動画を見るようになったのですが、たまたま『Splatoon』で有名なプレイヤーのたいじさんが『PUBG』を配信しているのを見たんです。それでおもしろそうだなと思って、『PUBG』もプレイするようになりました。

――『PUBG』の選手として活動を始めたきっかけを教えてください。

Machao:2017年の夏、プロゲーミングチーム「DeToNator」の4人が招待されたドイツの大会(※)があって、その大会で競技シーンに興味を持ち、自分もチームに入ってみたいと思うようになりました。それから、アマチュアチーム「Albatross」に加入して、「PUBG Friday Match」という初期のスクリムで、たまたま良い成績を残せたのが活動の始まりです。

当時、「Albatross」には2チームあって、僕が所属していたのは「Albatross cresc.」というチーム。仕事の都合や年齢制限(18歳未満)で公式大会に出られないメンバーが集まっていて、今DGWのアナリストをしているNicopも同じチームのメンバーでした。

※2017年8月23日~26日、ドイツで開催されるゲームの見本市「Gamescom」内で実施された招待大会「GAMESCOM PUBG INVITATIONAL」のこと。

――その後、公式大会に出られる年齢になって、すぐPJSに出場したんですね。

Machao:18歳になった2週間後に、PaR(リーグ入れ替え戦)へ出場した記憶があります。最初は「BLUE BEES cresc.」として出場しました。その次に「Galactic」というチームでPaRに出てたのですが、ギリギリ突破できず。FA(フリーエージェント)になったタイミングで、「DetonatioN Gaming」に入りました。
DGW加入後、優勝からの急降下を味わった裏側で

――「DetonatioN Gaming」に加入したのは、どういった経緯でしたか?

Machao:Nicopに「MachaoさんとSSeeSさんは、絶対に同じチームに入った方がいい」と言われたんです。現チームメイトのSSeeSはNicopとも交流があったので、その話が「DetonatioN Gaming」に入るきっかけになりました。

――DGWに加入した直後のPJS Season3では、見事優勝を果たしています。

Machao:正直、Season3の優勝は実力より上振れた結果だと思っています。しかも、次のSeason4 Phase1では降格ギリギリの順位。メンバーから外されてもおかしくなかったほど、自分のパフォーマンスはイマイチでした。そのときは、ものすごく悔しい思いをしましたね。

今だから話せる話ですが、実際そのときに自分をメンバーから外すかどうかという話も挙がっていたみたいで。でも、そこでチームリーダーのMelofoさんが「まだ若くて経験が少ない選手だから、様子を見てもいいんじゃないか」と言ってくれたそうです。自分としては覚悟していたんですが、おかげでDGWに残ることができました。

――NicopさんやMelofoさんの言葉があって、今のDGWにつながっているんですね。

Machao:そうですね。特にあのときメンバーから外さず、信じてくれたことは本当に感謝しています。自分のなかでは、人一倍努力しようと思うきっかけになった出来事でした。

――MachaoさんがDGWのオーダーを任されたのはいつからですか?

Machao:DGWに入った当初からですね。僕自身は、アマチュアチームのころからずっとオーダーをやっていたので、もともとオーダー枠として呼ばれた経緯もあったと思います。

オーダーは、良くも悪くもチームをすべて動かせてしまう立場。戦績を大きく左右させる存在なので、以前は負けたときに責任を重く受け止めすぎていました。なので、負けても責任を感じすぎないように、自分のメンタルを守る心構えをするように変えていったんです。

そうしたら、Season4が終わったあとの「Predator League」で優勝できたんですよ。しかも、僕らはシード権を持っていなかったので、オープン予選から出ての優勝でした。

さらに、そのあとの「PWI 2019」では、海外招待チームが活躍するなか、優勝の「Gen.G」に続く総合2位を取ることができて、それも自信につながりました。メンタルの持ちかた1つで、こんなに人って変わるんだと思いましたね。
1日10時間、チームの強さを裏付ける4人での練習量

――DGWは1年半以上、メンバーチェンジをせずに挑んでいます。Machaoさんから見て、DGWはどのようなチームだと感じますか?

Machao:DGWは、単なるチームメイトよりも、一歩踏み込んだところまで仲が良いチームだと感じます。しかも、メンバー全員の目標が高い位置かつ近いところにある。モチベーションも高く、だからこそ、ここまで一緒にやってこられたのかなと思います。

――チームの目標はメンバー同士で話し合っているのでしょうか?

Machao:話し合いもしますが、常に自分たちが目指すのは、目の前の大会における1位なんです。だから、現実的には程遠かったとしても、国際大会でも目指すのは1位。これはチームのなかで、暗黙の了解になっています。Melofoさんが目標を高く持つ人なので、良い意味で引っ張られていると思いますね。

僕がDGWに加入してすぐSeason3で優勝したときは、国際大会に出場できること自体に満足していた自分もいたんです。でも、実際に国際大会に向けて、チーム練習の予定を組んでいる段階で「あ、本当に勝つ気なんだ」と感じて。そこで改めて、プロとしての意識を持たせてもらったように思います。

――DGWは国内チームのなかでも特に、かなりの練習をしているイメージがあります。最近の練習スケジュールを教えていただけますか?

Machao:どこまでを練習と捉えるかにもよりますが、メンバー4人そろってプレイしているチーム練習の時間は、おそらく国内では頭ひとつ抜けて多いと思います。

最近はずっと大会が続いているので、必ずしも決まったスケジュールではないのですが、基本的に平日は、14時から17時半ごろまで韓国スクリムを4試合。そこから休憩を挟んで、19時から23時ごろまで、直近は国際大会に出ているので海外スクリムを5試合。さらに休憩を挟んで、チームの4人でランクマッチを回すなどしてから、だいたい深夜1時~2時くらいに解散します。

なので、スクリムだけで約7~8時間。ランクマッチを入れたら、1日10時間くらいはずっとチームで通話をつないでいる状態ですね。

――チームでの練習量が、DGWの強さを裏付けているように思えます。

Machao:そのレベルで練習しているからこそ、国内大会で負けたときの悔しさは計り知れないものがあります。結果が出なかったときは本当につらいですが、それでもやらずに負ける後悔よりはマシなので。

また、国内にあるPUBG部門のなかで、DGWは最も環境の整っているチームだと思います。フルタイムで選手活動に専念できる環境も、チームのサポートのおかげ。なので、それに応えなければなりません。

――そう考えると、日本で最もプレッシャーを抱えているチームとも言えるかもしれませんね。

Machao:Season5 Phase1もSeason6 Phase1も、最終試合で順位を抜かされてしまって、国際大会を逃したときの絶望感はすごかったです。努力って正しい方向にしないと報われないものだと思うので、自分たちがしている努力の方向が正しいのか、わからなくなったときもありました。


PJSからPJCへ、大きな転換期を迎えた国内シーン

――2020年末、国内シーンはPJSが終了するという大きな節目を迎えました。Machaoさんにとって、PJSはどのような大会でしたか?

Machao:選手に与えるものが、とても大きい大会だったと思います。勝ったときの喜びも負けたときの悔しさも、今までに自分が経験してきたなかで格別に大きいものでした。

直近はしばらくオンラインに切り替わっていましたが、オフラインの会場にいると、関係者の方々がいちファンとしてPJSを楽しんでいることが伝わってきて、本当に良い大会を作ろうとしているんだなと、選手目線でもすごく感じていました。

――2021年、国内のシーンはPJCに移行するとともに、「世界で勝てる日本チームの輩出を目指す」という方針が強く打ち出されています。DGWは、今まさに最も国際大会に出ている日本チームの1つですが、このメッセージをどう受け止めていますか?

Machao:それを見たときは、本当に申し訳ない気持ちでした。日本代表として国際大会に挑む環境を用意してもらっているにもかかわらず、ずっと結果を出せませんでしたから。今まで以上に、どうしたら韓国や中国のチームに勝つことができるんだろうと、強く思いました。

常に新しいゲームのシーンが生まれるeスポーツでは、「この人に教わったら絶対に勝ちに近づける」という先駆者がいません。コーチングできるレベルの人は、ほとんど選手をやっているので、自分たちで模索していくしかない。できることはいろいろあるけれど、そのなかでいったい何をやっていくのが正解なのか、本当に難しいなと感じます。

――現在の国内のシーンについて、Machaoさんはどのように感じていますか?

Machao:海外はeスポーツシーンの規模が大きくて、人生を賭けられる環境があります。日本ではまだそういう環境は整っておらず、人生を賭けて『PUBG』をしていると言える人は、僕が知る限り相当少ないと思います。

eスポーツ選手のセカンドキャリアがよく話題になりますが、そもそも後先を考えるなら、日本でゲームのプロはやらないですよね。先のことを考えるのも大切ですが、そこにこだわり過ぎたらゲームはできない。なので、少なくとも僕自身は、今とにかく結果を出すことに集中しようと意識しています。それが結果的に、今後にもつながると思うので。
大きな挫折から、想像もしていなかった今の自分へ

――Machaoさんが選手を始めて、2年以上が経ちます。その間、選手としての変化も大きかったと思いますが、いかがですか?

Machao:Season6は、個人スタッツで断トツ1位だったんですけど、自分がこんな成績を出せるようになるなんて微塵も思っていませんでした。選手を始めたばかりのころは、PJSに出られるだけでもうれしかったのに。そう考えると、自分には手が届かないと思っているところにも、努力次第で届くんだなと思います。

僕はもともと自分に自信がなくて、自分のことを価値ある人間だと思えなかったんです。でも、選手として活動して良い成績を残せるようになってきて、少しづつ自分にも価値があるんだと思えるようになりました。

――さらにさかのぼると、自分がプロゲーマーになっているとは想像もしていなかったのではと思います。改めて振り返ると、どのように感じますか?

Machao:先のことを考えても、人生どうなるかわからないなって。実は、高校1年生までスパルタで有名な進学校に通っていたんですけど、キツすぎて辞めてしまったんです。

当時は本当に人生のどん底で、自分には生きる価値があるのかと考えていたくらい。良い大学を卒業して良い仕事に就いて……というのが人生の正しい道だと思っていました。その道から外れた今となっては、意外と人生どうとでも生きられるなと思います。

――Machaoさんにとって、プロとしてゲームに向き合う原動力はどこにあるのでしょうか?

Machao:自分の好きなことでお金を稼ぐって、なかなかできないことじゃないですか。恵まれた環境と巡り会えて、なおかつ家族も理解して応援してくれていて、その状況で努力を怠るなんてあり得ません。自分が好きで選んだことをがんばれなくなったら、終わりだと僕は思うので。

もともと負けず嫌いな性格もあると思いますが、自分が好きなことをやる道を選んだからには、できることを最大限やって後悔したくない、という気持ちが原動力になっていると思います。
どんなに練習しようと、大会本番の経験に勝るものはない

――今後、日本チームが国際大会で活躍していくために、何が必要だと感じますか?

Machao:大会の試合数ですね。2020年のSeason6以降、たくさんの国際大会に出ていて強く感じるのは、スクリムに100試合出たとしても、大会に1試合出る経験には敵わないということ。なので、PJCで国内大会の試合数が増えることに関しては、良い方向に進んでいると思います。

2020年、アジア大会の「PUBG Continental Series」(PCS)では、4大会で中国が優勝を独占しましたが、特に中国チームは驚くほど多くの大会に出ているんですよ。大会では、どのチームもできることを全部出して、お互いに全力でぶつかります。それにどう対応するかを常に考えるので、試合を重ねるほどシーン全体がレベルアップしていくんですよね。

――DGWは直近、かなりの数の国際大会に出場していますが、手応えはいかがですか?

Machao:手応えがあるとはまだ言えませんが、「こうしたら勝てるんじゃないか」という勝ち筋は、前よりは見えてきました。相手が何をしてくるか、自分たちとのレベル差はどれくらいか、それがわかってきたんです。自分たちに足りていないものを、少しずつ見つけ出している感覚ですね。

足りない部分を埋められれば、今の国際大会のレベルにはいずれ追いつけると思いますが、追いついていく最中に相手もレベルアップしていくので、どこかでペースアップしなければならない。そこが難しいところですが、彼らも同じ人間なので、絶対に勝てない相手ではないと思っています。

――「PUBG WEEKLY SERIES」(PWS)などで韓国チームと戦っていて、差を感じるのはどういった部分ですか?

Machao:韓国チームの動きは、とにかく細かいところまで徹底されています。撃ち合いを単なる撃ち合いで片付けることなく、自分たちが持っている有利を最大限に使って戦う。不利な状況でも、それを覆すようなチャンスの作りかたも持っています。

メタもどんどん変わっていくので、それにも対応していかなければなりません。わかりやすい例が、「Gen.G」ですよね。彼らは安全地帯の際から展開していく戦いかたを強みに、2018年はアジア大会も世界大会も制覇しましたが、その翌年は全然力が発揮できなかった。少し環境が変わるだけで、それだけの変化が起こります。

逆に言えば「Gen.G」の存在が、戦術の幅を広げたと思っていて。彼らのプレイスタイルに対応するために、シーン全体のレベルが上がったんですよね。特に、自分たちより外側から攻めてくるチームをどう対処するかという防衛が、各チームかなり上手くなっていると感じます。

「日本は弱い」というイメージを覆したい

――2021年2月からは、世界大会の「PUBG GLOBAL INTIVATIONAL.S」(以下、PGI.S)がスタートします。PGI.Sに向けて、メンバー全員がゲーミングハウスに集まっていると聞きました。

Machao:せっかくゲーミングハウスに集まれる環境があるので、集まろうという話になりました。メンバーによっては、ゲーミングハウスから参加したほうがPingが多少良くなるのと、やはり顔を合わせたほうがフィードバックしやすいメリットがあります。

しばらくアジア圏のチームとしか戦っていないので、世界大会のPGI.Sでは他リージョンのチームがどう戦ってくるか、楽しみでもあり怖さもあります。大会中に「このムーブは刺さらないな」など、自分たちの足りていない部分に気付くスピードも大事なので、柔軟に対応していきたいです。

――今回のPGI.Sはルールが特殊ですよね。平日のWeekly Survivalでは、ドン勝したチームが週末のWeekly Finalへ進出するというルールです。

Machao:たった1キルであろうとドン勝を取れば予選を抜けられるので、戦いかたはガラッと変わるはずです。ただ、今までになかったルールなので、チャンスでもあるのかなと。戦いかたをいかにつかめるかが、勝負の1つになると思います。

――それでは最後に、今後Machaoさんが叶えたい目標や夢を教えてください。

Machao:海外から見た、日本チームに対するイメージを変えたいです。現状は誰がどう見ても、日本は弱い。それが自分はすごく悔しいので、そのイメージをどうにか覆したいと思っています。そのためには、結果を出すしかありません。これから始まるPGI.Sを含めた国際大会で、日本も強いんだということを、しっかり結果で見せていきたいと思っています。

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