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テレビ解説者・木村隆志の週刊テレ贔屓 第157回 『ぴったんこカン・カン』劇薬・アポなし不要で引きつける力強さ

2021年01月27日11時00分 / 提供:マイナビニュース

テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第157回は、22日に放送されたTBS系バラエティ番組『ぴったんこカン・カンスペシャル』。

2003年スタートの長寿ロケバラエティだが、もう1つの雄である『火曜サプライズ』(日本テレビ系)の終了が報じられるなど、コロナ禍で不穏なムードも漂っている。「緊急事態宣言発令中の今、ロケはできるのか」「画面を通じて視聴者にもわかる感染対策はどの程度施されているのか」などの気になる点は少なくない。

今回の放送には、同日スタートのドラマ『俺の家の話』の長瀬智也、桐谷健太、永山絢斗、江口のりこが出演するという。局を代表する「番宣番組」としての構成・演出なども含め、現状をチェックしていきたい。
○■長瀬智也が開口一番のナイスフォロー

オープニングでこの日の放送が「新ドラマ『俺の家の話』豪華出演者大集結! 俺の昔の話ぶっちゃけて仲よくなろう!!SP」であることが明かされた。どうせ番宣をするのなら、これくらいハッキリと言い切ってしまったほうが清々しく、視聴者は受け入れやすいのではないか。

画面が切り替わると、一面グリーンバックのスタジオに長瀬らと安住紳一郎アナがソーシャル・ディスタンスを取りつつ座っていた。そして画面下部には、「緊急事態宣言中につきロケ自粛中」の文字……。

長瀬が「まさかこんなクロマキー(合成)になってしまうとは思わなかったんですけど。まあ『これはこれで楽しまないとな』って。砂漠のど真ん中でしゃべってる映像とかにしたいですよね」とポジティブに切り出すと、すぐに砂漠が合成され、桐谷が「合成感バリバリやな」とツッコミを入れて笑いを誘った。

ロケができないことによるスタッフの苦労を汲み取り、笑いに変えた頼もしい出演者たち。「バラエティ経験豊富な長瀬と桐谷の出演ドラマでよかった」と心底感謝したのではないか。

ここで「俺の昔の話ルーレット」なるものが登場。カラフルなルーレットには、事前アンケートによって引き出されたであろうトークテーマとグルメ、さらに「予算5,000円のプレゼント交換」という文字が書かれている。

ところが、誰かがルーレットを回して決めるのではなく、「最初のトークテーマは『長瀬の若き日のバラエティ勇姿』」というナレーションが入った。このルーレットは、あくまで形だけで「トークの順番やグルメのタイミングは制作サイドが決めていく」というのだ。必然性の薄い演出にスタッフたちの混乱ぶりが垣間見える。ともあれ、長瀬が出演した『TOKIO HEADZ!』『ガチンコ!』『ぴったんこカン・カン』の過去映像が流れ、それを見ている本人たちの姿が画面下部に合成されていた。

2つ目のトークテーマは「江口の名作ドラマの話」で『名もなき毒』『半沢直樹』をピックアップしたほか、3つ目も「江口のぴったんこ初登場」と立て続けに江口のりこをフィーチャー。江口が安住のファンであることから、双子の姉、高校進学せずアルバイト生活、でも2か月以上続かなかった、エミネムを聴き、自粛期間中にピアノを買って『別れの曲』を弾いていることまで、トークの尺は長かった。江口は今、バラエティの現場で「最も呼びたい女優」という声も挙がるだけあって、今後もコンスタントにその姿を見せてくれるだろう。
○■苦労の跡が見える合成画面の食レポ

次にルーレットは、「とんかつとからしと」に止まり、ようやくグルメパートへ。ロケ自粛中のため、とんかつの名店『すぎ田』からテイクアウトした料理を食べるというが、目を引いたのは、制作サイドがスタジオに6台もの電子レンジを用意したこと。感染リスクを避けるための演出だが、タレント本人にわざわざ“チン”させるシーンを映す必要はあるのか。どちらかと言えば、「感染予防対策していますよ」という制作サイドからのアピールに見えてしまった。

もう1つ特筆すべきは、長瀬らが食事する背景に、店の内観や調理中の映像を合成していたこと。ロケのムードを出す工夫だろうが、やはり違和感は大きく、もちろん映像としての質は低く、そこで食レポしなければいけないタレントたちに負担がかかっていた。この日は長瀬ら華もユーモアもあるタレントがそろっていたためそれでも乗り切れたが、今後に不安を感じてしまう。

その後、「永山絢斗 俺の昔の話」「桐谷健太の昔のオモロイ話」「桐谷健太のあのドラマも出てた話」「永山絢斗のドラマ初登場」「桐谷健太 俺の昔の話」「戸田恵梨香の共演者爆弾発言(VTR出演)」というトークテーマが続いたが、最も時間が割かれたのは、「長瀬智也 俺の昔のドラマの話」。

「ドラマファンとプロデューサーが選ぶ名シーンBEST5」と題して、『タイガー&ドラゴン』感動のコール&レスポンス、『うぬぼれ刑事』一番笑える!壮絶な失恋シーン、『うぬぼれ刑事』ムチャブリ即興ダンス、『池袋ウエストゲートパーク』壮絶なラストシーンでの名ゼリフ、『池袋ウエストゲートパーク』胸キュン名シーンの過去映像を流した。

長瀬はそれぞれの裏話で盛り上げつつ、「まともな役が1個もない」と苦笑い。ただ、これらはすべて今回の『俺の家の話』と同様に、宮藤官九郎が脚本を手がけたドラマだけに、ぶっ飛んだ役ばかりなのは当然だろう。

長瀬のTBS出演ドラマには、主演を務めた『ハンドク!!!』『やんパパ』『歌姫』『クロコーチ』『ごめん、愛してる』、あるいは10代のころに出た『アリよさらば』『Dear ウーマン』などもあるが、これらの映像は一切なし。「長瀬のドラマでピックアップするのは宮藤官九郎絡みだけ」という番宣のスタンスが徹底されていたのだ。このあたりは自局ファーストの姿勢に偏りすぎの感があり、もう少し視聴者寄りのサービスをしてもいいのではないか。
○■「2時間まるごと番宣」の任務完了

けっきょく食事シーンは、前述した『すぎ田』のとんかつに加えて、『ウルフギャング・ステーキハウス シグニチャー 青山店』のステーキ、『極哩~GOKURI~』野菜10種盛り盛りカレーの3回。しかし、残り2店の料理を食べたのは、長瀬、桐谷、安住のみで江口と永山の姿はなく、寂しさが残った。過去映像中心の内容なら2時間スペシャルではなく通常放送で十分のような気がするが、「それでは番宣効果が薄い」という判断なのだろうか。

最後に4人で「予算5,000円のプレゼント交換」が行われ、長瀬は江口の選んだ「シルク&ウール二重織レッグウォーマー」、桐谷は永山の選んだ「茅乃舎だし・極みだしセット」、永山は長瀬の選んだ「樹脂台車 こまわり君ホワイト」、江口は桐谷の選んだ「長州力DVD(サイン入りブロマイド付き)」を受け取った。

企画もプレゼント内容もリアクションも、まるで一般人のプレゼント交換を思わせるゆるさだったが、「撮影で忙しく、感染対策も大変な中、これくらいのことしかやらせられない」ということなのかもしれない。

そのまま番組はエンディングに入り、長瀬はバックにドラマ映像が映される中で番宣をはじめた。さらに「ご唱和ください。5秒前、4・3・2・1・スタート!」というカウントダウンを行い、CMをはさまずそのままドラマ本編へ突入。「番宣としてやれそうなことはすべてやり尽くせた」のではないか。

ちなみに前回の放送では、『天国と地獄~サイコな2人~』の綾瀬はるかと高橋一生が秩父で、『オー!マイ・ボス! 恋は別冊で』の上白石萌音と玉森裕太、映画『さんかく窓の外側は夜』の岡田将生と志尊淳が銀座近辺でロケを行っていた。また、久本雅美、川田裕美、福地桃子らがクイズを当てるスタジオパートもあったが、今回はこれも感染予防のためかカットされている。

それらのさじ加減は、コロナ禍と緊急事態宣言の行方次第なのだろうが、この日のような力技でもやり切ってしまえることが、18年弱の歴史を持つこの番組の底力か。好感度と話術を持ち合わせた安住がど真ん中にいて、たとえ番宣であろうが、そのときバリューのあるゲストを呼べば何とかなってしまう。『火曜サプライズ』のような「アポなし」という劇薬を使わなくても、視聴者を引きつける力強さがこの番組にはある。
○■次の“贔屓”は…好スタートの『嵐にしやがれ』後継番組 『SHOWチャンネル』

今週後半放送の番組からピックアップする“贔屓”は、30日に放送される日本テレビ系バラエティ番組『1億3000万人のSHOWチャンネル』(毎週土曜21:00~)。

『嵐にしやがれ』の後継として今年1月16日のスタートから3回目の放送となる新番組。MCの櫻井翔と主なスタッフは続投した一方、「さまざまな人々の『やってみたい』『見てみたい』をひたすら実行していく」という番組内容はまったくの別物であり、まだまだつかみ切れないところがある。

次回は、「羽鳥慎一が娘と初共演で魚をさばいてカッコイイと言わせたい」「今田耕司が超イイ電動自転車で急坂を上りまくる」「アインシュタイン・稲田直樹が猫舌を克服して小籠包を食べたい」などを放送するという。

ここまで2回の視聴率(ビデオリサーチ調べ・関東地区)は、個人8.1%→6.8%、世帯13.0%→10.6%と、数字的にはまずまずのスタートを切ったが、現状の魅力と課題、今後の期待と不安を挙げていきたい。

木村隆志 きむらたかし コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月30本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組にも出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。 この著者の記事一覧はこちら

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