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佐野正弘のケータイ業界情報局 第43回 パネルが巻き取れる「ローラブル」スマートフォン、力を入れる企業が増えるワケ

2021年01月24日08時00分 / 提供:マイナビニュース

年明けに開かれた「CES 2021」では、スマートフォンのコンパクトさと大画面を両立するため、巻き取り型のディスプレイを搭載してスマートフォンが伸び縮みする「ローラブル」と呼ばれる新基軸のスマートフォンが注目されました。なぜ、ディスプレイを折り畳める「フォルダブル」ではなく、ローラブルに力を入れる企業が増えているのでしょうか。
○LG、TCL、オッポも力を入れる「ローラブル」

動画コンテンツなどの利用が増えたことで、スマートフォンには大画面であることが求められるようになりました。ですが一方で、スマートフォンは大きすぎると片手で持ちにくいことから、引き続きコンパクトさが求められているのも確かです。

「大画面」と「コンパクトさ」という相反する要素を両立するため、メーカー各社は試行錯誤を続けていますが、なかでも最近注目されたのがフォルダブル(折り畳み)型のスマートフォンです。日本でも、サムスン電子製の「Galaxy Z Fold2」「Galaxy Z Flip」など、いくつかのフォルダブルスマートフォンが投入されましたが、これらは閉じた状態ではコンパクトながら開くと大画面が利用できる、という画期的な機構を採用し、脚光を浴びました。

ですが2021年、オンラインでの開催となった世界最大のテクノロジーの見本市イベント「CES 2021」では、フォルダブル型とは異なる方法でコンパクトさと大画面を両立する「ローラブル」と呼ばれるスマートフォンがお目見えし、大きな関心を集めました。

ローラブルとは、要はディスプレイを巻物のように巻き取る機構を搭載し、ディスプレイが伸び縮みする仕組みです。ローラブル型のディスプレイを採用したデバイスとしては、LGエレクトロニクスが海外でローラブル式の有機ELパネルを採用した薄型テレビ「LG SIGNATURE OLED R」を販売するなど、すでに実用化がなされています。

そして今回のCESでは、韓国のLGエレクトロニクスが記者発表会でローラブル型のスマートフォン「LG Rollable」を披露したほか、中国のTCLも傘下の華星光電(CSOT)が開発したディスプレイを採用した、ローラブルタイプのスマートフォンなどを披露。大きな注目を集めました。

実は、ローラブル型のスマートフォンは、2020年にもオッポが「OPPO X 2021」としてコンセプトモデルを披露しており、多くのスマートフォンメーカーがローラブル型の実現に力を入れている様子がうかがえます。しかし、なぜ各社は以前注目されたフォルダブル型ではなく、ローラブル型に力を入れているのでしょうか。

○フォルダブルとの争いはディスプレイを巡る争いにも

その理由としては、すでに存在するフォルダブルとは異なる新しい機構を採用することで、製品や技術力のアピールにつなげるとともに、スマートフォンの形状で主導権を握りたい狙いが大きいでしょう。ローラブル型端末を手がける企業は、いずれもまだフォルダブル型のスマートフォンを提供していないだけに、ローラブルに注力することで、フォルダブルで先行するサムスン電子などとの差異化を図る狙いがあるといえます。

そもそも、大手メーカーがフォルダブルスマートフォンの販売を本格化したのは2019年とごく最近であり、提供するメーカーも多くありません。しかも、フォルダブル型のスマートフォンは、その構造上ディスプレイを折り曲げる部分に折り目のような線が入ってしまうという課題を抱えています。

一方、ローラブル型のスマートフォンは、各社の試作モデルによるデモを見る限りはそうした線が入ることはないようです。フォルダブルの弱点を解消できているメリットがあることから、今後主流となるチャンスは十分あるといえるでしょう。

ただ、ローラブル型スマートフォンの多くは、モーターを使ってディスプレイが自動で伸縮する仕組みを採用しているようなので、モーターの耐久性や、落下時の衝撃にどこまで耐えられるかといった点は気になるところです。またそうした構造上、フォルダブル型より高額になる可能性も否定はできません。

現時点でローラブル型の製品が実際に出ているわけではないので、現時点で両者を比較するのは難しいのですが、具体的な製品が登場したあとにどちらの形状が今後の主流になるのかは、大きな注目を集めることとなりそうです。

フォルダブルとローラブルの争いは、スマートフォンだけでなくディスプレイメーカーの争いにもつながってくると考えられます。というのも、これらのスマートフォンを手がける企業は、傘下にディスプレイデバイスを手がける企業を持っていることが多く、新しい形状のスマートフォンは、他社にディスプレイ技術をアピールし、販売拡大につなげるショーケースとしての意味合いも大きいのです。

実際、フォルダブルを手がけるサムスン電子はサムスンディスプレイ、ローラブルを手がけるLGエレクトロニクスはLGディスプレイ、TCLはCSOTを持っていることから、ディスプレイのスタイルに関する争いはディスプレイメーカー同士の主導権争いにもつながると考えられます。そうした意味でも、フォルダブルとローラブルを巡る競争は大いに関心を呼ぶところではないでしょうか。

佐野正弘 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。 この著者の記事一覧はこちら

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