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NASA、国際宇宙ステーションに新しい太陽電池を設置へ - 劣化で発電量低下

2021年01月20日07時00分 / 提供:マイナビニュース

米国航空宇宙局(NASA)とボーイングは2021年1月12日、国際宇宙ステーション(ISS)に新しい太陽電池アレイを追加すると発表した。

現在設置されている太陽電池が劣化し、発電量が低下しつつあるためで、今後のISSの運用継続や、研究活動の強化、そして民間移管による商業化を見据え、発電量を強化する。

今年から補給船で3回に分けて輸送し、船外活動によって設置される計画となっている。

ISSの太陽電池アレイ

国際宇宙ステーション(ISS)は、米国やロシア、欧州、日本、カナダが高度400kmの軌道上に建設した宇宙ステーションで、その大きさはサッカー場と同じくらいと例えられる。

もっとも、人が滞在できる空間はそのうちのごくわずかで、面積の大半は巨大な太陽電池アレイが占めている。その生み出す電力は、ISSの運用、研究や科学実験、そして宇宙飛行士が生きていくために、必要不可欠なものとなっている。

現在のISSには、2枚の展開式の太陽電池をペアにして1組にしたアレイが4組があり、最初の1組目は2000年12月に打ち上げられて設置。その後、2006年9月、2007年6月、そして2009年3月にも打ち上げられ、現在のかたちとなった。

しかし、これらの太陽電池は15年の耐用年数を想定して造られていることから、最初の1組目はすでに超過、2組目も今年中に超過することもあって、予想どおり劣化による発電量の低下が現れ始めている。

現時点で発電量は十分ではあるものの、ISSは2030年以降も運用を継続させることが検討されており、さらに有人月探査計画「アルテミス」のためのさまざまな技術実証や、将来的には民間に運用を移管して商業化する計画もあり、いままで同じくらいか、あるいはそれ以上にISSの活動が活発になると見込まれている。

そのため、このままでは太陽電池のさらなる劣化にともなって、いずれ電力が不足する可能性がある。
新しい太陽電池アレイを増設へ

そこでNASAは、4組中3組の太陽電池アレイを、新しいアレイで増強させることを計画。これにより、もともとの太陽電池が最初に設置されたころのレベルにまで発電量を回復させ、ISSの運用、研究に必要な電力を20%から30%増加させることができるとしている。

新しい太陽電池アレイは、NASAのISS運用の主契約者であるボーイングが納入を担当、ボーイングの子会社であるスペクトラボ(Spectrolab)が太陽電池の製造を担当。またディプロイアブル・スペース・システムズ(Deployable Space Systems)がキャニスター、フレーム、太陽電池アレイ・ブランケットを供給する。

太陽電池そのものも従来とは異なる新型で、発電効率の進歩により、現在のもの(長さ約34.1m、幅約12m)から、長さ19m、幅6mと大幅に小型化。発電能力は1組あたり40kW以上で、既存の太陽電池も約95kWの電力を生成し続けることができるため、完成時の最大発電能力は215kWになる。

また展開機構などの技術にも、2017年6月にISSで実証試験が行われた「ROSA(Roll-Out Solar Array)」と呼ばれる新開発のものが採用される。

くわえて、現在の太陽電池アレイの上にかぶせるように新しいアレイを配置することで、既存の太陽追尾機構や配電システムなどを流用するとしている。

打ち上げは、今年から一組ずつ3回に分けて、スペースXの「カーゴ・ドラゴン」補給船の非与圧トランクに搭載してISSへ輸送される予定で、一組あたり2回の船外活動を行い設置することになっている。

ボーイングは声明の中で「この先進的な太陽電池により、ISSの能力を今後何年にもわたって最大限に引き出すことができます。ISSのシステムや機器を維持するための電力を供給するだけでなく、ISSならではの微小重力環境で、さまざまな実験や研究を継続するために利用可能な電力を増強することができます」とコメントしている。

また、同社ISS部門の副社長兼プログラム・マネージャーを務めるジョン・マルホランド(John Mulholland)氏は「これらの新しい太陽電池アレイは、最近行われたISSの電力システムとデータ転送速度のアップグレードとともに、ISSが今後数十年にわたって活躍し続けることを確実にしてくれます。そして、将来の深宇宙探査の課題の研究や、地球上の生命にとって役立つ発見などといった形で貢献してくれるでしょう」と語っている。

ISSではこれまでにも、通信システムやバッテリー、科学機器ラックなど、システムのほとんどが改修、交換されている。このため、今回の太陽電池の増設により、NASAやボーイングでは「ISSは2030年以降も安全に運用し続けることができるだろう」と主張している。

その一方で、最初期に打ち上げられたロシア製のモジュールで空気漏れがたびたび発生するなど、個々のシステムや部品の改修、取り替えだけでは対処しきれないような問題も起きつつあり、今後の行方を注意深く見守る必要がある。

○参考文献

・New Solar Arrays to Power NASA’s International Space Station Research | NASA
・MediaRoom - News Releases/Statements

鳥嶋真也 とりしましんや

著者プロフィール 宇宙開発評論家、宇宙開発史家。宇宙作家クラブ会員。 宇宙開発や天文学における最新ニュースから歴史まで、宇宙にまつわる様々な物事を対象に、取材や研究、記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。 この著者の記事一覧はこちら

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