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山田祥平のニュース羅針盤 第263回 通信の「安かろう悪かろう」は使ってみないとわからない

2021年01月19日06時00分 / 提供:マイナビニュース

KDDIがauの新しい料金プランを発表した。月間データ容量20GBが月額2,480円(税込2,728円程度)となる「povo」という名前のプランとして提供される。

その特徴は、オンライン手続き専用のプランであり、人間を介さないその簡易な手続きで、その時点での使い方に応じて自由に機能トッピングができる点にある。
○基本プランに「トッピング」して料金を最適化

機能トッピングでは、たとえば、24時間使い放題が20GBとは別に提供される「データ使い放題 24時間」(200円/24時間)をはじめ、通話のかけ放題「5分以内通話かけ放題」(500円/月)や「通話かけ放題」(1,500円/月)などが提供される。これらの機能トッピングを、直近の利用状況を予測しながらユーザー自身が簡単にオンオフして、料金を最適化することができるわけだ。

結局のところ、先行して発表されたドコモの「ahamo」と価格的には同等となるわけだが、20代のauユーザーの実に6割以上が一か月あたり10分間しか通話していないという事実を根拠に、かけ放題機能をプランから切り離した。

多くのユーザーがLINEやMessengerといったアプリを使って音声の通話をするため、通信事業者の電話機能を必要としていないのなら、それを切り離して料金を少しでも安くしたほうがユーザーメリットが高くなるという考え方だろう。個人的には実にわかりやすい分離だと思う。つまり、povoは人間によるサポートサービスを引き算して基本プランを成立させ、そこに足し算して料金が決まるプラン設計だ。

もっとも、かけ放題が切り離されたからといって、電話番号を使っての音声通話ができなくなるわけではない。従来の価格と同額だが、30秒20円という価格での発信ができるし、当然着信もできる。また、機能トッピングの「5分以内通話かけ放題」や「通話かけ放題」を追加するという選択肢もある。これが足し算だ。
○「povo」はauとUQのあいだにある

KDDIは、auとは別にUQというブランドで、auよりも廉価なプランを提供している。今回の「povo」は、その中間に位置するもので、20GBという中容量データでまかなえる層をターゲットにして設計されたプランだ。

同社はauとUQについて、ネットワークの品質は同じだとしているが、今回のpovoについては、エリアやネットワーク品質についてはauやUQと同等だが、ネットワーク設備については異なるとしている。そして、何が違うのかは非開示だ。

たとえば、KDDIはMNOとしてMVNO各社に回線を提供している。MVNOはMNOであるKDDIからネットワーク設備を借り受け、それを自ブランドでエンドユーザーに売っている。モバイルネットワーク設備を持たないでモバイルネットワークサービスを提供するからバーチャルのVが挟まるMVNOというわけだ。

auと、auのMVNOは、サービスエリアは同じだ。だが、MVNOは必要な分のデータ容量をauから購入した上でエンドユーザーに提供する。ここをけちると、利用者の数に対する容量が不足してしまう。そうはいっても十二分に容量を(何かあった時に備えて)確保しておくのではビジネス的に成り立たなくなってしまう可能性がある。

あのMVNOは昼休みの時間帯は使いものにならない、といったことが起こるのはそのためだ。同じネットワークであるはずのauならスルスルとデータが流れるのに、そのMVNOはパケ詰まりを起こしたりする。これはMVNOがauからユーザーの利用ピークをカバーできる十分な容量を購入していないから起こる現象だ。あるいは、auのネットワークを抜け、MVNOのネットワークに入ったときに、そのバックボーンネットワークが貧弱だという可能性もある。

それでも、そのことがあらかじめわかっていて、それでもかまわないとするユーザーは、コストメリットを考えてMVNOを選ぶかもしれない。一定時間ガマンを強いられても、その他の時間帯については不自由がないならそれでよしとするという考え方もあるからだ。
○ケータイ回線はなぜ安い? 透明なスタンスが欲しい

ドコモのahamoも、ドコモのネットワークと同じ品質を提供すると表明している。ネットワーク設備については言及していない。一方、auは同じ品質としながら設備が違うといっている。この事実がどんな結果をもたらすのかは、サービスインして、実際に使ってみないとわからない。安かろう悪かろうが判明しないとは限らないのだ。

安い理由がどこにあるのかを明確にするのはそれほど難しいのだろうか。安い理由として、オンライン手続き専用のプランにしたことで、人手を介した手厚いサポートを省略することで価格を抑えるというのは理解できる。それが必要のないユーザーは、その分の価格を抑えることができる。だが、ネットワークについてはどうなのだろう。MVNOと同じようなことが起こることはないのだろうか。

国から言われたから安くしたというのでは、これまでの価格が高く設定しすぎていたという憶測にもつながりかねない。廉価なプランの提供は、事業者としての利益に大きなインパクトを与えるだろうけれど、そうならないようにコストを抑えることができたからこその廉価プランなら話は違う。いっさいがっさいすべてを足し算した全部入りのauプランと、引き算でできた今回のpovoプランの違いが、オンライン手続き専用という違いだけで、他は何も違わないというのなら、povoがかけ放題プランを分離させたようにauプランから店頭サポート分を分離して料金の建て付けイメージを明確にすることだってできるはずだ。

今の時期は、そういう透明なスタンスが欲しい。ネットワークにつながることと快適にネットワークを使えることは違う。また、事業者に支払う料金を、将来への投資だと考えるユーザーがいたっていい。サービスを利用する側としては、こうしたことをきちんと考えられる賢い消費者になる必要がありそうだ。

著者 : 山田祥平 やまだしょうへい パソコン黎明期からフリーランスライターとしてスマートライフ関連の記事を各紙誌に寄稿。ハードウェア、ソフトウェア、インターネット、クラウドサービスからモバイル、オーディオ、ガジェットにいたるまで、スマートな暮らしを提案しつつ、新しい当たり前を追求し続けている。インプレス刊の「できるインターネット」、「できるOutlook」などの著者。■個人ブログ:山田祥平の No Smart, No Life この著者の記事一覧はこちら

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