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佐野正弘のケータイ業界情報局 第41回 大手3社でNTTドコモだけが固執する「解約金留保」とは 2年縛りにも影響

2021年01月07日11時40分 / 提供:マイナビニュース

新料金プラン「ahamo」が菅政権から高い評価を得ているNTTドコモですが、大手3社で唯一「解約金留保」という仕組みを維持し、電気通信事業法改正前の料金プランから現在の料金プランに変更した時、“2年縛り”を一定期間温存しています。解約金留保とはどのようなもので、なぜNTTドコモは解約金留保の免除をしないのでしょうか。
法改正後のプランに変えても2年縛りの影響が続く“落とし穴”

2020年の携帯電話業界は、菅政権による携帯料金引き下げで持ち切りだったといっても過言ではないでしょう。その菅政権の影響を受ける形で提供され、大きな反響を呼んだのがNTTドコモの「ahamo」ではないでしょうか。

ahamoは、月額2,980円で20GBの通信量という分かりやすさと低価格であることに加え、ドコモショップでのサポートが受けられないなど、従来プランとは決定的な違いが多数あるにもかかわらず、サブブランドではなくメインブランドの料金プランとして提供されました。それゆえ、消費者や販売の現場からは疑問の声も出ていましたが、メインブランドでの料金引き下げに強くこだわる菅政権からは、メインブランドで2018年時点から7割以上の値下げを実現したとして絶賛されているようです。

ですが、NTTドコモの動向を見ると、必ずしも菅政権の要望に応えているわけではない様子も見えてきます。その代表例に挙げられるのが「解約金留保」です。

2019年10月の電気通信事業法改正で、“2年縛り”などと呼ばれた長期契約を前提とした割引の解約金は、それまで9,500円という金額が一般的だったのが、1,000円以下にまで規制されています。それゆえ、法改正前のプランから法改正後提供されたプランに乗り換えたあと、回線を解約すれば、改正後のプランの解除料である1,000円以下で済むものと思われがちです。

ですが、そこに影響してくるのが解約金留保です。解約金留保があることで、ユーザーが法改正後のプランに変えても法改正前のプランの契約に基づいて長期契約が維持され、それが終了する前に解約すると法改正前のプランと同じ解約金がかかってしまうのです。

例えば、法改正前の料金プラン「カケホーダイプラン」から現行の「ギガホ」「ギガライト」などに乗り換えた場合、プラン変更自体は無料でできますが、カケホーダイプランの2年定期契約の期間はそのまま維持され、期間が過ぎる前に解除すると9,500円の解約金がかかってしまいます。

もちろん、プラン変更後、解約金留保の期間が過ぎればその影響はなくなり、新たな料金プランの定期契約の安価な解約金で解約できます(定期契約がないプランの場合はもちろん無料)。ですが、それまでは新しいプランに変えても2年縛りの影響を受け続け、容易に他社のプランに移行できない状況が続いてしまうのです。

武田大臣はなぜ解約金留保の問題を指摘しない?

法改正前の料金プランにおける2年縛りの解約金を、現在も問題視しているのが武田良太総務大臣です。武田大臣は2020年12月1日の記者会見において、電気通信事業法改正や、2020年10月27日に公開された「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」などで、携帯電話会社を移る際の障壁となっている手数料や違約金などの見直しが進んでいることについて記者から問われた際、「それ自体が、ある意味『まやかし』なんです」と声を荒らげて答えていました。

その理由として武田大臣が挙げていたのが、法改正前のプランを契約している人は各種手数料負担の軽減が受けられないことです。その中には、2年縛りの高額な解約金も含まれており、法改正前の料金プラン契約者の解約金に強い問題意識を持っている様子を見て取れます。

そうしたこともあってか、KDDIソフトバンクは法改正後の料金プランへのスムーズな移行を促すべく、特例として解約金留保の免除を実施しています。ですが、NTTドコモだけは現在も、解約金留保の免除をしようという動きを見せていないのです。

実際、2020年12月18日に発表された新料金プラン「5Gギガホ プレミア」「ギガホ プレミア」の内容を見ても、「定期契約ありの料金プランをご契約中のお客さまが2019年10月1日(火曜)以降、更新期間以外に上記プランへの変更を実施し、当該定期契約期間満了月前月までに解約した場合は変更前プランの解約金が発生します」との記載がなされており、新しいプランであっても解約金留保の免除をしない方針であることがうかがえます。

実はこの問題は、以前総務省が実施していた有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会」の第20回会合でも議論がなされています。そこで留保を設ける理由について問われたNTTドコモの担当者は、「既往契約の考え方に基づいて留保はさせていただくという考え方にした」と答え、あくまで以前のプランで契約していた内容を優先するとの考えを示していました。

そうしたことから、解約金留保の問題とNTTドコモの対応は総務省でも把握しているものでもありますし、法改正前プラン契約者の解約金の高さを問題視する武田大臣がもっとそのことに言及してもよさそうなものなのですが、少なくとも執筆時点までに言及がなされる様子はありません。単に大臣が見逃がしているだけなのか、それとも他の理由があるのか気になるところではありますが、古いプランの手数料を問題視するならばNTTドコモの解約金留保の問題にもっとフォーカスを当てるべきではないかと筆者は考えます。

佐野正弘 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。 この著者の記事一覧はこちら

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