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『キラメイジャー』『仮面ライダーW』塚田英明Pが語る、脚本家を目指す人へ「自分の書いたものが映像化される喜び味わってほしい」

2021年01月04日20時06分 / 提供:マイナビニュース

●脚本家志望者を見る2つのポイント
数々の映像作品を世に送り出し2021年で創立70周年を迎える東映が、未来を担うクリエイターを見出すべく、3年ぶりとなる「芸術職研修契約者」採用を実施する。「脚本家職」の募集となり、契約者は3年間の契約期間中、東映のテレビ企画制作部に在籍。そこでテレビドラマ・映画・配信作品など、映像製作の最前線で実際の職務を経験しながら、実地に研修を受ける機会を得る。

2003年、2005年、2017年と過去3回行なわれた脚本家職の募集では、のべ1,800名もの応募があり、採用者は契約期間終了後も数々のテレビドラマ、劇場映画、アニメ作品などの製作現場で活躍している。これまでに、岩下悠子氏(『相棒』『科捜研の女』『京都地検の女』、映画『3月のライオン』など)、入江信吾氏(『相棒』『黒子のバスケ』『ゴールデンカムイ』映画『百夜行』(共同脚本)など)、金子香緒里氏(『ヒーリングっど・プリキュア』『魔進戦隊キラメイジャー』『警視庁・捜査一課長』など)、吉原れい氏(『科捜研の女』『刑事7人』『特捜9』など)、下亜友美氏(『魔進戦隊キラメイジャー』『刑事ゼロ』『女子グルメバーガー部』など)が「芸術職契約研修者(脚本家職)」から輩出されている。

今回の脚本家職募集の意図について、『科捜研の女』『仮面ライダーW』など多数の作品を手がけ、現在『魔進戦隊キラメイジャー』のチーフプロデューサーを務めている塚田英明氏(テレビ企画制作部長)にインタビューを行い、最前線で活躍できるプロ脚本家として"必要なこと"を聞いた。

――前回(2017年)以来3年ぶりに脚本家職募集を行うことになった経緯からお聞かせ願えますか。

前回は499名の応募者の中から3人が採用されました。『魔進戦隊キラメイジャー』にも参加している金子香緒里さん・下亜友美さん、それと吉原れいさんです。彼女たちは2020年で契約期間の「3年」を務め上げ、2021年3月に「卒業」というかたちになりました。

11年ぶりに脚本家職を採用し、3年間実施した"総括"は、「脚本家を育てることはプロデューサーのスキル向上にもつながるし、これは継続していったほうがいい」ということ。そう判断して、今回の募集に至りました。これまで3度、脚本家職の採用を行ったのですが、すべて契約期間は3年間でやってきています。

もっと早く見極めることもできるのでは?という意見もありますが、やはり、ある程度の時間をかけて人間関係、仕事の繋がりなどを築いていく必要があると考えます。それに、脚本家として一旦の「完成」を目指す期間として"3年"は悪くない時間だと考えています。弊社の側から見ると、3年間のタイムリミットで独り立ちできる脚本家を育てるというミッションとも言えます。

――採用された「脚本家職」の方たちは、入社後どのようにしてプロの仕事をしていくのでしょうか。

前回のやり方で言いますと、最初は3人一緒に講習のような感じで各プロデューサーたちによる指導の時期がありました。その後、それぞれ個別に担当プロデューサーについて、実際にそのプロデューサーの番組の脚本を書いて、直してという実習をしました。それが、入って半年くらいまでの作業です。そのあとは実質フリー活動です。各プロデューサーとのつながりの中で、自分で仕事を"取ってくる"ことになります。東映の強みとしては、テレビ朝日さんで水曜9時のドラマ、木曜8時のドラマ、そして「仮面ライダー」シリーズ「スーパー戦隊」シリーズと、レギュラーで制作している番組を持っているので、その番組にうまくはまれば、作品を発表できる機会が多くなります。

――テレビドラマの脚本を手がける場合、どのような過程を経て執筆にかかるものなのでしょう。

まずプロデューサーから「こういうホン(脚本)を書いてほしい」という「発注」があります。どれくらい具体的かは企画によって異なりますが、大体の場合、最初はモワっとした構想からスタートして、そこからヴィジョンを固めていきます。そうした発注打ち合わせをざっくりとした後、脚本家にはプロット素案(物語の概要、あらすじ)を書いてもらいます。これをベースにして監督らも交え、構成を固めたプロットにしていく打ち合わせがあり、ある程度形が出来てきたかなという段階でいわゆる脚本の形(初稿)にしてもらいます。初稿が上がれば、そこにさらに意見を加えていき、改訂を重ねて"決定稿"にしていきます。各段階で取材や調べものが発生しますが、脚本家単独でやるもの、プロデューサーや監督と持ち合ったり、それは企画によって様々です。

――プロの現場で仕事をされる脚本家に求められるものとは何ですか。

意外に思われるかもしれませんが、「コミュニケーション能力」ですね。一般の方は「脚本は一人きりで孤独に書きあげるもの」とイメージされるでしょうが、それは実際の多くの現場では違っています。コンクールに応募するような"自由課題"の作品とは違って、先ほども申し上げた通り、何度も打ち合わせを重ねて作られるという意味では、「脚本執筆」自体は一人の作業でも、「脚本作り」は複数のスタッフが関わっていると言えます。打ち合わせをして、監督やプロデューサーの意見、時には役者やロケ場所のスケジュールといった諸条件をも入れ込みつつ、その中で何度も直して内容を良くしていく、これには「コミュニケーション能力」が大きく問われます。

ときどき「これは私の書きたいものと違います」みたいな意見を言われることがありますが、書きたいことを書くだけでは成立には至りません。プロの現場では「"条件"に合うものを書いてもらう」作業が求められます。プロデューサーの言っていることを理解し、直せる=言語化できる能力を、僕たちは求めています。一方で、個人作業ではないということは、脚本家さん自身が持っている能力以上の内容が、チームで取り組むことによって出来上がったりもします。それは脚本家にとってもプラスでしょうし、その経験が成長にも繋がると思うんです。

こういう部分が、一般の人が思う脚本のイメージと、実際の映画やテレビでの脚本執筆作業との一番の違いです。クレジットでは「脚本:〇〇」と個人の名前しか出ませんが、その人がぜんぶ1人で何から何まで考えて脚本を書いているのではなく、事前のいろいろなコミュニケーションのなかで生まれてきたものを形にしているのが、脚本家の仕事。そういう部分に魅力を感じてもらえる方にも応募していただきたいですね。

――シナリオ学校で学んでいたり、すでに脚本の仕事を手がけていたりと、実績や経験を備えている人のほうが採用の可能性が高いでしょうか。

極端な話、脚本の書き方など何も知らない人が来ていただいても大丈夫です。とにかく「日本語」の能力が高ければ良いのであって、採用されてから「脚本にはこういう作法があって……」という約束事を覚えていただれば良いだけです。ある程度のことは分かっていたほうが有利でしょうが、今回初めて脚本を書く、という人でも最低限「シナリオの書き方」といった書籍を読まれてから取り組まれれば、じゅうぶん選考に耐えうる課題ができるんじゃないかと思います。

――これまで応募された脚本を選考する中で、特に塚田さんが注意して見られるポイントとは?

脚本のポイントはいろいろあるので一概には言えないのですが、僕としては「キャラクターが魅力的に描けているか」「セリフが書けているか」を重視することが多いです。

ストーリー全体の「構成力」についてはある程度プロデューサーの立場からフォローできると思いますが、セリフやキャラクターの魅力は、やはり脚本家が生み出してくれないと。『キラメイジャー』をはじめ、過去の「スーパー戦隊」でも一緒にやっている脚本家の荒川稔久さんはキャラクターの描写やセリフの感覚が抜群ですから、そこを信頼して、何度も一緒にお仕事しています。ストーリーのアイデアと構成力が素晴らしいのは、『仮面ライダーW』の三条陸さんです。もちろんキャラクター描写も上手ですが、「ここがこうだから、こうなってこうなる」と、確かな構成をプロットとして上げてもらえるのは、プロデューサーとしてはすごくありがたいです(笑)。

――昨今、映画、テレビだけでなくWEB配信による映像作品が増えてきていますが、このような状況の中、脚本家の方々が活躍する機会は増えていくと思われるでしょうか。

今よりもっと前は、脚本家志望の若者は有名な先生に弟子入りし、「脚本とはこういうものだ」みたいに修行したり、仕事をふってもらったりするような「師弟関係」があったりもしたようですが、今はもっとフリーな状態で、誰もが脚本家を始めることが出来そうです。今と昔では色んな環境の違いもありますし、発信メディアが増えることにより、新人脚本家が世に出ていくチャンスは確かに多くなるかもしれません。そんな中、東映の芸術職採用は「しっかり育てる」という意味では、現代的な「師弟関係」の提案と言えるかもしれません。

――プロを目指す新人脚本家の方たちへのアドバイスとして、特に大切にすべきこと、意識しておきたいことを教えてください。

まず「意欲」と「発想」、そして作品を最後まで書ききることのできる「根性」ですかね。あとは「人を見る視点」。結局、ドラマというものは"人間"を描くわけですから、人として他者とどう向き合うか、という点は大事な要素だと思います。

また、プロとして長く続けていくとなれば「好奇心」が旺盛であることも大切になってきます。自分の中にある「書きたいこと、題材」は、極端な話ですが、2作品書いたらなくなってしまうんじゃないかなって思うんです。どうしても書きたい、湧き上がってくるものを1作目として出すと、次は、「1作目でやらなかった方向でやってみたいこと」を2作目として出します。これで、大きな意味では「以上」。だから、ずっと継続して脚本家をやっていくには、自分の興味ある題材を常に探して、それを楽しんで……というプロセスが必要になります。あらゆる方向にアンテナを張り、好奇心を強く持って、いろんなことに触れて、感じて、楽しむことができる人に応募して欲しいです。

●『キラメイジャー』屈指の異色作!?

――塚田さんのプロデュースしている『魔進戦隊キラメイジャー』について聞かせてください。2020年3月からスタートした好調のまま年を越し、いよいよ物語もクライマックスを迎えようとしています。最初の10話あたりのタイミングで"コロナ禍"となり、撮影スケジュールが大幅に変更されたことについてどう思われましたか。

コロナ前と後では撮影をとりまく状況やいろいろなことが変わり、大変なことも多かったですね。でも、こんな風に社会全体が暗く沈んでしまうような状況だったからこそ、"キラキラ輝く"という『キラメイジャー』ならではのモチーフを物語にしっかりと活かすという番組の姿勢がハッキリしたと思っています。毎回テレビを観たあとはポジティブになるというような、エピソードごとの面白さを意識して、作り上げることができました。"緊急事態宣言"で撮影がストップしたときでも、トーク番組風の総集編「キラトーーク!」を作るなど、工夫によっていろいろなことができましたし、新しい発見もありました。

――エピソード25から、敵のヨドン軍に新幹部ヨドンナが登場します。スーパー戦隊シリーズの中でもひさびさとなる、素面の女優が演じる悪の大幹部・ヨドンナは、演じる桃月なしこさんの熱演もあって人気キャラクターとなりました。ヨドンナの登場は当初から意図されていたのですか。

1年は長いので、敵側にもある程度の変化を与えなければいけないなと、当初からなんとなく構想はしていました。なしこさんはオーディションで決めたのですが、とても魅力的なキャラになってくれました。敵幹部として出てくることは予告では伏せて、ゲストに可愛い巫女さん登場としか紹介していなかったため、オンエアを観た人の驚きが大きかったようです。事前情報で脚本のサプライズを損ねたりすることがなく、よかったと思いました。

――『キラメイジャー』はメインの荒川稔久さんをはじめ、下亜友美さん、三条陸さん、井上テテさん、金子香緒里さん、横手美智子さんと多くの脚本家が参加されていて、ストーリーもキャラクターの個性を活かしたバラエティ感のあるものが多かったですね。

『キラメイジャー』の場合、プロデューサーが全体の脚本コントロールをする部分は大きかったと思います。新ロボとかパワーアップとかの部分はこちらで調整しながら、それぞれの脚本家さんたちにふっていきました。あとは、基本1話完結のストーリーの中で、いかに面白い脚本が出来るか、妥協なく打ち合わせを重ねました。

今年放送のエピソード40では、『特捜9』や『相棒』などで活躍されている徳永富彦さんに脚本を書いていただきました。徳永さんが特撮ヒーロー作品を書くのは初めてでしたが、ダメ元でお願いしていて、このタイミングで実現しました。圧倒的に「こういうものを書きたい」というヴィジョンが明確で、そのプロットに対し、僕たちスタッフが『キラメイジャー』ワールドに"落とし込む"作業をしました。おそらく『キラメイジャー』屈指の異色作として話題になると思います。ぜひ期待していてください。

――塚田さんにとって久々となる特撮ヒーロー作品『キラメイジャー』の1年間をふりかえって、ひとことご感想をお願いします。

主演の6人には、1年間ずっと"キラキラ"した状態でいてくださいと言わば強要してきたわけで、みんな大変だったと思います(笑)。でも、キラメイグリーン/速見瀬奈役の新條由芽さんが「自分自身はもともとインドア派だったけれど、前のめりに行動する瀬奈を演じ続けるうちに、そのキャラに引っ張られて、どんどん明るく行動的に変わっていった」と話していて、うれしく思ったんです。キラキラを演じ続けてきたことが、現実の俳優であるみんな自身をキラキラさせることになったんだな、って。そういうことって確かにあるんですよね。感激しました。だから僕自身も、コロナ禍や様々な変化で大変な1年間だったけど、すごくキラキラした印象の1年でありました。

――最後に、今回の東映芸術職(脚本家職)に応募しようと意欲を燃やす、若きクリエイターのみなさんにひとことエールをお願いします。

僕は最初の頃、京都撮影所のテレビ部で、時代劇作品にプロデューサー補としてついていたんですが、そこで脚本家としてご一緒したのが、『トラック野郎』シリーズなど東映娯楽映画で監督として有名な鈴木則文さんでした。則文さんが京都の宿にこもって書いた原稿を、僕が受け取りに行ったりしていたので、「塚田、どうだ。この脚本、面白いか」みたいな感じで、新人スタッフとしてとても可愛がってもらいました。そんな中、僕も見よう見まねで脚本を書いたのが、松方弘樹さん主演の『遠山の金さんVS女ねずみ』の1エピソードです。先輩の亀岡正人プロデューサーに見てもらったら「面白いんじゃないの」と言われ、則文さんに直してもらって「共同脚本」という形で世に出してもらいました。このときの「自分の書いた脚本が映像化された」喜びは、今でも忘れられません。もう、こんな精神的快感があるのか!と興奮しました。まだ実現に至っていない脚本家志望の方々には、この快感をぜひ味わって欲しいです。応援します。我こそはと思う方はぜひ、今回の脚本家採用に応募してみてください!

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