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2021年の携帯業界を占う - 政治の呪縛は? 5Gの展開は? 米中関係は?

2021年01月02日06時00分 / 提供:マイナビニュース

菅政権の誕生で携帯料金引き下げを巡る動きが活発化し、振り返ってみれば5Gよりも政治がもたらす波乱が関心を集めた2020年の携帯電話業界。2021年も政治の影響は続くのか、料金競争はどうなるのか、そして立ち上げがうまくいっていない日本の5Gはどうなるのか……。波乱が続く携帯電話業界の今後を予想してみましょう。
○まだまだ続く政権の料金への関与、9月が節目になる?

2021年も注目を集めそうなのは、やはり政治と携帯料金引き下げに関する動向ということになりそうです。

2019年の電気通信事業法改正で一度は落ち着いたかに見えた携帯料金の議論が再燃したのは、携帯料金引き下げに熱心な菅義偉氏が首相となり、なかなか料金が下がらないことに業を煮やした菅政権が大手3社に強いプレッシャーをかけたからこそです。

菅政権が携帯電話料金の引き下げに向け、圧力をかける動きは2021年も続くものと見られていますが、そこで重要な役割を果たしそうなのはNTTドコモです。

NTTドコモは2020年に日本電信電話(NTT)による完全子会社化がなされましたが、NTTの大株主は日本政府や地方自治体であることから、NTTドコモの事業運営に政権の意向がより強く反映されやすくなったのは確かでしょう。

しかもNTTドコモはNTTの完全子会社化となったことで、同じ完全子会社のNTTコミュニケーションズの子会社化を計画するなど、グループ内のリソースを取り込んでの競争力強化を打ち出しています。政権の影響を受けやすく、NTTの後ろ盾を得て企業体力を付けたという点から見ても、NTTドコモが料金競争をけん引する可能性は高いといえそうです。

ただ最大手が料金競争を仕掛けることは、企業体力勝負の消耗戦を生み、体力の弱いMVNOや楽天モバイルなどの新興勢力が不利になることもまた確か。

短期的に見れば料金が下がることで消費者が恩恵を受けることになるでしょうが、大手3社による市場寡占がより強固なものとなる可能性も高まり、一層の競争停滞と将来的な料金の値上がりが気になるところです。

ただ政治による強い料金引き下げ圧力がいつまで続くのかは、菅首相の動向にも大きく左右されることになるかもしれません。そもそも菅首相の任期は2021年9月末までなので、菅氏がその後首相を継続するのか、また退任したとしてもその後政治的影響をどこまで維持できるのかによって、料金を巡る動向は大きく変わることになるかもしれません。
○「ahamo」開始で各社の対抗策が本格化

その携帯料金に関する具体的な動きとして注目されるのは、NTTドコモが2021年3月に提供予定の料金プラン「ahamo」です。2021年春先までは、大きなインパクトを与えたahamoにライバル他社がどのような対抗策を打ち出してくるかが関心を寄せることとなりそうです。

既にソフトバンクは、LINEモバイルを吸収して展開予定の「SoftBank on LINE」をブランドコンセプトとしたサービスを、ahamoと同じタイミングで提供することを打ち出しています。ですが正式なブランド名やシステム面の整備、そして国際ローミングなどサービス面で未確定な部分もあり、準備に1年を費やしたというahamoと比べるとサービス開始までに抱える課題は多いでしょう。

より課題が多いのはKDDIです。同社は2021年1月に新料金を発表すると見られ、そこでahamo対抗策も打ち出されるでしょうが、KDDIは2020年にはahamoの発表直後に従来通りの複雑な料金プランを発表したことが利用者から不誠実に捉えられ、SNSで炎上する事態を招いただけに、消費者からの信用を得るには新プランの内容に一定のインパクトが求められることになりそうです。

そしてahamoの登場が死活問題となりそうなのが楽天モバイルです。ahamoは料金が楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT」と同じである上、データ通信し放題ではありませんが、エリアの面で圧倒的優位性があります。

しかも2021年には、楽天モバイルが2020年4月より300万人に提供している「プラン料金1年間無料キャンペーン」が終了するユーザーが出てくるだけに、楽天モバイルのエリアに不満を抱く消費者がahamoなどに流れる可能性は否定できません。

楽天モバイルは基地局の整備を5年前倒しし、2021年夏までに人口カバー率96%の達成を目指すとしていますが、それでも免許を持つ周波数が少ないなど不利な要素が多いだけに、いかにしてahamoなどに対抗するかが注目されることになりそうです。

○環境整備が急ピッチ、5Gは普及フェーズに

料金が大きく盛り上がる一方、2020年の目玉となるはずだった5Gは、新型コロナウイルスの影響を大きく受け関心を落としている状況です。それゆえ2021年は5Gの再始動の年となり、各社がいかに5Gの関心を高める施策を打ち出すかは関心を呼ぶところです。

とりわけ注目される要素の1つは5Gのエリアでしょう。2020年の5Gエリアは“点”といっても過言ではなく実用性が非常に低い状態でしたが、2021年はそのエリアが急拡大する予定。

なかでも4G向けの周波数帯を5Gにも積極活用する方針を打ち出しているKDDIソフトバンクは、5G基地局を2022年3月末までに5万局整備し、人口カバー率90%超を実現するとしていることから、2021年中は急速に5Gが利用できるエリアが大きく広がることになりそうです。

一方のNTTドコモは5G向け周波数の活用にこだわる方針のため、2社ほどエリアが急拡大する訳ではありません。ですがその分、5Gらしい高速通信ができるエリアは2社より広範囲となる予定で、2022年3月末には2万の5G基地局を整備、人口カバー率55%を達成するとしています。

そしてもう1つの注目要素は端末ですが、こちらも2021年はすそ野が大きく広がると見られています。その理由は5Gに対応したミドルクラス端末向けチップセットの採用が進み、普及価格帯となる3万円台の5Gスマートフォンが急増すると見られているためで、今後スマートフォンを購入したら5Gだった、というケースも増えてくるのではないでしょうか。

東京五輪をはじめとして、5Gの活用をアピールするイベントなどの開催は、新型コロナウイルスによる所が大きく不透明な状況は続くこととなりそうです。ただ5Gを利用しやすい環境が急速に整い、自然と利用が広まっていくことは間違いないでしょう。
○米国の制裁と新興勢力の躍進、中国メーカーの動向に注目

ちなみにスマートフォンを巡っては、5G以外にも重要な変化が起きる可能性がいくつかあります。中でも注目しておきたいのは中国メーカーを巡る動きです。

2020年には米国の規制強化によってファーウェイ・テクノロジーズがスマートフォンの新規開発が困難となってしまいましたが、その一方でオッポやシャオミといった新興のメーカーが躍進を遂げています。実際国内でも、進出して間もない両社のスマートフォンが、KDDIソフトバンクのメインブランドで採用されたことは大きな驚きをもたらしました。

それだけに2021年は、1つにファーウェイ・テクノロジーズを巡る動向に変化が出るのかが注目されるところです。米国では2021年、大統領がファーウェイ・テクノロジーズに厳しい規制をかけてきたドナルド・トランプ氏から、ジョー・バイデン氏に交代する予定であることから、大統領交代で同社に対する米国側の姿勢が変化するのかどうかという点は、世界的にも関心を呼ぶところでしょう。

そしてもう1つは、新興メーカーがどこまでシェアを拡大できるかということです。これらメーカーは国内でメインブランドからの販売を実現したとはいえ、冬春モデルでの採用はなかったことから、まだ確固たる信用を得るには至っていない様子がうかがえます。

ですが電気通信事業法改正でハイエンドモデルの販売が振るわない現在、携帯各社は低価格モデルの比重を高めているのも確かで、5Gの普及フェーズに入る2021年はその傾向が一層強まることでしょう。それだけに、低価格モデルに強みを持つこれらメーカーの採用がどこまで進むかは、今後の端末メーカー間の競争を見極める上でも重要なポイントになってくるといえそうです。

佐野正弘 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。 この著者の記事一覧はこちら

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