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正常進化でコスパ向上? スズキの新型「ソリオ」に試乗

2020年12月25日07時00分 / 提供:マイナビニュース

スズキがコンパクトミニバンの「ソリオ」をフルモデルチェンジして発売した。ユーザーの声を受け止めて正常進化を果たした新型ソリオは、荷室の拡大、質感の向上、安全装備の充実などにより商品性が向上。高めの軽自動車とほとんど変わらない価格を考えると、かなりコスパの高いクルマに仕上がっている。

自動車業界ではSUVの人気が高まる一方だが、ファミリーカーに限った話をすれば、依然として多くの支持を集めているのはミニバンだ。ただ、今回の主役は定番の3列シート車でも豪華絢爛な大型車でもない。スズキ「ソリオ」というコンパクトミニバンだ。
○「ワゴンR」の派生モデルがルーツ

12月4日に発売となった新型ソリオを知るために、少しだけ歴史を振り返ろう。ソリオの前身となったのは、1997年に登場した「ワゴンRワイド」だ。軽トールワゴンというジャンルの開拓者として大ヒットした初代ワゴンRに1Lエンジンを搭載し、走行性能を高めたのがワゴンRワイドというクルマだった。まさに軽自動車に毛が生えたような存在ではあったのだが、小型ワゴンのニーズを掘り起こし、初代ソリオ誕生へと結びついた。

初代ソリオは軽自動車ではなく小型車のプラットフォームを採用していたが、当時のワゴンR人気にあやかって「ワゴンRプラス」を名乗っていた。派生モデルという位置づけだ。そのため、見た目もワゴンRそっくりであった。

11年のロングセールスとなった初代は、ワゴンRからの卒業を図るべく、最終的には「ソリオ」へと改名。2011年登場の2代目からは、スライドドアを採用するなどミニバン的要素を強め、独自路線を歩み始めた。その狙いは成功してユーザーは増えていき、現在はスズキの登録車(普通車)で最も売れるクルマとなっている。

○ボディサイズ拡大の恩恵が荷室に

このほど発売となった新型ソリオは4世代目にあたる。今回のフルモデルチェンジは、コンパクトミニバンとしての魅力を実直に追求した正常進化だ。スタイルは従来型よりもボクシーで、よりミニバンらしくなった。

ボディサイズの拡大により、ソリオはボリュームアップを遂げた。具体的には全長80mm、全幅20mmの大型化だ。とはいえ、もともとコンパクトなソリオなので、新型のサイズは全長3,790mm×全幅1,645mm×全高1,745mmにとどまっている。コンパクトカーのトヨタ自動車「ヤリス」やスズキ「スイフト」よりもずっと小さくて、カテゴリー的には軽自動車とコンパクトカーの間に収まるサイズ感だ。従来型ユーザーが乗り換えても支障をきたさないよう、最小回転半径やドアミラーを含めた全幅は変えていない。デザイン的な評価は、従来型よりも落ち着きが増し、“軽自動車プラスアルファ”といった雰囲気からの脱却が図れているように思う。

インテリアデザインも質感が高まった。従来同様、高価な素材は使っていないようだが、デザインや素材選定を工夫することで、プラスチッキーな安っぽい感じがしなくなった。

ダッシュボードデザインは従来型からセンターメーターパネルとインパネシフトを継承。デザインは似ているが直線を強調し、メッキパーツやアームデザインを取り入れることでしっかり感も演出している。エアコンパネルやステアリング、シフトレバーなど、乗員が触れる部分の触感や見た目からも気配りを感じる。そんな小さな積み重ねがクルマの質を高めているのだ。

前席も広々しているが、やはり広さといえば後席だ。ただでさえ大人が足を組んで座れるくらいのゆとりがある上、リクライニング機構も完備しているので仮眠をとるのにも問題なし。この辺りは従来型から継承した特徴でもあるのだが、実にミニバンらしい部分だ。

サイズアップの恩恵を強く感じるのが荷室だ。新型ソリオは全長が80mmも拡大しているが、ホイールベース(前後タイヤの間の距離)はそのまま。全長が伸びた分は、全て荷室の拡大に割り当てられている。荷室は従来型より100mmも奥行きが深くなっていて、標準時で550mm、最大715mmまで拡張可能。100mmのサイズアップ効果は抜群で、一目で「荷室が大きいな」と感じるほどだ。これなら、普段の買い物であれば後席位置を調節することなく荷物が積めるはずである。後席は2分割可倒式で、シートを倒せば床面がフルフラットとなるので、いろいろなものを運ぶこともできる。床下にある大きめのサブトランクに車載品を収めておけるのも便利だ。

エンジンは1.2Lの4気筒DOHCを搭載。最高出力91ps、最大トルク118Nmの実用的なスペックを備える。エントリーグレード「G」以外はマイルドハイブリッド(MHV)仕様で、減速時にエネルギー回生を行い、加速時にはモーターアシストを行う。燃費性能はMHVの2WD車で19.6km/L(WLTCモード)と公表されている。

時代が求める先進の安全運転支援機能は全車で標準化。センシングシステムにはステレオカメラと後方のソナーセンサーを装備する。これにより、夜間の歩行者にも対応する「衝突被害軽減ブレーキ」、踏み間違いによる急発進を抑制する「誤発進抑制機能(前後)」、後退時の衝突被害を軽減する「後退時ブレーキサポート」、車線からのはみ出しを検知する「車線逸脱警報」、ハイロー切り替えを自動的に行う「ハイビームアシスト」など、必要なものは一通りそろっている。さらに上級グレードでは、全車速域追従機能付き「アダクティブクルーズコントロール」やドライバー正面に運転情報を表示する「ヘッドアップディスプレイ」なども加わる。

乗ってみると、走りも悪くない。視界が良く、ハンドリングもしっかりとしているので運転しやすい。誰でも乗りやすいクルマに仕上がっている上、ファミリーカーに適した乗り心地の良さも備えている。運転中に触れるパーツもしっかりしているので、安っぽさも感じない。

みんなで移動するときには車内の会話も楽しみのひとつだが、新型ソリオは走行中のノイズを抑え込んでいて、会話も聞き取りやすかった。もちろん、弱点がないわけではない。加速時に高まるエンジン音と高速走行時の静粛性は、もう少し抑えてあると嬉しい。ただ、日常ではあまりに気にならない点だろう。

最も身近なミニバンとしての魅力に磨きをかけた新型ソリオ。特筆すべきは、サイズアップや先進装備の標準化を図りながらも高いコストパフォーマンスを維持していることだ。そのため、あえて割り切っているところがあるのも確かである。例えばストロングハイブリッドを採用していなかったり、オートブレーキホールドを導入していなかったりといった部分だ。しかし、それも価格を抑えるためには仕方がないのだろう。現状では、価格上昇分以上のメリットがないという判断なのだ。

その一方で、質感の向上や荷室の拡大など、オーナーの声を真摯に受けて止めて車両開発を行っている点はすばらしい。正直、これまでは地味な存在だと思っていたソリオだが、それはスズキの真面目さゆえなのかもしれない。時代のニーズを抑えつつ、“お値段以上”を重視したスズキ流のファミリーカー。それが、ソリオなのである。

大音安弘 おおとやすひろ 1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。主な活動媒体に『webCG』『ベストカーWEB』『オートカージャパン』『日経スタイル』『グーマガジン』『モーターファン.jp』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。 この著者の記事一覧はこちら

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