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東大など、従来の10倍程度の感度を有する歪みセンサの開発に成功

2020年12月21日19時56分 / 提供:マイナビニュース

東京大学、産業技術総合研究所(産総研)、パイクリスタルの3者は12月21日、簡便な印刷法を用いて製造された大面積・高性能有機半導体単結晶ウェハの表面に非破壊かつ高選択的に2次元電子系を形成するドーピング手法を新規に開発し、従来の金属製の10倍程度の感度を有する歪みセンサの開発に成功したと共同で発表した。

同成果は、東大大学院 新領域創成科 学研究科物質系専攻の渡邉峻一郎准教授(産総研・東大 先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ 客員研究員兼務)、パイクリスタルの平井成尚代表取締役、東大大学院 新領域創成科 学研究科物質系専攻の竹谷純一教授(マテリアルイノベーション研究センター特任教授、産総研・東大 先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ 客員研究員、物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 MANA主任研究者(クロスアポイントメント)兼務)らの共同研究チームによるもの。なおパイクリスタルは、2013年に竹谷教授が設立した東大発のベンチャーだ。詳細は、独・科学雑誌「Advanced Science」に掲載された。

半導体の電子状態を制御する上で不純物ドーピングが不可欠だ。シリコンにおける不純物ドーピングは、これまで格子を形成するシリコン原子を別の原子に置き換えることで達成されてきた。

一方、有機半導体をドーピングする際には、ユニークな形やサイズを有する有機半導体分子とドーパント分子を複合化する必要があるため、単結晶性が乱れてしまっていた。そのため、ドーピング後には、単結晶で得られる高い電子性能を維持することが不可能だった。

共同研究チームは今回、有機半導体単結晶薄膜をドーパント分子が溶解した溶液に浸すだけの簡易な手法を用いて、有機半導体の表面のみにドーパント分子を反応させ、非破壊的かつ高密度の不純物ドーピングを行うことに成功。ドーピング後でも有機半導体の単結晶性が維持され、表面に高密度の2次元電子系が形成されていることが明らかとなった。

このような簡便な手法でも、有機半導体単結晶デバイスの抵抗を精密に制御できることが今回の手法の特徴だ。適切なドーピングを施した場合には、抵抗値を7桁以上下げることが可能となったという。

また、結晶性が完璧に保持されているため、単結晶性に特有の巨大歪み応答効果も顕在化することが確認された。その結果、外部からの応力に敏感に応答し、抵抗値が変わるフレキシブル歪みセンサを実証することにも成功したのである。

そして今回開発された技術と、共同研究チームが2019年11月に発表した有機半導体の印刷技術を用いて、厚さ7μmのフレキシブル基板上に有機半導体を印刷。これにより、さまざまな曲面に貼り付け可能な歪みセンサが開発された。この歪みセンサの感度は従来の金属製センサの10倍程度あり、繰り返しの使用にも耐える安定性を有していることも確かめられた。

共同研究チームは、今回の成果により、有機半導体単結晶表面に機能性分子を反応させる新しい基盤技術が確立されたといえるする。そして、より高性能な有機半導体材料やドーパント材料の開発により、安価かつ大量生産可能な歪みセンサデバイスの開発が促進されることが期待されるとした。中でも、IoT社会に必要なRFIDタグやトリリオンセンサユニバースにおける貢献が期待されるとしている。

共同研究チームのパイクリスタルでは、今回の成果によって得られた歪みセンサおよび印刷技術を用いた有機半導体デバイスの事業化に向け量産体制の確立を進めており、有機半導体デバイスの開発・マーケティング活動を加速し、新たなソリューションを提案していくとしている。

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