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「口内炎」の本当の原因と治し方とは? 「口腔がん」との見分け方

2020年12月30日06時00分 / 提供:マイナビニュース

昨年、堀ちえみさんが口腔がんになったことで、全国に口腔がんの怖さが知れ渡りました。その影響で、口腔がん健診を受ける人も、報道前と比べ10倍以上になったそうです。口腔がんは、早期発見・早期治療が大切です。早期発見された場合の治癒率は90%以上ですが、発見が遅れると4割程度に落ちてしまいます。特に先進国で口腔がん死亡者が増えているのは、日本だけですから、わが国にとっては、深刻な問題です。

口の中は自分でも見ることができるので、がんは自分で発見できそうな気がします。しかし実は、口腔がんの初期症状は口内炎と似ているので、「口内炎だからそのうちに治るだろう」と放置して、発見が遅れることはよくあります。今回はその見分け方をお伝えします。
○実は知られていない、口内炎の"本当"の原因

口の中の粘膜が炎症を起こした状態を「口内炎」と言います。軽度なものから重度なものまで、いろいろな症状がありますが、共通するのは「痛み」です。口内炎になっている粘膜が擦れたり、食事で刺激が加わると痛みが出ます。

ネット検索すると、さまざまな原因で口内炎になることがわかります。しかしその中には、「珍しい」原因や「迷信」的な原因も含まれているようです。気をつけたい「本当の原因」を、整理しましょう。

口内炎のまず考えられる原因は、粘膜への直接の刺激です。噛んだり、自分の歯や詰め物、入れ歯に強く擦れたり、熱いものを食べて、粘膜が一時的に傷つくという具合です。同じ場所に繰り返し起こる場合は、歯の形が尖っていたり、詰め物・入れ歯が合わなくなっていることがあるので注意しましょう。

これに次ぐ原因が、消化器の不調です。忘れがちですが、口は胃や腸とつながっている消化器の一部です。もともと消化器の弱い人や、疲れがたまって胃腸が弱っている人は、胃腸の粘膜に炎症が起こることがあります。その延長で、口の中に症状が出て、口内炎になる人もいます。

また、栄養バランスの崩れが、口内炎の原因になることも少なくありません。終戦後など、食事が十分に取れなかった時代には、多くの人がビタミンB不足で、口内炎になっていました。食に溢れている現代は、偏食せずにバランスの良い食事を普通にとっていれば大丈夫です。

口内炎がいくつも同時にある場合は、ウイルス性が考えられます。免疫力が低下していると、ウイルスが暴れて口内炎になるというわけです。多くの場合、初めは小さな水ぶくれができ、破れてからすり傷の状態になり、痛みが出ます。その状態で免疫力が低下していると、ウイルスが暴れて口内炎になるというわけです。

ウイルス以外にも、病気の症状として口内炎が発症することもあります。手足口病、はしか、ベージェット病、白血病、潰瘍性大腸炎などは、口内炎も症状のひとつです。他にも淋病、クラミジアや梅毒など性行為感染症(STD)が原因で、口内炎が出ることもあります。また最近、女性の報告が増えメディアでも話題になっているバーニングマウス症候群(口腔灼熱症候群)の症状にも口内炎が含まれます。アレルギーやタバコが原因なケースもあります。

言い換えれば、直接粘膜を傷つけた覚えがなくてできた口内炎は、何かしらの病気の前触れ、あるいは体からのSOSである可能性が高いといえます。
○自分では見分けにくい口腔がんの恐怖

口内炎はSOSでしたが、口腔がんは命にかかわるためさらに注意が必要です。

口腔がんの始まりは、口内炎に似ていることが多いです。その60〜70%は舌にできます。特に舌の横側にできやすく、約90%がここにできます。この部位は口内炎もできやすいので、口腔がんができても口内炎と勘違いしてしまいます。加えて、見た目が似ているのも発見が遅れる原因の1つです。

しかし、大きな違いがあります。それは痛みの有無です。口内炎は痛みがありますが、口腔がんは痛みがありません。そのためついつい、放ってしまい手遅れとなることも多いです。しかし、見分けることは比較的簡単です。粘膜は傷つくと約2週間で治癒するのです。つまり、2週間経っても口内炎が治らない場合、用心する必要があります。

また、口内炎が口腔がんに変化するケースもあります。粘膜を治すためにできる新しい細胞に異常が出て、がんになる能力を持った細胞が潜んでしまうことがあるのです。

とはいえ、いきなり口腔がんになるわけではありません。口腔がんになる前に、「前がん病変」という状態になります。これは、粘膜の表面が白く硬くなる「白粘膜(正式名: 白板症)」と、赤くただれたようになる「赤粘膜(正式名: 紅板症)」という2種類があります。白粘膜からがんになるのは3〜5%、赤粘膜は50%程度ががんになるといわれています。前がん病変になってから、数年後にがんになることも珍しくありません。万が一、前がん病変を見つけたら、専門家に経過を継続して診てもらいましょう。
○口腔がんを早期発見・早期治療してほしい理由

ここまで書いてきた通り、口腔がんは外から確認しやすいため比較的見つけやすいです。しかし、だからといって、口腔がんを甘く見てはいけません。

もし発見が遅れて進行すれば、切除する部分が広くなり、口や顎・顔の多くの機能が働かなくなります。ひどいケースだと、顎とともに耳・鼻・眼も合わせて切除することとなり、生活に重い支障をきたします。そのため生きることに落胆する人も多く、口腔がん治療者は最も自殺者が多いがん患者としても知られています。

では、もし口腔がんを治療しないとどうなるのでしょう。なんと、がんが大きくなり、顔の表面に飛び出してくるのです。加えて、とてもキツイ悪臭もします。四谷怪談に出てくるお岩さんは、顔半分が醜くただれ腫れていたと、伝えられていますが、これは口腔がんが進行したことが原因という説もあります。

人間には、生命活動に必要な器官がいくつもあります。そして、それらには優先順位があります。たとえば肺や肝臓が機能しないと、人は生き続けることができません。肺がんや肝臓がんは特に危険といわれているのはそのためです。しかし、口腔は機能しなくなっても生き続けることはできます。つまり、口腔がんだけでは死にません。口腔がんは、がんが生命維持に欠かせない他の臓器に転移して、はじめて死に至るのです。

言い換えれば、「口内炎じゃないか?」と思ったらすぐに検診を受ければ、そこまで怖くないということです。しかし、放置するとこれまで述べたように、内臓のがんよりも精神的ダメージが大きな状況に見舞われることは間違いありません。
○口腔がんを早期発見してくれる「ベルスコープ」

次はおすすめの検査方法をご紹介します。それは「ベルスコープ」という、粘膜に光を当てるだけでがんか否かを判別できる口腔内蛍光観察装置を使った検査法です。この方法は、一般社団法人口腔がん撲滅委員会が推進する「口腔健診プロジェクト」で採用されています。

ベルスコープは、1990年半ばからアメリカとカナダで研究が始まり、2006年からアメリカで診療に使われました。日本では2015年から「口腔がん検診システム」として、普及が始まりました。

使い方も簡単で、ベルスコープから出る青色光を口の中の粘膜に当てて観察するだけです。光の反射具合で、粘膜の下3〜4mmまでの組織の変化を検出します。目で診る診査では、がんになってからの診断になりますが、ベルスコープはがんになる前の状態から観察することができます。しかも粘膜に触れないので、痛みや辛さは全くありません。

これまで口腔がんは、高齢者に多いと言われてきました。しかし最近では、9~10歳のお子さまも口腔がんになることが増えてきました。つまり現在は、口腔がんは高齢者のがんとは言えません。ぜひ、年に一度は、口腔がん検診を受けてください。
○細菌感染している口内炎はステロイドで悪化する

口腔がんの治療には医師が欠かせませんが、口内炎は自分で治療する人が多いのではないでしょうか。早く治すため、薬局・ドラッグストアで買った塗り薬を使ったという人は珍しくありません。しかし、口内炎の状態によっては、塗り薬が逆効果になる場合もあります。

一般に販売している口内炎の塗り薬は、ステロイドという成分が入っています。

細菌のすみかとなっている口の中で口内炎になると、傷口から細菌が入り、化膿することがあります。こうなると注意が必要です。ステロイドは化膿を進行させるおそれがあるためです。口内炎だからといって塗り薬をむやみやたらに使うと、むしろ口内炎がひどくなってしまうケースがあります。

薬を塗ってはいけない状態は、化膿しているか否かで見分けることができます。口内炎に細菌がついて化膿した場合は、表面が白っぽくなり、ドロドロした膿がにじみ出ます。この場合は、ステロイドが入った塗り薬は使わず、口の中を清潔にして抗菌作用のある塗り薬を塗るのがオススメです。

宮本日出 幸町歯科口腔外科医院歯科医師・歯学博士、幸町歯科口腔外科医院・院長、日本顎関節学会・代議員・指導医・専門医、厚生労働省認定歯科医師卒後臨床研修指導医教官、その他、大学・学校の教官職等多数。1965年、石川県金沢市に三人姉弟の末っ子として生まれ、幼少期、兄弟の中で自分だけ学習机を買ってもらえずに育つ。学生時代は堕落した生活を送るが、あるとき「オープンカーに乗って、女の子に囲まれた生活をしたい」という不純すぎる動機から、歯科医師を目指し猛勉強を始め、愛知学院大学歯学部に合格。のちに歯科医師免許取得。現在では、国内外に160篇以上の論文を発表、『ホンマでっか!?TV』など複数のメディアにも登場するカリスマ歯科医師となる。 この著者の記事一覧はこちら

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