旬のトピック、最新ニュースのマピオンニュース。地図の確認も。

子供はもはやPCに興味がない…? 教育市場向けPC「Kano PC」のビターな自腹レビュー

2020年12月07日11時15分 / 提供:マイナビニュース

●教育市場向けの「遊びながら学べる」PC
リンクスインターナショナルより、英国・Kano社の教育向け組み立てタブレットPCキット「Kano PC」が好評のようだ。パーツを組み合わせるだけで自作PC気分も味わえることで話題となったKano PCだが、我が家でも発売日に購入して数カ月、子供たちに使わせてみた結果をレビューしたい。

Kano PCは、英国・Kano社が開発・販売する、教育市場向けの2-in-1形式のWindows PCだ。基本はタブレットスタイルで、カバーを兼用するキーボードを装着することでノートPC的にも使える。特徴は、モジュラー構造を採用しており、簡単な組み立てキットの体裁となっている点。本体にバッテリーとスピーカー、それに背面カバーを組み込むことで、気軽に自作PC気分を味わうことができる(壊れた時は交換も容易だ)。

ちなみに、もともとKanoはRapsberry PiベースのハードウェアにLinuxベースのKano OSを搭載して150ドルというDIYコンピュータキットを開発・販売していたが、Microsoftの目に留まり、Windowsが動くハードを開発したとのこと。DIY気分を味わうのはお手の物というわけだ。

細かいスペックやハードウェアレビューはすでにマイナビニュースにも多数掲載されているので、そちらをご覧いただいたほうがいいと思うが、基本的には11.3インチのタッチスクリーンにCeleron N4000と4GBのメモリ、64GBのeMMC、OSはWindows 10 Proを搭載している。文部科学省の、いわゆる「GIGAスクール構想」に準拠したモデルだ。実売価格は4万円代と、GIGAスクール構想準拠の中でも比較的お安く、「学校でパソコンの授業も始まるし、子供が使いやすいPCを1台」と思っている人にはかなり訴求するのだろう。

ところでGIGAスクール構想PCのスペックに対して物申したい人がたくさんいらっしゃることかと思う。世界を見渡せば、途上国の子供らにもラップトップPCを配布したいという「One Laptop Per Child」(OLPC)の「Infinity Laptop」や、そこからスピンアウトした豪One Educaion Foundationの「Infinity:One」がほぼ同等のスペックなので、文科省のお役人もそこを参考にしたのではないかと思われる。だが、ここは落ちぶれたと言えどまだ先進国の日本であり、3万円も出せばローエンドのノートPCが手に入るご時世だ。子供が数年使うPCなら、もう少しスペックを盛ったところでバチは当たらなかっただろう。お役人諸氏には猛省を促したい。

さて、我が家には中学2年を筆頭に三人の子供がおり、型落ちのiPhoneやiPadを使わせてはいたのだが、そろそろ学校の環境に合わせたPCを用意してやろうと考えていたところだったので、話題性に釣られる形で発売開始と同時に1台購入した。

●それは「タブレット」と言うにはあまりにも分厚すぎた
早速買ってきたKano PCを前に、ちょうど暇そうにしていた三男と一緒に内容物のチェックと組み立てをやってみた。パーツはタブレット本体と背面カバー、バッテリー、スピーカー、カバー兼キーボード、電源アダプター(USB PD対応/38Wh)、充電ケーブル(USB Type-C to Type-C)、電源アダプターの日本用プラグ部分、それに取扱説明書とステッカーが2枚入っていた。ちなみにWebカメラなどは内蔵しておらず、現在純正のカメラ、組み立て式マウス、ヘッドセットが販売されている。しかし本体発売時にはどれも発売前だったので、まだ我が家にはいずれもない。

本体サイズは幅287.5×高さ194.0×奥行き35.6mm。厚さ1cmを切るのが当たり前のiPadや最近の薄型タブレットPCに慣れ親しんだ身にはちょっと…いや、めちゃくちゃ分厚い。「タブレット(板)」と呼ぶのを躊躇われる厚さだ。もっとも、これはモジュラー構造を採用し、誰でも安全に組み立てられるようにしたことを考えれば仕方ないだろう。実際、約1mからの落下テストに耐えるほど頑丈だというし、このくらいは我慢してもいいかもしれない。

パーツチェックが終わったところで三男に組み立てさせてみた。小学校でパソコンの授業は何度か経験しており、普段はiPod Touch(第5世代)やNintendo Switchで遊んでいる。デジタルネイティブ世代で、タッチ操作についてはお手の物だが、パソコンについてはド素人なので、Kano PCのターゲットとしてはうってつけだろう。

組み立てキットとはいえ、基本的にはバッテリーとスピーカーをつないで背面カバーを嵌めるだけだ。三男もバッテリーとスピーカーまではすぐに繋げられたが、思いの外時間がかかったのは背面カバー。カパッと乗せるだけでは固定されず、カチッと固定されるまで押し込まねばならないのだが、プラモ作りなどの経験がほとんどない三男にはなかなか勘が働かなかったようで、3分ほど苦戦していた。

また、最後にキーボードカバーを接続するときにも、ディスプレイに輸送中の保護フィルムが貼ってあったせいで、ディスプレイ面をそれと認識していなかったようで、表裏を入れ替えるという発想になかなかたどり着けずに苦労していた。トータルでは約15分程度で組み立て終えられた。

自作PC気分と言っても、パーツは少ないし間違う要素もないので、子供でも簡単に取り組める点は高く評価できるが、より高性能を目指したくなる高学年向けにパーツの組み替えでパワーアップさせたり、機能を追加しやすい設計になっていたらよかったと思う。具体的にはCPUを変えたり、メモリの追加、スピーカーのステレオ化などが考えられるが、この価格と設計の中に落とし込むには無理があるのだろう。あるいは透明な背面カバーの下に(PowerBook 1400シリーズのブックカバーのように)好きな絵などを挟み込めるようになっていても面白かったかもしれない。

●ソフトウェアは子供にはちょっとハイレベル?
Kano PCはセッティング完了後、MS-DOSのようなCUI画面になり、英語でメッセージが表示される。画面の指示にしたがってキー入力の練習をする画面だ(コーディングの練習でもある)。三男はアルファベットは習っているものの、キーボードはほとんど触ったことがないのと、大文字はわかるが小文字がまだ苦手なようで、キーの印字を見ても入力に時間がかかっている。

このままだと埒が明かない(し、短気な筆者が我慢できない)ので、次は次男に登場してもらって付属アプリを少しいじってもらった。彼は小学校5年生で、大まかなプロフィールは三男と似たようなものであるが、キーボードやアルファベットには学年が上のぶん、多少慣れている。

ところで、次男がキーボードで格闘中、いきなり電源が切れてしまった。Kano PCのキーボードには右上に電源ボタンがあるのだが、Delete/Backspaceキーと間違えてこれを押してしまうと即座にスリープに入ってしまう。Macじゃあるまいし、よりによってこんな間違えやすいところに電源ボタンを置かなくてもいいのに、と思うのだが…。

閑話休題。Kano PCには、コンピュータが動く仕組みを学ぶ「How Computers Work」、コーディングを学ぶ「Kano Code」、コーディングして絵を描く「Make Art」の3本のオリジナルアプリ(日本語化済み)が付属する。ソフトの細かい内容については「教育向け2in1 PC「Kano PC」がソフトまで丁寧に“子供向け”だった!」を参照してほしい。

最初に「How Computers Work」を起動してみた。これはコンピュータを構成する要素として「バイナリ」「プロセッサー」「フラッシュストレージ」「メモリー」「ネットワーキング」「サウンド」「キーボード」が紹介されており、それぞれのコーナーで画面を操作しながら、概念を学んでいくというもの。

ただ、大人、かつそれなりにコンピュータの知識がある筆者から見ても、内容は結構難しい。難しいというよりは、不親切なのだ。特に「バイナリ」の項では二進数について学ぶのだが、絵文字に割り当てられた文字コードが10進数と2進数で表記されており、0と1をクリックして切り替えると10進数の数字が変わって表記されている絵文字が変わる。このことから2進数という概念と、それが0と1で表記されること、それで10進数と同じ数を表現できることを学ばせたい…のだと思う。

が、まず文字コードという概念がない子供にこの内容を見せても、なんのことやらさっぱりではないだろうか。とにかく全部試してみて一定の法則性を見つけ出す賢い子もいるだろうが、普通は十進数と二進数の関連性に気付くのは難しそうだ(少なくとも次男には無理だった)。これは親や先生と一緒にやらないといけないコンテンツなのだろう。

残る2本の「Kano Code」と「Make Art」は、ブロックをドラッグ&ドロップすることでプログラムを作成するGUI形式のプログラムエディタだ。「Kano Code」は基本的なプログラムを学び、「Make Art」のほうは応用として、指示に合わせてプログラムで絵を作って動かしたりする。

こちらは次男も授業で多少おなじみのものだったらしく、見ていると割とスイスイと指示通りプログラムを組み立てていく。だがよく見ていると、コードの内容を吟味しているわけではなく、指示通りに拾って並べているだけ。自分で何か考えてコードを作ることはできていないし、話を聞いてみてもあまりコードの意味はわかっていない。

筆者が子供の頃は8ビット国産パソコン全盛期で、パソコン雑誌のBASICコードを打ち込んでみたほか、LINEやPAINTといった命令を駆使して絵を描く、曲を鳴らせてみるなど、とにかく「パソコンで何か形にしてみる」だけで楽しかったものだが、次男にはそういうモチベーションがほとんどないらしい。まあ普段から3Dで動いているのが当たり前、動画配信が当たり前という環境で育った彼らの世代には、コンピュータはアプリを入れて動かすもので、自分で何かしたかったら自分で作る、という発想がないのかもしれない。次男にとってはKano CodeにしてもMake Artにしても、言われればやってみるけど、自分から起動してあれこれいじってみたいというモチベーションを沸かせるにはちょっと高度すぎたようだ。

最後に中学2年生の長男にもやらせてみたかったのだが、「学校でやってるからいいよ」と、すげなく断られてしまった。

続きを読む ]

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連してるっぽい地図

あなたにおすすめの記事

関連記事

ネタ・コラムカテゴリのその他の記事

マピオンニュース ページ上部へ戻る