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「周りを気にせず好きなことをやってもいい」中国人Dが“モバイルハウス”を通して感じた日本社会の問題点

2020年12月05日18時00分 / 提供:マイナビニュース

●わき上がる疑問「結婚は?」「年をとってもできる?」
フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)では、「モバイルハウス」と呼ばれる移動する家に住む若者に密着した『ボクのおうちに来ませんか ~モバイルハウスで見る夢~』を、6日に放送する。

トイレがあって、お風呂があって、暖かい布団があって…という一般的な住宅での暮らしに対し、かなりレアケースな生活の仕方だが、密着した中国出身の関強(かん・きょう)ディレクター(オルタスジャパン)は、ここから今の日本社会が抱える問題点も見えてくるという――。

○■コロナ禍の今に合ったテーマ

今回の取材は「コロナ禍になって外出自粛で僕も2カ月くらいずっと家にいて、世の中の人たちが自分の家や暮らしについて、考え方が変わったのではないかと思ったんです。それで家について調べていたら“モバイルハウス”という言葉が出てきて、会社に行かず、常に移動できてどこでも仕事ができるので、コロナ禍の今に合ったテーマだと思いました」という関D。

そこから、モバイルハウスを実践している人たちを調べてみると、家を持ちながら趣味として楽しんでいる形がほとんどだったが、今回密着した赤井成彰さん(31)は「本格的にモバイルハウスで暮らしている数少ない1人だったんです」。実際に会いに行き、山の中での暮らしや、彼の周りの人々の生活を見て、「これは面白いと思って撮影を始めました」と、密着取材がスタートした。

撮影は、赤井さんが神奈川相模原市の山中に滞在しているときに、近くのシェアスペースに泊まり込んで密着。寝る姿を撮影するときは、野生のクマやシカが出没する恐怖もあったというが、小型トラックの荷台に作った赤井さんのモバイルハウスの居心地は「結構良かったです。自分が住んでるマンションの駐車場に、僕もモバイルハウスを作ろうかなと思いました。免許がないんで運転できないんですけど(笑)」と、趣味として楽しむのは“アリ”だと感じたそうだ。

ただ、本格的にそこで暮らし続けることを理解できない関Dが、その疑問を赤井さんにぶつける場面も。

「彼は今の暮らしにすごく燃えてるんですけど、僕はそこに冷たい水をかけて聞いたんです。『今は若いけど、結婚はどうする?』『40代、50代になると体力も落ちるし、山の奥に住めますか?』と、心配する気持ちでいろいろ聞いたんです」と、カメラが回っていないところでも意見を伝えたが、結論としては「彼自身は今はこういう生活が一番合っているようなので、今の生活を辞めたら、彼にとって幸せではないなと思いました」と、理解するようになった。
○■恋人を心配…「早めに戻ってください」

番組では、そんな赤井さんの生活の“相棒”である漫画家の小栗千隼(ちはや)さん(28)にも密着。彼のモバイルハウスは赤井さんより質素で、リヤカーの荷台に木の箱を取り付けたものだ。だが、交際2年の恋人がおり、その彼女が東京自由が丘にマンションを購入したことから、2人の関係、さらには赤井さんも巻き込んだ、ある種の“三角関係”が展開されることになる。

そんな小栗さんを心配した関Dが「早めに自由が丘に戻ってください。なんで(モバイルハウスに)こだわるの? よく分からない…」と、彼に問いただす場面も。

このように、今回の番組では関Dが自身の考えを取材対象にぶつけるシーンが随所に登場するが、「僕はどうしても客観的に番組を作れないんです。特に今回は、完全に第三者の相手を撮ってる感じではなく、友人のような距離感でもあったので」と、その理由を明かし、結果として「向こうもカメラに映ってるという意識はあまりなかったかもしれないですね」と、自然な姿を映像に収めることができた。

実家を訪ねる赤井さんに同行し、そこで息子を心配する母親の姿を見て、関Dは思わず「お母さんっていいですね…。自分のお母さんを思い出して、会いたいなと思いました」と漏らしているが、「あれは本当の気持ちで、僕は中国出身なので、今、コロナで帰れないんですね。もう1年くらい。だから、自然な気持ちで、お母さんっていいなあと思ったんです」と、打ち明けてくれた。

●自殺者急増…多様な生き方が認められにくい社会

赤井さんの暮らしを自分が実践するのは難しいが、その考え方には理解を示した関D。この番組を通して伝えたいのは、「多様な生き方を認め合う」ことの大切だ。

「外国人の僕から見ると、日本は、世の中の人と違うことをすることをあまり許さない面があると思うんです。赤井さんも、普通の31歳だったら会社に勤めて結婚もするでしょうし、そろそろ遊ばない方がいいなあとなるけど、彼の場合はみんなと一緒なのがすごく嫌で、自分が本当に何をしたいかが大事なんだということが分かって、すごくいいなあと思いました」

コロナの影響もあり、日本では自殺者が急増しているというニュースも流れたが、それも、多様な生き方が認められにくい社会に原因があるのではないかと推測。

「中国は日本より全然平均年収が低くて、特に農村の人たちは生活が苦しいのに、自殺率は日本ほど高くないです。もしかしたら、自分は今の生活が好きじゃないけど、他の選択肢がないから我慢しすぎて苦しんでいるのではないか。だから、本当に今苦しんでいる人は、赤井さんのように、周りを気にせずぶっ飛んで好きなことをやってもいいんだと感じてもらえれば」と、番組に込めた思いを力説した。

これまで、日本にいる立場から見た母国・中国をテーマにしたドキュメンタリーを数多く制作してきた関Dだが、長編で日本の社会をテーマにした作品を手がけるのは、今回が初めて。「今後は僕が日本を見て、さらに日本人の方も見ていない日本の知られていない面を描くものを作ることができたらうれしいなと思います」と構想を語っている。

●関強中国・北京生まれ。2008年、大学卒業後に来日し、東京造形大学大学院で諏訪敦彦監督の指導を受ける。13年、制作会社・オルタスジャパンに入社。14年から「中国の今」をテーマに、フジテレビ『NONFIX』の『ボクが見た中国シリーズ』を制作し、これまでに「性」「金」「夢」「愛」「食」をテーマとした5作を制作した。同シリーズの『風花雪月―ボクが見た祖国・性の解放』で第32回ATP賞テレビグランプリ優秀新人賞を受賞。この他にもTokyo Docs 2017アジアドラマティックTV賞を受賞した。

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