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オリンピックの33競技を専門家が解説! 親子で楽しむ「東京2020」 第70回 陸上競技/3000m障害

2020年12月07日17時57分 / 提供:マイナビニュース

東京2020はさまざまなスポーツをお子さんとともに楽しめるまたとないチャンスです。そこで、子どもの運動能力向上に詳しいスポーツトレーナー・遠山健太が各競技に精通した専門家とともにナビゲート! 全33競技の特徴や魅力を知って、今から東京2020を楽しみましょう。今回は「3000m障害」! 競技解説は自身も陸上競技者として活躍し、現在は陸上競技コーチとして指導にあたる会沢陽之介さんです。

○3000m障害の特徴

3000m障害は、障害を通過しながら3000mを走るタイムを競う陸上競技の障害走の一種です。陸上競技者同士では「サンショー」と呼ばれているこの競技は、一般的に3000mSCと表記され、「SC」とは「スティープルチェイス」(Steeplechase)の略となります。競技名の由来は“Steeple(教会の尖塔)を追う”という意味で、昔、ヨーロッパである村の教会を出発点とし、別のある村の教会をゴールとした徒競走(もしくは馬術競走)をする際に、村境を示す柵や堀を飛び越えて行ったことがルーツとなっています。ヨーロッパなどで人気の高いクロスカントリーのレースをトラック上で再現するためにつくられたと言われています。

1周計5個の障害がトラック上にあり、4個の障害物(平均台に類似した形状でハードルと同様のペイントを施したもの)と、1個の障害物(着地点に水濠がある)で構成されています。3000mを走る間に、障害物(28回)と水濠(7回)を合わせて35台越えることがルールとなっています。障害物の高さは、男子が91.4cm、女子が76.2cmです。水濠は、男女とも最深部の深さが約70cm、障害物から水のない部分までの距離3.66mあります。

競技場によって、水濠がトラックの内側にあるものと外側にあるものとがあり、8レーントラックの外側に水濠が設置されている場合、1周の距離は421m、内側に水濠が設置されている場合は1周の距離は390mとなります。
○3000m障害を観戦するときのポイント

3000mという比較的長い距離を走りながらも、計35カ所の障害を約80mおきに跳躍しなければならないため、スムーズなレース運びのためにはある程度のスピード維持が必要となります。また、短距離のハードルと違い、障害は足をかけても倒れないため、失敗したらケガに繋がるので非常に危険です。跳ぶ際に気をつけないといけないのが位置取りです。15人程度で走るため、接触や転倒、コースアウトによる失格には気をつけなければいけません。

さらにジャンプ時の着地や水濠の通過、シューズ自体も水を吸って重くなる、といった要素によって相当な体力を奪われることになります。ペース配分を考えないと好記録はおろか完走すらおぼつかなくなるという様相で、メディア中継においては"トラック種目で最も過酷な競技"のひとつとして紹介されることもあります。

なお、夏季五輪において本種目は、男子が1900年パリオリンピックから、女子は競技の過酷さから、2008年北京オリンピックから正式種目となりました。現在、世界的にみると、ケニアを中心としたアフリカ勢のレベルが高く、ヨーロッパ勢がそれを追う形になっています。この種目においてアジア(主に中東出身)の選手は、男女とも8位以内入賞できれば上出来といったレベルでありますが、しばしば上位入賞ができる力量をもっている選手もいます。

日本人選手は比較的に健闘しており、1972年ミュンヘン五輪で小山隆治選手が9位、2003年世界陸上パリ大会で岩水嘉孝選手が11位、2005年世界陸上ヘルシンキ大会で早狩実紀選手が12位と入賞こそ果たせなかったものの、過去3人が決勝進出を果たし、日本人選手の可能性を示しました。

世界記録
男子:サイフ・サイード・シャヒーン選手(カタール)7分53秒63/2004年9月3日
女子:ベアトリス・チェプコエチ選手(ケニア)8分44秒3/2018年7月21日

日本記録
男子:岩水嘉孝 選手(トヨタ自動車)8分18秒93/2003年8月23日
女子:早狩実紀 選手(京都光華AC)9分33秒93/2008年7月20日
○東京2020でのチームジャパンの展望

男子は5000m・10000mの参加標準のレベルが上がり、記録突破が困難を極めるなか、3000m障害でひと際脚光を浴びているのが、三浦龍司選手(順天堂大学)です。2020年夏に基準期間外記録とはなりましたが、8分19秒37の日本歴代2位の記録で、ケニア人選手とのラスト争いを制しました。

日本選手権で8分22秒00の参加標準を破り、優勝することが内定への一番の近道となります。五輪経験のある塩尻和也選手(富士通)の他、8分29秒85の記録を持つ阪口竜平選手(SGホールディングス)は三浦選手と同じ洛南高校出身の先輩として負けられない戦いということから、記録を狙い前半からハイペースで進むことが想定でき、我慢比べが見どころです。

女子は5000m・10000mで参加標準記録を突破していますが、3000m障害の9分30秒00に手がかかる選手は今の状態だと厳しさがあります。しかし、全体的に3000m障害に挑戦する選手も増え、日本選手権への参加標準記録も毎年上がっていることから、層の厚さは増しました。出場選手は、まずは着順争いで優勝し、後日、半年かけて標準記録突破を狙っていきます。有力選手は、吉村玲美選手(大東文化大学)、9月の全日本実業団選手権で優勝した山中柚乃選手(愛媛銀行)で、両者の優勝争いの駆け引きが見どころとなるでしょう。
○遠山健太からの運動子育てアドバイス

私は高校(アメリカンスクール)時代、陸上競技部にも所属していました。小さな高校だったため、部員でない学生が様々な種目に駆り出されていましたが、不人気No.1の種目が3000mSCでした。長距離種目で体力が奪われるだけではなく、跳躍要素が加わりさらに水浸しになる、ということが主な理由でした。ただ、見ている側としてはとても興味深く、純粋に全身持久力が優れている人が勝つわけではなく、跳躍のために走るスピードも求められますし、着地の際にバランスを保つための能力も要求される大変な種目です。他の中長距離種目同様、駆け引きも必要でしょう。幼少期で障害物競走は体験している子どもたちにとっては、理解しやすい種目だと思います。また、1つの種目に複数の運動の種類があると、様々な体験が1度にでき、とても有意義だと思います。ぜひ親子で「家族オリジナル」の障害物レースを楽しんでもらいたいですね。

○競技解説 会沢陽之介
陸上競技コーチ3/国家調理師/第一種衛生管理者
コモディイイダ所属。小学1年生から中学3年まで9年野球部に所属するとともに、小学6年~高校3年まで少林寺拳法を修行。陸上競技は高校入学時に部活で始め、34歳で現役引退するまで約19年間競技を続ける。1997年に行われた「サロマ湖100キロマラソン」で当時の学生最高記録を出し、その年のワールドチャレンジオランダ大会(現在の世界選手権)に日本代表として出場。現在はコモディイイダ陸上競技部の監督として指導にあたり、チームは、2020年ニューイヤー駅伝に出場し、さらに2021年ニューイヤー駅伝出場権も獲得している。

遠山健太 とおやま けんた リトルアスリートクラブ代表。トップアスリートのトレーニングに携わる一方で、ジュニアアスリートの発掘・育成や、子どもの運動教室「リトルアスリートクラブ」のプログラム開発・運営など、子どもの運動能力を育むことに熱心に取り組む。自身、2児の父であり、子どもとともにめぐった公園での運動や子育て経験を生かし、パークマイスター(公園遊びに詳しく、子どもの発育を考えて指導ができるスポーツトレーナー)としても活動している。著書は『スポーツ子育て論』(アスキー新書)、『運動できる子、できない子は6歳までに決まる!』(PHP研究所)、『ママだからできる運動神経がどんどんよくなる子育ての本』(学研プラス)など多数 この著者の記事一覧はこちら

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