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深度約660kmまで水を運ぶ鉱物、愛媛大が実験的に解明

2020年12月02日13時43分 / 提供:マイナビニュース

愛媛大学は12月1日、地下深度約660kmとなるマントル遷移層の底における圧力22万気圧と温度1300Kにおいて、含水鉱物の一種であるアルミニウムに富んだD相における地震のP波およびS波の速度を測定することに成功したと発表した。

同成果は、同大学大学院 理工学研究科のChaowen Xu大学院生、同大学 地球深部ダイナミクス研究センターのSteeve Greaux助教、同・井上徹教授らの研究チームによるもの。詳細は、「Geophysical Research Letter」に掲載された。

ブラジルにおける超深部起源ダイヤモンドの中に見つかった「含水リングウッダイト」は、深度約520~660kmのマントル遷移層下部の主要構成鉱物だ。2014年に同鉱物が発見されて以来、地球深部における水を含有・運搬できる鉱物の探索と同定に再度注目が集まっている。

いくつかの候補鉱物の中で、浅部リソスフェアから深部マントル遷移層(深度約410~660km)に渡る主要な水運搬鉱物と考えられているのが、「高密度含水マグネシウムケイ酸塩(DHMS)」だ。ただし、DHMSは高圧高温では不安定な相のため、これまではマントル遷移層中部までしか含水鉱物として存在できないとされてきた。

しかし、2014年に発表された実験結果によれば、アルミニウムを含むDHMSは高温高圧安定性が上昇し、深度約1200kmの下部マントルまで水を運搬できることが示された。同実験では、下部マントル最上部の温度圧力条件において、沈み込んだスラブ(沈み込みプレート)とマントルの境界での含水溶融物から再結晶する、というプロセスでアルミニウムを含むDHMS(以下、Al-D相)が形成されることが示されたのである。

この形成プロセスは実験によって証明されたが、Al-D相の地震波伝播速度の直接測定はされていなかった。そのため、マントル遷移層底部や下部マントル最上部の地震波速度観測値をアルミニウムを含んだ含水岩石の存在で解釈することが困難だったという。

そこで研究チームは今回、SPring-8のマルチアンビル型高圧合成装置での高温高圧その場観察実験と放射光X線実験を実施。Al-D相における地震のP波およびS波の速度と密度を約22万気圧・約1300Kという圧力と温度で測定し、結果を得ることに成功したとした。

地球深部の調査を行うのに、地震波の伝わり方などの分析は重要だ。地球深部はボーリングなどを行って直接サンプルを採取できないため、地震波の伝わり方でどのような鉱物で構成されているのかといった情報を得られるのである。

ちなみにP波のPとはPrimary(プライマリー)のことで、地震発生時にまず発生する地震波だ。そしてS波のSはSecondary(セカンダリー)のことで、P波に遅れてやって来る地震波である。P波とS波では単に発生のタイミングが違うだけでなく、波としても種類が異なる。

地震波の伝わり方は層によって異なるが、伝わり方の速度異常が観測されることがある。例を挙げれば、地球のプレート沈み込み帯の下では、しばしばS波の伝播速度異常が観測されている。

今回の研究により、下部マントル最上部まで沈み込んだ、部分溶融リソスフェアの再結晶で生成されたAl-D相を含む含水層は、地震学的に観測可能な負のS波速度異常(~1.5%)ならびに観測限界未満のP波速度異常(-0.5%)を示すことがモデリングから示されたとしたという。

この高温高圧実験によって、広範な温度・圧力条件下でのAl-D相の地震波伝播速度の明確な理解ができたことで、沈み込みスラブの内部・外部の含水岩石の地震波速度をモデリングすることが可能になったとした。

アルミニウムに富んだD相による下部マントルへの水の運搬は、地球内部のダイナミクスに重要な役割を果たすという。それは、水(水素)は、弾性、レオロジー(物質の流動)、電気伝導度、溶融温度などのマントル鉱物の物理的・化学的特性に大きな影響を与えるからだ。

今回の実験で得られた結果と示唆は、沈み込んだリソスフェアがマントル内をどのように移動するのか、さらに下部マントルに水が存在するのか、といった地球深部ダイナミクスの未解決課題の解明につながるとしている。

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