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佐野正弘のケータイ業界情報局 第38回 App Storeの手数料引き下げで「フォートナイト問題」は解決するか?

2020年11月26日11時45分 / 提供:マイナビニュース

アップルは、11月18日に「App Store Small Business Program」を発表し、年間の収益が100万ドル(約1億450万円)以内の小規模事業者に対し、App Storeの手数料率を15%に削減することを打ち出しました。アプリ事業者や政府などから手数料の高さを問題視する声が高まっていることを受けたものといえますが、今回の施策でそれらの不満は解決されるのでしょうか。
フォートナイトが示したApp Storeの手数料問題

iPhoneやiPadでアプリを入手するのに用いられるアプリストア「App Store」は、アップル製品ユーザーにとって非常に馴染みのある存在です。ですがここ最近、そのApp Storeを巡って大きな騒動が起きていたことを覚えている人も多いのではないでしょうか。

それは去る8月14日、米エピック・ゲームズの人気ゲーム「フォートナイト」が、App Storeから突然姿を消したことです。世界的に大ヒットしているゲームが、なぜ突如App Storeから姿を消したのかといえば、それはApp Storeの規約を破ったからです。

App Storeでデジタルコンテンツへの課金をするには、基本的にアップルが用意した課金システムを利用するよう定められています。ですが、エピック・ゲームズはそれをあえて破って独自の課金システムを導入。ユーザーにそちらを利用するよう促したことで、App Storeの規約に違反すると判断され、削除されるにいたりました。

なぜ、エピック・ゲームズがそのような行動を取ったのかといえば、App Storeの手数料に強い不満を抱いていたからです。というのも、App Storeの決済システムを利用すると、売上の30%がアップルに徴収される仕組みで、30%という手数料の割合が「高い」とするアプリ開発者の声は以前から少なからずありました。ですが、アップル側は一部を除いてその手数料を見直そうとはしませんでした。

しかもiPhoneは、Androidスマートフォンと違って基本的にApp Store以外からアプリを入手することはできず、手数料を回避してアプリを配信する術が存在しません。そこでエピック・ゲームズは、フォートナイトが削除されることを覚悟の上で、あえて独自の課金システムを導入することで、App Storeの手数料問題を世に訴える行動に出たわけです。

エピック・ゲームズとアップルとの争いは現在も続いているようですが、App Storeの手数料に不満を訴えているのはエピック・ゲームズだけではありません。有名なところでは、音楽配信アプリ「Spotify」の運営会社も、アップルが手数料の問題などから健全な競争を阻害するとして訴えています。

アップルの姿勢に疑問を呈しているのはアプリ事業者だけではありません。米国の司法省などが2020年6月に、反トラスト法でアップルを調査しているとの報道がなされました。こうした行政の動きには、アップルを含めた「GAFA」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)と呼ばれる巨大IT企業が、デジタルの市場を独占していることを問題視していることも、大きく影響しているといえそうです。
中小の事業者の手数料を半減、その狙いは

アップルは11月18日、ついに手数料の見直しに関する1つの施策を打ち出しました。それが「App Store Small Business Program」です。

具体的な内容は2020年12月に発表するとしていますが、プレスリリースによるとプログラムの対象となる開発者は、App Storeの手数料が30%から15%へと引き下げられ、その対象は新規開発者、あるいは全アプリの2020年の収益が合計100万ドル以内の既存開発者に限定されるとのこと。アップルはこのプログラムを、あくまで小規模の開発者や起業家などを支援するためのものとしています。

先にも触れた通り、App Storeの手数料は10年以上にわたってほとんど見直しがなされてこなかったという実態があります。それだけに今回の施策は、アップルが手数料に対する周辺の強い批判を受け、その対処として打ち出したものと見ることができそうです。

ただ実際のところ、App Storeで多くの売上を上げているのは限られた人気アプリを提供する大企業が占めているとされています。それゆえ、アップルが手数料引き下げの対象を中小の開発者に絞ったのは、手数料引き下げをアピールして批判をかわしながらも、大企業からの手数料は変えないことで手数料収入の大幅な減少を避ける意味合いが強いと考えられます。

そうしたことから今回の施策は、多数を占める中小のアプリ開発者にとって朗報であることは確かですが、エピック・ゲームズのような大企業の不満を解消するものになるとは考えにくいでしょう。それゆえ、同社は今後もアップルへの批判を続けることになるでしょうし、フォートナイトがApp Storeに復活する可能性を見い出せない状況は当面続くと考えられます。

App Storeは10年以上の歳月を経て規模が非常に大きくなり、運営を維持するうえでも手数料収入が重要なことは確かですが、一方でその間にプラットフォーマーとして非常に強い立場となり、売上が大幅に増えているのもまた確か。それだけに、App Storeの手数料、ひいてはアプリストアそのもののあり方については、今後もまだまだ議論が続くこととなりそうです。

佐野正弘 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。 この著者の記事一覧はこちら

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