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シリコンバレー101 第858回 トランプ支持者が押し寄せる「Parler」、SNSの闇を見る

2020年11月23日11時01分 / 提供:マイナビニュース

トランプ支持者や保守系の人達が利用しているというSNS「Parler」に加入してみた。春にトランプ米大統領のツイートに対してTwitterが事実確認を促すラベルを付けた際、トランプ氏が利用を推奨しているという噂が広まって注目され始めたサービスだ。特徴は、投稿をParlerがキュレートしないこと。著作権を侵害するコンテンツやポルノなどガイドラインに反する投稿は削除するが、Parlerは「言論の自由」を重んじ、その点から投稿を制限することはない。TwitterやFacebookのファクトチェックに引っかかるような発言でも、そのままシェアされる。

大統領選挙の投開票日(11月3日)後にトランプ陣営が不正投票の可能性を指摘してから、ファクトチェックに阻害されずに会話できる場を求めたトランプ支持者が一気にParlerへと移動し始めた。約450万人だったメンバーが1週間で800万人に増加。一時は米国のApp StoreとGoogle Playストアの無料アプリのダウンロードランキングでトップになり、今は10位前後まで後退したものの、すでに900万人を突破したと見られている (ちなみにTwitterは3億3000万人、Facebookは20億人以上)。

加入してみようと思ったのは、今Parlerでどんな投稿が飛び交っているのか知りたかったという興味が半分、もう半分は実際に使っている人の話を聞いてサービス自体に興味を持ったからだ。事実に反することや陰謀論でもどんな発言でも許される無秩序な仕組みを想像していたのだが、使っている人に言わせると、そうではないという。

まず、本人を認証する仕組み (現時点では米国のみ)が用意されている。基準は厳しく、認証を受けるために運転免許証またはパスポートを撮影した画像を提出し、Parlerアプリで自分を撮影しなければならない。写真などを使ったなりすましを防ぐために、アプリを使った自撮りの際には数回まばたきしないと承認されない。Parlerを使うのに必ずしもParler市民になる必要はないが、認証を受けて、一個人として責任を負ってこそ発言が支持される。投稿がサービス規約に反するかどうかの判断はParlerではなく、サービス利用者から選ばれる陪審員に委ねられる。米国の司法制度を模しており、5人中4人の同意で違反が確定する。プライバシー保護の徹底も約束しており、ユーザーのデータを第3者に販売することはないという。

かくして、Parlerを始めた。サインアップ後にパーソナライズ設定画面になり、Parlerがフォローをおすすめする組織や媒体、著名人のリストが表示される。著名人のトップは、4年前の大統領選でトランプ氏と共和党候補を争った保守派のテッド・クルーズ上院議員。そして保守系の政治評論家ショーン・ハニティ氏、弁護士でラジオ政治番組の司会者でもあるマーク・レヴィン氏が続く。

リストが偏っているのは想定内である。保守派の人達が集まっているのだから、偏って当然といえば当然だ。ただ、健全なコミュニティになっているかというと、正直なところ使っていて不安が増す一方だった。例えば、マーク・レヴィン氏が19日に、ネバダ州の先住民族居住区においてギフトカードと交換で郵便投票用紙を買う不正があったという記事を紹介していた。同氏は、多くの投稿をTwitterとParlerにクロスポストしているが、ギフトカードを使った不正の記事の投稿はParlerのみ。Twitterに投稿したらファクトチェックのラベルが付く可能性を認識しているのだろう。ちなみに同氏は、誤ったニュースや誤解を招くニュースを頻繁に共有しているとしてFacebookから情報発信の制限を受けている。

しばらく使ってみて分かったのは、インフルエンサーの仕組みにParlerの問題があるということ。Parlerは著名なParler市民に「インフルエンサー」バッチを提供している。それ自体はコミュニティの活性化につながることだが、健全なコミュニティを形成する上で誰がインフルエンサーになるかが重要になる。一般のメンバーが根拠のない情報やウワサを広めるのは仕方がないとしても、インフルエンサーが建設的な議論を牽引することでコミュニティは健全に成長していけるはずだからだ。ところが、Parlerは根拠に疑問が残るような情報でも構わず発信する人達にまでインフルエンサー特権を与えている。結果、TwitterやFacebookがファクトチェックで制限しているような情報や発言が、Parlerでは逆に拡声され、影響を受けた一般メンバーの間でさらに増幅されてひどいことになっている。New York TimesのDealBook Summitにおいて、ビル・ゲイツ氏が「ホローコーストを否定したいなら、Parlerは最適な場所だ」とParlerで広がる一部のコンテンツを批判したというが、そうした現象がたしかに見られる。

コミュニティのあり方をメンバーの自由な会話に任せるのがParlerのスタンスだから、これからParlerにリベラル勢が参加してきて偏りがなくなる可能性が全くないわけではないが、インフルエンサーがコミュニティを煽動できる仕組みにおいてそれが起こる可能性は非常に低い。保守派の”安息の地”と呼ばれるSNSはParlerが初めてではない。4年前にも言論の自由と個人の自由権を掲げた「Gab」というサービスが人気を博した。だが、2018年10月、ピッツバーグのユダヤ教の礼拝所で11人が死亡する銃乱射が起きた。犯人の男性がGabで反ユダヤ的な投稿を繰り返していたことから、ホスティングプロバイダと支払い処理サービスがGabとの契約を打ち切り、サービス終了に追い込まれた。残念ながら、Parlerを使ってみてGabのことを思い出さずにはいられなかった。

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