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安東弘樹のクルマ向上委員会! 第44回 3ドアハッチの進化系? 安東弘樹、マツダ「MX-30」を語る!

2020年11月27日07時00分 / 提供:マイナビニュース

「MX-30」の試乗を終え、マツダ開発陣に話を聞く安東弘樹さん。もともとは大学で心理学を研究していたという異色の経歴を持つマツダ社員も加わり、対話は思わぬ方向へ発展する。MX-30には、往年の2ドアハッチバック車を継ぐクルマになってもらいたい?

※文と写真はマイナビニュース編集部の藤田が担当しました

○素材にこだわるマツダ

安東弘樹さん(以下、安):乗った瞬間、いいなって思いました。ロールもうまく抑えられているし、足回りはすっきりさわやかといいますか、突き上げ感もなかったので。

操安性能担当の高木学さん:ありがとうございます。ホイールベースやトレッドなど、MX-30の諸元は「CX-30」と似ているのですが、バネレートを少しフロント側に寄せるなど変えているところがあるので、そのあたりを感じてもらえたのではないかと思います。

安:実はBMWの「M235i xDrive グラン クーペ」に試乗したばかりで、その感触が残っているままMX-30に乗せてもらったのですが、車高だけでもだいぶ違うのに、BMWの4ドアスポーツクーペと比べても腰砕け感はありませんでした。

ただ、トルクに関しては、もう少しあってもいいような気がします。BMWのグランクーペも自分のクルマも400Nm以上ですし、最近は電気自動車(EV)に乗る機会も多いので、余計にそう感じるのかもしれませんが……。

ドライビングポジションはさすがといいますか、座った瞬間にしっくりきて、心地よかったです。私、クルマを運転するときは正しく座らないと気が済まないたちなので。フットレストに左足がしっかりと乗せられますし、オルガン式のペダルにも好感が持てます。

シートも相変わらずたっぷりとしていて、表皮も気に入りました。ファブリックではありますがさらりとしていて気持ちがいいですし、これであれば、夏でも表面が熱くなりすぎることがなさそうです。

高木さん:ドライビングポジションと、その基本となるシートについては、ヒップポイントや視点の高さも含めこだわって作っているので、そう感じていただけると嬉しいです。

マツダでは「人馬一体」といっているのですが、乗っている人の操作に素直にクルマが反応すること、運転手が違和感なく運転できることを大切にしてクルマを作っていて、MX-30でもコンセプトは一貫しています。クルマによって違う部分は当然ありますが、コンセプトまで変えてしまうと、「あれはよかったがこれはこうだ」みたいな話になってしまいます。とはいえ、「MAZDA3」「CX-30」と新世代商品群を送り出す中でコメントをいただいている部分もありますので、改善もしっかりと入れました。疲れやストレスの原因になるものはそぎ落とす。そういう意識で開発したクルマです。

※ここで車両実研部 クラフトマンシップ開発グループの久保賢太さんが合流。久保さんはもともと、大学で心理学の研究者をしていたという経歴の持ち主だ。

久保さん(以下、久):内外装や質感に携わりました。シートの表皮を気に入っていただけたようで嬉しいです。

安:デザインや形状もそうなんですけど、肌触りもいいですね。

久:もともとマツダは本革をよく使っていますし、本物の素材にこだわるメーカーなんですけど、今回は新しいチャレンジということで、どういうものであれば人間の特性上、革と認識できるのか、どんなものであれば心地よいのかということを、さんざん研究しました。ゴールが見えたら、あとは本革でやるか合皮でやるかというアプローチの違いだけです。

本革と合皮の大きな違いは感覚の統一感の出しやすさで、本革の方がやりやすいんです。本革は、見た目通りの触り心地になりますから。今回は、見た目も触り心地も革のようにするというのがチャレンジでした。

安:最近は、ランドローバーやボルボもそうですけど、シートを革張りにすることにこだわらないメーカーも出てきましたよね。「高級車といえば革」という時代から、ちょっと変わってきたような気がします。理想としては、革ではないシートにもシートベンチレーションやクーラーが付くようになってほしいんですが……。

久:伝導率のことを考えると、革と組み合わせた方が効率がいいんですよね。布だと、風が拡散してしまいます。人間の肌は、温度というよりも風の当たり心地で感じています。革にたくさんの穴を開けて風を送ると感じやすいのですが、布だと面で感じてしまうので、分かりづらいんです。吹き出す方の技術が進めば、それも実現可能だとは思います。

安:質感でいえば、ダッシュボードの上の方はステッチが入っていたりして質感が高いのですが、下の方とはギャップがありますね。そこまで気にする人が、どれだけいるかは分からないんですけど。あと、グローブボックスも、ふたを閉めるときの軽さが少し気になりました。ただ、この価格で商品化するためという部分もあると思いますので、いろいろとご苦労がおありなのかもしれませんが……。

※編集部注:「MX-30」の価格は2輪駆動が242万円、4輪駆動が265.65万円。

とはいえ、このクルマに乗って、いやな気持ちになることはないでしょうね。

久:素材の使い方はシビアな世界で、デザインテーマ、コスト、衝突時の安全性、気密性など、要素が多いんです。昔から自動車では、ジープなどの例外はありますが、1種類の素材でトリムを作るということは、あまりありません。MX-30では上の方に、ある意味で目立つように素材を使っています。

あとは、ドアグリップにコルクを使ったりもしています。樹脂や革であれば、耐久試験は1,000回、2,000回くらいなんですけど、コルクでは3万回実施して、機能的な意味でも使えると判断しました。

安:コルクは触感もいいですね。よく手に触れる部分がプラスチックだと、どうしても安っぽい感じがしてしまいますが、コルクのようにあたたかみのある素材だと印象が違います。

安:今回の試乗では後部座席にも乗ったんですけど、少し暗くて、潜水艦の窓から外を見ているような感じを受けたんです。後部座席だと、窓もドアも自分の意志で開けられないというのは、閉塞感があるといいますか、ちょっと気になりました。だからこそ、屋根がガラス(サンルーフ)にできると、よかったかなと思います。

全部がガラスというわけにはいかないと思いますけど、欧州ではパノラマルーフを装着しているクルマが多いじゃないですか。BMWのグラン クーペですら、あんな形のクルマなのに後ろまでガラスのルーフになっていて、車内も広く感じます。おそらく、室内の体積としてはMX-30の方が大きいと思うんですけど、心理的には向こうの方が広く感じるんです。

久:ソリューションの1つとしてサンルーフも考えたのですが、観音開きのドアを採用していることもあり、衝突剛性の観点から、今回は断念しました。ただ、技術は進んでいるので、透明には見えるけどガラスではない素材を使うとか、窓を広くするためにピラーをもう少し削るとか、やり方はいろいろあると思います。

安:私はモータージャーナリストではなく、ただの常軌を逸したクルマ好きなので、常に買うか買わないかの評価だけでしか考えていません。そういう観点からMX-30を見ると、うーん、3台目のクルマとしてであれば、いいかもしれませんね。

※編集部注:安東さんはメルセデス・ベンツ「E220d 4MATIC オールテレイン」とロータス「エリーゼ」を所有している。

安:ただ、お金に余裕があって、初めてのクルマをどれにしようかと考えている人に、MX-30は響くかもしれません。これに乗っていると、それだけでライフスタイルがカッコよくみえますし。このクルマを選んだ自分を誇れるという感じですかね。

久:価格もそこまで高くないので、気軽にリストに入れてもらえればいいんですけど。

私は40歳になりますが、大学生くらいのときって、2ドアで、前の席を倒して後ろにもぎっちり乗ってというクルマが多かったような気がします。そんなクルマの進化系といいますか、みんなが使いやすくて、気軽に乗れるクルマの進化系がMX-30かなと思ったりもするんですよね。

安:なるほど。その話で思い出したんですが、以前、アルファロメオの「ジュリア」に試乗したときに、大黒パーキングエリアで大学生の3人組に「これ、新しいジュリアですよね? かっこいいですね!」って声をかけられたんです。その学生たちはプジョー「205」のハッチバックに乗ってました。

彼らいわく、「若いうちは4ドアはいらないんだけど、国内メーカーでカッコいい2ドアのハッチバックが全くない」と。スズキの「スイフト」はいい線いってるけど、4ドアだと生活臭がするので、やっぱり心からカッコいいとは思えない。「だから僕ら、お金はかかるんですけど、古い欧州車に乗っているんです」って、その学生さんは話してました。その日も、友達がアルファロメオ「147」の中古車を買ったので、クルマを引き取りに行くところだったそうです。

確かに、147みたいなクルマって、日本車にはないですよね。壊れない日本車で、カッコいい2ドアがほしいと思っても、レクサス「LC」くらいしかなくて、いくらなんでも現実感はないですよね。

私も、初めて乗ったクルマはホンダの「シティ ターボⅡ」という3ドアのハッチバックでした。マニュアルで、ドッカンターボで、強化クラッチ付きというのを中古で買ったんですけど、めちゃくちゃ楽しかった。それで、こんな人間になってしまったんですけど(笑)。

○安くてカッコいい日本車が今こそ必要?

安:さきほどの大学生は、父親が私と同年代くらいなんだそうです。だから、親世代にはクルマ好きが多いんですよね。で、『サーキットの狼』で育ったスーパーカー世代の息子、娘たちは、多少の薫陶を受けていたりすると思うんですよ。その世代の若者も、「MX-30」のようなクルマだったら、ほしいと思うかもしれません。もちろん、本音でいえば、もっとコンパクトでもう少し安価なクルマが欲しいんだろうとは思うんですけど。

3ドアのハッチバックって、なぜ日本にはなくなってしまったんでしょうね? 私たちの時代には、「スターレット」とか、いくらでも選べました。2ドアクーペでも、100万円台で買えた時代です。

久:確かに、選択肢が豊富でしたよね。

安:今は、200万円以内で買えるカッコいいクルマって、めったに見当たらないですよね。

久:私が初めて買ったクルマは「クラシックミニ」だったんですけど……。

安:ローバーの。いいですね!

久:クラッチは硬くて、イギリスのクルマなのになぜか左ハンドルで、乗り降りするのは大変で、シートに穴が開いていたりしてボロボロだったんですけど、本当に楽しかったんです。ああいう形のクルマって、扱いやすくて。よく、大きなクルマに乗ったときに「車幅がつかみにくい」とおっしゃる方がいらっしゃいますけど、小さなクルマで車幅感覚をつかんでおけば、クルマが大きくなっても分かる部分があるんですよね。

安:そうそう! そうなんです。

ただ、現実問題として難しいのは、MX-30の価格って、大人にとっては「300万円未満」ですけど、若い人にしてみれば、とても手が出る金額じゃないですよね。こういうクルマが存在するということは、評価したいんですけど。

久:「残価設定ローン」なども選択肢に入れてもらえればと思うのですが……。

安:私の場合、5年落ちのシティ ターボⅡを当時50万円で買えたんで、非常にありがたかったです。先ほどの大学生は、意地でもマニュアル車に乗りたいといった感じの若者でしたが、私たちのころならいくらでも選べました。「レビン」や「トレノ」、あと、軽自動車ですがスズキの「マイティボーイ」というのもけっこう好きで……。

久:うわー、懐かしい!

安:「お金はないけどマイティボーイ」っていうCMでしたけど、考えてみるとストレートなメッセージですよね。ちょっとピックアップっぽくて、高級な素材は使っていなかったんでしょうけど、安っぽくなくて、カッコよかった。

そう考えると、せっかくマニュアルで免許を取ったのに、乗りたい日本車が見つけられない若い人が、かわいそうになってきます。

久:MX-30にマニュアル設定があったらどうですか?

安:私だったら確実にマニュアルを選びますけど、どうかなー。このクルマでマニュアルを選ぶ人って、相当な変態ですよね(笑)。

安:ひとつ思ったのは、ディーゼルエンジンという選択肢はなかったのかなということです。試乗では、出発するときに燃費計をリセットして、今回走行した分の燃費を測ったんですけど、4輪駆動で14.4km/Lでした。もちろん、運転の仕方や道路状況によっても変わると思いますが、マツダさんのディーゼルは優秀なので、ランニングコストを考えると、ガソリンMHVよりもディーゼルの方が圧倒的にいいはずです。それに、ディーゼルであればトルクもあるし。コストの問題はあると思いますが、選択肢としてディーゼルのMHVというのはなかったんですか?

久:ご期待いただいている部分はあると思うんですけど、触媒やレイアウト、価格などの問題もありますので、現状ではご用意していません。

安:なるほど。今後はMX-30に純EVとレンジエクステンダー付きEVが追加になりますね。そちらも楽しみです。

久:ありがとうございます。外装、内装、走り、コンセプトといった要素は「1本の線」でできたといいますか、統一感を持たせることができたと思っています。マツダのほかのクルマとは形がけっこう違いますが、走りも含めたクルマとしての一貫性と、マツダの一族としての一貫性は出せたかなと。

安:確かに、まごうことなきマツダのクルマだと思います。本日はありがとうございました!

安東弘樹 あんどうひろき 1967年10月8日生まれ。神奈川県出身。2018年3月末にTBSを退社し、フリーアナウンサーとして活躍。これまでに40台以上を乗り継いだ“クルママニア”で、アナウンサーとして初めて日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。 この著者の記事一覧はこちら

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