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人気の「RAV4」と共存できる? トヨタの新型「ハリアー」を考える

2020年04月20日11時30分 / 提供:マイナビニュース

トヨタ自動車はSUVの「ハリアー」をフルモデルチェンジし、2020年6月ごろに発売する。ハリアーは底堅い人気を誇り、街でもよく見かけるクルマだが、トヨタのSUVといえば今、「RAV4」が大人気となっている。この2車種はうまく共存できるのだろうか。

○世界で歓迎された都市型SUV

1997年に誕生した初代ハリアーは、「都市型SUV」という新たな商品を生み出した1台と位置付けられる。

SUVは1984年のジープ「チェロキー」(2代目)あたりから消費者に浸透しはじめた。それまで、4輪駆動車といえばまさしく米国のジープが象徴的であり、現行ジープの中では「ラングラー」が最も本格派といえる存在だ。2代目のチェロキーはジープならではの悪路走破性を持ちながら、より日常的に使えるクルマとして消費者に喜ばれた。日本でも、ホンダから販売された時期があり、愛用者は多かったはずだ。所有者の中には、未舗装路へ出かけたことがないという人もあったかもしれない。

日常的に使えるSUVに、上質感や高級感といった付加価値を加味したのが、今日のクロスオーバーSUVだといえる。英国のレンジローバーが、米国カリフォルニア州のハリウッド近郊などで富裕層に好まれるようになったのが発端だ。それでも、レンジローバーはランドローバー社の本格的4輪駆動の技術を搭載した車種である。ただ、ランドローバーと異なり、アルミ車体であったり、フルタイム式4輪駆動装置を使っていたりする点で、悪路走破性を身上とした従来型の4輪駆動車とは一線を画していた。

例えば、英国で城に住むような大地主が、日常的にはロールスロイスやジャガーに乗り、広い敷地を見回ったり狩りをしたりする際に使うのがレンジローバーというような位置づけである。それを、ハリウッド近郊の人々が日常に使いだしたのだ。

そこに、ハリアーが登場する。ハリアーは乗用車の「カムリ」をベースとし、SUV風の車体を載せた都市型SUVだ。レンジローバーに乗っていたような志向の消費者に対し、より乗用車としての日常性を満たせる車種としてアピールした。ちなみに、初代ハリアーは米国ではレクサス「RX」として販売された。レクサスは1989年にトヨタの高級車販売店として米国で事業を始めていた。

経緯が長くなったが、ハリアーは独創の都市型SUVとして、日米で人気を急速に高めた。

2代目まで、日本国内でも米国のレクサスRXと同じ車種として販売されたハリアーだったが、3代目へ向けたモデルチェンジの時期に差し掛かると、レクサスRXのみが新しくなり、より大きな車体を持つクルマへと生まれ変わった。一方、国内向けのハリアーは2代目のまま10年も販売が続けられ、次第に魅力を失い、存在すら忘れられそうになっていた。そして消費者から、ハリアーとしてのモデルチェンジが強く望まれたのである。

国内向けハリアーとしての3代目(現行モデル)は、2013年に発売となった。10年も待ちかねた消費者が殺到したのはいうまでもない。発売から6年を経た昨年もなお、底堅い販売台数を持続したのは、2代目を長く乗り続けた顧客が買い替え時期を迎えたことも背景にあるのではないか。

○新型「RAV4」が国内で大人気、「ハリアー」はどうなる?

昨年はトヨタのSUV「RAV4」がフルモデルチェンジして5代目となった。RAV4は1994年、「カローラ」など乗用車の技術を応用した都市型SUVとして初代が誕生し、トヨタ車のSUVとして米国市場でも人気を集めた。だが、次第に車体が大きくなり、4代目は海外のみでの販売となって、国内へは導入されなかった。その空白期間により国内では存在を忘れられかけたが、5代目へのモデルチェンジでは、外観と走行性能を大胆に変更し、満を持して国内に再登場したのである。

結果、新型RAV4は日米ともに大人気となり、国内では2019年に5万3,965台を販売し、自動車販売協会連合会の乗用車ブランド通称名別順位で16位という成績を残した。

今は世界的にSUVが人気であり、それは日本でも同様だ。RAV4とハリアーの販売台数を合わせれば、国内の販売台数は年間9万台(2019年)を超える。9万台超といえば、日本の販売台数ベスト10で8位に位置するほどの規模になる。国内販売でベスト10に名を連ねる車種はコンパクトカーが中心だが、ハリアーとRAV4の売れ行きは、高価格帯のSUVを購入する消費者が国内にも相当数いることを明らかにしている。

そうした状況の中で、RAV4と新型ハリアーの住み分けはどのようになるのだろうか。先行して人気を取り戻したRAV4に対し、新型ハリアーはどのように存在感を示していくのだろう。

新型ハリアーの販売価格は、発売の時期にならなければ明らかにならない。そこで、各種諸元を確認していきつつ、新型ハリアーと同じく「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の「GA-K」型というプラットフォームを採用する「カムリ」、「RAV4」、レクサス「UX」などのクルマなども念頭に置きながら、想像をふくらませてみたい。

新型ハリアーの車体寸法は全長4,740mm×全幅1,855mm×全高1,660mmである。これは現行ハリアーとほぼ変わらないが、全長と全幅がわずかに大きくなり、全高は逆に低くなっている。前後タイヤ間の距離であるホイールベースは2,690mmで、現行モデルに比べ若干長い。左右のタイヤ間の距離であるトレッドも、前後共に現行より広がった。

これらをまとめると、より低い姿勢で、踏ん張りのきいた見栄えになりそうだ。外観の造形も、より切れ長で精悍な様子となっている。顔つきは別として、車体寸法などを含め、写真を見る限りではレクサス「NX」に近い雰囲気ではないかと想像できる。

室内は、現行のハリアーでは本物らしさが追求され、艶やかな雰囲気であったのに対し、新型ではより上質さが増したように見受けられる。しかしそれは、レクサスの華やかさとも違う、親しみも覚えさせる心地よさを伝えてくるようだ。

動力は2.0Lのガソリンエンジンと、2.5Lのガソリンエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドの2種類である。どちらにも、前輪駆動(FF)の2輪駆動と4輪駆動の選択肢がある。

現行と大きく違うのは、新型が2015年に発売された「プリウス」から採用がはじまったTNGAを活用しているところである。ただし、プリウスの系列ではなく、上級セダンのカムリに通じるプラットフォームが基だ。

いずれにしても、プリウス以降、トヨタの新車はいずれもTNGAの効果を存分に発揮し、走行性能はもちろん、乗り心地や静粛性も大幅に進化し、クルマの質を高めている。その効果は、RAV4でも十分に感じられた。

では、新型ハリアーの差別化は、どのように行われるのだろうか。まだ試乗をしていないので断定はできないが、同様のTNGAを採用したレクサスUXの乗り味は、試乗をした1年4カ月前から今日もなお忘れがたいものがある。

UXは運転者の思い通りに走る壮快さと、静かで快適な乗り心地を両立していた。いずれの性能も、いかにも速いとか、俊敏だとか、あるいは静かでしなやかな乗り味だとかいったような突出した性能ではなく、全てが調和した自然体の快さを覚えさせた。これは、初代ハリアーから続く都市型SUVという姿そのものではないだろうか。

レクサスUXの開発責任者を務めた加古慈チーフエンジニア(CE)は、「ラグジュアリーとは心を満たす豊かな時間や空間」と語った。それが、UXにほかのレクサスSUVとは違った雰囲気をもたらしたのではないか。奇しくもそれは、都市型SUVとして誕生したハリアーの独自性に近いと思われる。

新型ハリアーの開発責任者を務めたのは、RAV4と同じ佐伯禎一CEだ。佐伯CEはRAV4と米国の「ハイランダー」のCEも兼務する。RAV4の試乗会で佐伯CEは、「トヨタSUV各車の性格を明確に分ける」と語っていた。

TNGAを採用したRAV4は、4輪駆動をいかした走行性能はもちろんだが、乗り心地や静粛性にも優れる快いSUVである。それでも新型ハリアーは、もっと心を動かす乗り味を伝えてくるのではないかと期待する。

1年後には、新型ハリアーとRAV4が販売台数で接近した成績を残すのではないだろうか。RAV4を従来の路線から大きく変化させながら、人々を魅了するクルマとして開発した佐伯CEの意図を読み解くなら、新型ハリアーもまた、消費者に選ばれる都市型SUVとして群を抜いた存在になっているはずだ。

○著者情報:御堀直嗣(ミホリ・ナオツグ)
1955年東京都出身。玉川大学工学部機械工学科を卒業後、「FL500」「FJ1600」などのレース参戦を経て、モータージャーナリストに。自動車の技術面から社会との関わりまで、幅広く執筆している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。電気自動車の普及を考える市民団体「日本EVクラブ」副代表を務める。著書に「スバル デザイン」「マツダスカイアクティブエンジンの開発」など。

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