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出入国審査はどうなる? ビジネスジェットとはどんな飛行機か?

2020年01月07日17時12分 / 提供:マイナビニュース

●ビジネスジェットにはどんな機種がある?
羽田空港成田空港で飛行機の撮影をしていると、時折、見慣れた民航機とは違う、ずっと小型のジェット機が離着陸するのを見かけることがある。これが、「カルロス・ゴーン逃亡事件」で一躍脚光を浴びることになってしまった、ビジネスジェットと呼ばれる機体である。
○ビジネスジェットとは、何者か?

日本では「自家用機」というものに馴染みが薄いから、飛行機に乗るといえばすなわち、定期便の旅客機に乗るということ。という方が大半ではないだろうか。実際問題として、多くの移動は定期便で用が足りる。

ところが、何事にも例外は発生する。世界を股にかけて事業を展開している大企業のトップが、急いで海外に移動しなければならないという時に、都合のいいフライトがあるかどうか。はたまた、フライトがあっても空席があるかどうか。

大企業のトップの動向は事業の動向に直結するから、例えば隠密裏に提携交渉をしようとして相手先に向かった時に、それを目撃されて要らぬ勘ぐりをされる、なんてこともあり得る。また、芸能関係者やスポーツ選手などの著名人であれば、定期便で移動すると「追っかけ」が発生してドタバタしてしまう可能性もある。

そうした問題を解決する手段がビジネスジェット機だ。「ビジネス」と付くから仕事の移動に限られるのかというと、そういうものではない。「プライベートジェット機」という方が実情に即しているかもしれない。平たく言えば、「個人レベルで好きに使用できるジェット機」である。

定期便と違い、決まった運航スケジュールはない。必要な時に必要なところまで飛ばすという種類のものだから、突発的な移動、あるいは隠密裏の移動には都合がよい。

ただし、その機体を利用する人が自ら機体を購入して飛ばす、とは限らない。第一、移動する当人が操縦資格を持っているとは限らない(むしろ、持っていないことが大半だろう)。だから、機体を利用する人がオーナーとなり、運航や整備の実務は専門業者に委託する形になる。

また、複数のオーナーで機体の所有権を分割して、出資比率に応じて機体の飛行時間を「買う」 という形態もある。「いつでも好きな時に飛ばせる」という理想からは一歩後退するが、ビジネスジェット機利用の敷居を下げる効果は大きい。

このほか、自ら保有しているわけではなく、必要に応じて運航会社の機体をチャーターする形態もある。

変わった形態としては「F1ドライバーが自ら操縦資格を取得して、レースが終わったら自宅まで自家用ジェット機を操縦して帰る」なんていうものもある。
○どんな機種があるの?

ビジネスジェット機は少人数の移動に使用するものだから、そんなに大型の機体は必要ない。せいぜい十数人も乗れれば十分である。しかし、小型だから航続距離が短いとは限らず、ものによっては10,000km以上飛べるものもある。

馴染み深いメーカーとしては、ガルフストリーム(米)、セスナ(米)、ボンバルディア(加)、ダッソー・アビアシオン(仏)、エンブラエル(伯)といったところがある。

G700の航続距離は最大13,890km。ゴージャスな内装を見るだけで、目がクラクラしそうだ。機体は量産品だが、内装は買い手がカスタマイズできる。そこでかかるコストが気になるような人は、最初からビジネスジェット機なんて買わない。

ちなみにG700のお値段は7,500万ドルだそうだ。なんと、「機体単価8,000万ドル切り」が話題になっているF-35Aに迫るお値段である!

日本では買い手がいないから展示会にも滅多に出てこないが、海外になると話は別。たとえばオーストラリアで隔年開催しているアヴァロン・エアショーでは、多数のビジネスジェット機が屋外の展示エリアに並んでいた。アメリカだと、ビジネスジェット機「だけ」の展示会があるぐらいだ。

ちなみに、「カルロス・ゴーン逃亡事件」で登場した機体は、トルコの運航会社であるMNGジェットが飛ばしているボンバルディア・グローバルエクスプレス(登録記号TC-TSR)だった。

近年、ホンダ・エアクラフト・カンパニーのHondaJetが販売実績を伸ばしているが、これもビジネスジェット機の1つ。ただし、欧米のメジャーどころと比較すると小型の機体であり、航続距離も2,200~2,600km程度と短め。

なお、先に書いたこととは矛盾するが、ボーイングエアバスが既存の旅客機をベースにしたビジネスジェット機を売り出している。といっても、ベースモデルは737やA320といった単通路機で、ボーイングはBBJ(Boeing Business Jet)、エアバスはACJ(Airbus Corporate Jet)と称している。中東の石油王ぐらいになると、この手の機体を買っても懐は痛まない。

●ビジネスジェットの保安検査はどうなっているのか?
○ビジネスジェット機と保安検査と出入国

ビジネスジェット機は「VIPがお望みの時にお望みの場所に飛ぶための手段」という色彩が濃いから、民航の定期便を利用する時とは違うところがいろいろある。

まず、保安検査。そもそも、保安検査とはハイジャック対策のためにやるものであり、不特定多数の乗客が乗り込む民航機だからこそ、必要になる。素性が知れている特定少数の人しか乗らないビジネスジェット機では、乗客が機体を乗っ取る事態は考えにくく、保安検査の必然性がそもそもないのだ。

次に、ターミナル。空港によって事情が異なるが、近年、ビジネスジェット機の受け入れに力を入れている羽田空港みたいに、民航機とは別にビジネスジェット機専用のターミナルを用意する事例がある。

また、アメリカでは、民航機が使用する空港とは別に、ビジネスジェット機など、個人レベルの機体を受け入れる空港が存在する場合がある。

ただ、保安検査が必要ないといっても、出入国まで好き勝手にやられたのでは問題だし、禁制品の密輸なんてやられても困る。だから、ビジネスジェット機用のターミナルにも当然ながら、税関・出入国・検疫(CIQ : Customs, Immigration and Quarantine)の施設がある。

日本の場合、常に人員を張り付けておくほどのニーズはないので、離着陸のための時間枠(スロット)や駐機スペース(スポット)の確保、使用許可の申請、CIQ人員確保の連絡、といった手続きが事前に必要になる。

本当に好き勝手に出入りできるわけではない(ことになっている)のだが、定期便の旅客機を使用する場合と比較すると、抜け穴があるのではないか、との懸念はあった。そして実際、その通りの事件が起きてしまったわけだ。

なお、専用ターミナルがない空港では、定期便の利用者と同じルートでCIQの手続きを行うことになる。専用ターミナルがある場合と比べると時間の面で不利だが、定期便の発着とかち合わなければ、あまり問題にはならないと思われる。
○ビジネスジェット機の正体を知るには?

最後に、オマケみたいな話を1つ。

民航機と違い、オーナーと運航会社が同じとは限らない上に、複数のオーナーが共同所有していれば、特定のオーナーに合わせたカラーリングを施すわけにもいかない。だから、外観だけ見ても、ビジネスジェット機の正体(というと大袈裟だが、機種、オーナー、運航会社など)を知るのは難しい。

しかし、どんな飛行機でもどこかの国で登録はなされているわけで、登録記号がわかれば、正体を知る役に立つ。大抵の場合、登録記号でネット検索をかければ、なにがしかの情報は出てくる。目撃あるいは撮影した時点で誰が乗っていたか、まではわからないにしても。

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